http://www.mmjp.or.jp/shine/ 1998年7月3週号 通算第578号(Yahoo!で"言葉の森"と検索してください)言葉の森新聞 住所 234横浜市港南区港南台4-7-29-A201 電話 0120-22-3987 ファクス 0120-72-3987 留守電 0120-64-3987 7.3週のヒント 感想文は、似た話を見つけて書くというところが書きにくいと思います。字数は長く書けなくてもいいですから、次のような順番で書いていきましょう。
この話(長文)を読んで、いちばんおもろしろかった(ふしぎだった・おどろいた)のは……というところです。 ↓ わたしにも、にた話があります。このまえ……(と、自分のにた話を書く) ↓ また、ずっとまえは(お母さんの話では)……(と、にた話をできればもうひとつ書く) ↓ わたしは、この話(長文)を読んで……と思いました。
にた話が見つからないときは、「もし……だったら」と自分で想像した話をにた話のかわりに書いてもいいでしょう。 4年生の人は、最初の段落で、三文ぬきがきをしてから始めましょう。長文のはじめのほうから一つ、中のほうから一つ、おわりのほうから一つ、と合計三つぐらいの文をそのままぬきがきしておいてください。(文というのは、「。」から「。」までの間です) 項目表の字数どおりに書くのはたいへんだと思いますから、とりあえず、1年生は100字、2年生は200字、3年生は300字、4年生は400字、5年生以上は500字を目標にして書いていくとよいでしょう。
小3・4年生 7.3週 ち >◎「果物をお皿にのせたまま(感)」 果物をお皿にのせたまま長いあいだ放っておくと、だんだんくさってきます。しかし、木に実って生きている果物はくさりません。動物も同じです。生きているあいだにくさるのは、ゾンビぐらいのもので、ふつうの動物は生きているあいだは決してくさったりしません。 果物や動物が生きているということは、その体に酸素がいつもゆきわたっているということですから、酸素に弱い微生物は動き出すことができないのです。 ちょうど梅雨(つゆ)のころは、ものにカビがはえたりくさったりしやすい時期です。ものをくさらせる微生物は酸素がきらいなのですが、そのほかにすごく冷たいのやすごく熱いのもきらいです。熱を通したり冷蔵庫に入れたりするのは、ものをくさらせる微生物のはたらきをおさえるためです。 先生のうちでも、この前、テーブルのうえにバナナを何日かおきっぱなしにしていたら、はじめは黄色くてつやつやしていたバナナがだんだんあちこち黒くなってきました。少しくさりかけているようでしたが、もったいないから食べちゃいました。 去年の夏休み、家族で旅行に行って何日か家をるすにしていました。やっと旅行から帰ってきて、いつものようにお母さんが「いやあ、やっぱりうちが一番ね(なら、旅行に行くなあ)」と一休み。お茶を入れようときゅうすを開けると、旅行の前に飲んだお茶ののこりがきれいにくさっていました。 小5・6、中1年生 7.3週 に >「並木の道、石の道(感)」 みなさんの街の通りにも並木がありますね。昔の旅人にとって並木はどんな役割を果たしていたのでしょう。お母さんやお父さんに珍しい並木の話などを聞いてみてもいいかもしれません。 もし道路に並木がなかったら、ずいぶん殺風景になるでしょう。昔の旅人にとっては、並木はもっと大切なものでした。木陰を作ったり雨宿りの場所を作ったりしてくれたのが並木でした。 果物のなる並木というのは、今ではほとんど見かけませんが、道路の両側にリンゴやミカンやカキやクリがなっていたらどうなるか想像してみましょう。もし、学校に行く途中の並木に、秋になるとカキの実がなるとか、夏になるとスイカの実がなるとかしたら(ならないって)、学校に行くのがずっと楽しくなるでしょう。学校の給食の時間も「さあ、今日の給食は近くの並木に行って自分の好きな果物を食べてきなさい」となるかもしれません。イチョウの並木は全国各地にありますが、イチョウのメスの木にはギンナンがなるので、秋になると近くに住む人たちが落ちたギンナンを集めている光景をよく見かけます。 