http://www.mori7.com/ 1999年7月2週号 通算第624号 mori7@mori7.com

言葉の森新聞

文責 中根克明(森川林)

  7.3週は小学1・2・3年生も感想文

 来週7.3週は、小学1・2・3年生も感想文の練習をします。長文を何度も音読し、すらすらと読めるようにしておきましょう。できれば、この長文と似た話を考えてきましょう。ひとりで考えるのはむずかしいので、お父さんやお母さんに、似た話がないかどうか聞いてみるといいでしょう。

  7.2週のヒント

 小学1、2年生 自由な題名

 小学3年生 ないしょの話

 だれにもまだ言っていない内緒(ないしょ)の話を書いてみましょう。お父さんやお母さんに、子供のころの内緒の話を聞いてみると、作文に広がりが出てくると思います。

 小学4年生 巳之(みの)さん、これが電気だ(感想文)

 最初に、長文のはじめ・なか・おわりから一文ずつ、合計三文の抜き書きをしましょう。この三文抜き書きは行を続けて書いていっていいです。抜き書きのあと、段落を変えて似た話や想像した話を書いてみましょう。似た話は、(1)新しいものが出てきたために古いものの出番がなくなること、(2)自分の失敗をほかの人のせいにしたくなること、などから考えてみるといいと思います。

 書き方の流れは、次のような感じで。→「(三文抜き書きのあと)この話を読んでいちばんおもしろかったのは電線をキツネやタヌキが伝わってくると言ったところです。ぼくも、友達が新しいゲームの機械を買って自慢しているのを聞いて『でも、カラーの画面は電池がすぐなくなるんだぞ』と負け惜しみを言ったことがあります。すると……。もし、ぼくがそのときの巳之助だったら、たぶん……。ぼくは、おとうさんに『ランプって知ってる』と聞いてみました。すると、おとうさんは田舎の家の話をしてくれました。それは……。ぼくは、この話を読んで……と思いました。」

 感想文は最初はむずかしいので、字数は短くてもかまいません。長く上手に書くことよりも、「いちばん……なのは→もし……だったら→……と思いました」のような流れで最後まで書き上げることを目標にしていきましょう。

 小学5年生 そこをなんとか(感想文)

 むずかしい字がたくさんあって、読みにくい長文です。家でお母さんやお父さんに読み方を聞きながら、ふりがなをつけずに読めるようにしておきましょう。

 日本人は、はっきりと「イエス・ノー」を言わずに、あいまいに返事をすることが多いという話です。みなさんも、道で友達に会ったときに、「どこに行くの?」「うん、ちょっとね」「あ、そう」などという会話をしたことがあるでしょう。

 また、日本の絵画などは、余白を残しているものが多く、その余白を見る人の想像にまかせています。言葉でも「説明しきらない」、絵でも「描ききらない」というのが日本文化の特徴です。

 小学6年生 こうしてケーキミックスは(感想文)

要約:アメリカでヒットしたケーキミックスを日本でも売るために、炊飯器を利用した作り方を開発した。しかしケーキミックスは日本では売れなかった。調査したところ、炊飯器にバニラやチョコレートを入れるということに抵抗があったことがわかった。日本文化の中では、白米を炊くことは特別の価値を持っている。

似た例:パンやラーメンやスパゲッティなどがどんなに普及しても、やはりふだんの食事の中心はご飯です。家庭によっては、「ご飯粒は一粒も残さずに食べなさい」と言われているところもあるでしょう。白米は、日本の社会ではほかの食物とは違う重みを持っているという例です。

感想:「白米とは……」「日本人は……」と大きく考えて書きましょう。または、「文化というものは、理屈を超えた力を持っていて、人間の行動に影響を及ぼす」というふうに考えてもよいと思います。

ことわざ:「40、腐っても……」「130、三つ子の魂……」などが使えそうですね。

 中学1年生 最近と言っても(感想文)

