言葉の森新聞
2006年6月4週号 通算第940号
文責 中根克明(森川林) |
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■新学期の教材を発送します |
新学期の教材は6月22日(木)に発送予定です。体験学習中の方にもお送りいたします。 国内の生徒で28日になっても届かない場合はご連絡ください。 ★住所シールは 7月1週の山のたよりと 一緒に送ります★ |
■ 29日(木)・30日(金)は休み |
6月29日(木)・30日(金)は、5週でお休みです。先生からの電話はありません。 |
■6月の課題は28日(水)までに送信を |
6月29日から、ホームページのデータが一斉に入れ替わります。インターネットを利用して作文を送っている方は、6月の課題を6月28日(水)までに「作文の丘」から送信してください。それ以降は正しく送信できなくなる可能性があります。 |
■作文入試対策 |
●作文の書き方のコツ「読む力をつける」 |
作文を書く力は、読む力に比例しています。文章を読むのが得意な子は、自分の書く作文にも自然にふだん読んでいる文章を生かすことができます。反対に、読む量の少ない子は、作文を書く練習だけ続けてもなかなか文章力は上達しません。 作文力をつけるためには、遠回りのようですが、まず読む力をつけることが大切です。しかし、ただ単に文章を読むだけでは、それを作文に生かすことはできません。入試の課題として出される作文の多くは、説明文や意見文です。したがって、読む文章も説明文意見文を中心にしていく必要があります。 説明文や意見文の多い文章は、教科書、小学生新聞、国語の問題集などです。毎日時間を決めて、それらの文章を読む練習をしていきましょう。 |
●作文の書き方のコツ「書き慣れる」 |
小学校高学年の生徒は、学校でも作文を書く機会が減ってきます。そのため、指定の時間に必要な字数までを書き上げられない子もかなりいます。 早く長く書くためのコツは、一つには書きながらたびたび読み返さないことです。読み返すのは、作文を全部書き終わってからです。書いている最中に読み返す子は、すぐに消しゴムを使って直したがります。消しゴムを使って書き直すと、文章を書くスピードが極端に落ちます。書いてすぐ直すような書き方ではなく、直す必要のない文章を最初から書いていく習慣をつけることです。 文章を書く練習は、ほかの勉強よりもはるかに負担の大きいものです。家族が協力して、定期的に文章を書く時間を確保してあげる必要があります。 |
●作文の書き方のコツ「親子の対話」 |
中学入試の作文には、家庭の文化が反映します。ふだんから、家族でいろいろな会話をしている家庭では、作文にもその雰囲気が出てきます。 子供の生活経験はまだ幅が狭いので、父親や母親が、その経験を広げてあげる必要があります。例えば、「小学校時代に印象に残ったこと」というテーマで書く場合、子供は単純に、印象に残ったことを書きます。このときに、父親なり母親なりが自分自身の経験をもとにして、小学校時代の経験がその後の人生にどうつながったかを話してあげると、子供の視野は広がります。 小学生で読みごたえのある感想を書ける生徒は、例外なく家庭での会話が充実しています。毎日の夕食の時間に話をする時間を取るのが難しければ、土曜日や日曜日の夕食の時間に、ニュースなどを話題にして話をする習慣をつけていきましょう。その際に大事なことは、子供の意見を聞いてあげることではありません。親が自分の考えをどんどん話してあげることです。やがて、子供も自分なりに自分の考えを話すようになってきます。 |
■6・4週は清書 |
