1机の横にコピーに使った紙が積んである。裏の白いところを生かしてメモ用紙にしているのだ。何か用事を思い出すと、さっとメモをとる。計算用紙のかわりにもなるし、作文の構成用紙のかわりにもなる。2折りたたんで暗唱用紙のかわりにすることもできる。一枚の薄い紙が、いろいろな形で役に立つ。この紙にひとまとまりの文字を載せると、文章の書かれた紙となる。手紙やレポートは、だれかに自分の考えを伝える道具だ。3その道具をいちばんの土台で支えているのが、この紙とペンである。私は、この紙のように、さまざまな情報を載せることのできる教養の大きな受け皿になりたい。
そのためには第一に、白紙のように、何でも素直に受け入れる心を持つことだ。4日本の昔話に「わらしべ長者」がある。一本のわらにアブをつけて持っていた男が、そのわらしべをミカンと交換する。やがて、そのミカンを反物と交換し、反物を馬と交換し、馬と交換に家をもらう、という話だ。自分自身の教養を高めるためには、このように何でも素直に受け入れる心が欠かせない。5世の中には、相反する意見や情報も多い。それらを先入観なく受け止める心の広さが必要なのだ。
第二の方法は、逆に、素直に受け入れたものの中から、自分に必要なものを選択する勇気だ。6日露戦争は、日本の命運を決める戦争だったが、この戦争を遂行した日本のリーダーたちが共通して持っていたものは、困難な選択を敢えてする勇気だった。日本が立ち上がることによって初めて東アジアはロシアの支配をはねのけ自立することができた。7また、日本の勝利は世界の有色人種の自覚を促し、その後の世界史の流れを変えた。何でも受け入れる素直な心は、選択し決断する勇気と組み合わされることによって初めて価値あるものとなる。
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