 外国文化に対する憧れというものは、今でも根強くあります。それは、欧米に追いつくことを目標にした明治以来の日本人の考えが今でも連綿と生きつづけているからでしょう。しかし、外国文化のまねをする言っても、鼻の穴に骨をさしたり、たき火の周りを槍を持って踊ったりするような外国文化ではなく、西洋の外国文化に限られているということが特徴です。

 ファーストフードで、「チーズバーガーをひとつ、持ちかえりたいんですけど……」と注文すると、店員は「テイクアウトで、ワン、チーズバーガー」なんて言うでしょう。カタカナで言った方が、外国から来た食べ物はおいしそうな気がするからです(ほんとかいな)。

 しかし、日本人がこのように一方で西洋文化を貪欲に吸収しながら、他方で日本文化をしっかり守っているということが、ほかの国の人から見ると不思議に映るようです。西郷隆盛は外では洋服と靴でしたが、うちの中では和服と下駄で暮らしていました。私たちも外ではハンバーガーを歩きながら食べるようなことをしていても、うちの中では靴を脱いでこたつにはいって朝ご飯は味噌汁と納豆でというような生活をしていると思います。

 このように、日本文化がその独自性を守りながら外国文化を吸収する際に役立ったもののひとつが、漢字の持つ造語力だったということです。

 社会実例は、こんなふうに。「チルチルとミチルが探しにいった青い鳥は、自分のうちにいた。私たちもいたずらに外国に理想を求めるのではなく、自国のよさを見直してみることが必要なのではないか」。

 名言は、どういう意見を書くかによって決まってきます。書きやすい対比は「自国の文化を大切にすることと他国の文化を学ぶこと」でしょう。「27、自国に対する賞賛が他国に対する軽蔑によって支えられているのであってはならない」などが使えそうですが、できるだけ自分で探してみましょう。

 中学2年生 ただひとつ留意しなくては(感想文)

(1)日本では、犬をワンワンと呼ぶように赤ちゃん言葉が多い。

(2)フランスでは、赤ちゃん言葉はほとんどない。

(3)日本では家族の呼び方についても子供中心である。

(4)日本式の文化は、日本の子供の性格形成に大きな役割を果たしていると思われる。

意見:子供中心の日本文化のよい面を書いていこう。反対理解は、日本人の「甘え」の原因になっている面もあるというところで考えられるかな。

名言:「62、人はその制服のとおりの人間になる」。つまり、家族みんなから「おばあちゃん、おばあちゃん」と呼ばれていると、だんだんおばあちゃんらしくなる。子供にとっても、子供中心の文化は、子供の性格形成に大きな影響を及ぼしそう。「21、子供は大人を小さくしたものではなく……」。つまり、フランスなどでは、子供を一種の小さな大人として扱うが、日本では、子供は大人と違う子供として扱う、というふうにも考えられる。自立心が育ちにくいというマイナス面はあるけど、その分、幸福な子供時代を送れそうだね。

 中学3年生 生きることは学ぶことであり(感想文)

 「創造とはマッシュルームのようなものだ」という例がわかりやすいですね。キノコは根の発達が妨害されると、胞子という種子を作ります。人間も、困難に直面してなんとかそれを乗り越えようとするときに創造性を発揮するのでしょう。「窮すれば通ず」ということです。

 体験実例とともに、織田信長の桶狭間の戦いのような伝記の実例を探してみましょう。

 高校1年生 最近のいじめの例では(感想文)

 いじめは昔からありました。しかし、昔のいじめは、年長者が年少者に手加減をする中でのいじめで、人間関係を学ぶための子供文化のひとつという面も持っていました。しかし、世代関係がなくなるにつれていじめは役割として固定化するようになりつつあるようです。また、競争や攻撃性をタテマエとして排除することが、かえっていじめをなくしにくくしているようです。

 今の学校や社会は、競争や差別を無理に否定しようとしているところがあります。タテマエとしては競争を否定し、実際には受験競争という単純な競争が子供たちの生活を支配しています。勉強も含めていろいろな競争がもっとオープンに行われることが健全な社会の条件なのかもしれません。

