1997年7-9月 第6・7週号 通算第534号

言葉の森新聞

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  11日(月)〜16日(土)は夏休み

予定表に書いてあるとおり、8月11日(月)から8月16日(土)まで教室は夏休みになります。この週は、宿題という扱いになりますので、先生からの電話はありませんが、自宅でその週の課題を自分で書いて提出するようにしてください。また、電話の説明を聞かないとよくわからないという方は、次の週以降に教室に電話をして聞いてくださっても結構です。

  第6週の課題の説明

6週「私の家」

 私の家の前の道は土の道だった。エノコログサの話題で最初仲間意識を持ったとなりの家のおばあちゃんは、草むしりでスミレを抜いてしまった。数年たって道路は舗装され雑草は姿を消した。人間はハイキングなどでは「自然がいい」と言うが自分の庭に出てきた雑草には冷たい。

 似た話は、学校や町内会でも草むしりなど。

 感想は、雑草のよさ。または、自分に都合のよい自然だけを守るのではなく、自然そのものを大事にすることの大切さなど。反対理解は、人間にとって住みよい清潔な環境を作ることは大切だが。また、この長文の後半をもとにして、「雑草も言葉も、見方によって変わる」という感想で、「92、長所は短所」などのことわざを使うこともできる。

 ことわざは、「135、やはり野におけ……」「71、過ぎたるは……(きれいにしすぎることは)」「88、蓼食う虫も……(雑草にもそれぞれのよさが)」など。

6週「文化」

 コード(CODE)は「法典、慣例、符号」などの意味でこの場合は「法典」というところか。交換価値とは、「商品の金額に換算できる面」というぐらいの意味。

 私たちの支配者は過去の時代のように名前を持った権力者ではない。私たちの欲望は、今の時代の価値観に左右されている。大自然の中でも、その価値観から逃れることはできない。

 似た話は、「もっと○○になりたい(やせたい、かっこよくなりたい、成績がよくなりたい、いい家に住みたいなど)」が、今の時代の価値観の反映であるというところで。美人という価値観でも、源氏物語に出てくる美人の顔と、浮世絵に出てくる美人の顔と、現代の美人の顔とではまったく異なる。

 意見は、「今の時代の価値観に流されず自分の価値観を大切にしよう」または、「自分の持っている価値観が時代や文化に影響されていることを自覚しよう」ぐらいで。反対理解は、「その時代の価値観に合わせていきることも大切だが」。

 名言は、「62、人はその制服のとおりの……」「29、自分が考えるとおりに……」「8、英雄が歴史を作るのではなく……(人間は時代によって作られる)」「69、未来にはひとりでにできる未来と……」など。

  第7週の課題の説明

7週「ヨーロッパ」

 ヨーロッパのリンゴは大衆的な果物だが日本では高級化の道を進んできた。リンゴの袋かけは当初シンクイムシの被害防止が目的だったが、農薬などで別の駆除方法ができた今でもリンゴの色づけのために用いられているところがある。味よりも見た目を優先する日本人の美意識には軌道修正が必要だ。

 似た話は、果物屋さんなどでの豪華なリンゴや果物の話。本屋さんや文房具やさんなどでの買い物での過剰な包装紙なども。「中身と見た目」の話はお母さんなどと相談するといい話が見つかりそう。

 感想は、外見よりも中身。反対理解は、外見も大事。または、日本人の過剰な美意識には相手に対する思いやりや気遣いがあるとも考えられる。

 ことわざは、「71、過ぎたるは……(外見にこだわりすぎると)」「114、花よりだんご(見た目よりも実質)」「112、能ある鷹は……」「127、馬子にも……」など。

7週「私が本当に日本を」

 上野の博物館で縄文文化に触れて衝撃を受けた。現代の日本は欧米文化にばかり目をむけているが、欧米文化そのものが行き詰まりを自覚しつつある。現代の日本文化と縄文を基点とする日本文化の両方のきわどいバランスを取りながら進んでいきたい。

 「縄文文化のよさを見直そう」という芸術・文化の話で意見を書くことは難しいので、筆者の生き方に関連させて意見を書くのがコツ。「理想と現実のバランスをとることの大切さ」や「自分の信じた道を進むことの大切さ」など。反対理解は「これまでの常識や伝統を尊重することも大切だが」。

 名言は、「29、自分が考えるとおりに……」「58、人間は求めているかぎり……」「43、脱皮できない蛇は……」「80、良い馬は長い坂を……」など。