「114、花よりだんご」ということばがありますが、実用一点張りに考えたら管理に手間ひまのかかる並木などはないほうがいいのでしょう。落ち葉を掃除したり、伸びすぎた枝を剪定(せんてい)をしたりと、いろいろと手間のかかるのが並木です。イチョウ並木も本当はギンナンがならないようにオスの木を選んで植えているのですが、ときどきまちがえてメスの木が生えてしまうということです。しかし、並木のないコンクリートの道路ばかりでは人間が住みたくなるような街にはなりません。社会が豊かになればなるほど、「だんごより花」の方が大切になってくるのでしょう。 こういう並木も「143、ローマは一日にしてならず」というように、多くの人の努力で長い間かけて作られてきたものです。旅行などに行くと、樹齢何百年という木々がずっと並木になって続いている道を通ることがあります。このような並木を、私たちもずっと大切にしていきたいですね。 小5・6年生 7.3週 ひ >◎「読書の楽しみは(感)」 読書の楽しみは、ひとりでいくらでもできる楽しみです。テレビの場合は、「それでは、続きはまた来週(^o^)/」と、いいところでコマーシャルになってしまうことがあります。また、見たい番組があるのにその時間にいないときはビデオで録画しておかなければなりません。海や山に遊びに行くときに、テレビをかついで行くわけにはいきません。それに対して、本はいつでも好きなところで好きなだけ読むことができます。こらこら、だれだ、そこで漫画読んでいるのは。 みなさんも、電車で遠くまででかけるときは、退屈しないように漫画や本を持っていくことがあるでしょう。熱中できる本があれば、時間などすぐにたってしまいます。逆に漫画も本も持たない長時間の旅行は、退屈な時間を持て余してしまいます。 先生のうちでも、夏休みなどに車で遠出をすると、はじめのうちは新鮮な気持ちで、はしゃいでいますが、そのうち退屈してきて「ねえ、まだ着かないの?」「ねえ、まだなの?」「ねえ、……」「うるさいわね! まだだって言っているでしょ!」とお母さんの雷が落ちてくることがあります。車の中での歌やクイズやしりとりにもあきてくると、「しょうがない。近くにセブンイレブンかローソンがあったら、マンガでも買ってこよう。お父さんはビールな(おいおい)」とマンガで退屈をしのぐということがあります。(長文の内容に比べてかなり軽い似た話になってしまいましたが) おもしろい本に出合うと、途中でとまらなくなってしまうこともよくあります。先生もずっと前、夜寝る前に読み出した本がおもしろくて止まらなくなってそのまま朝まで読みつづけてしまいました。こういうことがあるから、みなさんの自習でも、読書は最初にするのではなく最後にするのがいいのですね。自習の最初に読書をすると、今日も読書でおしまい、あしたも読書でおしまい、ということになりかねません。 読んだ本が身についていないと、「144、論語読みの論語知らず」となってしまいますが、「89、玉みがかざれば器(き)をなさず」というように、もともといい素質を持っている人でも、本を読んだりいろいろな経験を積んだりして自分をみがいていかなければ、その素質を生かすことはできません。若いときに、いい本をたくさん読んでいきましょう。 中学生 7.3週 >◎「人間は他の人間と自由に(感)」 親子の関係が「問題」化しているのが現代です。 原始時代は、お父さんが男の子にイノシシの捕らえ方を教え、お母さんが女の子に木の実の集め方を教えるような社会が何万年も続きました。そういう社会では、親子の関係は「問題」にはなりませんでした。お父さんはおじいさんから教わったと同じことをその子供に伝えていったからです。おじいさんの時代のイノシシはキバしかなかったけど、お父さんの時代のイノシシは新しくカギヅメという武器を持つようになっていた、などということはもちろんありませんでした。 今の社会は違います。お父さんやお母さんが子供時代に見たことも聞いたこともないものが次々に現れてくるからです。