 高校2年生 大昔、この列島は(感想文)

 現代の住まいは通風も日当たりもよくなっていますが、田舎などの古い家に行くと、家の中まで日が入らない暗い建物が残っています。また、神社などは、今でもうっそうとした大木に囲まれています。こういう原生林の暗い湿った風土が、日本人の祖先が持っていたふるさとのイメージなのかもしれません。みなさんも、洋風の建物で明るい広い部屋でイスに座っているよりも、たんすに囲まれた狭い部屋でこたつに入ってミカンを食べている方が気分が落ち着くという経験があるでしょう。古くさいと思われるものの中にも、大事なものが残っているのかもしれません。

 高校3年生 一九七九年一月一日から(感想文)

 点数で評価されることによって励みが出たり目標ができたりするという面もありますが、逆に点数自体が目的のようになってしまうこともあります。自分の体験も入れながら、今日の社会の問題として考えていきましょう。点数をつけることの弊害、点数をつけないことの弊害、どちらからも問題を考えられると思います。

  ミスプリント

7月1週号で梅棹忠男氏となっていたのは梅棹忠夫氏の誤りです。直したつもりで印刷してしまいました。

  光る表現コーナー 1999年7月2週号

まほうつかいさん(とみ/小3)の作文より(洋子先生/6.2週)

 雨が四時間目ぐらいから小ぶりになってきました。朝の七時ぐらいからはれてくれていたら一時間目のプ−ルに入れたのに———省略———評:楽しみにしていた体育の時間だったのでしょう。雨でプ−ルに入れなくてがっかりでしたね。裕美ちゃんの残念な気持ちがよく現われていました。

加恵さん(られ/小3)の作文より(あかね先生/6.3週)

 (わたり鳥の話を読んで)だからわたしは、鳥より人間の方がすきです。でも、鳥は、自分の育ちかたのほうがいいのかもしれません。(評)鳥の気持ちになって、よくそうぞうできたね。だれでも自分のやり方がいちばんいいと思っているものだよね・・。

早織さん(あこて/小4)の作文より(みち先生/6.2週)

 すごくあつい日には、雨はさいこうだとおもいます。評:しおれた植物がピーンと生き返るように、さおりちゃんも元気になるようすが思い浮かびますね。

祥太郎さん(あはへ/小4)の作文より(かつみ先生/6.3週)

 人げんは、中が、つまっているので、人は、ひこうにはむいていないのです。 評:そうか、中身がいっぱいだから、空をたとべないんだね。

ゼニガメさん(あひろ/小4)の作文より(ももんが先生/6.3週)

 モスバーガーの屋根の所に巣があって、そこにひながいました。ときどき親がやってきて、きたかと思うとすぐにどこかに行ってしまいました。評:よく観察して、親つばめのようすが書けています。こんな風にすなおな気持ちで自然を見つめると、私たちの周りには、ふだんは気づかないおもしろい発見がたくさんありますね

侑公子さん(あふえ/小4)の作文より(ももんが先生/6.3週)

 どこにもたびをしない鳥はかわいそうだと思いました。私が鳥だったら、どこにでも飛んで行きます。評:こんな風に「もし私が〜だったら...」と考えていくとイメージの世界が広がっていきますね。

丈史さん(すふ/小4)の作文より(あかね先生/6.3週)

 (鳥の話を読んで)もし、鳥だったらべんきょうなどをしなくてすみます。(評)するどいいけんだね。(^^;

大典さん(せと/小4)の作文より(もとばと先生/6.3週)

 まるでわたりどりの旅は3、4日続くからしけんのようです。評:試験のような旅がおわると、旅先でひとやすみできますね。

ちっピーさん(ちこ/小4)の作文より(ミルクティ先生/6.1週)

