KotobanomoriNo.752
予定表のミスプリント 【誤】 3月20日(水)春分の日休み宿題【正】 3月21日(木)春分の日休み宿題 |
言葉の森新聞 |
2002年3月3週号
文責 中根克明(森川林)
暗唱の効果
私の読んでいるメールマガジン「Japan On the Globe」(http://come.to/jog)に、教育に関する興味深い記事が載っていました。
兵庫県のある町立小学校で、小4の国語の苦手な子に、担当の先生が10ページの物語の文章の音読を宿題として出したところ、何度も読んでいるうちにすべて暗唱してしまったということです。そのクラスではその後、クラス全員がその文章を暗唱できるようになりました。
そして、そのように学んだ50人のクラスの子供たちは、田舎の小学校ですからそのまま地元の公立中学、公立高校へと進みましたが、その後大学受験で、「神戸大医学部2名、大阪大学理学部、東北大学歯学部など、並みいる難関校に続々と合格していった」ということです。
メールマガジンの筆者は、基礎学力をつけることが生きる力をつけることではないかと結んでいます。
この基礎学力をつける教育とは反対に、中教審では、「生きる力をつけるためにゆとり教育を」という路線を提唱しました。現在の文部行政は、この方向で進んでいます。
しかし、基礎的な学力をつけず、勉強の時間を減らし、ゆとりの時間を増やした結果、子供たちの勉強嫌いはますます進んでいるようです。
同メールマガジンによると、国際教育到達度評価学会(IEA)での調査で、1995年から1999年にかけて、中学2年生で数学又は理科の勉強を3時間以上するという比率は27%から17%へと低下し、それに応じるかのように、「数学が好き」という生徒の比率が、53%から48%へと低下しています。国際平均値が72%ということですから、日本の中学生の数学嫌いは国際水準を大きく下回っています。
勉強をしなければ勉強は嫌いになり、勉強をすれば勉強が好きになる、ということが、ここから言えるようです。
このことは、勉強以外の読書やスポーツなどに当てはめても、実感として納得できます。言葉の森新聞でもよく書きますが、子供たちと読書の関係は、本が好きだから読むようになるのではなく、読むから本が好きになるという関係にあります。
ここから推測できることは、このままゆとり教育が進めば、ますます多くの子が勉強嫌いになるだろうということです。
再び同メールマガジンの記事によると、平成5年から8年にかけて、広島県では、入試で0点でも高校進学希望者は全員入学できるという「高校全入」政策を推し進めました。その結果、広島県の高校生の学力は急低下し、大学入試センターの成績は45位と全国最下位レベルとなりました。同時に、犯罪を犯す少年の比率が1000人当たり23.9人と全国1位になったそうです。
ほとんど漫画のように鮮やかに学力低下と非行度が対応しています。
この広島県と同じことが今全国で行なわれようとしています。国政レベルの教育の荒廃に今すぐ手が打てないとすれば、当面はそれぞれの家庭で子供の学力を守っていくほかはありません。
基礎学力をつけるコツは、それほど難しいものではありません。参考書も指導者も勉強時間も、現代よりずっと限られていた江戸時代に、日本は既に世界一の識字率を誇る教育を普及させていました。そのときの勉強の中心は、四書五経の素読でした。また、日常の遊びの中で、しりとり、カルタ、百人一首、折り紙などの教育的な文化が伝承されていました。
現代は江戸時代より、知識として学ぶ勉強の量は増えていますが、勉強の基本は変わりません。それは、精選された教材の徹底反復です。
暗唱という教育方法は、この基礎の反復という点できわめて効果の高いものだと思います。
言葉の森が、十数年前に長文の音読や短文の暗唱という方法を自習の仕方に取り入れてから、さまざまなところで暗唱の効果が唱えられるようになりました。
小学校における教科書音読の宿題、中学校における百人一首の暗唱、英語教室における音読のすすめ、最近では音読用の本も出版されるようになりました。
しかし、ここで問題が三つあります。
第一は、現在の親の世代は、子供に自信を持って暗唱教育を行なえないという面があるということです。掛け算の九九は自分たちが子供時代に勉強させられてきたので、子供にも自信を持って勉強させることができます。しかし、文章の暗唱となると、自分自身がそういうことをしていないので、子供になかなか自信を持って勉強させることができません。
