http://www.mmjp.or.jp/shine/
1998年9月2週号 通算第585号(Yahoo!で"言葉の森"と検索してください)言葉の森新聞
住所 234横浜市港南区港南台4-7-29-A201 電話 0120-22-3987 ファクス 0120-72-3987 留守電 0120-64-3987
「山のたより」がホームページでも見られます
「山のたより」は現在、郵送で送っています。しかし、海外の生徒などには郵送できないので、ホームページ上で「山のたより」が読めるようにしています。このホームページ掲載の範囲を拡大し、9月から全員の「山のたより」をホームページで読めるようにしました。ただしプライバシー保護の点から、本人を特定するものは、名字・学年・生徒コード、ペンネームだけの表示にとどめます。住所・電話などはもちろん表示しません。
山のたよりのアドレスは、
http://www.mmjp.or.jp/shine/yama/indexyama.htmlです。9月から「山のたより」のスタイルが変わりました。これまで平均点で表わしていた自習や字数のランキングを合計点で表わすようにしました。また、評価の全項目にわたってランキングを出すようにしました。このランキングによって、自分の得意なところと苦手なところを把握し、これからの勉強に役立てていってください。
10月から作文の翌週返却を実施する予定です
現在、みなさんの作文は一ヶ月に一度まとめて返却しています。また、先生の講評は2週間後にみなさんの手元にとどくようになっています。
10月からこれを、毎週、翌週に返却作文と講評が手元にとどくようにしていく予定です。
これによって、より手応えのある勉強ができるようになると思います。
9.2週のヒント
小3・4年生 9.2週 「いたかったこと」
いたかったことを準備するというのはちょっとむずかしいですね。しかし、いたかった思い出というものは、わすれようとしてもわすれられないものがだれにもあります。この「いたみ」というのは、生き物が危険な目に合わないように神様が作ってくれたものなのかもしれません。
先生(森川林)も子供のころ、ジャンプして天井に頭がとどくかどうかイスにのってためしていたら、とどいたのはいいのですが「ゴツン!」ととどいて、目から火花が出た思い出があります。みなさんは、こんなことしないでね。
小5・6年生と中学1年生 9.2週 「川の道(感)」
夏休みに川遊びをした人も多いことでしょう。ふだんの街の生活では目にできないような大量の水がひとときも休まずに流れていくことに自然の大きさを感じた人も多かったと思います。川の流れている力を、昔の人は、動く道路として使っていました。川の力ということで似た話を探してくるといいでしょう。
先生(森川林)のうちの犬は川が好きで、キャンプなどで川に行くとすぐに飛び込んでしまいます。この前も、川に飛び込んだのはいいのですが、流れが急で川上に向かって懸命に泳いでもどんどん下流に流されるばかりでした。何しろ犬かきでしたから。その川岸には自動車ほどもある岩がごろごろころがっていました。大雨になると、こういう岩をころがしていくほど川の力は強いのでしょうね。
小5・6年生 9.2週 「ガッツがあるとか(感)」
自動車のハンドルにも人間の生活にも「遊び」や「余裕」が必要だというのが主題です。「ものをおいしく食べるにはおなかをすかせたらいい」というのは、経験したことのある人も多いことでしょう。大学へ入ったものの何をしたらよいかわからない幼稚な大学生というところは、お父さんやお母さんの会話で話題になることがあるかもしれませんね。
自動車のハンドルの遊びというのは、お父さんやお母さんに聞いてみましょう。ハンドルに遊びがないと、ちょっとハンドルを動かしただけで車が急カーブを切るようになってしまうのでかえって危ないのです。でも、逆に遊びがありすぎると、いくらハンドルを回しても車が曲がらない……あ、ハンドルがはずれていた、なんてことはありませんが。
中学生 9.2週 「何ごとぞ(感)」
お花見に行ったことのある人は多いでしょう。このお花見というのは、日本独特の風習です。筆者はここに「共通の対象を見ることによって成り立つ日本文化特有のコミュニケーションの方法」を見ています。え、せっかくの花見なんだからそんなに堅いことを言うなって。
一緒に同じものを見ることでコミュニケーションが成り立つという場面を似た話として思い出してみましょう。「同じ釜の飯を食った仲」という言葉がありますが、中学生の女の子は(男の子も?)よく一緒につれだってトイレに行くことがあるでしょう。あれも日本独特のコミュニケーションなのかもしれませんね。(ほんとかいな)
高校生・大学生・社会人 9.2週 「私はこの数年間テレビ(感)」
世界でもまれなほど自由が保障されている日本の言論環境と、それにも関わらず驚くほど画一化されているマスコミの商業主義的な報道というのがテーマです。ベマ・ギャルポ氏のこの短い文章の中に、日本のマスコミをめぐる問題点の本質がわかりやすく説明されています。