 でも、休みの日は、ほとんどコンピュータであそんでいます。お父さんは、まるで、コンピュータにひっつくじ石です。だから、あそんでもらえなくて、ちょっと、がっかりします。<評>大好きなお父さんだから、知里ちゃんにくっつく磁石(じしゃく)になってくれるといいのにね。

康平さん(てい/小4)の作文より(スズラン先生/6.2週)

 ぼくは、雨の日はきらいです。なぜかというと、外で遊べないからです。それに、じとじとしているし、雨が体につくとなんかいやだからです。雨の時さすかさも、めんどうです。評:雨の日はいやだなぁ、こまるなぁと、同じ気持ちになりました。ぼくがわたり鳥だったら、ほかの、すずめやからすに、旅というおもしろさや大変さを知ってもらうように話をしてみたいです。まるで、昔の人が、聖書を知らせるみたいに。評:どこにも旅をしない鳥に、いろいろ教えてあげたいという気持ち、良くわかりますよ。世界中を歩いていた宣教師の人を思い浮かべたのですね。上手なたとえでしたね。

コナンさん(あえた/小5)の作文より(洋子先生/6.3週)

 同じ人間でも聴覚の差は、かなり大きいものであるということがわかった。評:そうですね。例えば御隣のピアノの音がある人には、心地よい音にきこえたりまたあるひとには、ただのうるさい騒音にしかきこえないこともありますね。

信長さん(あえほ/小5)の作文より(かつみ先生/6.3週)

 僕はこの言葉に一瞬拍子抜けしてしまった。 評:拍子抜けしてしまった……その場の雰囲気にあった、良い表現を選んだね。

 

 

友紀さん(あおる/小5)の作文より(ゆり先生/6.3週)

 (水を飲もうと)じゃ口に手をかけたとたん、うす緑色の虫が、かれ葉の中から出てきたのだ。——そうそれはまさしくきのう見たアオマツムシだった。評:実際にアオマツムシを見たときのことを、ワクワクするように書けたね。

美和さん(あきき/小5)の作文より(スズラン先生/6.3週)

 私は、知識がなくては、見たり聞いたりしても、なにもかも意味不明の状態になることがわかった。評:知識にとらわれ過ぎても考えが狭くなってしまうことがありますが、まず、知識をもっていなくては判断ができないということがありますものね。

ひろりんさん(あしゆ/小5)の作文より(ふじのみや先生/6.1週)

 ふつうの主婦としては通信ぼで3だけど勉強では5だ。評:主婦を3できれば上等です。大きくなったらわかる、か、な? 勉強でたよりになってくれるのはうれしいことですね。

なりあきさん(あそき/小5)の作文より(とも先生/6.3週)

 ぼくのグループは1位だった。うれしかったけれど、まさか1位になるとは思わなかった。・・・思いがけず1位になってうれしさとおどろきが伝わってくるね。

ミッキーさん(けく/小5)の作文より(かつみ先生/6.3週)

 私は、[ゾウでもすえないのじゃないか。]と思うほどの涙を目にして、血に、そまったような赤い目になりました。 評:うーーん。なるほどねえ。こういう書き方もできるんだね。おもしろい!!

慶一さん(ねる/小5)の作文より(洋子先生/6.3週)

 夏休み父の実家の大分にいったとき、おじいさんがアオマツムシを捕まえて飼うことにしました。夜寝るとき「ガタガタ」という感じのうるさい音が聞こえたので、なかなか眠れませんでした。評:大分のおじいちゃんのほうには、アオマツミシがたくさんいるのでしょうね。よいおはなしがおもいだせてよかったね。

ミッチーさん(あこは/小6)の作文より(ミルクティ先生/6.2週)

 学校でもリサイクルをしている。アルミ缶を集めて、お金にかえそれで車椅子を買おうという計画を立て、実行してきた。今年ようやく一台購入することができて近くの施設にあげた。そして、とても喜ばれた。アルミ缶を何千いや何万個も集めた。臭くて、汚くてつぶすのも大変で、面倒でいやだなあと思ったが、大勢の友達と協力し合って最後までがんばった。リサイクルというのは簡単だが実行するのは難しい。<評>体験実例がくわしく書かれているので、その後の意見に説得力がありますね。