第二は、暗唱のような勉強はすぐには効果が出ないということです。暗唱は、大脳で理解する勉強ではなく、どちらかと言えば運動脳で潜在意識を育てるような勉強ですから、効果が出てくるのは勉強を始めて半年以上経過してからです。ですから、こういう勉強は、すぐの効果などを考えない低学年から始めれば無理なく続けられますが、高学年になるとなかなか続けることができなくなります。
第三は、現代のようにさまざまな娯楽の機会がある変化に富んだ社会では、単純な素読を何年間も続けることは難しいということです。
暗唱の効果を現代に生かせるような勉強法を工夫するのが、これからの私たちの課題になると思います。
長文集が読みにくいが
長文集の行間が詰まって読みにくいという声をよく聞きます。この点は今後改善していく予定ですが、この行間問題には、次のような事情があります。
長文集は、アクセスというデータベースソフトのレポートとして作っています。
アクセスはマイクロソフト社の製品なので、日本語のような行間を空けるという発想がありません。
しかし最近、HTML文書では、行間を空けるという仕組みができるようになりましたので、将来は、アクセスではなくHTMLで長文集を作るようにしていく予定です。
長文集は、最初は行間が詰まっていて読みにくく感じますが、慣れてくると平気で読めるようになります。現に、私のうちの子も、小学生のときから、文句も言わずに、こういうのが当たり前だと思って読んでいます。
感想文が難しいが
新しく勉強を始めた小4の生徒で、作文は楽しく書いているが、感想文が難しいため、できたら1ランク下の教材に変更したいという声がありました。
これまで作文だけを書いていた生徒が初めて感想文の課題を書くと、だれでもしばらくは書きにくくなって苦労します。しかし、これまでの生徒の例を見ていると、感想文の勉強を続けるうちにだんだん慣れてできるようになってきます。教材のランクを変えることはできますが、できればそのまま続けて勉強していくといいと思います。
感想文の指導の要点は次のとおりです。ご家庭での指導の参考にしてください。
(1)できるだけ単純に話をする。
例えば、最初に「いちばん……だったのは……です」と書いて、次に、「私にも似た話があります。」と書いて、その次に、「お母さんに似た話を聞いて見ました。」と書いて、そのあとに「もし……だったら」と書いて、最後に「私はこの話を読んで……と思いました」と書いてね、という感じで説明します。「似た話はなかったら、書かなくてもいいよ」と言っておきます。高度な話をせずに、最初はできるだけ単純に形を整えるということが大事です。
(2)字数は少なくてもいいと言う。
上のような指導をして、似た話が全然ないときに子供たちががんばって書ける字数はよくできる子でも、学年の100倍ぐらいです。(小3なら300字)。ですから、「感想文は難しいから字数は○○字ぐらいでいいからね」と言っておきます。
(3)書けなくても勉強になると言う。
「感想文は、読んで考えることが勉強なのだから、たとえ何も書けなくても、考えたことだけで勉強になるんだからね」と言って安心してもらいます。(笑)
(4)評価でもほめる。
「字数はふだんの作文と比べるとすごく短くて、たとえも入らなかったけど、こういう難しいのをやると勉強になるんだよ。よくがんばったね。今度は、長文を読むときに、先に似た話を考えておくと書きやすいよ」という具合に、現状をほめつつ次回のアドバイスをします。
感想文は難しいので、書いた結果だけを見て、子供ががっかりしてしまうことが多いものですが、これを親や先生が優しくカバーしてあげることが大切です。
遊戯王
なら先生が担当している小4の男の子が、遊戯王大好きということで、「言葉の森の人で、好きな人いないかなあ」「他の学校の子は、どんなレアカードを持っているのかなあ」「聞いてみたいなあ」と訴えているそうです。
なら先生が、講師のメーリングリストで、「よろしければ、『自慢のレアカード』をお持ちのかた、自慢していただけないでしょうか?」と流したところ、つね先生から次のようなメールがありました。「うちの小1の子供が大好きですよ! ウルトラレア……メタルブラックドラゴン、ゲートガーディアン、レアカード……ファイアーウイングペガサス、血の代償、ノーマルカード……ブラックホール、が自慢だそうです」。
