受験作文コース(言葉の森新聞の記事より) 印刷
■受験コースの課題に取り組まれている皆さんへ
20131002
19909
受験コースの課題は、次のように勉強してください。
1、授業のある日までに、毎日課題を音読し(感想文課題の場合)、内容を自分なりに把握しておいてください。
2、授業のある日の前までに、家族でその課題について話し合いをしてください。生徒が長文の内容を説明し、お父さんやお母さんがそれについて体験談の似た例などを中心に話してください。その際、説明がうまくできなくても決して注意などはせず、また、話し合いも相手の言ったことを批評するようなことはせず、似た例を出し合う形で楽しく進めてください。
3、授業の電話のあと、作文はすぐに書くようにしてください。時間の制限をする必要はありませんが、かかった時間は記録しておきましょう。作文は次の日に持ち越さず、必ずその日のうちに仕上げてください。
4、作文が返却されたら、家族全員でよりよい実例や表現に直して、模範となるような作文を作っておいてください。これはきれいに清書する必要はないので、赤ペンなどで直しておけば結構です。先生に再提出する必要はありません。この模範作文をストックしておくことが試験前の勉強の中心になります。
5、受験作文についての質問は、オープン教育の「受験作文小論文」で受け付けています。勉強を進める上での質問や相談などがありましたらお気軽におたずねください。
■中学入試、高校入試の受験志望理由書の書き方
20131101
19995
志望理由書の書き方ということで、書店にはいろいろな本が出ています。書く内容は、それらを参考にしていただくことにして、ここでは、それらの本にはあまり書いていないことを説明したいと思います。
第一は、子供任せにしないことです。志望理由書は本人が書くという建前になっていますが、小6や中3の子供に任せて、いいものが書けるはずはありません。と書くと言いすぎですが、ここはやはり親が全面的に協力して内容を煮詰めていくことです。
第二は、明るい内容、面接で話題にしてほしい内容に絞ることです。明るさというのは、志望理由書以外に、作文の試験の場合も重要です。文章がうまければよいというのではなく、自分の好ましい人柄がにじみ出るように書いていくことが大事です。
第三は、勉強の話を中心にしていくことです。学校は勉強をするところです。それなのに、部活や友達や趣味の希望をたっぷり書いてしまう人がいます。学校で青春を楽しみたいという気持ちはわかりますが(笑)、勉強をしにいくのだという原点を大事にしておかなければなりません。その学校に入ったら、どんな勉強を何のためにどういうふうにやっていきたいかということを書いていくことです。
第四は、書くスタイルです。よく直接鉛筆で書いて、手書きの原稿を推敲している人がいますが、それでは十分な推敲はできません。まず最初に、自分が普通に書くぐらいの字の大きさで、読み手にとって見にくくない程度の文字で2、3行手書きで書いてみます。そして、1行の平均的な字数を数えます。そのあと、その字数と行数に合わせてパソコンで下書きを書いていきます。パソコン上で推敲を十分に行ってから、最後は手書きで清書をするようにします。
第五は、書いたものは、必ず書いた本人以外の他人に見てもらうということです。本人がアピールしたいと思っていることと、相手に実際にアピールすることとは違います。どういう内容がアピールするかというと、ひとつは挑戦したことがわかる話、もうひとつは継続したことがわかる話で、これらに客観的な裏づけのあるデータを入れて書きます。客観的なデータとは数字や固有名詞のことで、例えば、「○年間、○○の委員長を務め、○○という工夫をして、○○パーセントの成果を上げた」というような書き方です。
志望理由という言葉から、自分の希望を中心に書いてしまいがちですが、未来の話はだれも同じようなものになりがちです。自分らしい過去の実績を盛り込みながら書いていくことが大事なのです。
■受験に勝つために、そして、受験後にも
20131101
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例年、「受験生は、夏休み前までに過去問を」と、もう何十年も言い続けているのに、あいかわらず秋から過去問に取り組むという人がかなりいます。
