KotobanomoriNo.732

言葉の森新聞

2001年10月3週号

文責 中根克明(森川林)

  家庭学習の大切さ(言葉の森新聞の読者の声より)

 言葉の森オンラインマガジンの読者の方から、メールでのお便りをいただきました。

 家庭での学習についてきわめて示唆に富んだ内容でしたので、多くの方にご紹介したいと思い転載の許可をいただきました。

 初めてメールをします。

 お子さんの読書や作文などの国語の力をどのようにつけるかで、いろいろな保護者の方から質問があるようですね。

 僭越ですが、我が家の場合をお知らせしたくなり、一文差し上げました。

 以前、「見える学力、見えない学力」を推薦されていました。懐かしく思うとともに、我が家の少なくとも10年間を思い返しました。

 わたくしは、公立中学校に勤務する国語教師です。わたくしは結婚する前からこの本を知っており、自分の生徒や保護者に紹介・販売までして薦めていました。教師をしていて、納得できたからです。もう20年以上前のことです。

 わたくし自身、自分の子どもを持ってから、この本を教科書に、子どもの学力をつけるべく、妻と二人三脚で子育てをしてきました。

 3人の子どもは、現在それぞれ大学、高校に進んでいます。一度も塾や家庭教師の世話にならず、自分で勉強をして希望の学校に進学しました。長男は、地元の(近所の)ごく普通の公立高校から後期試験で一橋大学に進みました。残念ながら前期志望の東大文一は不合格になりましたが、センターでは734点を取り、慶應の法学部には面接だけで合格しました。特に東大向けに特別の勉強をしてきたわけではなかったので、よくここまでがんばれたものと思いました。中学ではたいして勉強もせずにトップクラスを続けたものの、高校では塾で勉強してきた生徒たちには最初のうちはかなわず、一年生の時は学年中位の成績でしたが、こつこつ勉強を始め、二年生の終わりには学年3位以内に常時位置するようになりました。また、卒業時には実力テストで学年トップになっていました。美術部の部長をしたり体育会の委員をしたりで高校生活も楽しんでいました。全国実力テストの結果も偏差値53から70を越えるようになり、東大模試では全国56位になったこともありました。もともとわたくしたち夫婦は、息子が九州大学に入ってくれたら夢のようだと話し合っていただけに大いに驚きました。わたくしは家庭にいるときは普通の父親ですから、一度も勉強を見てやったことはありません。また、勉強に関しては、プレッシャーをかけるようなことは極力しないようにしてきました。

 わたくしたち夫婦がしてきたことは、

1 絵本の読み聞かせを毎晩したこと

2 いっしょによく歌を歌ったこと

3 誕生日や家庭の行事はささやかでも大切にしたこと

その際、字が書けるようになったら「式次第」をつくらせたこと

4 ラジオでよく落語や朗読をかけていたこと

5 幼い頃はよく外遊び(公園 空き地 草むら 川 海 など)に連れて行ったこと

6 外出するときは かならず水筒にお茶を用意していったこと(ジュースなどは買わなかった)

7 弁当は手作り

8 赤ちゃんの時は おむつは夫婦で縫ったものを3人とも使って紙おむつは使わなかったこと

9 テレビを置かなかったこと(現在はあります)

 塾や家庭教師に頼らないでも勉強に困らない子どもにしよう。読書の好きな子にしよう。夜は家族がみんな家にいる、文化のある家庭にしよう。子どもの自由時間を大切にしてやろう。子どもの健康を大切にしよう。こういうことを妻と話し合いながら子育てをしてきたように思います。

 下の二人の娘たちもそれぞれ、勉強だけに汲々せずに高校で自分の進路を探しています。3人とも、作文好きだとは言いませんが、読書感想文や学校の課題作文などには、なんどか選出されたり表彰されたりもしました。

 一橋の入試で大江健三郎著「あいまいな日本の私」について一部を読み小論文を書く問題がありましたが、以前、岩波新書の同著を読むように薦めて購入し与えていたので、長男は「全体を知っていたので安心して書くことができた」と言っていました。また、慶應の面接では、最近の読書を聞かれ、好きな加藤周一で面接官と対話ができたと喜んでいました。加藤周一の著作はわたくしの愛読書で本棚に揃えておいています。それで、自然に読むようになったのでしょう。