しおりさん(あそと/小6)の作文より(ふじのみや先生/6.2週)

 物というのは、資源をありがたく頂だいするのであって、決して人間が作り出したのではないのだ。評:机も、えんぴつも、ノートも、もとは自然の中に生きていた「木」だったのだ、ということを、ふと、感じさせる表現です。

ユータンさん(あとへ/小6)の作文より(とも先生/6.2週)

 (日本とインドをくらべて)今の日本はどこへいっても工業がいっぱいある。そのかわり自然がすくない。でもたぶん、インドは逆だと思う。・・・日本人は物を大切にしない上に、自然まで大切にしていないんだね。こまったもんだ。

はるるさん(くあ/小6)の作文より(みち先生/6.2週)

 浪費とは、人間にあるべきものなのだと思う。評:心にうるおいや生活にゆとりを求めるのは人間の自然な姿です。度をこすことが問題ですね。自分の意見が書けましたね。

沙季子さん(てあ/小6)の作文より(スズラン先生/6.2週)

 新しい物ができた、などと言っても、それにまどわされず使いこなすことが、一流の物持ちといえるのではないだろうか。評:どんな物でも、浪費につながる使い方はしたくないですね。

魔法使いさん(あちほ/中1)の作文より(スズラン先生/6.3週)

 比喩というのは、ほかの人にはできない表現を、自分なりに表現するという役目を背負っている。そして、何より私達の性格や、心の豊かさを伝えることのできるものだと思う。評:自分の感性の表現ということですね。

アッポさん(うえ/中3)の作文より(スズラン先生/6.2週)

 まず、自分の見方で物事をみることが大切である。自分の感じたことが、人と違っていても良いのである。人と違っていて当たりまえであるし、違っていてこそ、感じ取ったことに意味が出てくるのだ。評:他の人と違う感じ方や、違う意見になっても、お互いに認め合うことが大切なのですね。

パリパリさん(にみ/中1)の作文より(スズラン先生/6.2週)

 「直感」はたった二文字で書けてしまうけれども、この世に一つしかないのだ。ある人と、ある人が感じたことが似ていたとしても、その二人の直感は違うはずだ。・・略・・自分の意見をしっかり持って、もっと自分らしく輝いていこうと思う。評:他の人の意見を尊重しながらも、自分の考えをしっかり持っていたいという気持ちが伝わります。

TERUさん(ふり/中1)の作文より(かつみ先生/6.2週)

 「比喩」は人間にとってとても良い事だ。でも「すべてに効くという薬は、何にもたいして効かない」というようにいつでも使えるわけではない。時と場合によって使い分けるのである。これからも「比喩」を使って言葉の楽しみをしたいなと思う。 評:言葉の楽しみ、という言葉と、「すべてに効く〜」の引用がいいね。

 ……何度でも打ちあげよう 雲の上にのせるように 評:雲の上という比喩もいいよね。

 「ここはウサギが踊っているように楽しく!」 評:ソソラソラソラうさぎのダンス…という曲を思い出しました。楽しそうだね。

 あまり使いすぎると自分はどう感じたのかわからなくなってしまう。五年生の時に作文であまりにも「比喩」を使ってしまったので、先生に注意されたのだ。 評:なるほど、その通りだよね。自分の具体例を出すことで、説得力のある文になっているね。

哲也さん(くさ/中2)の作文より(ふじのみや先生/6.2週)

 いくら百回だろうが、千回だろうが聞いたとしても、知識が頭の中にあればあるほど、素直な直感というものが得られなくなる。一度でもいいから一番最初に見るということを先行させて、そこから得る直感を大切に保護し、また、他人の声にも耳を傾け・・評:体験から、具体的な方法を導いて示すことができています。

たこ星人さん(こむ/中2)の作文より(まや先生/6.2週)