受験勉強は、情報戦です。旧日本軍と同じように、情報戦で戦略的に既に大きく後れをとっているのに、個々の戦闘でだけがんばるという勉強の仕方をする人が多いのです。
夏休み中に、自分流の勉強をした人と、ただ漫然と塾や予備校の夏期講習に通った人とでは、大きな差が出ます。夏休み中に自分流の勉強をするために、夏休み前の過去問分析が欠かせないのです。
夏休み前までの模試はあてになりませんが、夏休み後に行われる模試は、ほぼ正確に実力を反映します。
受験を左右するのは、偏差値ではなく総合点です。まだ過去問に取り組んでいない人は、過去問を、答えを書き込みながらでもいいので、全教科解いてみて、どの教科でどのぐらい得点するかという作戦を考えていきましょう。
塾や予備校でも、過去問は仕上げにやると言っているところが多いようですが、それは、生徒が早い時期に過去問に取り組むと対応しきれなくなるという教える側の都合によるものです。
受験に全責任を負っているのは、本人と保護者だけです。他人に頼らずに自分の判断で勉強に取り組んでいきましょう。
国語の成績を上げるコツは、ある意味で簡単です。一つは問題文を読む練習をすることです。もう一つは、選択問題の解き方のコツを学ぶことです。選択問題の解き方は、1、2時間もあればすぐに理解できます。
http://www.mori7.com/index.php?e=769
さて、人生で大事なのは、受験に勝つことでありません。受験が終わったあと、どういう勉強をして、どういう人間になるかということです。
受験に合格することを目的にしてしまうと、合格したあとに勉強が途絶えてしまいます。
合格することが目的なのではなく、合格後、又はたとえ第一志望に合格しなかったとしてもその後、社会に出て立派な社会人になり、世の中に貢献していくことが本当の目的なのだと今から話しておくといいと思います。
■受験直前の作文小論文
20131102
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今回は、受験直前の取り組みの説明です。
まず、作文小論文の試験では、どういう課題が出るかわかりません。ここがいちばん不安なところです。この不安をなくすには、次のように考えることが大切です。「運がよければ、いい課題が出るだろう」。
書きやすい課題が出れば自分の普段の心がけがよかったからだと考えます。しかし、書きにくい課題が出たときは、「こんなに書きにくいのだから、ほかの人もみんな苦労しているだろう。だから自分は自分のベストを尽くせばいいのだ。ラッキー」と思えばいいのです。
さて、直前までの勉強の中心は、これまでに書いた自分の文章です。どんな参考書よりも自分の書いた文章がいちばんの財産です。書いたものを何度も読み直し、自分なりによく書けているところに赤ペンで線を引いていきます。それを試験の直前まで続けていってください。よく書けているところとは、切れ味のいい表現、感動のあるエピソード、味のある会話などのあるところです。
試験の当日には、自分の書いた文章のファイルと1冊の本を持って出かけます。本は、空いている時間などに読みましょう。小説よりもノンフィクションの方がいいでしょうが、自分の好きなものでかまいません。これは、面接のときも同じです。何気なく手に持っていった本が、作文試験や面接のときに意外と使えることがあります。
試験の会場でも、時間があれば、これまで自分が書いた文章のいいところだけを読んでおきましょう。
試験が始まったら、課題を見て、これまでに書いた文章の使えそうなところを簡単にメモします。作文に、その使えそうなところが三つも入れば大成功です。もちろん、使えそうなところが何もなくても大丈夫です。これまでに書いたものが頭に入っているので、書いている間に自然に続きが出てきます。
書いたあとは、もちろん読み返し。1、2文字の訂正なら消しゴムで、それ以上の長い訂正は消しゴムを使うと汚くなるのでなるべく訂正をしないように工夫していきましょう。原則として消しゴムは使わないつもりで書いていきます。これは普段の練習のときも同じです。
試験までにまだ時間があり、もう少し書く練習をしたいという場合は、自分がこれまでに書いたものと同じテーマで同じ内容を時間内に書く練習をしていってください。新しい課題に取り組む必要はありません。書く時間が取れないときは、頭の中で構成を考えるだけでも練習になります。
それでは、試験まで、これまでに書いたものを何度も読み返してがんばってください。