毎月第4週は清書です。担当の先生の説明を参考にして、返却された作文の中から自分でいちばんよいと思うものを選び、作文用紙に清書してください。(一度清書したものは、清書しないように注意してください。また、ほかの人の作文を写して清書にすることのないようにしてください) 清書は、次の月の4週の「山のたより」に掲載されます。 清書の意義は、次のとおりです。 (1)これまでに書いた作品をよりよいものに仕上げること(小学生の場合は字数を増やす、表現を更に工夫するなど、中学生以上の場合は字数を短くまとめるなど) (2)他の生徒の清書を読む機会を持つこと(自分の清書を他の生徒に読んでもらう機会を持つこと) (3)新聞社に投稿する機会を作ること このほかに、(4)パソコンで入力する練習をする、(5)他の生徒の前月の清書に対して感想を書く、などに取り組むこともできます。 【注意事項】 ◎清書は、黒いペンで書いてください。 (鉛筆だと薄すぎたり、濃すぎたりして、うまく読み取れない場合があります) ◎左上に、バーコードシールをはってください。 ◎バーコードシールは、その月のものを、ページ順に、まっすぐにはってください。 ◎絵や感想だけの用紙にも、バーコードシールをはってください。 ◎1枚の用紙の裏表を同時に使わないでください。 ◎独自の用紙を使う場合は、作文用紙と同じサイズにコピーを取り直してください。 (バーコードシールのないものや間違ってはられているものは、印刷日程の関係で翌々月のプリントになりますのでご了承ください) 新しく教室に入ったばかりの人は、返却されている作文がない場合もあります。また、返却されている作文の中に清書するものがない場合もあります。そのときは、自由な題名で作文を書いて送ってください。 清書は、2〜5人のグループ(広場のグループ)ごとにプリントして、翌月の4週に、「山のたより」と一緒にお渡しします。この清書は、インターネットの山のたよりでも見ることができます。 用紙の空いているところには、絵などを書いて楽しい清書にしてください。色はプリントには出ません。 感想文を清書する場合は、最初の「三文抜き書き」や「要約」はカットするか、簡単な説明に変えておく方が作品としてまとまりがよくなります。 中学生以上の人が清書を新聞社に送る際の字数の目安は、500字程度です。長すぎる場合は、新聞社の方でカットされて掲載されることがあります。字数を縮めるときは、いろいろなところを少しずつ縮めるのではなく、段落単位でまとめて削るようにしていきましょう。第一段落の要約と第三段落の社会実例は削除し、名言や書き出しの結びなどの表現の工夫も削除し、第二段落の体験実例と第四段落の意見だけでまとめるようにするといいと思います。 清書は、ホームページから送ることもできます。作文をホームページから送るときと同じように送ってください。 よく書けた清書は、自分で新聞などに投稿してください。二重投稿になる可能性があるので、教室の方からの投稿はしません。(港南台の通学生徒の場合は、教室から投稿します) 手書きで清書を書いている人は、その清書をコピーして、原本を投稿用に、コピーを提出用にしてください。 パソコンで清書を送信している人は、その清書をワードなどにコピーして投稿用にしてください。 新聞社に投稿する際は、作文用紙の欄外又は別紙に次の事項を記載してください。 (1)本名とふりがな(ペンネームで書いている場合は本名に訂正しておいてください) (2)学年 (3)自宅の住所 (4)自宅の電話番号 (5)学校名とふりがな (6)学校所在地(町村名までで可) ●朝日小学生新聞の住所 104−8433 東京都中央区築地3−5−4 朝日小学生新聞 「ぼくとわたしの作品」係 御中 ●毎日小学生新聞の住所 100−8051 東京都千代田区一ツ橋1−1 毎日小学生新聞 さくひん係 御中 |
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■血の出るような文字(かな/やす先生) |