 我が家では、直接勉強を見てやったことは、本人がつまずいて尋ねてきたときをのぞいてありません。たいがい、自分で参考書を見たり、本で調べたりして解決していました。小さいときには、虫や植物など聞かれたらかならず本で一緒に調べ、確かめるようにしていたのが、そういう習慣を作ったのかもしれません。

 こんな地方の公立高校の、塾にもいかず特別なことはなにもせずのんびり過ごしてきた高校生が、東大文一を合格する可能性を持って受験しただけでも興味あることですし、なにがしか参考になれば幸いです。

 ここで紹介されている「見える学力見えない学力」(岸本裕史・大月書店)は、現在書店で手に入ります。また、この9月に続刊が出ています。

 以前、ほかの方からも、この「見える学力見えない学力」という本の話がありました。内容は、この本を参考に子育てをした友人たちの子供は、塾にも予備校に頼らなかったが、大学進学に苦労しなかった、というものでした。

 学力、中でも国語力は、学校や塾で勉強して身につくよりも、家庭の文化として身につく度合いの方が大きいもののようです。学力を伸ばすには、小さいころからの愛情、対話、体験、読書の積み重ねが必要です。

 その点で、この読者の方のお便りは、ほぼ全面的に納得できます。

 ただし、個々の事柄では、私(森川林)の経験と小さな相違点がありました。例えば、うちはしっかり紙おむつを使いました(笑)。テレビは本当は捨ててしまいたかったのですが、テレビ好きの家族がひとりいたので(^^;、やむをえず1日1時間と限定して見ていました。「文化のある家庭にしよう」とは私もよく思っていましたが、今ふりかえるとかなり手抜きが多かったはずです。

  9月のアンケートより(その2)

●父母より(小4父母) 今回入会いたしましたが、説明(会の指導方法)がわかりにくいように思います。チャート式等で、子供にも説明しやすい方法を考えて頂けないでしょうか。(毎回何をして、どのように送るかなど)

▼教室より 今後勉強の手順をもっとわかりやすく図解していきたいと思います。とりあえず、大事なことは、(1)毎日長文を音読する、(2)先生からの電話の前に書くことを決めておく、(3)電話のあとすぐに書き出す、の三点です。

●父母より(小4父母) いつもお世話になっております。最近は先生の言われる通りにし、本人が書きたいように書かせています。材料を少しアドバイスする程度です。ただ、構成の部分でいつも悩んでいるようです。言いたいことを伝えるには・・・と材料をあれこれ並べかえたり、削ったり。本人はこれが一番しんどいと言っています。でも、この作業は大切だと思うのですが。子供が頭を抱えているのを見ていると、改めて、自分の気持ちを文字に表現することの難しさを感じます。

▼教室より 材料を並べて構成を考える能力が育つのは、一般に5年生からです。ですから、4年生ではまだあまり難しく考えずに、「中心を決める」「途中に昔の話や似た話を入れて構成を立体的にする」の二つを考えていくといいと思います。

●父母より(中1父母) 中学生になり、1時間半かけて通学し、部活に入り、時間的に追われている毎日です。長文音読もほとんどできず、ただ作文を書いて送っているという日々です。うまく時間を作って、課題をこなしてほしいです。

▼教室より 中学生になると、長文音読はなかなかできません。作文を書いて送るだけという子が、ほとんどです。しかし、最低限、先生からの電話がある前までに長文を読んでおくことができれば、力はついてきます。中学生の子供に対する親のアドバイスで大事なことは二つだけです。(1)事前に長文を読んで何を書くか決めておくこと(10分ぐらいでできます)、(2)電話のあとすぐに書き出しその日のうちに書き終えること(短くてもかまいません)。また、中学1、2年生のうちは、親が口で言うだけでは実行しません。実際にさせるところまで確認してくださるよお願いします。

●父母より(小5父母) 「ハリーポッター」の本に夢中になっており、とにかく時間があると何度も繰り返し本を読んでいますが、同じ本ばかりひたすら読んでいてもいいのでしょうか。他の本は、今読みたがりません。