子供たちのやりとりは、ホームページの「みんなの広場」などに書いていただければいいのですが、まだインターネットに書き込みができない小学生の子も多いと思いますので、みんなに伝えたいことがありましたら、先生あてに送る作文に、メッセージを同封してください。みんなの清書を掲載しているプリントに一緒に載せるかたちで紹介していきます。ただし、掲載は一か月単位ですので、先生にメッセージを送ってから掲載されるまでに多少時間がかかることをご了承ください。
クラウン数
クラウン数について、「どうすればもらえますか?」という質問がありましたのでお答えします。
1学期3か月の勉強の結果を、自習、字数、内容、投票、作文、国語などと項目別に分類して、それぞれ上位から順に、金賞(10%)銀賞(10%)、銅賞(30%)という割合で賞状を出しています。また、新聞に作文が掲載された場合にも入選賞金賞ということで賞状を出しています。
この賞状がクラウン数に対応しています(金賞10クラウン、銀賞5クラウン、銅賞1クラウン)。これらのクラウン数の累計は山のたよりの右上に表示されています。このクラウン数が賞品と引き換えできるようになっています。毎学期の始めの山のたよりに、前学期の賞状を表示し、賞品引き換え用紙を同封します。
賞状は、3か月12週のうち3週〜8週の点数を集計したものです(ただし投票と自習は1週〜8週の集計)。ですから、勉強を始めたばかりの生徒には賞状が何も出ないことがあります。この点は今後改善していきたいと思います。
光る表現(幼長−小3)
2002年3月3週号●赳治さん
(いここ/幼長)の作文より(メグ先生/3.2週)きょう、かみをきってあそびました。ばねにしました。それでぼよんぼよんしてあそびました。【評】かみで作ったばねのようすをうまく表現しました。
●カムイさん
(いぬや/小1)の作文より(ポプリ先生/3.1週)ホグワーツじょうは、ハリーのいく学校です。ぼくは、たのしみにしています。でも、ぼくはこうおもっていました。(レゴ人をじゆうにうごかしてあそべたらいいなあ)と。評:ほんとだね。レゴ人をうごかせたらいいなあ。おもしろそう。
●よもぎさん
(いはや/小1)の作文より(ふじのみや先生/3.1週)(うめの)白い花がゆきみたいで ピンクの花がおかしみたいでした。 ☆うめの花の、やわらかくていいにおいがするようすを、じょうずにことばをえらんで、〈●たとえ〉にできました。
●綾子さん
(いみけ/小1)の作文より(メグ先生/3.2週)とべばとぶほどいたくなって、もうがまんできないと、すわってしまいました。とてもいたかったです。【評】くるしいようすがよくわかります。なわとびのれんしゅう、よくがんばったね。
●茉理枝さん
(いせう/小2)の作文より(森川林先生/2.3週)もしビデオにそのブリッジキックオーバーをとってまきもどしをしたら、さかだちしてからブリッジみたいに見えると思います。◆評:なるほど、まりえちゃんらしい想像(そうぞう)だね。今度やってみたら、おもしろいと思うよ。
●あみかさん
(いせわ/小2)の作文より(メグ先生/3.1週)わたしは弟といっしょに「パパありがとう。うれしかったよ。」と二人はずかしそうに言いました。【評】あみかちゃんの顔が目にうかぶようです。
●森のきのこさん
(いたれ/小2)の作文より(ゆり先生/2.3週)(公園に行って)一番たのしかったのは、一りん車です。まえまでは、手ばなしが、のれなかったけれど、十五びょうぐらいのでました。一りん車をこいでいるときは、まるで、ジェットコースターみたいでした。【評:一りん車を練習したことが、とてもじょうずに書けています。ジェットコースターに乗っているみたいにドキドキしたんだね。】
●ピロコさん
(いつち/小2)の作文より(メグ先生/3.1週)わたしはちょっとあわてて、しんこきゅうを二、三回してから、心の中で「できる、できる、できる。」を三回言ってからおよぎました。【評】一生けんめい、気持ちを落ち着かせようとしているようすがよくわかります。
●ゆきんこさん
(いとせ/小2)の作文より(きりこ先生/3.1週)見てみると赤いトマトジュースみたいないちごをうらごししたものがありました。<赤いトマトジュースと例えたところがいいね。>