■受験作文の家庭での練習
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言葉の森で入試作文の練習をしている人は、家庭でも勉強の続きをしていきましょう。
それは、教室で書いた作文と同じテーマで、自分の書いた作文を思い出しながら短時間で書き上げる練習です。
毎日1回、そのように自分が書いたものを思い出して作文を書いていると、作文を書く感覚に慣れてきます。新しいテーマでなく、既に書いたことのある作文を思い出して書くのですから、勉強の負担はあまり大きくありません。
同じテーマの作文を書くときは、できるだけ消しゴムを使わずに短時間で書いていきます。初めて書くテーマのときは、実例や意見をいろいろ考えるので時間がかかってもかまいませんが、仕上げの練習として同じテーマで書くときは、短時間で書き上げることが大切です。
入試に合格する作文の条件は、(1)時間内に書くスピード、(2)字数いっぱいまで書いてあるボリューム、(3)光る表現(と主題)、(4)味のある実例、の4つです。
このうち、スピードとボリュームは、家庭で力をつけていくことができます。スピードは、途中で読み返したり考えたりせずに、最後まで一挙に書き上げる練習で身につきます。これを、同じテーマで書く練習をするときに心がけていくとよいでしょう。
ボリュームは、何が何でも目標の字数まで埋めるという練習でつけていくことができます。これも、同じテーマで書く練習をするときに心がけていきます。
芸がないようですが、スピードとボリュームは、テクニックではなく、本人のがんばろうとする意識と慣れで力がついていくものです。
光る表現は、作文を書く中で偶然生み出される面があります。一生懸命に書いていると、自然にいい表現が出てくることがありますから、それをたくさんストックしておきます。
光る表現を意識的に書くには、小学生の場合は一般化の主題で「○○は(人間にとって)……である」というスタイルで考えてみます。中学生や高校生は、「○○はAではなくBである」というスタイルで、自分なりの名言を作っていくことができます。この自作名言は、小学生の場合ももちろん使えます。
味のある実例は、作文に書く実例ををお父さんやお母さんがアドバイスをしてあげることでついていきます。子供が自分で思い出せないようなことでも、親が「この話なら、昔こういうことがあったじゃない」と示唆してあげることができます。また、お父さんやお母さんに聞いた話ということで、両親の実例を書いていくこともできます。親に聞いた話というのは、意外といい実例になるものです。
作文試験がだんだん広がっていくと、受験生がみんな作文試験の対策を立てくるので、試験の問題もそれに対応して異常に難しい問題になっていきます。なぜこういう難しい試験をするかというと、書くことに自信のある子は、到底書けないような課題が出ても何とか書いてしまうので、そこで差がつくのです。そういう自信をつけるには、書く回数を増やすことです。言葉の森の指導は週に1回ですから、その間の6日間は、これまでに書いたものと同じテーマで同じように書く練習をしていってください。
■作文小論文試験の受験の心構え
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(1)これまでの作文をファイルしておきましょう。
(2)上手に書けていると思ったところに赤ペンで線を引いておきましょう。
(3)線を引いたところを何度も繰り返し読んで、覚えましょう。
(4)これまでに書いた作文の中で、自分らしい体験実例が書かれているところを二つ選び、その実例をいつでも書けるようにしておきましょう。
(5)試験の始まる直前まで、作文のファイルを読みましょう。
(6)課題が出されたら、頭の中にあるこれまでのいい実例、いい表現であてはまりそうなものを思い出して、問題用紙の横などにメモしましょう。
(7)全体の構成は、第一段落「説明と意見」、第二段落「理由・方法・実例」、第三段落「理由2・方法2・実例2」、第四段落「第一段落と同じ意見」という形を基本にしましょう。それぞれの段落の長さは150字ぐらいが目安です。
(8)構成メモを考えたら、字数配分で8割ぐらいまでのところは、できるだけ速く書き、最後の2割はじっくり書くようにしましょう。