▼教室より 同じ本を繰り返し読むというのは、理想的な読書の仕方です。現在は、読書環境が豊かになったので、次々に新しい本を読むという読み方が多くなっていますが、読む力や書く力が本当につくのは、繰り返し同じ本を読むことによってです。いい本はどんどん繰り返して読んでください。逆に、漫画などは繰り返して読まないように、一度読んだらすぐに目の前から片付けるというようにしていくといいと思います。

●父母より(小5父母) 文を書くことに自信がついたようです。ありがとうございます。

▼教室より 言葉の森では、教えることを事前に指示するようにしています。ですから、例えば「たとえを入れて三百字以上書こう」というアドバイスをして、子供がそのとおりにできれば、大いにほめることができます。しかし、言葉の森以外の作文指導の多くは、自由に書かせたあと自由に添削するというやり方です。このやり方では、添削はどうしても注意が中心になりがちです。熱心な先生に教わるほど作文嫌いな子が増えるというのは、こういう事情があるからです。言葉の森では、これからも、子供たちがもっと自信を持てるような指導を開発していきたいと思います。

●父母より(小2父母) 楽しく通わせていただいております。ありがとうございます。

▼教室より 港南台教室に通学してくる子供たちは、楽しそうにやってきます。たぶん教室の雰囲気が明るいからだと思います。明るすぎて時に脱線する子もいますが、楽しいのがいちばんという路線でこれからもやっていきたいと思います。

  光る表現(小1−小3) 2001年10月3週号

●航さん(いかほ/小2)の作文より(ポプリ先生/10.1週)

 7のだんはちょっとつっかえちゃうけど、それいがいのだんはスラスラと言えるようになりました。九九がスラスラ言えるときもちよくなります。ぼくは、そろばんじゅくにかよっていますが、まだ九九はやっていませんが、一けたのたしひきです。そろばんをはじくのがめんどくさいけれど、計さんがはやくなったり、そろばんをやってて気持ちが、さっぱりします。評:べんきょうできもちがよくなったりさっぱりしたり。がんばっているしょうこだね。

●いちごさん(いすも/小2)の作文より(けいこ先生/10.1週)

 (10日間つづいた)雨のようすは、やさしいシャワーが空からふってくるようだったり、バケツの水がひっくりかえったようなどしゃぶりもありました。学校のグラウンドも、おさかながすんでいるような大きな池になっていました。私は毎日学校の教室から外を見ながら、「はぁー、早く晴れるといいのにな。」と言っていつもためいきをついていました。……きょうやっと十日ぶりに太ようがでてきてくれました。私はとても元気がでました。そして太ようにむかって、「太ようさーん、とてもひさしぶりー。」と言いました。 評:大人も長い雨だとうんざりするけれど、いちごさんたち小学生は、外であそぶこともできなくて、いやになってしまうね。やっと晴れて、思わず太ように声をかけたというのが、うれしい気分をよくあらわしているよ。

●カヤさん(ありそ/小3)の作文より(ももんが先生/10.1週)

 さいしょは、まけていたので、もうだめかと思ったけど、さいごは、ぬかして、あかはかちました。ぎりぎりセーフだと思いました。昼の休けいがおわっていちばんに、ぼくたちのダンス、ソーラン節がありました。【評:「さいしょは○○だけど、さいごは××」という気持ちの変化や、くわしい時間がよく書けています。「いつ」の表現が、とてもいいですね(^o^)。】

●まいまいさん(いかす/小3)の作文より(さかな先生/9.4週)

 自分の財産を自分の為に使わないで、人類の為に役立つ事をした人に賞として残すなんて、普通の人は出来ないと思います。★評:研究者として優れていただけでなく、後世の人を育てるという考えもすばらしいね。そんなアルフレッドの偉大さをよく読み取りました。

●まいまいさん(いかす/小3)の作文より(さかな先生/10.1週)

 「ママ!ジャックが死んでる!!」九月二十七日の夜のことでした。私は飛び出そうな心臓を一生懸命押さえつけながら見てみました。そこには、硬く冷たくなっている見違えるようなジャックがいました。★評:真衣子ちゃんの心臓のドキドキする音が聞こえてくるような書き出しです。

●ユータンさん(いくい/小3)の作文より(ポプリ先生/10.1週)