 さて、ここで「この作文を書いたのは夏目漱石だ。」と聞いたらこの作文は皆の目に光って見えるだろう。(略)この作文を書いたのは、夏目漱石だという先入観にとらわれず、この作文をじっくり読んでみましょう。〔評:『見テ 知リソ 知リテ ナ見ソ』について書いた長文を読んでの感想です。ユーモア表現賞を差し上げます。(個人的に)〕

優丞さん(えぬ/中3)の作文より(洋子先生/6.3週)

 比喩をつかうとどのくらい物事がわかりやすくなってくるだろうか。例えば、いま起きているコソボ紛争の難民キャンプで、24,510個のテントが,張られていますといわれても余り良くわからないだろう。しかし、ここで比喩を使えば、周りを埋め尽くすほどのテントと言われればわかりやすくなる。評:タイムリ−な例をあげて、比喩とデ−タ−の効果的な使い方の工夫に着目したところは、さすが中学生ですね。

がっちゃんさん(てな/中3)の作文より(ふじのみや先生/6.3週)

 自分が見たことを例えて人に伝える時には、自分が感じた例え方をする。しかし、他の人が見たら別の感じ方をして、別の例え方をする。だから、例えることが=理解には発展しないときもある。評:ひとりよがりの例えで、聞いている人の目をてん(これも例え)にしないことが大切ですね。

さやかさん(あおべ/高1)の作文より(ひまわり先生/6.1週)

 過去の過ちから、沢山のことを学び、これからの未来を切り開いていかなければ、平和な未来は作り出せないと思う。(評)現実問題をきちんと押さえていますね。

弥悠樹さん(おて/高2)の作文より(ミルクティ先生/6.1週)

 今の人には現状維持で十分だという考えが根底にあるのだろう。しかし、その考えこそが甘えであり、乗り越えねばならない壁となっているのではないか。<評>「●社会問題の主題」を、未来のビジョンを持たず、事なかれ主義に逃避している現代人の意識に問題があると捉えて書いた文章です。

仁彦さん(ふえ/高3)の作文より(ミルクティ先生/6.1週)

 ナイフ犯罪が起こる原因は、ナイフ所持などといった表面的な物ではなく、「キレる」という現象の原因にもなる精神的耐性のなさなどといった内面的な問題ではないだろうか。(略)少年のナイフ事件を防止するには、ナイフを持たせないというような表面だけの対策ではなく、内側からの対策が必要だ。具体的には、学校で先生と生徒が話し合う時間を取ったり、家では子供と親が話し合ったりするということだ。コミュニケーションを取ることが一番の対策だと私は思う。<評>『私の描く未来の社会』というテーマで、少年犯罪に焦点を当てて、その対策を論じた部分。原因の分析と対策案が見事です。

 

 

和香さん(あにほ/小2)の作文より(ゆり先生/6.3週)

 六月の二六日と、二七日がたのしみというわけは、一年に一どだけ、みんなとあえるからです。評:「一年に一ど」なんて、たなばたのおりひめさまとひこぼしさまみたいでロマンチックだねえ。

健介さん(あねみ/小2)の作文より(はるな先生/6.3週)

 次の日に、おじいちゃんがぼくのおよぎがみたい、といって、大体56メートルぐらいのプールをみんなおよいでみせました。そうしたら、おじいちゃんが、「うまくできたね」といいました。・・・・・そうして、何分かして、お父さんが「かえるよ」といったとき、プールに「さよなら」を心の中でいってかえりました。講評;かいぞくせんをみたあと、かえりぎわに、吉田君がプールにおわかれをいったところの描写(びょうしゃ)が、とてもよくかけていました。プールのできごとが、よほど、楽しかったのでしょうね。

しょうたさん(あたの/小3)の作文より(もとばと先生/6.3週)

 ぼくが鳥だったら、アメリカやフランスに行って、おいしいものをとって食べて、空をとんで雲をさわったり、ひこうきと、おいかけっこしたいです。評:とってもじゅうじつしたせいかつになりますね。