「何? ウォークマン。あれは、耳が悪くなるらしいぞ」「何? ファミコン。あれは、目が悪くなるらしいぞ」「何? PHS。あれは、電磁波が出るらしいぞ」「何? インターネット。あれはウィルスがこわいらしいぞ」と次々と押し寄せる新しいものに対処するだけでも大人は精一杯です。 確かに、こういう時代でも、老人の知恵が役に立たなくなったわけではありません。新しいものばかりに目をむけていると、「姥捨て山」の昔話と同じようになってしまうかもしれません。 しかし、時代はどんどん新しくなっていきます。「43.脱皮できない蛇は滅びる(ニーチェ)」という言葉があるように、変化の激しい時代には、親も子も新しい関係を作るために脱皮し続けなければならないのかもしれません。 高校生・大学生・社会人 7.3週 >◎「庭は原始社会では(感)」 日本庭園というとすぐに頭に浮かぶイメージがあります。しかし、それは時代的に制約された特殊な庭園像のひとつにすぎません。 きれいに手入れされた公園で、「芝生に入ってはいけません」とか「木にのぼってはいけません」とか「火をたいてはいけません」とかなどという看板が立っている公園がときどきあります。5、6月の芝生の芽の生えるころに「芝生に入ってはいけません」というのならいいのですが、そうではなくて、ただきれいなままの見るだけの公園にしておきたいから年中立入禁止というのであれば、話があべこべです。 先生も、先日、海の公園というところに犬を連れて行きましたが、「犬は海の中に入れないでください」と注意されてしまいました。先生のうちの犬は海が大好きなので(泳ぎ方はもちろんクロール。うそうそ、犬かき)、海に入れないと聞いてがっかりしていました。注意する人にはそれなりのもっともな理由があるのでしょうが、「そんなに、役所みたいに固いこと言うなよな(実は役所で運営している)」というのが正直な気持ちです。 また、この前は、近くの山の広場でバーベキューでもしようと思ってガスコンロを持っていきましたが、そこにはしっかり「火をたかないでください」という看板が立っていました。しょうがないからかたづけて帰ろうと思いガスコンロをしまおうとすると、うっかりまちがえてスイッチが入ってしまい、うっかりまちがえてフライパンにお肉が入ってしまい、うっかりまちがえてお皿にタレが入ってしまい、最後にうっかりまちがえて食べてしまい、やっとかたづけて帰ってきたという苦い思い出があります。 音楽などの芸術も、もともとは歌ったり踊ったりするのが好きだという民衆のエネルギーから生まれたものですが、文化的に成熟し洗練されるにつれて、次第に富裕な階級のアクセサリーのようなものになり、本来持っていたエネルギーが失われていくということがあるようです。 公園も、絵葉書のようにただ見るだけのものではなく、みんなの集まる広場として再生していくことが求められているのでしょう。
長文音読は大事な勉強 7.3週は、小学3・4年生も感想文の課題になります。家で長文を一日一回、一週間のうちに五日以上読んでくるようにしてください。長文の音読は、できるだけお母さんやお父さんの聞いている前でしましょう。その際、お母さんやお父さんは子供がつっかえながら読んでいても決して注意したり叱ったりしないようにしてください。つっかえつっかえ読んでいても忍耐強く聞いてあげているうちに、次第にすらすら読めるようになってきます。つっかえたつど、「ほら、またつっかえた」などと注意していると、読むことはいつまでたっても得意になりません。 読めない漢字にはふりがなをふらず、漢字のまま読めるようにしておいてください。読み方のわからない漢字をそのつど大人が教えることは、ふりがなをふるよりも手間がかかりますが、漢字のまま読めるようにしたほうが子供にとっては読む力がつきます。 意味のわからない言葉があるときは、子供に調べさせるよりもできるだけその場でお母さんやお父さんが教えてあげてください。辞書や図鑑で調べる練習は、その練習だけを独自にやっていく方が効果的です。長文の音読と調べる勉強を同時に行なおうとすると、時間がたっぷりとれる場合以外はどちらも中途半端になってしまいます。 