 家には、こおろぎが、八ぴきぐらいいます。わたしは、家族に、こおろぎの鳴き声を、聞いてみました。お母様は、「リーン、リーン。」お父様と妹は、「コロコロコロ。」でした。私は、二つともとてもおかしいと思いました。私も、ほんとうはうまく答えられません。どっちかというと、お母様の方があっていると思いますが、「リーン、リーン。」というのはすずむしだと思いました。また、「コロコロコロ。」というのはどこで耳をすましても、聞こえないと思いました。・・・みなさんは、どんなこおろぎの鳴き声だと思いますか?評;ほんとうにこおろぎの鳴き声はどんなかしら。今度先生も考えてみますね。

●春まきくんさん(いせね/小3)の作文より(メグ先生/10.1週)

 いちょうがおちてきて、まるで鳥の羽みたいだ。葉っぱのあきだーと思いました。【評】いちょうの葉は、本当に鳥の羽みたいだよね。「葉っぱのあき」という表現もおもしろい。

●アッキーさん(いそか/小3)の作文より(ももんが先生/10.1週)

 私は、ときどき、一週間に三回たんじょうびがあったらいいなあとかおもいます。だって、プレゼントがいっぱいもらえるからです。でもそんなのは、いっしゅんできえてしまうのでさみしいです。ほんとうにそれがあったら、私は、一日じゅうとびはねたりあそんだり、はしったり、さわいだりして、よろこびたいです。ケーキも、いっぱいたべられます。ぜんしゅるいたべられるかもしれません。だったらさいこう!【評:わあ、楽しいそうぞうですね。「きっと〜してしまうだろう」という自分のようすを書いて、うれしい気持ちをとても上手に表現しています。先生もこんなことを考えると、心がうきうきしてきちゃいますよ(^o^)。】

●プリンさん(いそり/小3)の作文より(クマのプーさん先生/10.1週)

 もう、あきになったかもしれません。けど、いちょうのはっぱは、みどりいろです。だからいまは、あきのはんぶんまできたのかな、と思います。【評】確かにまだいちょうのはっぱはみどりいろですね。あきのはんぶんまできたのかな、という表現がこどもの目線でうまく言い当てていてすてきです。

  光る表現(小4−小5) 2001年10月3週号

●みゆさん(あはみ/小4)の作文より(ドラえもん先生/10.1週)

 お母さんは、もちろん、かい物に行きます。ぼくとおねえちゃんは、かたもみけんとか、くふうしました。お母さんは、いそがしいです。【評】いそがしいお母さんを助けてあげている様子が目にうかびます。これからも、お手伝いや、かたもみなどをして助けてあげるといいですね。きっと、お母さんはものすごくよろこんでいることと思いますよ。(^o^)

●稜さん(いしお/小4)の作文より(スズラン先生/10.1週)

 ぼくは、初めてお父さんが働いている会社に行ったので、驚くことがたくさんありました。:評:お父さんが働いている会社に行ってみて、すごいなぁと驚いた気持ちがわかりますね。

●きのこさん(いすこ/小4)の作文より(こあら先生/10.1週)

 (運動会にて。練習のときよりもとまどってしまって)「あせったんじゃない」と、お母さんに言われました。本番は何があるかわかりません。【評】そうそう(笑)緊張すると、普段よりも力が出せる人もいるし、あせってしまう人もいるよね。

●ひろすけさん(いてや/小4)の作文より(みのり先生/10.1週)

 先生が投げたボールは、ものすごい音をたててぼくの耳のあたりをつうかしました。先生がガイヤの時に、ナイヤから先生にわたすボールをとれるかなぁーと思って先生の目の前まできました。けれども取れなくて先生にボールがわたりました。ぼくは、あわてて後ろにさがりました。先生が「うはっはっはっはー」と笑ってボールを投げてきました。ボールはぼくの手のこうに当たってボールは飛んでいきました。ぼくは当たりたくなかったのでもう片方の手のひらでボールを自分にひきよせて、もう片方の手のこうでおさえてとりました。(評)スピード感あふれる描写です。"☆"

●卓哉さん(いなと/小4)の作文より(こあら先生/9.4週)

 アルフレッドがノーベル賞を作ったわけが分かったような気がします。ノーベル賞をとるためにみんながんばります。一度ノーベル賞をもらうとまた欲しくなり、がんばります。これのくりかえしで、技術が進歩するのです。これがアルフレッドのねらいだったと思います。【評】ごほうびをあげることで、多くの人が世界のために働こうという気持ちになればいいな、とアルフレッドも考えていたのかもしれませんね(^^)

