1998年5月2週号 通算第569号

言葉の森新聞

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  今週 5.2週のヒント

  小3・4年生 5.2週「飼っている生き物のこと」

 かっている生き物の話は、これまでに何度か書いたことがある人も多いと思います。その生き物のまた別の面を見つけながら書いていきましょう。

 生き物は、人工のものにくらべて、観察(かんさつ)すればするほど新しい発見があると思います。生き物の動き、色、音、においなどをよく見て書きましょう。たとえもわすれずにね。

  小5・6年生 5.2週「『これまでの人の』を読んで(感)」

 読書の面白さ、読書と通して学んだこと、韋編三絶(いへんさんぜつ)ほどではないが何度もくりかえし読んだ愛読書などが似た話になりそうです。お母さんやお父さんに聞いてくると、さらにいい話が見つかると思います。ことわざは、若いうちにいい本をという意味で「97、鉄は熱いうちに打て」、書物から何かを教えられるという意味で「118、人の振り見てわが振り直せ」、読書だけではだめだという意味で「144、論語読みの論語知らず」などが使えると思います。「読書百遍意自(おのずか)ら通ず」なども知っているかな。

 要約のヒント:次の質問にこたえるようなかたちで長文をまとめてみると要約になるよ(^o^)→(1)読書の利益を三つあげてみよう。(2)歴史上の人物のひとことを読むことはだれの気持ちを読んでいることになるのかな。(3)気に入った書物に出合ったらどうしてほしいと書いてあるかな。

  中学生 5.2週「『私たちが日常』を読んで(感)」

 詩的な言葉の大切さというのは、例を見つけにくいかもしれません。詩を読んで「ああ、いい言葉だなあ」と思ったような例があればぴったり。もっと身近な例で言うと、「ふとんがふっとんだー」のようなダジャレは実用的な点から言えば無意味なものですが、学校の先生が授業の合間にそういう受けないダジャレを言うと勉強の雰囲気が楽しくなるなどの効果もあります。詩的な言葉にももっと目を向けようという主題で書いていきましょう。名言は、「23、雑草とはまだその美点が……」、言葉は伝達の手段ではなくそれ自体が生きた目的だという意味で「63、人は食べるために生きるのではなく……」(ちょっとむずかしいけど)、「40、存在するものには、良いとか悪いとかを言う前に……」など。

  高校生・大学生・社会人 5.2週「『私は長いこと』を読んで(感)」

 宗教や教育に携わる人を批判していますが、大人全体について言えそうです。自分の現在の位置に満足したときに成長は止まるということで、今日の安定した社会で自己満足に陥らないで生きていくためには……という主題で考えていくとよいと思います。

  来週 5.3週は……

  小3・4年生 5.3週「『いそがば回れ』を読んで(感)」

 3・4年生の人は、「えー、また感想文かあ」というためいきが聞こえてきそうです。(^^ゞ 長く書いたり上手に書いたりする必要はありませんから、長文を読んで自分の感想をまとめるという書き方の流れをつかんでいくことを当面の目標にしていきましょう。そのためには、授業のある日までに、その長文を五回ぐらいは声を出して読んでおいてください。にた話が見つかると感想文も書きやすくなるので、お母さんやお父さんとも相談しておきましょう。

 にた話のヒント:漢字書取の宿題などで、へんだけを先にまとめて書き、そのあとまとめてつくりを書くというようなことをしたことのある人も多そう。早くできたように見えて実は何も覚えていなかったとか……。

  小5・6年生 5.3週「『科学的態度』を読んで(感)」

 5・6年生の人も、授業のある日までに、長文を五回は読んでおくようにしましょう。

 タイの色の話が出てきますが、先入観でものを見ずに自分の目でしっかり確かめるのが科学的態度の出発点というような例をさがすといいと思います。日本では太陽の絵をかくとき赤で塗ることが多いようですが、欧米では黄色で塗ることが多いそうです。しかし、実際の太陽を見てみると、赤でも黄色でもない、どちらかといえば白い色です。というような例。

 ことわざは、実際に見てみることが大切だという意味で「119、百聞は一見にしかず」、疑問を持ったり考えたりすることが大切だという意味で「111、人間は一本の葦にすぎない。しかしそれは考える葦である」、本に頼らないで自分で実際に確かめることが必要だという意味で「144、論語読みの論語知らず」など。

  中学生 5.3週「『ああすれば』を読んで(感)」

 現在のような高度に管理された社会にいると、人生にも教科書や予備校のようなものがあって、時間割やカリキュラムのようなものが立てられると考えがちです。ところが実際には、人生は行き当たりばったりと試行錯誤の連続です。その行き当たりばったりに生きている最中にこそ生きている面白さがあると考えられればいいのですが、つい、現在は未来のための準備期間だという考えてしまうことが多いと思います。未来のために現在を犠牲にして生きるのではなく、今この瞬間を生きていくことの大切さ、ということで主題化していくと書きやすいと思います。