長文音読は、小学校高学年の人にも中学生の人にも必要です。小中学生は、年齢的にまだ自分で計画を立てて勉強を進めていくことができません。長文音読などの自習は本人まかせにするのではなく、ときどきお母さんやお父さんがちゃんとやっているかどうかチェックしてあげてください。子供部屋で勉強するようにしている家庭も多いと思いますが、大人の人が見てあげないと、中学生のころまでは驚くほど能率の悪い勉強をしているものです。子供部屋で勉強をするほうがいいのは中学三年生以降になると思います。 長文音読のような勉強は、親自身が自分の子供時代にやったことがないので、子供に自習をさせるときにもあまり説得力なく言っている家庭が多いようです。「長文音読、したほうがいいんだって」「やだー」「そう……しょうがないわねえ。じゃ、そのうちやるのよ」「うん(^o^)」。 漢字の書き取りや計算ドリルは勉強らしさがあるので親も自信を持ってやらせることができ、子供も素直に従うのですが、長文音読や読書は自信を持ってすすめることのできる親が少ないようです。難しい本を子供に読ませるときにも長文を同じようなパターンになりがちです。「この本、難しいけど読んでみたら?」「やだー」「そう、しょうがないわねえ。じゃ、そのうち読むのよ」「うん(^o^)」 実は、長文を繰り返し音読することと難しい読書を毎日することは、漢字や計算の勉強をするよりもずっと子供の知性や精神を育てるのです。漢字や計算は、苦手にならない程度に毎日の習慣としてやっておけばよいというのが小中学生の勉強の目標です。 解く勉強ではなく読む勉強を 中学生や高校生の勉強の仕方を見ていると、むだなやり方によく出合います。その一つが問題を律義に解いていく勉強の仕方です。 確かに自分で手を使って書いてみるというのは大事なことです。頭で理解するだけでなく実際に書いてみることで、確実に記憶に定着するからです。しかし、手を使って解く作業はその分時間がかかります。ほとんどの勉強は、解かずに解答を読むことで理解していったほうが能率がいいのです。 たとえば、理科や社会の問題集は、解く前に自分で解答を問題集に書き込んで、その書き込まれた解答と問題をひとまとまりの参考書のように読んでいくという勉強の仕方をとることができます。解くことに時間をかけて一回だけ解いて終えるよりも、書き込んだ解答と問題をセットにして繰り返し読んだ方がずっと能率のよい勉強になります。 高校生の人には、志望校の過去問(過去の問題)を早くやるように毎年言っているのですが、ほとんどの生徒が毎年同じように年末になってから最後の仕上げとして過去問をやっています。その主な理由は、「今の実力ではまだあまり解けないから」です。過去問は、仕上げのためにやるのではなく出発点で方向を決めるためにやるのだということがわかっていない人が多いのです。予備校などでも、「過去問は年末にやればいい」と指導しているところがありますが、それは多分あまり早めに学校別に勉強をする人がいると指導しにくいからではないかと思います。 この過去問の勉強の仕方も、自分で解くのではなく、解答を先に書き込んで、問題と解答を一緒に読んでいくかたちでやっていくのがいいやり方です。腕試しではなく傾向を知るためにやるのですから、読む勉強としてやっていくのがいいのです。 今は昔に比べて参考書も問題集も豊富にあります。だからつい生徒のほうも、何冊もの参考書や問題集をそろえて、ひとつ終わるとすぐに別の新しい参考書や問題集に手を出すという勉強の仕方をしがちです。しかし、勉強は、いろいろなものを少しずつやるのではなく、ひとつのものを何度も繰り返してやることで定着します。 小中学生は、こういうことを理屈で説明しても、本人にまかせておくとすぐに元の能率の悪い勉強の仕方にもどってしまうようです。お母さんやお父さんが、子供の勉強の仕方をときどきチェックしてあげるとよいと思います。 7.4週は清書です(来週号) 7.4週は清書です。5月から6月にかけて書いた作文のうちでよかったものを清書します。また7.4週の長文をもとに国語の問題を出します。7.4週の長文をよく読んでおきましょう。