●ミニリュウさん
(いにと/小2)の作文より(ぴのこ先生/3.1週)まっ茶ぢゃわんは、ぼくとお母さんがすきなみどり色でした。形も色も色々あって、土をねって作ってあるようなかんじがします。【評】手に持った感触はどうだったかな?てびねりのお茶わんはあたたかみや味わいがあっておもしろいよね。
●ひよこさん
(いひな/小2)の作文より(そら先生/1.1週)いよいよ私たちがしょうらいの夢についてはっぴょうする番だという時、手を挙げて言う発表するし方に急に変わったので、私はなんだかドキドキして恥ずかしくなって手を挙げられなくなってしまいました。頭の中は、「なにをぐずぐずしてるんだ。早く手を挙げようよ。」と思っていたのに、手を挙げられなかったのです。前の席のななこちゃんが、「あおいちゃん、手を挙げなよ。」と言ったので、私はますます勇気がヒュゥゥっとしぼんでしまって、言えなくなりました。結局言えませんでした。 私は、帰る時に、泣きたいのをがまんして、下を向いていたのに、とうとう泣いてしまいました。「どうして手を挙げなかったんだろう。なんて自分はバカなんだろう」と思っていたからです。悔しくって家でも泣いてしまいました。でも、しょうらいのゆめを言えなかった私の友達のももこちゃんは、どうしてだかぜんぜん悲しんだ様子ではありませんでした。 授業参観には、お母さんが弟の太郎が熱を出したので来られなくて、代わりにお父さんが会社をぬけだして来てくれました。それなのに、手を挙げられなかったので、せっかく来てくれたお父さんに悪いという気持ちでいっぱいでした。★頭のなかで考えていることが行動に出せないときのもどかしさが、私にも痛いほど伝わってくる。友達に背中を押された(すすめられた)ことで、かえって勇気がしぼんでしまった、というのもよくわかる。 「ますます勇気がヒュゥゥっとしぼんでしまって」、「どうしてだがぜんぜん悲しんだ様子ではありませんでした」などと、光る言葉がいっぱいつまっているよ。
●健一さん
(いへせ/小2)の作文より(スピカ先生/3.1週)11まい目は一番むずかしかったです。なぜかというと、160もんだからです。11まい目は、3回で合かくしました。すごくすごくむずかしかったです。でも、合かくできて、よかったです。お母さんが「がんばって。」と、はげましてくれたからかなあと思いました。 評:学校のかん字のテスト11まいに、みごとごうかくしたんだね。むずかしかったこと、がんばったこと、お母さんがはげましてくれたことが、とってもよくわかりました。うれしいきもちもよくつたわってきたよ。
●健陽さん
(いほす/小2)の作文より(ぱんだ先生/3.1週)あやとびを合かくしました。ぼくは、「やったあ。」ととび上がるぐらいうれしかったです。★評:さいしょはできなかったのに、友だちに教えてもらって、いっぱいれんしゅうしたんだよね。合かくできて、本当にうれしかったと思います。
●花菜さん
(いほふ/小2)の作文より(そら先生/3.1週)その時、わたしは、「ぞく。」っとしました。なぜかというとあってから、10か月ぐらいあっていないからです。★ひさしぶりに会ったからぞくっとした、というひょうげんはおもしろい。うれしくてぞくっとしたのか、おどろいてぞくっとしたのか、前に会ったときと変わっていたからぞくっとしたのか、きんちょうしてぞくっとしたのか、いったいどの「ぞくっ」なんだろう? 読む人がそうぞうできるから、そこがまたおもしろいところだね。
●ミニパンダさん
(あもろ/小3)の作文より(ポプリ先生/3.1週)バイオリンをもってみるとまるでわたしがえんそうをしているような気もちになりました。でもバイオリンは思っているよりむずかしくて、レッスン中いやになって、ねころんでしまいました。・・・なかでもむずかしいのが、テープとりと、テープあわせです。テープあわせをする時、なぜか、足ががくがくしてしまいました。きんちょうして、手がおいつけなくなってゆみがおいつけなくなってしまいました。評:気持ちをしっかり書けたね。本当にがんばりやさんだね。感心しました。
●崇さん
