第8週の長文の要約のヒント
第8週は、清書になるので、長文の感想文は書きません。しかし、自分で要約の練習をしてみたいという人は、このヒントを参考にしてください。
「ガッツがある」
(1)ガッツや根性というむき出しの闘志は、好きになれない
(2)人間にも自動車のハンドルにも「遊び」が必要だ
(3)今の教育では、子供たちは無理矢理知識を詰め込まれている
(4)人間に本来備わっている好奇心が働き出せば、だれでも自然に勉強したくなる
「人間の生涯は」
(1)人間は、生涯学ぶ動物である。
(2)犬や猫も学ぶが、早い時期に学習をやめてしまう
(3)学ぶエネルギーは、知ることの喜びである。
第8週は清書です
第8週は、清書です。担当の先生のアドバイスを参考にしながら、返却された作文の中から自分でいちばんよいと思うものを選んで、水色の罫線(けいせん)の原稿用紙(以下、清書用紙と呼ぶ)に清書してください。清書の仕方は、課題集の中の「学習の手引」に書いてありますが、大事なことは、原稿用紙の一枚めの左上に小さく自分の生徒コードを書いておくことと、名前を載せてほしくない人は、表には名前を書かずに裏に書いてよいということです。また、清書用紙の空いているところには、できるだけ絵などを書いて楽しい清書にしてください。
この清書は、全員の分を三月中に発行する「広場」に掲載し、そのあと新聞社に送ります。
今回、返却した作品は、1月にみなさんが書かれたものです。返却された作品の中に、清書するのにふさわしいものがない場合は、直接新しい作文を清書用紙に書いても結構です。
国語力は生活の中から
国語の力の本質は、難しい文章を読み取る力です。高校生の国語の学習は、論説文を読み感想文を何度も書くことで確実に力がつきますが、小学生までの国語力は、勉強とは別に生活習慣から変えていかなければならないというところに特徴があります。
よく、塾などで国語の勉強をしているが、なかなか成績が上がらないという声を聞きます。英語や数学の勉強は、塾で勉強すれば、その勉強に応じて成績が上がりますが、国語の場合はそうではありません。それは、国語の力が(特に小学生のころは)、生活の中での習慣と深く結びついているからです。
国語の苦手な生徒の生活習慣に共通して見られることは、ひとことで言えば、学年に応じた難しい内容の本を読む機会が少なく、軽い小説や、字の少ない本や、学習漫画や、漫画などを読む時間が長く、また、テレビを見ている時間が比較的長いことです。
本を読むということは、勉強として取り組むものではなく、生活の中に自然に組み込まれているものですから、ちょっと空いている時間に退屈だから何かしようかというときに、テレビのスイッチをつける子と、手もとにある漫画に手を出す子と、手もとにある普通の本に手を出す子とでは、数年の間に大きな差がついてきます。
国語力を上げるポイント
こういう生活習慣は、無意識のうちに形成されているものですから、なかなか変えることができません。このため、国語の成績は上げにくいと思われているのです。
国語力を上げるポイントは、ですから、きわめて単純です。生活の中で、学年に応じた難しい本を読む時間を必ず作っていくということです。そして、それと同時に、テレビを見たり、漫画を見たり、易しい本を読んだりする時間をできるだけ少なくするように心がけていくことです。
しかし、この生活習慣を変えるということは、実は、口で言うほど簡単なことではありません。これまでの習慣を変えて、新しい習慣を身につけるということですから、子供自身の努力だけでは決してできません。両親の日常的な援助が必要です。「毎日、決まった時間に勉強をし、勉強の最後には必ずある程度の難しさの本を読む」というところからまず実行していくとよいと思います。
高学年になって国語の成績が下がる場合
小学校のころは国語の成績はいいほうだったのに、中学生や高校生になったら国語の成績が下がりはじめたという生徒がいます。
これも、原因は同じです。国語の勉強自体に問題があるのではなく、普段の生活の中で、学年に応じた難しい本を読む機会が少なく、易しい小説などを読む時間が多くなっていることがいちばんの原因です。高校生の場合は、小説などを読む時間が長くなると、どうしても国語の読解力が低下します。読書は楽しみのために読むものですから、何を読んでもいいのですが、易しい本を読んだあとはその倍ぐらい難しい本を読んで頭を鍛え直しておくことが必要です。
食生活などでも、現代人は昔の人たちに比べて柔らかいものを食べる機会が増えたので、歯や顎(あご)が弱くなっていると言われています。また、重いものを持ったり、長い距離を歩いたりしなくなれば、それに応じて当然、足や腰が弱くなります。同じことが思考力や読解力についても言えるのですが、このことを強調する人はほとんどいません。言葉の森のみなさんは、この文章を読んで、これからも、意識的に難しい文章を読むように心がけていってください。
ホームページをごらんください
言葉の森では、インターネットのホームページに、生徒のみなさんの作文やプロフィールをペンネームで載せています。これは、今後、インターネットが普及するにつれて、生徒どうしが作文を通して交流することができるようにしていくためです。
勉強は、試験の点数を上げるためだけに行なうものではありません。人間が勉強するのは、そこに、出会いや触れ合いや向上や創造の喜びがあるからです。作文は、ほかの勉強よりも更にそういう要素が多い勉強です。そのために、ほかの勉強に比べて苦しいことも多く、また嬉しいことも多いのだと思います。
これまでの、紙や電波を媒体とする情報環境では、マスコミとミニコミは、はっきり分かれていました。大勢の人をまとめて相手にできるのがマスコミで、少数の人しか相手にできないのがミニコミでした。しかし、インターネットは、このマスコミをミニコミの垣根を根本的に変えつつあります。つまり、相互に共通の趣味や関心を持つ人どうしが、世界的な規模で、時間や距離の制限なく交流できるという条件ができつつあるということです。
今はまだ、インターネットに接続している人が少ないので、ホームページもあまり活用されているとは言えませんが、今後の普及度は、半年で2倍程度のスピードで進んでいくことが予想されるので、これから、インターネットを活用した、よりおもしろい勉強ができるようになると思います。(Yahoo!JAPANの昨年9月のアクセス数は1日百万件で、今年2月ではそれが1日二百万件にまで増えています。日本ではまだインターネットに接続している人の大半が20〜30代の男性(特に大学生)ですが、米国では、今急速に40代以上の女性の比率が上がっています。つまり、インターネットは特殊なメディアではなく、次第に日常的なメディアになりつつあるということです)