(9)結びの第四段落には、できるだけ「確かに……」という言葉で反対意見に対する理解を入れましょう。
(10)書き出しと結びの意見は必ず対応させましょう。
(11)課題文の中にあるキーワードは、できるだけ結びの5行の中に入れましょう。
(12)習った漢字は全部使いましょう。書こうとする漢字に自信がないときは、別の表現の仕方を考えましょう。
(13)できるだけ指定の字数ぎりぎりまで書きましょう。
■受験作文小論文の決め手自作名言(過去の記事の再掲)
20131103
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受験で作文小論文を書く人は、結びに自作名言を入れる練習をしていきましょう。
これは、小学生の場合は子供の力ではなかなかできないので、お父さんやお母さんが手助けをしてあげてください。教室で先生が指導してしまうと、複数の生徒が同じ表現を使う可能性が出てくるので、教室では大きな方向だけを説明します。
自作名言とは、「○○とはAでなく、Bである。」という形の文です。Aの部分は世間の常識、Bの部分は逆説の真理という位置づけになります。
例えば、「私の家族」という題名の作文でしたら、主題となる家族という言葉について、「家族とは、子供たちを社会の荒波から守る場所ではなく、子供たちがその中で社会の荒波に備えて練習をする場である。」というような名言が作れます。
「戦争」という題名でしたら、「戦争は、問題を解決する手段ではなく、問題の解決を遅らせる原因になっている。」というような自作名言が作れます。
「自然」でしたら、「自然とは、保護するものではなく、人間がその中で暮らす家なのである。」というような自作名言が作れます。
こういう自作名言を、これまでに書いた作文のそれぞれについて、結びの5行に入れられるようにしておきましょう。その名言を全部覚え、自信のある二つの体験実例をいつでも書けるようにして、試験に臨みましょう。
これまでの経験では、作文の結びの5行に名言が一つ入ると、印象点が2割近くアップします。ボーダーラインに並んだ場合は、名言の有無が決定的な役割を果たします。
作った自作名言が効果的なものかどうかわかりにくいという場合は、教室までお電話でご相談ください。(0120-22-3987平日午前9:00~午後7:50)
■受験作文の勉強法
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過去問をもとにして、自分で作文を書いてみます。
言葉の森で教えるのは、全体の構成です。
本人が、お父さんやお母さんに取材しながら、実例と表現と感想を工夫して書きます。
誤字や誤表記は、先生がチェックします。
返却された作文は、よりよい表現や実例に書き直します。
こういう練習を10本ぐらい行うと、どういうテーマが出ても、自分なりのいい実例、いい表現を盛り込んで書けるようになります。だから、中心になるのは、事前の準備です。書いたあとの添削や講評よりも、事前に考えたり取材したりすることが勉強の中心になります。
あとは、何度も同じテーマで書いてみて、スピードと字数に慣れておくことです。試験の本番になると気合いが入るので、普段の練習よりも速く長くいい作文が書けるようになります。
作文の試験は、通常の教科の試験と異なり、課題との相性などによる当たり外れがあります。だから、受験生は不安になることが多いのですが、それまでに練習した自分なりの表現や実例のストックがあると安心です。
自分がこれまでに書いた作文の中のいい表現や実例を当てはめられれば、実力の100%を発揮できます。
■受験直前の作文の勉強は、これまでにやってきたことを再確認して自信をつけること
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受験直前の勉強は、これまでやってきたことを再確認することです。そして、自分なりに納得できる作品を仕上げて、これまでやってきたことに自信をつけることです。
ところが、受験直前に不安になり、別の塾や予備校に相談したり、別の勉強をやろうとしてしまう人も多いのです。そういうことが、これまで何度もありました。あるいは、模試で悪い点数を取って自信をなくすという子もいました。
ところが、そういう悪い点数を取ったり、これまでの作文をけなされたりした子もちゃんと合格しています。作文のよさは内容のよさです。他人にどうのこうの言われて判断するものではありません。しかも、受験の直前にそういうところで他人にふりまされるものではありません。