作家のあまんきみこさんが、まだ若いころのお話です。 そのころあまんさんは、「びわの実学校」という童話教室の生徒でした。毎日毎日いっしょうけんめい童話を書きました。そうして、とうとう自分の作品が本になり、本屋さんにならぶことになったのです。 あんまりうれしくて、あんまり思いがけなくて、あまんさんはうろたえたのだそうです。そして童話の先生であった今西祐行さんに、こんなことを言ってしまいました。 「……本をだしていただいた上に、お金までいただけるなんて……ほんとうにいいのでしょうか」 今西さんはちょっとこまった顔になり、あまんさんをこう、たしなめました。 「そんなことを言っては、いけませんよ。血の出るような文字ではありませんか」 「この言葉は、すきとおった竹ひごのように私を打ち、心に深くしみわたりました」と、のちにあまんさんは、書いておられます。 今も書くことにいきづまって苦しくなるたび、あまんさんは今西さんの言葉を思い出すのだそうです。そう、この苦しさなど、あたりまえのこと。だって、 「血の出るような文字ではありませんか」 みなさんはまだ子どもで、もちろんお金をもらって作文を書いているわけではありません。ですから、「血の出るような文字」なんて、書く必要はないのです。楽しい気持ちで、どんどん書くこと。今はこれがたいせつなのですね。 けれども、山を登れば登るほどけわしくなるように、いつかみなさんにも苦しい時がやってきます。 書いても書いても、うまく書けない。 ほかの人にくらべて、自分がへたくそに思えてしかたない。 でもそれは、けっしてみなさんが、へたになったわけではありません。それどころか、どんどんうまくなっているからこその、苦しみなのですよ。 苦しみながら書き続けたあまんさんは、りっぱな童話作家になりました。「血の出るような文字」と今西さんが言った作品。それが、教科書にものっている「車の色は空の色」です。読んでいない人はぜひ、そして、読んだ人はもういちど、読んでみて下さい。 さわやかな、初夏の風のような作品です。「血の出るような文字」なんてどこにあるのかと思うことでしょう。でもだからこそわたしは、あまんさんの苦しさを思います。 少しでもよい作品にしたい。もっともっとうまくなりたい。そんな必死の思いで、一字一字、原稿用紙に書きつけたことでしょう。ひとりぼっちの、苦しい仕事。でも、だからこそ、多くの人を感動させる名作が生まれたのですね。 |
■休みは大切!? (にこたん/しおり先生) |
お寿司屋さんで聞いた話です。ハマチという魚をごぞんじでしょうか。そうおいしいブリになる魚ですね。(そういえば、昔はぶりっこなんていう言葉も流行りました。)そのハマチなのですが、養殖するときは海の中に四角いネットを張ってその中をぐるぐる回りながら泳がせるんだそうです。そうやって回遊させることでおいしい脂が乗ってくるとか。だれかな、おなかがぐうっとなっている人は? ところが、ある人がじっと見ていると、ネットのすみっこでサボっている魚がいることに気がつきました。「サボっていたら脂が乗らないじゃないか。」さて、みなさんだったらどうしますか。 多くの人はこう考えるでしょう。ネットを改良すればよい、と。そこで、ネットの角をとって、丸くすることを思いついたそうです。めでたしめでたし・・・となる予定が、なんと、驚いたことに大きな問題が起こってしまいました。三ヶ月ほどして、ハマチが全滅してしまったというのです。 仕方なくネットを元の形に戻してもう一度養殖を始めました。失敗は繰り返すまいとよく観察していくうちにこんな発見があったそうです。「サボっているハマチはいつも同じものではない!」決まった魚だけでなく、みんながかわるがわる四隅で休憩していたんだということに気がついたそうです。 人間にも同じ事が言えるかもしれませんね。この連休をみなさんはいかがお過ごしだったことでしょうか。じゃんじゃん動いた人は少し体をサボらせて、逆にごろごろとサボった人はまた元気にファイト!メリハリをつけて、脂ものりのりで楽しんでいきたいものですね。 もう一つ、ある料理やさんのいけすでは、一匹の魚がアイドル並みの人気を博しているそうです。いけすの魚をいつものように料理しようと網ですくおうとしたところ、目と目が合ってしまったとか。何とも表情があり、愛嬌があるそのお魚君は、まるでペットのように今や手からえさをもらって食べるまでになついているそうです。