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言葉の森新聞
2003年8月3週号 通算第808号
文責 中根克明(森川林) |
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■「どんな子だって勉強できる子になれる!」から |
「どんな子だって勉強できる子になれる!」(向山洋一 PHP)という本が出ています。 (「図書の広場」から注文ができます) http://www.mori7.com/tosyo/ 書名を見ると、できない子だけに対するアドバイスのように見えますが、内容はどの子の勉強にもあてはまるきわめて普遍的なものを含んでいます。 その中で、参考になったことをいくつか紹介します。 |
●勉強できる子の共通点 |
勉強できる子の共通点は、(1)返事ができる、(2)あいさつができる、(3)椅子・靴をそろえられる、の三つだと向山さんは書いています。 これは、教室に来る子を見ていると同感できます。教室に入ってきて先生にすぐ「こんにちは」と言える子は、勉強の方もしっかりしています。しかし、こういう当然のことができない子もかなりいます。先生の方から先に「こんにちは」と言っても、「ああ」と言うだけでそのまま黙って席につく子もいます。しかし、このような子でも、あいさつの仕方や靴のそろえ方などを説明すると、すぐにできるようになります。つまり、家庭の中での躾がたまたまできていないということなのです。 (つづく) |
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■受験(その6) |
次男が受験(高校受験)したのはそのまま大学まで進める系列校で、しかもスポーツ推薦のため試験の内容は中学の内申点と小論文と面接だけというものでした。前にも書いたように、私は受験というものは子供が勉強をするかけがえのない機会だと思っていたので、系列校ということにも推薦入試ということにも反対でした。兄と同じように公立高に入って大学受験をするのがいいと思っていましたが、本人が考えて決めたものは仕方がありません。「そのかわりしっかり勉強しろよ」ということだけは言いました。 ところが入ってみると、その忠告は必要ありませんでした。系列校と言っても遊んで大学に進めるという感じではなく、高校の中でしっかり勉強する仕組みになっていました。そのため、1学期の成績は見事に赤点の続出(笑)。ほとんど最下位の成績をもらって夏休みに突入しました。おかげで、夏休みは部活をしながら受験生並みの勉強をする羽目になってしまいました。しかも、肝心のバスケットボールではまだレギュラーになれません。 しかし、私もこの年になると(まだ25歳ですが)、若いときの苦労は買ってでもせよという言葉が身にしみてわかりますから、こういう困難もやがて本人のプラスになると思っています。 さて、この推薦の受験の小論文ですが、推薦とは言っても倍率がかなり高かったようで一緒に受けた友達は不運にも落ちてしまいました。しかし、その友達は県内のトップ高に行きましたから、合否の結果や人生はその後の取り組み次第でプラスにもマイナスにもなるということだと思います。 次男は小学校4年生のころからバスケットボールに夢中になり勉強はいつも二の次でしたが、読書と長文音読と短文暗唱だけは毎日やっていたので、文章を書くことだけは抵抗がありませんでした。当日の小論文の試験は、ふだん言葉の森で勉強しているような堅いテーマではなく柔らかいテーマだったのでだいぶ勝手が違ったようですが、試験のあと書いた内容を聞いてみるとすぐに合格圏内の文章だとわかりました。結びに設問中のキーワードを使った光る表現があったからです。(笑) これまでの世の中は、大学受験が勉強のゴールというというところがありました。企業の側も、出身大学名を聞けば本人の実力がわかると見なしていました。大学の4年間でその人がどういう勉強をしてきたかということはあまり問われることがありませんでした。 しかし、この状況はこれから必ず変わります。というのは、大学名では本人の実力がわからなくなっているからです。 少子化に伴い、大学入試は年々易しくなっています。生徒募集ができずに倒産を噂される大学がある状況では、入試も勢い易しいものにならざるを得ません。受験の科目数を削減したり、推薦入試だけで定員のかなりの部分をまかなう大学があれば、その大学の出身者がどういう実力を持っているかということは大学名からだけでは判断できません。 企業は、そういうところには敏感です。将来、大学受験とは別に本人の学力を証明できる資格試験のようなものができてくると思います。 (つづく) |
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