言葉の森は、中学入試だけでなく、高校入試でも大学入試でも通用する作文小論文を指導しています。大学入試では、どの予備校の小論文講座よりも優れた指導をしている自信がありますし、現にそういう実績を上げています。塾や予備校で、その学年の生徒だけ指導しているのとは厚みが違うのです。
かわいそうなのは、受験直前にこれまでと違うアドバイスを受けて動揺してしまう子供たちです。言葉の森では、たとえほかの塾や予備校から入ってきた子がいても、前の作文指導の悪口などは決して言いません。そんなことを言っても、子供にとっては何のプラスにもならないからです。そして、自然に言葉の森のやり方で作文が書けるように指導していきます。
だから、子供のそれまでの作文をけなす指導者は、それだけでもう二流です。保護者のみなさんは、そのことをよく頭に入れておくといいと思います。
今の時期は、新しいことを始めるのではなく、これまでやってきたことを固めることに全力を尽くす時期です。受験にはメンタルな面があります。親が不安がっていては、子供も力を出せません。お父さんやお母さんがどっしり構えて、これまでやってきたことをそのまま一直線に続けていくことが大事なのです。
親の役割は安定です。日中どんなことがあっても、夜寝る前は優しく子供にお休みを言ってあげることです。受験直前はどんなことがあっても、不安そうな顔を見せないことです。
■受験直前の今は、欠点を直す時期ではなく、これまでの勉強に確信を持って反復する時期
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受験直前になると、子供以上に親や先生が不安になります。不安になると、欠点を直すことに目が向きます。しかし、これがいちばんよくないのです。
まず第一に、欠点はそんなに簡単に直せるものではありません。
第二に、欠点を直す勉強に力を入れると、どんどん自信をなくしていきます。
欠点は捨てておけばいいのです。普段の心がけがよければ、苦手な分野は出てこないと思っていれば気が楽になります。そんな感じでいいのです。
そのかわり、これまで自分が勉強してきたやり方に確信を持ち、参考書や問題集を見なおして更に確実に自分のものにしていくことです。その際、過去問にもう一度目を通しておくといいでしょう。どういう分野が重点になっているかがわかると、これまでの勉強の見直しにも焦点が絞れます。
過去問に目を通す方法は、まず、まだやっていない過去問に、あらかじめ答えを全部書き込むことです。過去問は、自力でやろうとすると気持ちの負担が大きくなり、後回しになることが多いからです。
答えを全部書き込んだあと、その過去問の問題と答えを読書のようなつもりで読むのです。なるほど。この問題で、こういう答えになるのか。ふむふむ」という感じです。
受験勉強という一大イベントに臨む姿勢は、その後のその子の人生の大きなイベントに臨む姿勢のモデルのようなものになります。そういう大きい視野で勉強を見ておけば、受験勉強はその子にとって勉強以上の大きな収穫のあるものになっていきます。
■受験コースの生徒の最後の準備は
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受験コースの生徒のみなさんは、これまでに書いた作文をファイルしておきましょう。そして、自分なりによく書けたと思ったところにカラーペンで線を引いておきましょう。
これからの勉強は、その線を引いたところを毎日一度は目を通すことを中心にしていきます。時間があれば、同じテーマで、時間を測り、元の文章を見ずに同じような作文を書き上げる練習をしておきましょう。
試験会場には、これまでの作文のファイルを持っていきます。試験が始まるまで、線を引いたところを繰り返し見ておきましょう。
試験が開始されたら、テーマを見て、自分がこれまで書いた作文の中で使えそうな表現や意見があれば、それを原稿用紙の余白に小さくメモします。
作文は、これまでの自分の文章の蓄積をあてはめてくるようなつもりで書いてきましょう。あてはめるものがなければ、そのまま自分の実力を信頼して書いていきます。
■受験作文小論文コースの添削アドバイスをアップ
