1998年1−3月 第2週号 通算第553号

言葉の森新聞

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  1月15日(木)は休みで宿題です

1月15日(木)は休日なので、教室はお休みです。担当の先生からの電話もありません。「言葉の森新聞」を参考に、第2週の課題を自宅で書いて提出してください。先生の説明を聞かないとよくわからないという人は、別の日に、教室に電話をして説明を聞いてから書いてください。(電話の時間は平日4時〜8時、土曜2時〜4時半です)

  1月第3週は、小学3・4年生も感想文です

次回、1月第3週は、小学3・4年生の人も感想文を書く練習をします。第1.3週の長文「いまから三十七年あまり前(感)」をよく読んできましょう。この長文に出てくるアメリカシロヒトリは、今では珍しくなりましたが、昔はかなり猛威をふるっていました。お父さんやお母さんに聞くと知っているかもしれません。

  1月第2週の課題のヒント

   小3・4年生 「休み時間のこと」「どきどきしたこと」

ふだんの休み時間の過ごし方を説明風に書くと、字数が短くなってしまいます。説明を書いたあとに、「この前、こういうことがありました。」と会話の入るような出来事を思い出して書いていきましょう。

   小5・6年生 「色づいたカキ(感)」

内容:カキは千年にもわたって日本人とともにあった。カキには甘ガキと渋ガキとがある。渋の本体はタンニンである。渋は、無用な時期に果実が動物に食われるのを防ぐ「適応」的な意味を持っている。

似た例:渋ガキを食べた例などでもいいと思いますが、もっと広げて、果物そのものが、熟してから甘くなるという例で書いてもいいでしょう。鳥などに種を運んでもらうために、若い時期には渋かったものが、熟してから甘くなるという例はカキのほかにもいろいろあると思います。

感想:果物と動物との助け合いというようなところで感想が書けそうです。

ことわざ:渋ガキが熟するまで待っていてはカラスに食べられてしまうというところで「56、先んずれば……」。渋ガキをまだ熟さないうちに取って食べると渋いというところで「76、せいては……」などが使えそう。

   中学生 「科学文明の発達(感)」

内容:科学文明の発達は、人間の日常から手間を省く。便利さや快適さを求める人間の欲求が文明を発展させてきたことは確かである。しかし、生きる喜びとは、感性をとぎすまし、自然の大きさと人間の魅力を日々発見することにある。

似た例:家でねっころがりながらテレビで大自然の番組を見ているよりも、実際に近くの山に登ったり川で泳いだりする方が生きている実感がわくでしょう。テレビゲームでサッカーをするよりも、実際に公園でサッカーをしたほうが、思い出に残ります。このような身近なところを出発点にして考えてみましょう。

意見:自分で実際に手足を使って行動してみることの大切さということで意見を考えてみましょう。反対理解は、本文に書いてあることを参考に自分で考えましょう。

名言:「17、経験は……」などが使えそうです。できるだけ自分で探してみましょう。

   高校生 「歴史と文学(感)」

内容:自然科学の発達は、歴史も細分化された客観的な知識の積み重ねで完成するという楽観主義を生み出した。しかし、資料の統一には歴史観という主観的なものが必要だ。物理学の分野でも客観主義や決定論を捨てる必要が生まれている。歴史は、歴史に参与することによって意味を持つ。

似た例:本文中の関ヶ原の例は具体的。史料がいくら増えても、そこに歴史観や価値観がなければ、その史料は単なる知識の寄せ集めに過ぎないということです。

意見:知識に裏付けられていないと単なるひとりよがりになってしまいますが、知識だけでは正しい判断はできません。大学での勉強も、勉強のための勉強でなく、どういう社会や人間を理想としているのかという自分の価値観に基づいた勉強にしていく必要があるでしょう。

   大学生・社会人 「適応能力(感)」

内容:私が飼っている鯉は、餌を十分にやらないので長生きしている。満ち足りた環境にいると、適応能力が衰える。食うだけ食って、寝たいだけ寝て、人間の向上はありえない。

