1998年6月3週号 通算第574号 言葉の森新聞 住所 234横浜市港南区港南台4-7-29-A201 電話 0120-22-3987 ファクス 0120-72-3987 留守電 0120-64-3987 http://www.mmjp.or.jp/shine/index.html (Yahoo!で"言葉の森"と検索してください) 夏休み全4回体験学習受付中(港南台教室) ご兄弟やお知り合いの方で言葉の森の勉強を体験してみたいという方にお知らせください。遠方の方で夏休みだけ横浜に来られるという方でも結構です。また、以前言葉の森を受講していて退会された方もこの機会にぜひどうぞ。 ■場所:港南台教室(港南台駅徒歩1分) ■期間:7月22日(水)〜8月29日(土)で教室が休みの日 (※)を除く全4回(ただし、4回とも同じ曜日同じ時刻に限らせていただきます。全4回のうち2回以上参加できるようにお願いします)■時間:平日4時〜7時、土曜1時半〜4時の間でご都合のよい時間を決めていただきます。 (例)火曜日の4:20、土曜日の2:30など。 ■対象:小学2年生〜中学3年生(定員になり次第締め切り。小学校低学年の方を優先させていただきます。) ■内容:作文と感想文の勉強 ■費用:教材費実費1,000円 ■お問い合わせはお電話で:0120-22-3987 漢字 英単語 読書の夏期講習受付中(港南台) 時間のたっぷりある夏休み。漢字と英単語の集中学習をしましょう。勉強が終わったら涼しい教室でたっぷり読書。 ■場所:港南台教室(港南台駅徒歩1分) ■期間:7月22日(水)〜8月8日(土)で教室が休みの日 (※)を除く全12日(6日以上参加できる方)■時間:午前9時00分〜10時30分(午前中はそのまま教室で自習をして結構です) ■内容:漢字・英単語の集中学習と読書(英単語は中学生のみ) ■費用:12,000円(あらかじめ出席できないことがわかっている日は日割り計算) ■お問い合わせはお電話で:0120-22-3987 (※)教室の休みの日は、7/29.30.31.8/1.10.11.12.13.14.15.31及び日曜日 6.3週のヒント 小3・4年生 6.3週 「『けがのこうみょう』を読んで」 失敗したと思っていたら、それがかえっていい結果につながったという例をさがしてみましょう。4年生の人は、ある程度、過去の出来事を思い出して書く力がついていますが、3年生の人にはまだ過去を思い出す力があまりありません。おうちの方が「ほら、むかし、こんなことがあったでしょ」と話してくださるとよいと思います。 例としては、学校にかさをおきわすれてきたが次の日学校に行ったら帰りに雨がふってきたので「昨日、かさをわすれておいてよかったなあ」というようなことが考えられます。けがをしてどこにも遊びに行けなくなったので、お母さんがゲームを買ってきてくれた、というような話もありそうです。いろいろ思い出してみましょう。 小5・6年生 6.3週 「『数年前の』を読んで(感)」 鈴木孝夫さんの「ことばと文化」は岩波新書で出ています。鈴木孝夫さんは日本語に関する独創的な思想や提案を述べていますので、将来、機会があればぜひ読んでください。 和食のレストランと洋食のレストランでは、料理の出され方がちがいます。和食ではまとめてどさっと空間的(並列的・同時的)に料理が出てきますが、洋食では最初はスープ、次はパン、次はギョウザで、最後はラーメン(おいおい、それは洋食じゃないって)という具合に時間的(通時的)に料理が出てきます。 社会の勉強の好きな人なら、インドでは牛肉のすき焼きなど食べられないということや、イスラム圏では豚肉の焼き肉パーティーなどできないということを知っているでしょう。 日本人のよく使う「すみません」や「はい」は軽いあいづちのようなものですが、これをそのまま英語で「エクスキューズミー」や「イエス」とひんぱんにやってしまうとかえって誤解されてしまうことがあります。 文化の違いによって、同じ事柄が異なった価値のもとに位置づけられてしまうという例をさがしてみましょう。日曜日にお父さんやお母さんと話し合ってみるといいかもしれませんね。 中学生 6.3週 「『方言で』を読んで」 言葉は時代によって変わるという話です。今どき、学校に下駄をはいてくるような人はいませんが(いたら、かなり危ないけど)、学校ではときどき「下駄箱にちゃんと靴を入れて」などと言うことがあります。言葉の森の教室でも、先生が「さあ、みんな黒板を見て」と言うと、「先生、ホワイトボードでしょ」とちゃかす人がいつもいます。 実態からかけ離れた言葉を使い続けるのも問題ですが、実態が変わったからといってすぐに言葉の方も変えるというのも問題です。これは、ことばにかぎらず、いろいろな規則や習慣にもあてはまりそうです。 名言は、「40、存在するものには、良いとか悪いとかを言う前に、すべてそれなりの理由がある」。「48、できあがった規則をなんとか守ろうとすることよりも、実態に合わせて規則を変えていくことが真に規則を生かす道である」。 高校生 6.3週 「『誰かがいつか』を読んで(感)」 肉体と神経の乖離(かいり)というのが長文の主題です。今日の社会では、高速道路を時速百キロで鼻歌交じりに運転してみたり、居間でくつろいで世界のニュースを眺めたり、というような肉体と神経が一致しない場面が数多くあります。これを今日の問題として考えてみましょう。 光る表現 ■ こずっちさん(さへ/小4)の作文より(めもま先生/月日530)「〜そんなけいけんがありました。