1998年 2月 1週号 通算第556号

言葉の森新聞

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  2月1週は作文テスト

 2月1週の作文は、これまで勉強した項目表の●印ができるかどうかのテストとして行ないます。

 高校生以上の人は制限時間が75分です。作文用紙の空いているところにかかった時間を書いておきましょう

  2月11日(水)は休みで宿題です

2月11日(水)は、予定表に書いてあるとおり、休みになります。通信の人には担当の先生からの電話はありません。「山のたより」は郵便で送りますから、そのヒントを見ながら自宅で作文を書いておきましょう。通学の人にも「山のたより」を郵便で送りますから、それを見て自宅で作文を書いてきましょう。

先生の説明を聞かないとわかりにくいという人は、別の日に電話をして説明を聞くか、別の日に教室に来て書いていってください。

  2月1週の課題のヒント

   小3〜6年生 「手作りで何かを作ったこと」または「私の好きな日」

「手作りで何かを作ったこと」では、料理を作ったというようなことが書きやすいと思いますが、雪の降った日にかまくらを作ったとか、近くの公園で秘密基地を作ったという話でもいいと思います。このほか、犬小屋を作った、ミニ四駆を作った、折り紙を作った、夏休みの工作を作ったなど、いろいろ考えつきそうです。

小学5・6年生の感想は、「市販で手軽に手に入るものでも、自分で作るとなかなか大変だ」などというように大きく考えていくとよいでしょう。また、小学5・6年生の人は、ことわざを使ってみましょう。「7、案ずるより産むが易し」などが使えそうです。自分で作るよりやはり専門家に任せた方がいいとい意味では、「132、餅(もち)は餅屋。蛇(じゃ)の道は蛇(へび)」なども使えるかもしれません。できるだけ自分で探してみましょう。

「私の好きな日」は、土曜日、日曜日、朝早く起きた日、たっぷり夜更かしできる日など、人によっていろいろに考えつくでしょう。

小学5・6年生の人は、そういう日の出来事を二つ以上書いて、大きな感想でまとめてきましょう。例えば「日曜日が好き」というのでしたら、「人間にとって休日というものは……」というようなまとめ方です。

小学生の人は、このほかに、「節分」という題名で作文を書いていっても結構です。

   中学生〜社会人 「マルチメディア」または「お金」または「父親と母親」

昔、何かを人に伝えるための媒体は紙に印刷された文字が中心でした。現在は、文字・映像・音声がデジタル化されてまとめて伝えることができるようになりました。これがマルチメディアです。例えば、昔であれば、文字と映像と音声をだれかに伝えるときは、文字は手紙で書いて、映像は写真を同封して、音声は電話で、と別々の媒体を利用しなければなりませんでしたが、今は、テレビゲームなどを見るとわかるように、ひとつのカセットにすべてを詰め込むことができます。パソコンの電子メールでもすでに文字と画像と音声をまとめて送ることができるようになっています。

意見は、「文字だけの情報でなく、文字と映像と音声が組み合わされた情報だとわかりやすい」ということで書いていくといいでしょう。反対理解は、「手に入れられる情報が多すぎて、情報に流されてしまうことがあるから取捨選択する力が必要だが……」というところになるでしょう。名言は「11、限られた人生で大事なことは、何をするかではなく、何をしないかである」などが使えそうです。

「お金」は、「お金は大切だ」という意見で書いていくとよいでしょう。反対理解は、「お金をつかう(物を買う)ことによって、経済が循環し社会全体が豊かになっていくが……」というところで考えることができます。すると、名言は、「53、トランプが生きているのは、それが実際のプレーに使われているときである」などが使えそうです。

また、別の反対理解として、「世の中にはお金より大切なものもあるが……」と考えることもできます。この場合の名言は「30、自分の心のうちに持っていないものは何一つ自分の財産ではない」などが使えそうです。

「父親と母親」は昨年の高校生のテーマです。「父親の役割、母親の役割」というところで意見を書くと書きやすいと思います。反対理解は「性別で家庭内の仕事の分業を固定化するのはよくないが……」と考えられるでしょう。名言は「45、短所をなくすいちばんよい方法は、今ある長所を伸ばすことである」など。

名言は、ヒントに頼らずできるだけ自分で探していきましょう。

  光る表現コーナー

みなさんの作文の中から、光る表現や実例を選んで、それぞれの担当の先生が紹介していきます。できるだけ多くの生徒の表現を載せていきたいと思いますので、引用は短いものが多くなりますががまんしてね。(^o^)。もとの作文で改行してある会話などを、この引用では行を続けて表わしています。

■絵莉さん(とけ/小1)の作文より

「(スキーでがんばった思い出のことについて)このことをわたしは、こころのたからばこにだいじに、おとなやとしよりになってもたいせつにそのたからをしまっておきます。」

思い出を大事にしたい、という気持ちがとてもよく伝わってくるすてきな表現だね。(朋恵101)

