1日本と同じ車の左側通行をしている国は、イギリスをはじめ、世界の約三分の一あります。残りの三分の二の国は、ヨーロッパやアメリカのように右側通行をしています。
2第二次世界大戦の末期、沖縄を占領したアメリカは、沖縄での車の通行を、それまでの左側通行から右側通行に変えました。その後、沖縄は日本に返還されましたが、返還されたあとも、沖縄ではアメリカ式の右側通行が続いていました。
3しかし、返還から六年後の七月三〇日、右側通行を左側通行に戻すための大変革が行われました。
切り替えは、前の日の夜から、すべての車をストップさせて行われました。4すべての車がストップしていたのはわずか八時間の間でしたが、この間に、すべての道路標識や表示が切り替えられました。交通整理などのために、本土からも多くの警察官が手伝いにかけつけました。
5しかしここで、一つの問題がありました。普通の車は、ハンドルが右でも左でも、道路のどちらの側でも走ることができますが、困るのは乗り合いバスです。6なぜかというと、バスは、歩道の側に乗客が乗り降りするドアがついているので、新しい通行規則に従うと、このドアを車両の反対側につけなければならなくなるのです。
7そこで、沖縄県内にあったほぼ一〇〇〇台ものバスが、ほとんど新しくされることになりました。このために、日本国内のメーカーは総出で、たくさんのバスを製造したのです。8この時に製造されたバスは、「730車」と呼ばれています。この「730車」は非常に頑丈に作られていたため、数は少なくなりましたが、今でも走っているものがあるそうです。
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