●友葵さん(あしも/小5)の作文より(ゆり先生/10.1週)

 私は、ボールを蹴る時、大体はかっ飛ばして、遠くへ飛ばす。だから、私が打者の時は、敵のチームは、後ろへさがる。でもこの前、セーフティーバントのように、足を思いっきり振った真似をして、コロンと転がした。すると敵は、「あれ?ボールは?」という感じでキョロキョロ辺りを見回している。味方は、大声で大笑いしている。【評:”頭”を使ったプレーだね。そのときの様子がとてもテンポよく書けています。】

●しょうたさん(あたの/小5)の作文より(きょうこ先生/10.1週)

 「ぼくが、運動会で一番楽しみにしていることは、リレーです。でも、ぼくはリレーの選手の中で1番遅いです。だから、ぬかされるかもしれません。それがすごく心配です。『いってきます。』と、ぼくはちょっと心配しながら家を出ました。そしてついに高学年リレーです。すごく緊張してきました。緊張してよけいに遅くなったらどうしようと思いました。・・全力で走りました。そして、バトンをわたしました。何とかぬかされませんでした。とてもうれしかったです。」楽しみなんだけれども、心配な気持ち、その複雑な緊張感がとってもよく伝わってきました☆ でも、がんばって1番で走りぬけることができて本当によかったね♪

●健太さん(いせつ/小5)の作文より(メグ先生/10.1週)

 しかし僕たちの馬(騎馬)は練習の時いつもは、あっという間に相手に、帽子を取られてしまうのに、本番の一回戦、総当たり戦ではまず、いつも僕の帽子を取っている田中君と、取り合いになりました。そしてまさか、本当にまさか、奇跡のようなことが起こったのだ。田中君の帽子を取ってしまったのです。【評】うれしい奇跡が起こってよかったね。本番では何が起こるかわからないところがおもしろいよね。

●桃花さん(いてら/小5)の作文より(ぴのこ先生/10.1週)

 「どきっとするような言葉とか、心につーんつーんと入り込んでくる詩に、なんていい詩を書くんだろうと思ってしまう私です。」講評・まとめの部分に自分の気持ちを素直に書いていて、とてもいいと思います。つーんつーんと入り込んできるていうの、先生はどこかに置き忘れてきてる気もするなぁ。

●咲恵さん(いなふ/小5)の作文より(ぴのこ先生/10.1週)

 患者さん達は、痛かったり、かゆかったり。悲しかったり、さみしかったりするけど、看護婦さん達が体も心も助けてくれるのです。このようにお母さんは、いろいろな役割をしていますが、その中でも一番大切なのは人の命を救ってあげるということです。講評・話を見たり聞いたりして、お仕事をうまくとらえているね!看護婦さんのおかげで患者さんは本当に助けられています。健康なときは気がつかないことだけど。

  光る表現(小6−中1) 2001年10月3週号

●おこじょさん(あめお/小6)の作文より(メグ先生/10.1週)

 一番つらいのは、600mをすぎたあたりだった。前にも述べたのだが、あと200になれば、当然スパートをかけ、疲れを感じなくなる、そこでつらいのは、600mをすぎたあたりなのだ。そこになると、とてもつらくなってくる。あと少しと思いつつ、ここでスパートをかけてしまおうか。いやだめだ。最後だ最後、と自分に言った。【評】一番つらい600メートルあたり。スパートをかけてしまいたい気持ちを必死に抑えているようすがよくわかるよ。 

●たかやんさん(いくの/小6)の作文より(スズラン先生/10.1週)

 「名前にはやっぱり意味があった」ぼくは、今の名前を折角父と母が一生懸命考えてくれたのだから、大事に大事にしたいと思う。:評:なかなか説得力がある題名ですね。この題名からも、自分の名前を大事にしたいという気持ちが強く伝わってきますね。

●正人さん(いなり/小6)の作文より(森川林先生/10.1週)