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受験作文小論文コースの生徒から、12月28日締切でファクスでお送りいただいた作品の添削アドバイスの動画をアップロードしました。
http://www.mori7.com/juken/ta.php
添削アドバイスは個人別ですので、ご自分のものしか見られません。
年末であわただしい時期でしたので、送り忘れた方は、1月に入ってからでも結構ですのでお送りください。
(ファクス:045-832-1466 24時間)
送っていただいたものは、全体によく書けている作品が多かったのですが、共通する弱点のようなものもありました。そのいくつかを列挙しますので、来年以降に受験する方は、参考にしてください。
1、時間内に字数いっぱいまで書くためには、消しゴムを使わないつもりで書くのがコツ
普段から消しゴムで消しては書き消しては書きという形で書いている人は、そういう書き方が癖になりますので、できるだけ消さずに最初から直さなくてもよい文を書くように心がけていってください。
2、スピードを上げて字数いっぱいまで書くには、感動のあるエピソードを
よく考えて書く生徒に多いのですが、意見と説明だけで文字を埋めている作品がいくつかありました。
意見と説明だけで長く書けるというのは、考える力があるからですが、しかし、それでは書きにくいテーマにぶつかったときに、なかなか素早く長く書くということができません。しかし、感動のない平凡な実例では、かえって密度の薄い文章になってしまいます。
自分のこれまでの経験の中から、個性、感動、挑戦などのあるエピソードを見つけて、いつでも使えるようにしていってください。
3、実例には裏付けとなるデータを
体験実例を書いているのに、その書き方に臨場感がなく、説明的に書いている人がかなりいました。
実例をリアルに書くためには、データをはっきりさせて書くことです。「数えきれないほどたくさん」と書くよりも、「毎日朝6時から3ヶ月間」などと書く方が説得力があります。
しかし、生活作文ではありませんから、実例は簡潔に密度濃く書くことが大事です。
4、会話は使い方によって効果的にもなるし密度が薄くもなる
小学校低中学年のときは、会話を入れることによって具体的に書く練習をしましたが、受験の作文小論文の場合は、会話は、味のある会話やその人の人柄が伝わる会話だけに限ります。どうでもいい会話を入れると、かえって文章の密度が薄くなってしまうからです。
一般に、受験作文では、会話を入れる場面はほとんどないのが普通です。
5、誤字は2箇所でボツ
誰でも誤字はあるので、受験作文で1箇所誤字があった場合は、まあ仕方ないかという目で見られると思います。
しかし、2箇所誤字があったら、そこでそれ以上はもう読んでもらえないと思っておくとよいと思います。それぐらい誤字の評価は厳しいのです。それは、誤字が少ないかどうかは、勉強を真面目にしていたかどうかと比例するからです。
ところが、小6や中3や高3の今の受験生の時期は真面目だったとしても、小学校4、5年生の時期は適当に勉強をしていたという人も多いのです(特に男の子)。そのため、高3生でとてもよくできる生徒なのに、意外にも易しいところで漢字ミスがあるという人がときどきいます。
漢字の書き取りは、簡単な勉強ですが、やはり完璧に正しい字が書けるようになるには1年間かかります。受験勉強に入る1年前から取り組んでおくといいと思います。
今の受験は、落とすための試験です。よいところを見てくれるのではなく、悪いところを見つけるための試験です。
将来は、今の受験とは正反対の、その人のよいところを見るための試験ができると思いますが、それはまだ少し先です。
ですから、今の受験作文では、できるだけ欠点のないものを書いておくことが大事で(それは字数や時間も含みます)、その上に余裕があれば光る表現を入れるというようにしていってください。
受験生のみなさんは、本番では自分のいちばんよい面が出るようにがんばってください。
【保護者の方へのご注意】
人の作文を見て、そのアドバイスをするのは実は簡単なのです。
難しいのは、そのアドバイスを聞いて実際に書く子供です。
ですから、アドバイスは、それをそのまま子供に伝えるのではなく、お父さんやお母さんが自分たちも一緒に考えて、親子合作でよりよい作品に仕上げるようにしてください。
そのときのいろいろな対話がまた子供たちの考える材料になると思います。