 名言は「61、人が旅行するのは……」「88、私たちの人生は……」「21、子供は大人を小さくしたものではなく……」など。

  高校生・大学生・社会人 5.3週「『鯨や象は』を読んで(感)」

 人間の知性と鯨や象の知性は種類が違うだけで優劣があるものではない、という内容です。人間の知性は、愛情や調和を欠いた、自己中心的で攻撃的なものになりがちです。これを現代の問題として考えていきましょう。おもしろいけれど、むずかしい主題です。かつてのアメリカインディアンやオーストラリア原住民には、そういう調和ある知性があったという例なども参考になりそう。

  プロフィールを掲載しました

 プロフィールの掲載が遅れてしまいましたが、5月1週の「広場」で、これまで送っていただいた人のプロフィールを全員掲載しました。

 4月3週の「広場」では、写真を送ってくれた人のプロフィールが黒くつぶれて印刷されてしまいましたので、写真の人だけ再度掲載しました。インターネットのホームページでは、写真の人は、もっときれいに表示されています。(美人にという意味ではありません。念のため)

 もしプロフィールを送ったはずなのにまだ掲載されていないという方がいましたらご連絡ください。

  子供は楽しさをもとめている

 「さあ、来週は、『家族でスポーツをしたこと』という題名で作文を書くから、来週までにスポーツをしてこよう。例えば、おじいちゃんとプロレスをするとか、お母さんとすもうをとるとか。でも、お母さんにおしつぶされないようにね」なんて言うと、子供たちは大喜び。口々に騒ぎ出します。

 勉強は、楽しくやるのがいちばんです。たぶん、楽しく過ごしているときは脳の働きも活性化しているのでしょう。楽しく食べれば胃腸の消化吸収がよくなるように、楽しく勉強すれば脳の消化吸収もよくなるように思います。(実験をした人がいないのが残念ですが)

 私(中根)も、学校で楽しく過ごしていた小学1・2年生のころの記憶はくわしいところまで覚えていますが、学校がつまらなかった小学3・4年生のころの記憶はほとんどありません。勉強も、楽しい気分でやったものと苦しい気分でやったものとでは、理解や記憶の定着率が大きく違ってくると思います。

 勉強を教えるときのコツは、怒りながら教えないということです。「こんなのもわからないの!」というような教え方では、子供の頭はどんどん悪くなっていきます。全然できないときであっても、「ようし、だんだんわかってきたようだね。この調子、この調子」という教え方をすれば、子供の頭はどんどんよくなっていきます。

 そして、人生で大切なことの順序は、第一が「幸せに生きること」で、第二が「勉強ができること」です(かなり単純な言い方ですが)。決してこの逆ではありません。このことを大人は、心の中で思っているだけでなく、時々子供たちにも伝えておく必要があるように思います。

  光る表現

■愛さん(たの/中3)の作文より(みち)

 お金に自分自身がふり回されないように上手に使い、これからも人びとが便利に使えれば、それが一番良いと思う。評:視点の良さが作品の質をきめました

■香奈子さん(いし/高1)の作文より(ミルクティ)

 最近、人々は国に対し少々軽薄な気がする。私達は日本人という集団の中にいる安堵感のせいかもしれない。しかし、今一番の土台の地球で同じことが言えては困る。そうならないための第一歩が"愛国心"なのだろう。最終的には"愛星心(地球を愛する心)"を人々が持っているようになればいいのでは…。評:愛国心から愛星心へ…21世紀の大きなテーマだね。スケールの大きな作文が書けてるよ。

■睦子さん(あかさ/小2)の作文より(恭子425)

 さいしょに、えみこちゃんが、おにになりました。みんなは、にげてばっかりいました。「えみちゃんばっかりだと、かわいそうだよ。」とわたしがいいました。そのあとえみこちゃんが、「おにさんかえよ」といいました。それでおには、わたしになりました。評:えみこちゃんのおにさんを、かわってあげる、むつこちゃんの、やさしい心に、感動しました。

■まささん(あうこ/小3)の作文より(みち415)

 今日学校ではじめておしゅうじをしました。一と言う字を書きました。———。まるで絵をかいているようでした。評:たのしんで書いているようすがいいですね。

■あささん(あおみ/小3)の作文より(とも416)

 (はじめて回転寿司にいったときのこと。カップラーメンまで置いてあるのにおどろいて)ぼくはこれはすしやではなくて、たべものいろいろやじゃないかと思いました。

■サンダースさん(あさか/小3)の作文より(スズラン422)

 夜の食事はバイキングでした。おすしやフィレステ−キや、ピザがおいてあって、まるでパ−ティでもしているように、みんなもりあがっていました。