まるで『あとのこうかい先にたたず』のようになってしまいます。じぶんではすごいこうかいでした。」(ちがうことわざを上手に引用して、「急がば回れ」の説明ができていますね ■ ドガースさん(つら/小6)の作文より(ミルクティ先生/月日605)『科学的態度』三年生ぐらいの時に天文のことを調べたことがある。その時月のことを調べた。天たい望遠鏡を見て調べた。そうしたら1日ごとに月の出る時と出ないことがあった。たまたま青少年センターで天文のことをやっていたから聞きにいくとすんなりと答えが返ってきた。「毎日五十分くらいおくれるんだよ」と、いわれてびっくりぎょうてん。それで月が昼間出るわけもついでに分かってしまった。正に一石二鳥、やっぱり聞いてよかったと思った。評:調べているうちに疑問に思って、専門家に聞いてみたという体験実例を、ことわざも入れて、うまくまとめたね。 ■ マイメロさん(ああろ/中2)の作文より(ミルクティ先生/月日605)SMAP"Shake"「あしたからハレルヤ ふたりならヤレルヤ」っていうのは、なんかおもしろいと思った。かっぱの詩と同じような感じだし。評:うまい例を、よく思いついたなぁと感心!〜♪ ■ Bearさん(ふね/中2)の作文より(ミルクティ先生/月日605)『言葉について』やんまにがした ぐんまのとんま さんまをやいて あんまとたべた まんまとにげた ぐんまのやんま たんまもいわず あさまのかなた この詩は、すべて七文字で成っていて、似た言葉を使ってある。普通、「あんま」という言葉はあまり使わない。しかし、日常的な経験を越える経験を持ち、それを表すためには、「あんま」という言葉を使う。日常の言葉の枠を越える、ということが必要になるのである。そして、この言葉を使うことによって、「詩」というものが生まれるのである。評:詩の言葉とは、どういうものかを、詩を引用して具体的に説明しているところが、説得力があって、わかりやすいね。 教育マーケットの縮小 子供の数が減少しています。小学校でも中学校でも「今年の1年生は○クラスしかない」などという声が毎年のように聞かれます。 大学も厳しい競争の時代に入り、私立大学によっては競争に敗れて倒産するところも出てきそうです。それぞれにサービスを工夫していますが、入試科目を減らすようなサービスよりも、やはり授業を充実させ社会に受け入れられる人材を生み出す努力をしているところが長い目で見て伸びていくでしょう。 予備校や学習塾も、生徒数減少のあおりを受けて、どこも苦しい事情のようです。売上と利益の関係で言うと、売上が少しでも下がると利益は大幅に減少するというのが普通ですから、生徒数が減るというのはどこでも大きな経営上の問題になっているようです。 消費不況と言われています。ダイエーなどのスーパーの売上が落ちているのは、消費税によって財布のひもが固くなったということもありますが、何よりも「スーパーで買うようなものの中で、いま特に欲しいものがない」という気持ちを消費者が持つようになったからだと思います。今、いちばん欲しいものというと、住宅とインターネットでしょうから(ホントか?)、住宅政策と通信環境整備の政策を国が大胆に取り上げれば、消費不況は回復に向かうと思います。一戸建て住宅の価格を今のアメリカやオーストラリア並みにして、電話料金を定額制にして、一家に二台パソコンを支給するというようなことができれば、消費不況が回復するだけでなく、情報通信分野で新しいベンチャービジネスがぞくぞくと誕生する環境が生まれてくると思います。 いま、いちばん重要なことは、新しい需要を創造する力を企業や企業家が持つということです。 子供の数が減少しているから教育マーケットは先細りで、高齢者の数が増加しているから医療福祉マーケットは将来性があると考えるのは、やや単純な見方です。 人間の欲望の根本は、「より進歩したい」「より美しくなりたい」「より素敵な人に出会いたい」「より新しいものを創造したい」というところにあります。「よりおいしいものを食べたい」なんていうのももちろんあります。これらの需要をかなえる仕組みを作れば、そこにマーケットの新しい可能性が開けます。 新しいマーケットを創り出すというのは、世の中で最も価値あることのひとつです。これまでのマーケットは、衣食住に結びつくかたちで展開されてきました。資本主義の生み出した膨大な生産力が衣食住のマーケットを満たしたあとにやってくる需要は、美や愛や向上や創造というより人間的なものになるはずです。 高校生や大学生のみなさんは、将来の仕事を考えるときに、今の世の中で求められている需要ではなく、将来のより人間的な社会で求められるはずの需要を念頭においておくといいと思います。 言葉の森も、受験のためとか補習のためとかいう今の社会で不足しているものを補うような勉強ではなく、未来の社会で求められるような勉強を創り出していきたいと思っています。そういう意味で、子供の数は減少していても、勉強の中身はこれから無限に開けていると思います。 訂正 5月4週号「山のたより」小1・2年生の国語テスト7・8番で「第8週の長文を読んで」となっていましたが、「第10週の長文を読んで」の誤りでした。 6月2週号「光る表現」拓馬君(ねき/中1)「詩的な言葉とは……」を書いた先生がミルクティ先生になっていましたが、ひかり先生の誤りでした。
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