■受験コースの作文の勉強の仕方
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入試に作文の試験を課すところが増えてきました。
言葉の森でも、10月から受験コースに切り換えて勉強する人が多くなります。
受験の目的は合格することですから、先生の評価もよいところを見て褒めること中心から、悪いところを見て直すことも重視するように変わっていきます。
受験作文コースの取り組みで大事なことは三つあります。
第一は、自分らしい個性や感動のある実例を見つけていくことです。
受験コースのそのときどきの課題で、いい実例を見つけていると、それが試験の本番でも応用できるようになります。
実例は、子供が自分で考えるだけでなく、親が似た例を話してあげることも大事です。親の似た例にヒントを得て、子供が更によい例を考えつくということも多いからです。
第二は、深い感想や意見を書く練習をすることです。
作文の課題が、例えば「これまでの学校生活の思い出」のような身近なものであったとしても、身近な話をそのまま書いたのでは、受験用の作文とはなりません。
自分の書いた文章の中に、必ず大きい視点、深い見方、個人の実例を超えたより一般的な考え方というものが必要になってきます。
これは、小学6年生の課題で「一般化の主題」として勉強してきたものです。
ところが、この一般化した感想や意見は、子供にはなかなか見つけにくいものなのです。
それは、その子の日常生活の中で、そういう一般的な話を論じる必要がないために語彙が不足しているからです。
そこで出てくるのが、やはり両親です。
毎回の作文の課題に応じて親子で話をし、そこに親が大人としての大きい見方から話をする機会を増やしていきます。
例えば、「私の友達」というテーマで書く場合は、個々の友人の話を超えて、「友情というもの」について話をするということです。
一般化した、より抽象的な語彙を使えるようになるためには、親子の対話が最も役に立ち、また楽しく続けられるものなのです。(つづく)
■「受験直前まで過去問をやらないように」という塾
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受験勉強の鉄則は、早めに過去問をやることです。
ところが、「受験直前まで過去問はやらないように」という塾があるのです。
その理由は、受験直前に生徒にいろいろな学校の過去問をやらせて、合格しそうなところを受けさせるからです。
こういう勉強法は、最もロスの多い勉強法です。
大学入試を前にした高校生でも、ときどきこのような勉強の仕方をしている人がいます。
受験勉強なのに、どこでも受けることができるような全方位的な勉強をして、受験直前に自分の合格可能性を確かめるために過去問をやるという勉強の仕方です。
勉強には、実力をつけるための勉強と、勝負に勝つための勉強の二種類があります。
普段の勉強は、もちろん実力をつけるための勉強です。だから、全方位的な勉強をすることが大事で、試験に出ないようなところまで掘り下げて勉強することも大事なのです。
しかし、受験勉強の半年か1年間は、勝つための勉強に切り換えなければなりません。
勝つための勉強とは、相手の傾向を知り、自分の弱点を知ることによって、焦点を絞った範囲を集中して取り組む勉強です。
そのためには、過去問を早めにやることが欠かせないのです。
もちろん、塾からは、「それでは合格の可能性がわからない」と言われるかもしれません。
しかし、合格の可能性は、親や本人が、過去問をもとにして同じ傾向の問題で7割ぐらいの得点ができるかどうかを見積もることによって判断するものなのです。
日本には、「敵を知り己を知れば百戦危うからず」という言葉があります。
受験の場合、敵というのは、もちろん過去問です。ほかの受験生ではありません。
己というのは、過去問の得点力です。塾の成績順位や模試の得点ではありません。
こういう自分の判断に基づいた勉強をすることが、勉強以外の生活の中にも生きてくるのです。
大事なことは、勝負に勝つための勉強などは必要悪みたいなものだから、できるだけ能率的にやろうということです。
本当の勉強は、能率に関係なく、自分の好きなことを心ゆくまでやることだからです。
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