テレビの番組を見ていると、「どうしてこんなにくだらない番組をやっているのかなあ」と怒りたくなることがあるでしょう。なら、見るなって。品の悪い番組ほど人気があるというのは、作る人ばかりでなく見る人にも原因がありそうですね。
図書の返却は9月10日までに(再)
現在、貸出中の図書は9月10日までに返却してください。通信の人は学期の初めに返信封筒が送られていると思いますので、その封筒に入れて(一部開封です)郵便ポストにそのまま入れてください。返信用封筒が見つからない方はご連絡ください。
毎学期、締め切りが過ぎてから返却される図書が多数あります。特に中学生以上の人は、貸出図書が難しいものになっているために、期限内に読み切れない人も多いようですが、必ず返却期限内に教室に返却するようにしてください。
貸出図書の一覧表は、インターネットのホームページ「図書の森」に掲載しています。今後、この一覧表から自分の借りたい図書を自由に選べるようにしていきたいと思っています。
9.3週のヒント(予告)
小3・4年生 9.3週 「事件が起こったのは(感)」
狂犬病の予防注射が発明されたのは、今から百年前です。今では狂犬病で死ぬ人はほとんどいなくなりましたが、昔はとてもこわい病気だったのです。名前からしてこわそうでしょ。
パストゥールは少年の命を助けるために、それまでニワトリコレラなどで実験していた予防注射を初めて人間に試してみました。それにしても、必ず死ぬと言われている狂犬病のウィルスを人間に注射するときは不安だったでしょうね。
似た話は、予防注射の話。自分だけで似た話を思い出すのはむずかしいと思うので、お母さんやお父さんに、自分がこれまでどんな予防注射をしたか聞いてみるといいでしょう。
小5・6年生と中学1年生 9.3週 「おまいりの道(感)」
船橋(ふなばし)というのは船で作った橋という意味です。将軍が江戸から日光に行くとき、途中の川を渡るために船をならべて、はば十五メートルの橋を作ったというのです。いなばの白ウサギがワニの背中を渡ったというのとは、だいぶ規模が違いますね。いちばんさかんなときには、行列の馬の数だけでも三十五万頭だったというのですから、どれほど盛大なおまいりだったか想像できるでしょう。似た話を見つけにくいときは、「もし、私がその時代に生きていたら……」と想像した話で書いてみましょう。
小5・6年生 9.3週 「先日、日本産のトキの絶滅が(感)」
(11行目にミスプリントがあります。正しくは、「イリオモテヤマネコなど」です)
ロスアンゼルスでは、カマキリをつかまえることが禁止されています。数が少なくなったのでカマキリが絶滅しないようにしているのです。「えー、うっそー」と思わず言ってしまいそうな話ですね。でも、日本でも、カマキリ以外のほかの虫や鳥や生き物で、昔に比べて数が激減しているものがあります。
お父さんやお母さんに、昔と今とで身近に見られる虫の種類がどんなにちがってきたか聞いてみましょう。お父さんなどは、「昔は、オニヤンマもいたし、コウモリもいたし……」と、いろいろな話をしてくれると思います。
中学生 9.3週 「衰弱したアイデンティティの(感)」
他者から位置づけられた「わたし」というものが確認できないとき、人は自分の存在の同一性を皮膚感覚の境界で回復しようとする、という話です。中学生は、この長文は少なくとも五回は読んでこないと、似た話を見つけて書くというのはむずかしいと思います。よく読んできてね。
高校生・大学生・社会人 9.3週 「先進国の後を(感)」
(最後の行にミスプリントがあります。正しくは、「中谷巌著『日本経済の歴史的転換』」です。
知識偏重の画一的な教育が、これからの時代に合わなくなっているという指摘です。みなさんの小中学校のころを思い出してみましょう。画一性というのは、日本のこれまでの教育の美点でしたが、それが今、生徒の自由な創造性を抑制するようになっています。
ロープ結びの原理
夏休み、田舎に遊びに行ったついでに、ロープでハンモックを作ろうと思い、直径12ミリの30メートルロープを持っていき、本を読みながら結び方を覚えていました。
ロープの結び方の中で、引越しなどの大きい荷物を車に固定するようなときに使う結び方があります。弱い力で強い結び方ができるということで、仕事などで使っている方も多いと思います。
この結び方が不思議だったので、知人に、「どうして、ああいうふうに強い力で結べるのかなあ」と聞いたら、「それは滑車の原理で、二倍の力が出るためには二倍の長さ余分にロープが動いているんだと思うよ」ということでした。なるほど原理がわかっている人は強い。そこで考えてみると、滑車の原理ならば結び方を工夫すれば同じロープで二倍どころか四倍でも八倍でも強い力が出せることに気がつきました。これなら、一人の人間がロープ一本で重いゾウを持ち上げるようなことも可能です。
以前、東北地方の縄文遺跡に見にいったとき、ふたかかえほどもある大木を組み合わせて二階建てほどの高さのヤグラが作られているのを見て驚きましたが、今考えてみると、あれは縄文時代人がこの滑車の原理を応用して作ったのではないかと思い至りました。
私たちはともすればすぐに役に立つ技術を身につけてそれで満足してしまいがちですが、その技術のもとになる原理を知ることが大切だということを深く実感したロープ結びでした。