1997年1〜3月 第10週号 通算第515号 言葉の森 

言葉の森新聞

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  自宅で作文を勉強するコツ(その2)

  書く前の注意は必ずしましょう

先生の電話説明では、生徒に、「この間の作文は、ここがよくて、ここが悪かったから、今日は、ここに注意して書こう」というアドバイスをするようにしています。そういうアドバイスが特にないときは、課題集の表紙にある「●印の項目」が事前の注意になります。項目どおり全部やることがまだ実力的に負担の大きい場合は、その中のひとつだけでもできるようにしていきましょう。

たとえば、「今、君がいちばんがんばるところは字数だから、今日は600字までは必ず書こうね。長く書くコツは、そのときの会話をできるだけ思い出すようにして書くことだよ(つまり、場面の描写を作文の中に取り入れるということです)」などという注意を最初にします。

これが、逆であってはなりません。たとえば、

「さあ、作文を書きなさい。なんでも自由に書いていいからね」

そして、作文が出されたあとに、

「なあに、これ。もっと長く書かなきゃだめでしょ」

もう一つ、陥りやすい間違い指導の例は、指導したことと別のことを評価することです。たとえば、

「今日は、字数を600字までがんばろうね」

そして、作文が出されたあとに、

「うーん、中心が決まっていないなあ」

  作文を書くには、予想以上に大きなエネルギーが必要

「ほら、さっさと作文ぐらい書いちゃいなさい」

とおとなが簡単に言うほど、作文は簡単には書けません。高校生以上の人は、よく実感できると思いますが、作文を書くことは、英語・数学・理科・社会のどの勉強よりも大きな精神的エネルギーを必要とします。「ようし、書くぞう!」という一種の気合が入らないと、作文を書き出すことはできません。

ときどき、叱られて、めそめそ泣きながら作文を書かされる子もいるようです。

「こんなこともできなきゃだめでしょ。そんな嫌なら、もうやめなさい。ほら、泣いてないで、楽しい作文をがんばって書きなさい」

実話です。

  自習で実力をつける

実力をつけるための勉強の中身は、毎日の自習です。

週一回作文の勉強をしていれば、確かに、書くスピードが上がり、構成力がつき、楽に長く書けるようになってきます。しかし、それは、既に自分が持っている思考力、表現力、題材力の範囲での話です。思考力、表現力、題材力そのものを向上させるためには、読む学習が欠かせません。そして、もちろん豊かな体験も。

毎日の自習で実力をつけながら、週一回の作文で、その実力を定着させていくという関係で、勉強を進めていきましょう。

  貸出図書の返却は3月15日までに

現在、貸出をしている図書の返却期限は、だいたいの人が3月10日までになっていると思います。

この3月10日返却期限の貸出図書は、必ず3月15日までに返却してください。3月15日までに返却の終了した人だけに、4月からの図書貸出を行ないます

また、図書を返却したはずなのに、または、家にそれらしい図書がないのに、「山のたより」に図書貸出の記録が載っているという場合は、教室までご連絡ください。自習用紙の「生徒から先生へ」の欄に書いてくだされば結構です。

  10週目は作文の期末テストです

第5週目に作文の中間テストを行ないました。この5週目の点数は、一律に同じ基準で採点しましたので、5週目の評価で点数が低かった項目は、これから力を入れていく分野になります。

10週目は、小学5年生以上の生徒は、感想文課題になるので、かなり難しいと思いますが、現在勉強している●印の項目がひととおりできるよう書いていってください。

4月からの進級は、この10週目と5週目のテストと、これまでの作文の合計点・平均点を集計して決めます。

  10週目の感想文のヒント

「先日、日本産のトキの」を読んで(8行目のイリオモテイリオモテヤマネコは、イリオモテヤマネコです

要約

  1. 第二、第三のトキを生む自然破壊が日本全国で進んでいる
  2. 日本の自然保護の制度は、まだ十分に機能を果たしていない
  3. しかし、ロサンゼルスで捕獲を禁止されているカマキリを東京で飼育できるのは幸せだ

似た例

 本で読んだ知識などから、トキの例やリョコウバトの例やコアラやパンダの例などを書いていくと、長くくわしい似た話が書けます。このほかに、自分の身近な自然の体験を書いてもいいでしょう。この長文にあるように、カマキリの卵を見つけたという経験のある人も多いでしょう。

感想

 意見文の場合は、「自然保護の大切さ」。説明文の場合は「自然保護についてわかったこと」「自然とは……」と書いていくとよいでしょう。意見文の場合の理由は、「人間も自然の一部だから」「地球に住む同じ仲間だから」「人間が破壊したのだから人間が守らなくてはならないから」などと考えられるでしょう。

名言・ことわざ

「一寸の虫にも五分の魂」「23、雑草とはまだその美点が……」「41、大切なのは健康らしい外見ではなく……」など。

「見テ 知リソ」を読んで

要約

  1. 知識が頭の中にあると、素直に見ることが困難になってくる
  2. 知識をうる必要はあるが、知識のために柔軟な感覚を失ってはならない
  3. 作品と接するのは、たったひとりの自分である
  4. 自分の感性を信じつつ、知識や他人の意見にも耳を傾けねばならない

似た例

先入観があると、色眼鏡でつい見てしまうという経験はだれにでもあるでしょう。

 逆に、知識があると、表面的なことばかりでなく、そのものごとの背景や本質がよくわかるという例もあると思います。例えば、サッカーでもバスケットでも、ルールの知識がなければ、観戦していてもおもしろくないでしょう。

意見

「知識にしばられないことの大切さ」で書いていきましょう。

名言・ことわざ

 「17、経験は最良の……」「18、行動するためには……」「51、読書とは……」など。