 ご飯の時に「お父さんとお母さんが昔の時一番になったことはなに?」と聞いたらお父さんは、県大会で優勝をしたことで、お母さんは、小学校の時に書いた絵が市の展覧会で特選したことでした。ぼくは、思わず「えー!本当なのー!」と疑ってしまいました。◆評:似た話をお父さんやお母さんに取材して話を広げたところがよかった。たまに、こういうことを聞いてみると、楽しいよね。

●ちっピーさん(ちこ/小6)の作文より(ふじのみや先生/10.1週)

 名前というものは、私にとって一生ずうっと付き合っていく友達のようなものだ。だから、ニックネームがたくさんあるということは、友達がたくさんいることと同じことだと思う。 評:ユニークな考え方だね。 ところで、ある魚は、成長するごとに名前を変えます。友達がたくさんできるから・・・ではなくて、これは「出世する」といわれるんだよ。 人間は、どうかな?

●ミュウさん(あおゆ/中1)の作文より(ももんが先生/10.1週)

 私はよく兄弟げんかをしている。よくというより毎日のようにけんかをしている。【評:言葉を言い換えて、また繰り返したところが、おもしろい。強調の効果が出ていますね(^o^)。】

●ひろりんさん(あしゆ/中1)の作文より(とこのん先生/10.1週)

 ケンカできる、ということは相手にどんなひどいことを言ってもお互い分かり合っている、ということだ。「ケンカするほど仲がいい」というのはそういうことだと思う。そういう人がいるのはありがたいのだ。評:慣用表現の引用が適切で、主題に対しても十分理解して自分の意見をまとめています。「ありがたい」という言葉から、いつものケンカ相手(お母様)への親愛の情が感じ取られますね。

●佐保さん(あるま/中1)の作文より(ふじのみや先生/10.1週)

 「けんかをするほど仲がいい」とよく言われるように、お互いけんかで心を暖め合うのもいいかもしれない。 評:これからの季節、けんかで「暖め合う」のもポカポカしていいね(笑)! 

●らくださん(いうみ/中1)の作文より(メグ先生/10.2週)

 自分で悩み苦しむことでちょっとずつ、人は思いやりのある偉大な人になれるのではないだろうか。【評】確かに、悩みや苦しみは人間を成長させてくれるものですね。

●美絵さん(いさほ/中1)の作文より(クマのプーさん先生/10.1週)

 「けんか」誰もが、臨んではいない。「けんか」時には、戦争へと変化する。【評】けんかの深層心理を的確に言い表せているし、時事的な情勢との接点も含んでいていいと思いました。

●こめさん(いせか/中1)の作文より(きょうこ先生/10.1週)

 「この地層ができた海は、とてもたくさんの貝が住んでいたんだなと思った。・・・この辺りは、紅葉がきれいだが、カエデの化石が見つかったことから、化石ができた頃(30年前)も紅葉がきれいだったと思う。」それぞれの場所で見つけた化石を見ながら、むか〜しの風景をいろいろと想像してみたんだね♪ 私も思わず目をつむってその景色を想像してみたくなってしまいました☆ 化石たちも時代をこえて、「そのとおりよ」と語りかけてくれているかもしれないね♪ ステキな想像文でした!

●尚志さん(いても/中1)の作文より(クマのプーさん先生/10.1週)

 中学受験とはワインみたいなものだ。【評】これは文頭の1行目。エッ?と思わせるインパクトのある書き出しですね。

●ボミーさん(いてる/中1)の作文より(ミルクティ先生/10.1週)

 けんかが良いと言っても国と国のけんかは良いといえない。いわゆる戦争だ。少し前アメリカの世界貿易センターでテロがあり、戦争にまでなりそうだ。テロに関係した人だけ罰せればいいのに、関係のない国まで被害にあう。だから、けんかをしていない他の人に迷わくをかけなければいいと思う。そして、仲直りをすればいいと思う。<評>「けんか」というテーマで兄弟げんかや友達とのけんかという身近なけんかについて述べた後、視野を広げて社会的事件を題材としてとりあげた部分。大きな話題も「けんか」というテーマによく引き付けて書けましたね。

●しっぽさん(ほし/中1)の作文より(メグ先生/10.1週)