しかし、仲間が網ですくわれるのを横目に見ると、やっぱりさびしい表情をうかべるお魚君です。一度お目にかかってみたいですね。 今晩の食卓の時思い浮かべてみてくださいね。「いただきます」には「たくさんの命をいただきます。」という意味がこめられています。植物も動物もあらゆる生物の力を借りて生き延びる私たちは、考える力を与えられたのですから、うんと生かしていきたいですね。 ☆ご家庭でできる言葉遊び☆ 四月から課題が一新しました。今回はご家庭で気軽にできる言葉遊びを紹介します。 <まるでさがし> 何かについて「まるで○○のようだ」とたとえる練習です。食卓でも簡単にできますよ。 「今日のお魚はまるで母さんのお肌のようにぴちぴちして活きがいいね。」「そうなの、まるでまつたけのように目が飛び出る値段だったのよ。」「ということはお財布はまるで抜け殻のように・・」 ダジャレもぜひ、ふだんの会話の中で使って頂けたらと思います。柔軟な頭の子ども達はコツを覚えると大人以上におもしろい言葉を考えてくれるかもしれません。お父さんやお母さん、おじいちゃんやおばあちゃんの腕の(脳の)見せ所ですよ。 ダジャレ名人:ユウくん「ごみがアフロ部屋(アフロヘアー)」 キングドラゴンくん「いびき いいひびき」「やさいは体にやさしい」「ミラーにミイラが見えたらこわい。」お二人には座布団十枚進呈しまーす?ホームページの「ダジャレの木」にもどしどし投稿をお待ちしています。 |
■創造(いろは/いた先生) |
人間とほかの動物のちがいはなんでしょう? 「言葉を話せること」がいちばんに挙(あ)がりそうです。そのほかには「両足で立つこと」もありますね。(最近では両足で歩く動物もふえているようですが。^^;) では次に大きなことは? 私だったら「創り出すことができる」ということを挙げると思います。「創造する力」です。 人間は道具を作りだす力を持ったことで、他の動物と一線を画すことができました。獲物(えもの)をとらえる道具を作り、寒さ、怪我(けが)から身を守る衣服(いふく)を作り、火をおこすことにも成功(せいこう)しました。すべて「創造力」のたまものです。 たしかにカラスやラッコが道具を使って、くるみをわったり、貝をわったりしているのを目にすることはありますが、その道具を「作り出している」姿は想像(そうぞう)できませんね。やはり「創造する」というのは人間だけが持っている力のようです。 では今の私たちはなにか「創造」しているのでしょうか? ちょっと答えに自信が持てないなあ。そこで一つ詩を紹介(しょうかい)します。 「創造」 一枚の紙から、 船が生まれる。飛行機が生まれる 一かたまりのねん土から、 象が生まれる。つぼが生まれる。 生まれる、生まれる。 私たちの手から次々と。 光村図書、6年生の教科書の表紙裏に書かれている詩です。作者は不明ですが、これこそ人間本来の姿を表している詩のような気がしてわたしは気に入っている詩の一つです。 人間は「創造」する力を持っています。想像(そうぞう)したものを具現化(ぐげんか)する力「創造力」を持っているのだと思います。でも残念なことに私たちは、物を作り出す喜びを忘れてしまっていませんか? 「面倒くさい」「分からない」そんな一言でこの力を押(お)さえ込んでいる気がするのです。 この詩の「一枚の〜」のところに「鉛筆」と入れて読んでみてください。たくさんのものを作り出すことができるのではないかしら。 一本の鉛筆から 船が生まれる。飛行機が生まれる。 一本の鉛筆から 象が生まれる。つぼが生まれる。 どうですか? あなたたちの鉛筆からたくさんのものを生み出せそうですね。 あなたたちの鉛筆から生み出される船はどんな船なのでしょう。荒れた海に出てもわたっていける丈夫な船かもしれません。その船には何色をつけますか? その船はどこへ向かうのでしょう。たくさんのことを一本の鉛筆に託(たく)して「創造」してみてください。作文を書きながら人間が持っている能力(のうりょく)である、「創造」する楽しさをもう一度思い出してみてほしいと思います。 |