デジモンさん(てつ/小3)の作文より(ミルクティ先生/5.3週)

 『アリのす』(アリがにげたのを見て)ぼくは、こどもがいるからはやくにげなきゃつかまえられるとおもって、にげたんだとおもいました。もし、ぼくがアリでもそういうふうに、にげています。<評>アリの気持ちを考えてみたんだね。こういうふうに「相手の思ったこと」を考えてみると、いろいろな感想が書けるね。

けろっぴさん(あちえ/小4)の作文より(ゆり先生/6.3週)

 もし、たんぽぽのわた毛に羽がついていたら、それこそパラシュートのようなものはいらないでしょう。なぜなら、わた毛自身で飛ぶことができるからです。大空を自由に飛びまわる鳥のように、です。評:「たんぽぽに羽があったら」とは、おもしろい発想だね。人間にも羽があったら、自由に飛べて気もちがいいだろうね。

ゆうちゃんさん(あにみ/小4)の作文より(ゆり先生/6.3週)

 ぼくがもしも、わたり鳥だったら、夏は、すずしいカナダへ、冬は暖かいハワイに行ってすごしたいと思います。しかし、よく考えてみると、ヒコーキに乗らずに暖かい南の国やすずしい北の国に行くのは、困難です。わたり鳥悠平君は、動物園にもらわれることをえらぶかもしれません。それなら三食昼ね付きで、たまに、子供に芸を見せればいいのです。評:おもしろいことを考えるなあ。たしかに動物園にいる方がラクかもね・・

蘭子さん(あのし/小4)の作文より(スピカ先生/6.3週)

 (渡り鳥の話を読んで)船や飛行機で行くのではなく、自分のつばさで行くんだからすごいと思いました。(略)わたしは、どうして出発する時間などそろうのかなと思いました。時計なんかしていないのにどうしてそろって出発できるのかふしぎに思いました。 評:渡り鳥についてのおどろきやふしぎに思ったことを、自分の言葉で、とても素直に表現できたね。

すぎメカさん(あのも/小4)の作文より(みきこ先生/6.3週)

 ともだちがすをこわそうとしていると、おもわず「やめろよ」「たたりが出るぜ」とかいってすを守っていきました。(評):文章もすてきですが、その時の匠くんの気持ちがこの中につまっているような気がします。

悠さん(すゆ/小4)の作文より(はるな先生/6.3週)

 わたしだったら、どんな名前をつけようかな? と、かんがえました。お母さんは「ヤンヤンというなまえだから、ヤンヤヤだといいかな」といいました。ヤンヤヤとは、ヤンヤンの赤ちゃんという意味です。 講評;人口孵化(ふか)でトキの赤ちゃんがうまれて、1ヶ月たちましたね。あなたが、おかあさんといっしょに、そのトキのなまえを、あれこれと、知恵をしぼって、かんがえていることが、よく書き表わせました。「ヤンヤヤ」って、本当にかわいらしく、分かりやすいいいなまえだなー、と感心しました。無事に成長して、大きくなったら、絶滅しかけたトキの仲間をどんどん、ふやしていってほしいものですね。

コナンさん(あえた/小5)の作文より(洋子先生/6.4週)

 今まで、私は、すごく母にたすけてもらっていた。灯台もと暗しでいままで母のことをこんな人だと考えたことなんてなかったけれど、この作文を書いてあらためて私は,母がいるということはうれしいことだということがわかった。評:老いてきて何かと手のかかるおばあさんやまだ小さい弟さんのお世話から多忙なお父さんの分まで、あなたのおかあさんは、超忙しそうですね。でもそのような状況のなかでも時間を見つけ出して、遊びや、勉強に付き合って下さっている様子がとても作文から読み取れました。作文を書くことで素晴らしいお母さんをあらためてみ直したコナンちゃんの正直な感想がよく出ていますね。