 けんかとは、人間にとってつらい経験の中に入るものだが、きっと得るものもたくさんあるはずだ。けんかを無理にしたいとは思わない。けれど、けんかというものに遭遇した時に、逃げずにきちんと解決に結びつく考えを出すことが、大切だと思う。そして、このことがけんかをする利点であると思う。【評】本来なら好ましいものとは思われていないけんかについて、その利点を見出しながらまとめることができました。

  光る表現(中2−社) 2001年10月3週号

●たば星人さん(あころ/中2)の作文より(けいこ先生/10.1週)

 スポーツは勝つために努力してこそ面白いもので勝ち負けは、大切だという意見がある。この意見ももっともで、努力がなければ面白いものも面白くならない。しかし、勝つために努力をするのは確かだが、だからといって勝ち負けが大切ということにはならないと思う。 評:反対意見への理解と反証がしっかりできている。勝ち負けというのは、努力したものにとっては、あくまでも「ついてきた結果」でしかないということかもね。

●スライムさん(あめひ/中2)の作文より(こあら先生/10.1週)

 スポーツを楽しむことが大切だと言う意見がある。勝ち負けは気にせず自分が楽しめれば言いということだ。(中略)しかしあまりにも負けつづけているとか一回も勝った事が無いなどとなるとそれはそれでつまらなくなってしまい逆効果になってしまう。【評】「勝ち負けにはこだわらない」とは言ってみてもそれが案外勝てないことへの言い訳になっている場合もありますからね。それに一生懸命やった結果勝てたのなら、こだわっていなくても嬉しいですよね。

●ムッちんさん(との/中2)の作文より(クマのプーさん先生/10.1週)

 集団スポーツで勝ち負けを意識していると勝てると目的が達成でき喜べるが、勝てなかった時は死んだような感覚になる副作用ができる。【評】 実感がこもっているし、副作用という言い方も面白いと思った。

●たこたこさん(こむ/高1)の作文より(きょうこ先生/10.1週)

 「ヨーロッパの哲学者ゲーテの言葉。『幸福を追い求めている状態が幸福である。』その通りだと思う。例えば私はヒマなときなど、よく絵を描いている。・・・私は気に入った絵ができるのも楽しいが、絵を描いているその瞬間が好きだ。そして私にとっては『幸福を追い求めている状態が幸福』なのだ。」その幸せの瞬間をいつまでも大切にしていけるといいね♪ 具体的なお話がそえられて、ゲーテの詩がより一層ステキに感じられたね☆ 

●眠雨さん(うき/高2)の作文より(ミルクティ先生/9.4週)

 芸術スポーツは運動の堕落だ、と言われるかもしれない。確かにそうしたスポーツは一見いかにも楽で無理のない運動に見える。そこには必死でコンマを並走するライバルはいない。が、そうした本番の舞台をつくるために積み重ねられた努力は、競技スポーツのそれに比肩しうるだろう。洗練された動きは、膨大な練習の結果である。水面下の白鳥、という喩も生ぬるい。舞台的な優雅さとはそれ単体が水面を滑るのではなく、常に観客と感動の共有を目指さなくてはならない。表現者であり観客でもあるその姿勢は、動物に喩えられるものでなく、或いは人間のみが持ちうるのかもしれない。<評>「芸術スポーツは運動の堕落だ」と、やや過激な口調の反対意見を挙げることで、逆の意見「芸術スポーツにも厳しい練習がある。観客と感動を共有することを目指すのは崇高なことだ。」を強調することができています。

●UZI.SMGさん(そお/高2)の作文より(ミルクティ先生/9.2週)

 次に「捨てる文化」が根付いているところに問題がある。捨てるための物を作っていてはいけない。100円ショップなんかは売りまくればいいという代表例だ。携帯電話も矢継ぎ早に新機種を出して消費者に買わせているが、買い替えさせるためにわざと必要のない機能を盛り込んでいるようにしか見えない。そんなゴミを買わせるようなことよりも料金などのサービスを改善して利用者をひきつけていくべきではないのか。立ち止まることない技術革新は目を見張るものがあるが、反面「一生もの」を大切に使うという精神は完全に崩壊してしまう。ゴミを作る文化を考え直す必要がある。<評>戦後、経済力をつけたものの「拝金主義」に陥ってしまっている日本人…その原因の一つとして「使い捨て文化」について論じた部分。100円ショップや携帯電話など身近な題材を使ってわかりやすく説明できています。

 

 

 

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