中学生になっても親のアドバイスは必要 幼稚園から小学校に変わったとたんに、「さあ、これからはもう1年生なんだから、自分で本を読みなさい」と読み聞かせをぷっつりやめてしまうお母さんがかなりいます。読み聞かせは、小学校の中学年のころまで続けていくもので、子供の成長に応じて徐々に自然に少なくなっていくものです。小学生になったとたんに読み聞かせをやめて、それから読書嫌いになったという子は意外と多いものです。 同じように、小学生から中学生に変わったとたんに、「さあ、これからはもう中学生なんだから、自分で勉強していきなさい」と、勉強のアドバイスをぷっつりやめてしまうお母さんやお父さんも多いようです。ついでに「困るのはあなたなんだからね」などという脅し文句をときどきつけることもあります(笑)。しかし、子供は徐々に、「他人に言われてやる姿勢」から「自分自身でやる姿勢」に移行していくものです。中学生になったからといって、すぐに自分のことは自分でやるというわけにはいきません。子供にうるさがられても、「長文音読と読書は毎日やるんだよ」と折りに触れて言ってあげてください。 年齢に応じた多読力を 読む力をつけるためには、多読と難読と復読の三つが必要です。 今回は、多読について。 国語の力のある子はだれも、子供時代の一時期、何かの本に熱中する経験をしています。この熱中する本は、大人の尺度で見ると必ずしもいい本ではありません。大人はつい、芥川竜之介とか宮沢賢治のような有名な本に熱中してほしいと子供に期待しますが、自身の経験をふりかえればわかるように、多読のきっかけになるのは、世間では評価の低い無名の本であることが多いものです。いい本を読むことは大切ですが、そこにこだわっていると、多読力をつけるということが忘れられてしまいます。 中学生・高校生で、ほとんど本を読まない子が増えていますが、この原因に、小学生時代に熱中するような本に出合わなかったことがあるようです。 それでは、どういう本が多読力をつけるのにふさわしい本かというと、ひとことで言えばおもしろい本です。 幼稚園のころは、漫画のような本がおもしろい本にあたります。いい絵本を与えることは大切ですが、いい絵本を薬のように毎日少しずつ読むのではなく、子供が自分から読むことに没頭できるような漫画のような本も並行して与えていくことが必要です。 しかし、小学生になっても漫画に熱中しているのをそのまま放置しておくと、読む力には逆にブレーキがかかります。年齢の低いときによい本が、年齢が上がってからもよい本であるとは限りません。成長に応じて、よい本も変わっていきます。小学校低中学年になってからは、漫画のような絵の多い本ではなく、字の多い本でおもしろい本を読むようにさせることが大切です。小学校低中学年のころに熱中する本としては、「かいけつゾロリ」や「らくだいにんじゃらんたろう」などのシリーズなどがあります。それぞれのページに、絵が半分、字が半分あるような本です。もちろん、こういうおもしろくて熱中できる本と並行して「世界ふしぎめぐり」のような良書を復読していくことが大切なことは言うまでもありません。 小学校中高学年で熱中できる本は、「ずっこけ三人組」のシリーズや、「名探偵夢水清志郎事件ノート(はやみねかおる)」のシリーズのような本です。「怪人二十面相」や「怪盗ルパン」のような推理小説に熱中する子も多いようです。いずれも会話の多いテンポの早い文章なので、読む力を深めるというよりも多読力をつけるために熱中できる本ということで読んでいくといいと思います。小学校中高学年のころは、学習漫画を読ませる家庭が多いと思いますが、学習漫画は知識をつけることに役立つだけで、長い文章を読むという多読力をつけることにはあまり役立ちません。逆に学習漫画ばかりを読んでいると、長い文章を読み通す根気がなくなってくるようです。子供は、本の外観に影響されます。それまで絵の多い活字の大きい本ばかりを読んでいた子は、初めて新書版サイズの活字の小さい本を見ると、それだけで読むことを敬遠してしまうようです。