(いえの/小3)の作文より(クマのプーさん先生/2.4週)大人のクィレルが、小人のハリー・ポッターの首をつかむとすぐに、ハリーが、クィレルの手首をつかんだので、まるで、岩がくずれていくように、ボロボロになってたおれてしまいました。【評】どんなふうにたおれていったかが、たとえも使って動画を見るように表現できました。
●泰児さん
(いおと/小3)の作文より(けいこ先生/3.1週)次のしあいは大人対子どもでした。ぼくは、心の中で(ぜったい負けないぞー)と思っていったらナナナナなんとお母さんの「スーパオンボロへなちょこダメダメキック」で一点はいってしまいました。 評:お母さんもサッカーをやっているのね。強いシュートだけが決まるわけではないのだ! 名前のつけ方がとてもおもしろい。
●ムリョウさん
(いかゆ/小3)の作文より(さかな先生/3.1週)ぼくは、きんちょうしていました。まるで、南きょくのペンギンのようになってしまいました。★評:きんちょうしてカチンコチンになった気分、よくわかるよ。ユーモラスなたとえだね。
●マーヤさん
(いちこ/小3)の作文より(さかな先生/3.1週)うまれた時には、かんごふさんが「わぁ大きい。」つぎにおいしゃさんが、「わぁ大きい」と、言いました。それもそのはず。うまれた時に、三千八百九十gもありました。★評:病院でもおどろかれたくらい大きな赤ちゃん。かんごふさんとおいしゃさんの言葉が同じなのも、おもしろいね。読んでいて何だかあたたかい気持ちになる場面だね。
●彩那さん
(いふし/小3)の作文より(ひまわり先生/2.3週)まるで、うそのようにきれいに決まりました。「やったー。ケーキ二個ゲット!」その時、お母さんをみたら「ケーキとられた。悲しい。二つも。」と、手で合図を送ってきました。◆評 おうえんしてくれているお母さん、「悲しい」と言いつつも、だれよりも一番よろこんでくれているんだよね。彩那ちゃんには、それがよーく伝わっています!
●クラッシュさん
(いふて/小3)の作文より(ひまわり先生/3.1週)ぼくが、野頭資料館で、一番気に入ったものは、灯ろうでした。なぜかというと、それはとてもしずかで、あたたかい感じがするからです。 【評】昔のものの良さを「しずかであたたかい感じ」と、とても上手に表現できたね。
光る表現(小4−小5)
2002年3月3週号●大豆さん
(あのわ/小4)の作文より(けいこ先生/3.1週)ザワザワと、人の話し声が聞こえる。スタートを待っている人達だ。「バン。」スタートの音が聞こえた。一気に人がいなくなる。 評:短い文をたたみかけるようにしたことで、リズムのいい作文になったね。
●アーサーさん
(あひわ/小4)の作文より(みち先生/1.1週)ボールがお父さんの真正面に飛んできました。さすがのお父さんもこれにはかないません。僕はお父さんの弱点は真正面だと思い、真正面ばっかり打ちました。さて、結果は...ナイスビンゴ。ボールはお父さんの真正面に飛んでいくと打たれることなくコートの外に転がっていきました。この技で僕は30分ちょっとでお父さんに勝ちました。お父さんは顔が真っ赤になってまるでいのししのようでした。これで終わればよかったのですが、負けたお母さんとお父さんがグルになってやることになりました。つまり2対1でやりました。さすがに僕でもこてんぱんにやられてしまいました。そのころには空が青空になっていました。≪評≫お父さんと真正面からパワー全開で、冷静に見ているのはさすがです。テニススクールでつけた力がためされたね。そのときの気持ちを青空に重ね合わせたのは、うま〜いと感心しました。
●直樹さん
(あろら/小4)の作文より(メグ先生/3.1週)やり方は、倒立=逆立ちをしてから前転をします。前転をしたとき、手と足を曲げてまわります。まるで、やわらかい紙ねんどのようです。【評】紙ねんどみたいに体がやわらかかったらいいよね。
●まいポンさん
(いこに/小4)の作文より(ふじのみや先生/3.1週)ときどき竹ぐしをさして、「あ、これ、できとる。じゃ、こっちによっといてね、できてないのが先」と、じゃがいもにしじしています。 【評】おなべの中のじゃがいもが、おとなしく言うことを聞いているようですね。
●ノンキィさん
(いちえ/小4)の作文より(ポプリ先生/3.1週)・・・そういう不安は友達の「絶対おちないよ。」ということばででふっとんだ。それから私は自身とやる気がでてきて、いままで以上に練習した。連続ができたのは、そのことばがささえになってくれたからかもしれない。なので、そのことばをいってくれた友達と、こわくてもなお、練習した私にはく手!評:わたしもはく手させてもらうね。がんばりました。