■ぎじぽさん(とて/小2)の作文より

「きゅうにおなかがいたくなりました。それは、まるで、腸が、赤くなったようないたみでした。それに、ぐるぐるいいました。」

たとえ(まるで・・・のよう)をつかって、うまく表現(ひょうげん)できたね。どんなにおなかがいたかったのか、すごくよくわかるよ。(ミルクティ108)

■じゅんさん(とぬ/小3)の作文より

題名「やっつける女ぐん団」「うわー、にげろー。」20分休みに女の子たちと雪がっせんをした。だけど女ぐん団はなんで強いのか、でも作せんを考えた。それは、女ぐん団の近くにかくれて投げる。ということだ。今日こそは、やっつけてやる。作せんのとおり、男いっせいに雪を投げ出した。だけど一人もんくを言ってきた。「かくれてなげるなんてひきょうじゃない。」とぶつぶつ言ったので、」ぼくは思わず言い返した。「雪がっせんだからいいんだよ。」と言ったら、「そう言えばそうだね。」と言ってどこかへかくれて雪をなげてきました。雪がっせん第2ラウンドが始まりました。みんなあたったりはずれたりでつかれて男の子はみんな、トイレにいきました。その間セッセと女ぐん団は、雪だるまをつくっていたけど、チャイムが鳴ってしまいました。「せっかくトイレで体力かいふくしたのになあ。」明日まだ雪がのこっていたら、女に勝つぞ。」

おもしろい題名を考えたね。「うわー、にげろー」の出だしもドラマみたいでかっこいいですね。純一君が自分でしたこと、考えたこと、友達の様子など、よく思い出して書けました。「男の子はつかれてトイレにいったのに、女の子は雪だるまを作っていました」という場面、読んでいて思わず笑ってしまいます。最後の、「せっかくトイレで体力を回復したのになあ」という思ったこともおもしろいです。女の子たちとの会話、男の子たちのと作戦を練った話も、いきいきと書けています。(ゆらぎ116)

■良貴さん(との/小4)の作文より

「これで宝箱を見つけたけど一番の宝は想い出かな。」

(めもま117)

■ギップルさん(けら/小4)の作文より

「マンガ家セットは、私のお気に入り!」

題名のつけ方が、個性的でうまいね。(ミルクティ108)

■孝行さん(とむ/小4)の作文より

 「しけい」は、おにがボールを上になげて名前をよびます。よばれた人は、ボールを一回もバウンドさせないでとればセーフで、落とすとアウトです。アウトになったらほかの人は、すぐにげます。アウトになった人はボールをひろったら、「ストップ」と言います。ストップといわれたらにげた人はとまらなければいけません。とまったらアウトになった人は三歩あるいてタッチします。すると、タッチされた人とアウトになった人は一点げんてんです。三点たまるとその人はまけです。

「しけい」という名前にはドキッとしたけれど、おもしろそうな遊びだね。遊びのルールの説明を、とてもわかりやすい文章で書けたね。(ミルクティ115)

■きんぎょさん(あきか/小4)の作文より

「先生のすきをねらって、パッとまるまったえんぴつを、レ−シングカ−のように速くけずって、えんぴつけずりをたなのうえに」という、たとえのつかいかたに、スピ−ド感がよくでています。(恭子123)

■ユウッチさん(ちき/小5)の作文より

「バッチャン。クラゲが海にたたきつけられました。」

音を使った書き出しが、うまい! 一年生のころにクラゲを投げて遊んだという、その場面が目にうかんでくるよ。(ミルクティ108)

  ゲームから教育へ

子供たちの将来の夢で、最近人気が出ているのが「ゲームデザイナー」です。

しかし、実は、テレビゲームの世界は、すでに曲がり角に来ているようです。数年前、「ゼルダの伝説」や「ファイナルファンタジー」や「三国志」がテレビゲームとして登場したころは、大人も夢中になるほどの驚きや感激がありました(私も夢中になりました)。しかし、いま次々に発売されているテレビゲームは、グラフィックスや音声が技術的に向上しているだけで、新しいパラダイムの進歩はほとんどないようです。

今後、テレビゲームは、今の漫画やテレビのアニメ番組のように、子供が子供時代に一時的に楽しむものになってくると思われます。

これに対して、今後、可能性があると考えられるのが、教育です。教育のゲーム化は、今はまだ始まったばかりですから、ソフトもあまり充実していません。英単語の問題でできなかったところだけをくりかえし出題するくらいのものがせいぜいです。紙でできることを多少便利にコンピュータでやっているという程度です。

しかし、今後は、コンピュータでしかできない魅力的な教育ソフトがぞくぞくと出てくるでしょう。そしてそれは、大人にも十分に楽しめる役立つものになると思われます。

大人にも楽しめる役立つゲームということで、具体的なイメージとして挙げられるものは、みなさんがお正月によく遊ぶ百人一首です。昔、短歌が社会人の素養として必要だったことを考えれば、百人一首は大人も参加できる教育的なゲームとして考案されたと言ってよいでしょう。

将来のゲームデザイナーを目指す人は、ゲームの世界よりも勉強の世界の方に、デザインの大きな可能性が広がっていると考えておくとよいと思います。