しかし、こういう小さい活字の本でもおもしろい本があるということがわかると、それからは抵抗がなくなります。 小学校高学年や中学生では、「極道君漫遊記(中村うさぎ)」のシリーズのような本が男の子たちに人気があります。これは、岩波文庫などと同じ文庫本のサイズなので、やはり初めて手にとるときは、本のサイズと活字の小ささに抵抗があるようです。一度読んでおもしろさがわかると、本のサイズに対する抵抗はなくなります。小学校高学年や中学生からは、これらのおもしろい本と並行して、大人が読むのと同じ本も読んでいかせるとよいと思います。お父さんが読んでいるビジネスの本なども、大人が読んでおもしろい本は子供にもそのおもしろさがわかります。 小中学生で、まだ漫画ばかりを読んでいるという子供も多いようですが、漫画を読みすぎると読解力が低下してきます。漫画とテレビとゲームは、親が制限をした範囲内で子供の自由にさせるというやり方がいいと思います。漫画に関しては、いつでも手の届くところに漫画が置いてあるという状況を作らないように、親が環境を整えてあげることが大切です。漫画はいくら読んでもいいが、一度読んだら二度目は読まずにすぐ捨てるというのがいちばんいいと思います。「スラムダンク」のような感動的な漫画で捨てるには忍びないというようなときは、ひもで縛って物置の奥にしまっておくといいでしょう。テレビは一日一時間、食事中は見ないと決めておくとよいと思います。ゲームは一日15分。日曜日などで時間がたくさんあって退屈なときは、読書を50ページしたらゲームを15分してもいいというように決めて、いくらでもやりたいだけやらせるようにするといいと思います。うちの中にいすぎるようでしたら、戸外で30分汗をかいて遊んできたら、うちの中で15分ゲームをしてもよいというふうに決めてもいいと思います。制限をはっきり決めてその中で子供の自由にするというやり方ですと、親も子供ものびのびとできます。反対に、制限を決めないで、いつでも「いいかげんにゲームやめなさい」「たまには本でも読みなさい」とそのつど注意するやり方ですと、親も子供もくたびれてしまいます。 読書で大事なことは、子供はくだらない本もいい本も両方読んで読書好きになっていくということです。漫画を全然読まずに、先生や親がすすめる良書だけを読んで読書好きになるという子はいません。しかし、子供の自由にまかせておけば、いつまでも低いところにとどまったままで、大学生になっても社会人になっても漫画を読みつづけていくでしょう。おもしろい本とためになる本を、バランスをとりながら読んでいくということが大事だと思います。 光る表現 ■ イルルさん(てや/小2)の作文より(もとばと先生/月日626)ひろせくんがなげたときひこうきみたいについらくするようになげて上を見ないと見えなかったです。評:とってもすごいボールだね。こわくなかった? ■ 文ちゃんさん(あすに/小3)の作文より(みち先生/月日616)わたしがはじめて一りんしゃにのったときは、ぜんぜんできませんでした。ふらふらとして、あぶらがきれたロボットのようでした。なんどもころんでひじやひざこぞうなどをけがしてしまいました。 ■ 瑞季さん(つろ/小4)の作文より(みち先生/月日618)さいしょは、わらっていたんだけどだんだんけがのこうみょうの意味がわかってきて何度もよみました。評、読書のみりょくを発見したね。楽しんで学んで「一石二鳥」ということだけど、この意味?なら来週はなしましょうね。 ■ 良貴さん(との/小5)の作文より(めもま先生/月日622)外国の文化を知ることは、大切なことだと思う。長い間あったその国のルールを知ることで、その国のことをより深く知ることができる。 ■ あおぞらさん(やわ/小5)の作文より(とも先生/月日701)(科学的態度を読んで)私も、ものを見る目をもっと育てて行きたいと思う。「使っている鍬は光る」ということわざがあるが、人間の頭ほど使って光るものはないであろう。