●にゃむさん
(いひむ/小4)の作文より(ゆり先生/3.1週)ひなまつり!と思い出して、がばっとおきた。ちょうど九時半。いきおいよくかいだんを飛び下りた。【評:たのしいひなまつりを予感させる、いい書き出しですね。】
●ゲームさん
(いまう/小4)の作文より(そら先生/3.1週)僕の友達のとうやま君は、2001年3月に、沖縄に行ってしまいました。いまもまだ手紙のやりとりをしています。 僕は一瞬棒のようになって、急いで住所などを聞きました。★「一瞬棒のようになって」という表現がすばらしい。ショックとおどろきのあまりに何も言えなくなったゲーム君の様子を、すばり一言でうまく表現したね。
●れもんさん
(ふれ/小4)の作文より(さかな先生/3.1週)でも、最後にテストをするとなると、他の人がテストを受けているとき、(受かるかな。)(足のばしてできるかな。)など、色々な思いが頭をよぎって、だんだん緊張してきました。★評:じょじょに緊張感が高まっていく様子を、うまく書き表したね。
●一休さんさん
(わら/小4)の作文より(森川林先生/3.1週)(落語を)みんなに発表するときに高座の上で正座を長時間できるか、失敗したときにどうするか心配です。ぼくの頭の中が散らかったおもちゃのように大パニックになっています。◆評:わかるわかる。でも、このあと無事に最後までみんなの前で発表できてよかったね。
●友葵さん
(あしも/小5)の作文より(ゆり先生/3.1週)前、家庭科で昔のおやつについて、勉強した。宿題で『昔はおやつは何を食べたか聞いたりして、調べてくる事』というのが出た。私は、おばさんに聞くことにした。は、「さつまいものふかしたりした物とか、ポン菓子とか、蒸しパンとかかな?」と言った。私は、「わっ、炭水化物ばっかり!やっぱり昔は、おやつがあまりないから、お腹いっぱいになるものが、多かったんだな。」と思った。【評:おもしろい勉強だね。”蒸しパン”を作ることになった理由が分かる、良い書き出しです。】
●裕生さん
(あてい/小5)の作文より(ふじのみや先生/2.2週)水族館で見たそのときは、「ドクッ」としんぞうが体全体になりひびいた。 【評】驚きを、いんしょう的な言葉で表現できたね。
●寛和さん
(あめね/小5)の作文より(メグ先生/3.1週)特にがんばったのが後ろあやとびでした。汗を出し、涙を流しました。ぼくは、「こんなの続けて意味があるのかな。」とつぶやき始めました。しかし、それでもがんばりました。【評】くじけそうになりながらもがんばり続けたのね。
●ケロちゃんさん
(ありう/小5)の作文より(ポプリ先生/3.1週)今から焼いたら、こげこげになってしまうので、このまま食べることにした。できあがったお好み焼きはとても大きくて、まるで掛け時計のようだった。(中略)初めて食べた、ジャンボお好み焼き。今まで何回も作ったことはあったが、いちばんおいしかったし、白玉も、おいしいと感じる事ができた。それは、みんなで協力した成果だと思う。1学期の調理実習の時に作ったゆで卵も、きらいだったのに、とてもおいしく感じられた。これからもお友達と協力をして、いままでで、一番いいものにできるようにがんばりたいと思った。評:以前の調理実習のことまで思い出して理解したことをきちんと書けました。
●有貴さん
(いおし/小5)の作文より(ふじのみや先生/3.1週)僕はこの日を指折り数えて待っていた…(略)…うまくできて嬉しかった。食べてみると我ながら格別な味だった。【評】最初の気持ちと、できごとの気持ちが、言葉でつながっているね。 達成感があらわれています。
●りんごさん
(いしも/小5)の作文より(ふじのみや先生/3.1週)その人が、「こんなん、家で作ったことある。かんたんやー。」と、言った。下手でもなかったが、口ほどでもなかった。 【評】語呂がいいね。おもしろいオチがつきました。
●咲恵さん
(いなふ/小5)の作文より(ぴのこ先生/2.4週)私は、日本と言う国は良い国だと思っているが、広い世界に出てみたいと言う気持ちもある。今の私は、「井の中の蛙 大海を知らず。」かと思う。いつか世界に出ていろいろ体験したいと思う。【評】ことわざを使って上手にまとめられたね!