似た例:大学生の人は、受験生のころのあの緊張感が懐かしいと思うときがあると思います。人間は、苦しいときの方が充実して成長するようです。

意見:今の世の中は、楽をしようと思えばいくらでも楽に生きていけそうです。だからこそ、自分で自分に何かを課すという生き方が大切になってくるのでしょう。

  解く勉強よりも読む勉強を

小学校の勉強では、問題集を解くかたちの勉強が多いので、勉強というと「問題を解く」ものだと思っている人も多いと思います。

確かに、小学校の低中学年までは、実際に手を使って漢字を書いたり、計算をしたりするという作業がなければ勉強そのものが中身のないものになってしまいます。

しかし、小学校の高学年からは、手を使って問題を解く作業を中心にしてしまうと、勉強の能率が逆に低下してきます。

小中学生の問題集では、解答が別冊になっていたり巻末についていたりするものが多いと思いますが、高校生の問題集では、問題と同じページに解答がついているものがかなりあります。これは、問題を見て考えて、解答を見て納得するというかたちの勉強をしやすくするためです。つまり、問題を見て「これはできるからやらなくてもいいな」と思えば、ざっと解答を見て確認し、問題を見て「これはわからないなあ」と思えば、解答を見て解答の仕方を理解しておくという使い方ができるということです。こういう勉強の仕方をもっと徹底すると、問題の中にあらかじめ解答を書き込んでおき、問題と解答を一緒に読むという勉強の仕方になります。

こういうやり方で勉強の密度を高め、同じ教材をくりかえし学習していくことが勉強を能率よく進めるコツです。

  国語の勉強法

国語の学習法については、確実なものがないというのが定説になっています。市販の国語の参考書を見ても、漢字や文法の知識がわかりやすく整理されているだけのものがほとんどで、これでは読解力はつきません。

国語の学習の要点は、多読と難読です。好きな本をたくさん読んで、小学生のうちに速読力をつけておくことがまず大切です。国語の苦手な子は、設問を見てそれに該当する問題文の場所をすばやく探すことができません。

多読をするためには、自分の好きな本でなければなりません。ただし、漫画は読む力をかえって低下させるので、絵の助けを借りずに文章だけで読める本を基準に、その子の好きな本をたっぷり読むようにしていきましょう。この場合、新しい本を次々に読むよりも、同じ本を何度もくりかえし読む方が読む力はつくようです。

次に大切なことは、難しい文章を読んでおくということです。国語の問題で差がつくのは、学年相応よりも一段階か二段階上のレベルの語彙や言い回しの部分です。市販の問題集を解くというのは、難しい文章に慣れるという点では効果があります。

漢字と文法と古文が苦手だという人がいます。これらは、単に覚えるだけの勉強ですから、苦手なのは勉強不足が原因です。ただし、漢字にしても、覚える数は常用漢字約2000字ですから、一ヶ月や二ヶ月ですべて覚えきるというわけにはいきません。授業に合わせてこつこつやっていれば苦もなくできるものですが、たまってしまうとやはり大変です。漢字と文法と古文が苦手な人は、長期的な計画を立てて勉強していきましょう。

  書き出しの工夫

書き出しの工夫は、会話や景色で作文を始めるという書き方です。慣れれば難しいものではありませんが、初めはなかなかできないという子も大勢います。特に、小学校低中学年で初めて書き出しの工夫を勉強するときは、難しく考えすぎてかえって書けないというケースがよくあります。こういうときに、教える側が説明をたくさんすると、子供はかえって書けなくなってしまいます。いちばんいいのは、実際に「こういうふうに書いてごらん」と書く内容まで教えてしまうことです。

これは、初めて取り組む勉強にはすべて共通するようです。理屈で説明するよりも、書き方の単純な実例を教えた方が子供にはわかりやすいようです。

  得意なものが二つあれば一番になれる

地球上には、50億人以上の人間が住んでいます。この50億人がそれぞれの得意分野で一番になれるためには、50億以上の分野がなければなりません。オリンピックでも今はいろいろな競技分野ができていますが、とても50億種類はありません。

しかし、もし百万種類しか分野がなくても、その百万種類を二つ組み合わせれば、百万の二乗(厳密には、百万×99万9999)で約1兆種類もの組み合わせができます。

スラムダンクの作者は、漫画を書く分野でもそれなりの力を持ち、バスケットボールでもそれなりの力を持っていたと思いますが、決して漫画で一番だったり、バスケットで一番だったりしたわけではありません。しかし、バスケットボールで漫画を書くという組み合わせによって、一番のバスケット漫画を書くことができるようになったのです。

人生の目標は、どこかで一番になるということです。一番という言葉が嫌いなのであれば、第一人者になると言い換えてもいいでしょう。それは、決して空想的な話ではなく、いくつかの得意分野を組み合わせればだれにでもできることなのです。

  絵をかく子は創造性が豊か

作文用紙の空いているところに絵をかく生徒がかなりいます。こういう子は創造性が豊かで、作文の内容も個性的であることが多いようです。(しかし、逆に、絵をかくのが苦手だからといって創造性がないというわけではありません。)

絵をかくということは、何もない空間に自分を表現していくということですから、そういうことが好きな子は、作文などでも決まりきったことではない自分らしいことを表現することが好きなようです。

このことは、小学生の間だけでなく、高校生にも大学生にも社会人にもあてはまります。