私の頭を10倍光らせるため、「鉄は熱いうちに打て」と努力していこうと思う。…評:いくつかの似た話から導き出した主題。本当によく考えた主題ですね。ことわざの使い方も光ってます。(とも) ■ ユウッチさん(ちき/小6)の作文より(ミルクティ先生/月日702)とんかつ屋に行きメニューを見ていたらみそかつというのがあり、ぼくの近所のとんかつ屋にはない物だからたのんでみた。するとぼくの前にだされたのはとても大きいかつにみそがかかった物だった。(中略)あとでいとこに聞いたら、名古屋独特の料理だそうだ。みそは赤みその八ちょうみそだそうだ。所かわれば品かわるだなと思った。評:地域によって独自の食文化があって、思いがけない食べ物があるという例を、よく思いついたね。ことわざもバッチリ使えたね。 インターネットにパソコン作文を毎日掲載 インターネットの言葉の森のサイトに、パソコンで書いた作文を教室あてに送る郵便ポストを作りました。 これは、自分のメールアドレスがなくても送れるようになっていますから、インターネットにつながってさえいれば自宅からでもよその家からでも学校からでも送ることができます。 ここから送られた作文は、そのまま「自分のページ」と「その課題のページ」に掲載されるようになっていますので、自宅で、自分が書いた過去20件までの作文(20件まで表示するようにしています)を読むことができます。また、同じ学年のほかの人が書いた作文もそれぞれ20件までさかのぼって読むことができます。20件よりも前の作文や発言は別のページに行けば見られるようになっています。 通信で作文を書いていて、書きにくくなったときは、検索コーナーで課題の場所をさがして、同じ課題でほかの人がどのように書いているか読むと参考になると思います。 また、質問などもインターネットの質問コーナーや課題ごとの掲示板で随時受け付けていますので、わかりにくいことがありましたら、書き込んでください。 7月20日(月)はお休み(宿題7.3週)です(再) 7月20日はお休みですので、通信生の場合は先生からの電話はありません。通学生の場合は教室はお休みです。その分を自宅での宿題として書いてきましょう。自分ひとりで考えて書くのが書きにくいという人は、ほかの日にふりかえて教室に電話をするか教室に来てください。 言葉の森の夏休みの予定は、課題フォルダのうしろのほうにある予定表に書いてあります。夏休み、帰省や塾の夏期講習などで普段どおりの時間に勉強できない人は、できるだけほかの日やほかの時間にふりかえて勉強をしていってください。 夏休みの体験学習を受付中(再) 港南台教室で、夏休み中に、全4回の体験学習を行います。お友達やお知り合いの方にお知らせください。費用は教材費のみ1000円です。 訂正 7.2週の言葉の森新聞で「来週7.3週は……」のそれぞれの学年の週のところが7.2週になっていました。7.3週の誤りです。 7.1週の「山のたより」の進級賞の「あなたの点数」の点が違っていました。学年平均との比較の点数を載せるところを、その人の合計点数を載せてしまいました。点数が基準以上なのに進級していない人は、出席回数が少なかったためです。ご不審の点がありましたらご連絡ください。 土曜日の生徒で、5.4週の評価が入っていなかったために点数が低くなってしまった人がいましたが、新しい賞状をお渡ししました。 ファクス不通のおわび 6月23日(日)、ルーターの故障で、日曜日に一時ファクスが不通になりました。ファクスと留守電は毎日24時間稼動していますので、もし話し中以外でつながらないことがありましたら、教室までご連絡ください。 言葉の森のホームページの「俳句とクイズ」のコーナーに、「ことわざ・名言の加工」のページを作りました。このページは自宅のパソコンから自由に書き込むことができます。以下、その一部を紹介します。ことわざ・名言の加工ランキング(コメント付き)
第1位 ... 5 票... 犬もあるけば棒であたられる 第10位 ... 1 票... 経験は、最強の教師である 第10位 ... 1 票... 雑草とは、雑な草である |