●加恵さん
(られ/小5)の作文より(メグ先生/3.1週)調理実習の日……、朝からみんなおおはしゃぎ。中休みから作ることになっていたので、中休みになるとみんなで、待っていました、というような感じでとびだしてでていった。「では、始めましょう。気をつけてやってくださいね。」「スプーン、持ってきて。」「お玉持ってきて。」「鍋にお湯をわかして。」色々な声が交じり合う。【評】待ちに待った調理実習。みんなが生き生きと働いているようすがよくわかります。
光る表現(小6−社)
2002年3月3週号●クリリンさん
(あかの/小6)の作文より(えんぴつ先生/3.2週)道徳的に説明されるより、自然に「正直者は救われる」などということを受け入れることができるのではと考えました。また、小さいころ昔話を聞かせてもらえなかった子どもは価値観人生観を知らずに大きくなってしまいます。だから、「三つ子の魂百まで」というよう教育のためにも昔話というのは重要であるのだなと感じました。【評】:ほんとにね。押しつけは、相手の心にとどかないことが多いよね。「三つ子の魂百まで」のことわざを引用して、書いてくれたところは、こどもを放任しているお母さんに、ぜひとどけ〜!
●おこじょさん
(あめお/小6)の作文より(メグ先生/3.1週)ここで小学校生活を送っている後輩、またはこれから小学校生活を始めようとしている人たちに言いたいのは毎日を大切に過ごすこと。今日出来なかったから明日にしよう、というのはやめた方がいい。卒業まで、いかに時間を多く取れるか、有効に使えるか、どれだけ時間を節約できるか、どれだけ多くのことをやれるかで、卒業したときの小学校生活の満足度も違うはずだ。【評】卒業を目前にした6年生から後輩への言葉。振り返ってみればあっという間の6年間。一日の重さを実感せずにはいられないね。
●スヌーピーさん
(いうわ/小6)の作文より(ゆり先生/3.1週)だから私は、「おちないように」ということと、「下の人が痛くない位置に乗ること」ということ、「バランスをちゃんととること」の3つを絶対に守るようにした。「花」という演技は1人が倒れてしまうと手をつないでいるので、みんなを巻き込んでしまうから特に「バランスをちゃんととること」を頑張った。けれども、それに気をつけすぎても上を向いたり下を向いたりするのを少ししかできなくなる。だから、私がやる演技の中では一番難しかった。(中略)よく、みんなと協力し合ってと簡単に言うが、協力するということは難しいことなのだ。【評:運動会での組み立て体操でがんばったことを、とても詳しく書けました。また、それを受けての最後のまとめも上手い!】
●スヌーピーさん
(いうわ/小6)の作文より(ゆり先生/3.2週)昔話は、私が小さい頃に母がよく読んでくれていた。桃太郎やうらしま太郎、一寸法師やかぐや姫は毎日のように読んでもらっていた。母は、盛り上がるところは声をだんだん大きくしたり、「うわー、こんなんなっちゃってんて!大変やな!」などと、一緒に驚いたりしてくれていた。【評:声を出して読むことのいいところだね。】
●のんのんさん
(いちの/小6)の作文より(すず先生/3.1週)ここまで言えばわかるだろうが、私は家庭科室に入り持ち物をチェックしたときに、りんごを忘れてしまったことに気がついた。りんご、つまりアップル。アップルパイのアップルを忘れてしまったのだ。「どうしよう、どうしよう。」とあせっていたら、「野口さん、野口さん。」とだれかに声をかけられた。ふりかえると先生がビニール袋を持って立っていた。「野口さんのお母さんが、これ。」と言って、ビニール袋を私にわたした。中にはりんごが一つ入っていた。 アップルパイは、本当にとてもおいしくできた。私はアップルパイがきらいだったはずなのに、本当においしかった。「これも、お母さんがりんごをもってきてくれたおかげかな。」と私は思った。評:アップルパイを食べるたびに、この出来事を思い出しそうね。それから、お母さんのありがたみもね。
●黎さん
(いてし/小6)の作文より(ポプリ先生/3.1週)私は古代の世界ではない世界にひたりきった。映画の世界だ。私の好きな映画には、商店街を舞台にしたものなどが多い。映画監督・主役・脚本・を務めている、ジャッキーチェンの映画である。映画の中に出てくる商店街のふんいきを想像しながら。歩いていた。映画の世界や古代の世界にひたることは、人にとって、とても素晴らしいものだと思う。そういう世界にひたることができれば、精神上では、心の癒しになると私は考える。評:香港旅行ではきっと精神的に癒されたのでしょうね。自分ならではの意見、感心します。
●トノチュウさん
(いなさ/小6)の作文より(みのり先生/3.1週)一瞬、家庭科室にどよめきが起こったが、それっきり、誰も何も言わない。おそらく全員が口をあんぐりと開けて鳩が豆鉄砲をくらったような表情をしていたに違いない。しばらくして我にかえったみんなは口々にさけんだ。(評)家庭科室の雰囲気がよくわかるよ。一瞬のどよめきの後の沈黙。何となく想像できておもしろい。
●健介さん
(いはち/小6)の作文より(クマのプーさん先生/3.1週)僕はこの体験でがんばり続ければ、いつかは実ることを知った。【評】いつかは実る、という表現がとても印象的でした。ただ、いい結果が出るという次元を越えて、もっと充実した満足感まで表せていると思います。
●玄さん
(いひす/小6)の作文より(ひまわり先生/3.1週)例えば、テクニックのうまいサッカー選手を見て、「うまい」ではなく、「おいしい」などと言ったら注目の的である。 【評】これは「うまい」と「おいしい」の違いを決定づける、分かりやすい例だね。それに、サッカー選手のあせった顔の絵がとてもすばらしいです!みんなに紹介できないのが残念!!
●ミュウさん
(あおゆ/中1)の作文より(ゆり先生/2.1週)人間というものは、とても難しい生き物だとおもう。その人間(子)を育てる親は、とても大変だ。親は、愛情と、厳しさを、同じくらいにあたえてやらないといけないのである。【評:長文の内容を受けて、自分の言葉でうまくまとめ直せていますね。】
●潤之介さん
(かな/中2)の作文より(メグ先生/2.3週)自分の信じた道を進むやり方と、他人が言ったことを認めながら道を進むやり方は、一見違っているように見えるが、問題は道を進む方法ではない。問題は、いかにして自分の目指していたものに到着できるかである。【評】一番大切なことは、手段ではなく、目標を達成することだね。
●YESさん
(せし/高1)の作文より(メグ先生/3.1週)自分から話し掛けることによって相手にどのように思われるかは話し掛けた相手にもよりますが、きっかけがないことにはその相手に関われないのですから自分から積極的に話すことが大切だと思います。【評】自分から心を開かなければ世界は広がらないものね。
●モチさん
(えや/高2)の作文より(メグ先生/3.2週)世の中に完璧なものなど存在しない。だからこそ、すべてを認められることはできない。何か一つ認められることがあれば良いのだ。私はそういう人間を目指している。【評】たとえ一つでも、自分の良い面を誇りに思い、伸ばしていくことができるといいね。
●○○○○さん
(あう/社)の作文より(森川林先生/3.1週)4回連続でフォアボールを出すこと自体は全くルール違反ではない。しかし、これが「正々堂々と勝負していない」ということから批判されると言う点で、我々も自覚していないところに何らかの共通コードがあることの裏づけになっている。根底を神ではなく「人間」にベースをおいたこの宗教観が穏やかな無宗教を成り立たせる糸口になるような気がする。◆評:宗教というテーマに、フォアボールのような身近な例を引用して論じたところがいいね。
●香奈子さん
(いし/社)の作文より(森川林先生/2.2週)言葉はいつも前向きなほうがいい。人は誰かに相談するとき、答えは相談せずとも決まっているのだ。だから、相談された人は背中を押してあげるだけの言葉をプレゼントしてあげる。それが友情なのではないだろうか。◆評:「背中を押す」「プレゼント」などがたとえになっている。いい意見だね。
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