言葉の森新聞
2007年8月1週号 通算第993号
https://www.mori7.com/mori/ |
森新聞 |
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■8月13日(月)〜18日(土)は休み宿題 |
予定表に書いてあるとおり、8月13日(月)〜18日(土)は休み宿題になります。 先生からの電話はありませんが、自宅でその週の課題を書いて作文を提出してください。 ほかの日に教室に来るか教室に電話をして、その週の説明を聞いてから書くこともできます。 |
■休み宿題の日は、授業の渚・解説集を参考に |
休み宿題のときに、電話の説明を聞かずに自分で作文を書く人は、ホームページの「授業の渚」か課題フォルダの「解説集」を参考にしてください。 「授業の渚」 http://www.mori7.com/nagisa/index.php 「ヒントの池」 http://www.mori7.com/mine/ike.php |
■振替授業について |
振替授業の受付時間は下記の通りです。 (月〜金) 9時〜19時50分 (土) 9時〜11時50分 振替授業の予約はできません。作文が書けるときに直接教室にお電話ください。なお、夏休み中は、混みあうことがあるため、20分くらいお待たせすることがあります。 8月13日(月)〜18日(土)は、教室が夏休みのため、振替授業もありません。 |
■夏休み中は、作文の返却が遅れることがあります |
夏休み中は、教室が休みになる週と担当の先生が休みをとる週があるため、作文の返却が一時的に遅れる場合があります。ご了承ください。 |
■プレジデントFamilyに感想文の記事 |
「プレジデントFamily9月号」に、読書感想文の書き方の記事が載りました。 http://www.president.co.jp/family/ 読書感想文というと、つい感想を書くことに主眼を置いてしまいがちです。ところが、感想や意見は、だれが書いてもあまり変化がなく、ある枠内に収まってしまいます。 例えば、おいしいものを食べたときの感想を聞かれた場合、感想は、「おいしい」「すごくおいしい」「とってもおいしい」ぐらいに収まります。つまり、感想や意見には表現の変化をなかなか盛り込めないのです。 読書感想文の感想も同じです。単純に言えば、「おもしろい」か「つまらない」かが、感想の究極の形です。 しかし、同じようにおもしろいと感じても、その感じ方は人によってさまざまなはずです。では、さまざまなところはどこかというと、自分の体験に照らし合わせて感じた部分と、自分のこれからの行動に結びつけて感じた部分です。 そこで、感想文の指導は、自分のこれまでの体験や、自分のこれからの行動に結びつけて書く部分を増やすということになるのです。 夏休みは、幸い時間がたっぷりあります。「道は生きている」の本を読んで、家族で道の探検などに出かければ、体験はどんどん増えます。「犬に本を読んであげたことある?」の本を読んで、試しに家で飼っているネコに本を読んでやれば、新しい発見があるはずです。 そして、夏休みの最終日に、1日で感想文を仕上げようと思うのではなく、3、4日かけて毎日400字ずつ書くようにしていけば、負担はほとんどありません。 この特集記事を読んで、楽しく楽に感想文を書いていってください。 学校の先生方にお願いしたいことは、小学校低学年に読書感想文の宿題を出すようなことは、ぜひやめていただきたいということです。低学年の感想文指導には、何の教育的意義もないからです。 |
■読書感想文の書き方 |
●いまの感想文指導には無理がある |
感想文が楽に書けるようになるのは、年齢的には小学5年生からです。小学1〜4年生は、全体の構成を考えて書くという能力がまだ育っていませんから、大人が全体の方向づけをしなければ自分で本の流れに合わせて感想文の流れを考えていくという書き方はできません。 また、小学1〜4年生の場合、似た話がうまく見つかる場合と見つからない場合とでは、作品の出来に大きな差が出てきます。大人(親や先生)が近くにいて、「この次はこんなことを書いたらいいよ」とときどきアドバイスをしてあげなければまとまった作品を書くことはできません。 なぜ学校のふだんの授業で感想文を指導せずに、夏休みの宿題というかたちで感想文を書かせるかというと、感想文は(特に低中学年の場合は)、一人ひとり別のアドバイスをしなければならないからで、30人から40人を相手にした一斉指導ではそういうアドバイスはできないからです。 感想文の宿題を書かせる時間があれば、その時間を読書に充てた方がずっと子供のためになります。 |
●子供まかせでは書けない |
「なんでもいいから自分で好きな本を選んで、自分で好きなように書いてごらん」ということでは、感想文は書けません。小学生の場合は、大人がなんのアドバイスもせずに感想文を書かせるぐらいなら、感想文を書くことそのものをしない方がいいのです。単に字数を埋めるだけの感想文は、何の勉強にもなりません。 |
●じょうずな感想文を書くコツはあるが |
書くからには、じょうずな感想文を書いて、コンクールなどに入選したいとはだれもが思うことです。作品の出来具合の半分は、似た話などの題材の部分に支えられています。また、もう半分は、感想の部分の一般化の深まりに支えられています。ですから、感動のある似た話が連想できるような本を選び、感想の部分で大人の人が一般化の手助けをしてあげれば、じょうずな感想文が書けます。 しかし、こういうかたちで親や先生がアドバイスをすることは、子供にとってはあまりうれしいことではありません。また、親や先生に支えられてじょうずな作文を書いても、教育的な意義はありません。ですから、感想文の目標はじょうずな作品を書くことにではなく、ひとまとまりの本を読み、ひとまとまりの文章を書く練習をするということに置くべきです。 |
●書き方の手順「まず本選び」 |
まず本選びですが、子供が「この本、おもしろいから書きたい」と言うような本が必ずしも書きやすい本であるとは限りません。子供が自分なりに似た話を見つけることができたり、想像をふくらませたりできるような本が書きやすい本です。この本選びは、大人がアドバイスをした方がいいようです。少なくとも、子供には「似た話や想像した話が書けるような本が、感想文の本としては書きやすいよ」と言ってあげるといいと思います。 書きたいテーマが決まっているときは、インターネットの書店を利用して関連する図書を数冊用意すると話題が広がって書きやすくなります。 |
●書き方の手順「次に字数配分」 |
感想文の宿題は、原稿用紙3枚程度(400字詰めで1200字)の分量で指定されることが多いようです。これだけの分量を1日で書くというのは大変です。無理のない字数配分は、1日1枚(400字)です。感想文の宿題をするために、4日間の予定を立てて、1日目に400字以上、2日目も400字以上、3日目も400字以上と書いていって、4日目に全体を通して要らないところを削り、清書するという予定を立てれば無理なく書くことができます。 |
●書き方の手順「1日目の400字」 |
本のはじめの方から一ヶ所、似た話や想像した話の書けそうな場所を選び、そこを引用し、自分の似た話を書き、最後に「たぶん」「きっと」「もしかしたら」などという言葉を利用しながら、自分の感想を書きます。 本の引用(1)→似た話(1)(もし…だったらと想像してもよい)(たとえも入れる)→感想(1)(たぶん、きっと、もしかしたらなどと考えてみる) |
●書き方の手順「2日目の400字」 |
2日目も同じです。本の中ほどから一ヶ所、似た話の書けそうな場所を選び、そこを引用し、似た話を書き、感想を書いていきます。 本の引用(2)→似た話(2)→感想(2) |
●書き方の手順「3日目の400字」 |
3日目も同じように、本の終わりのほうから一ヶ所選んで書いていきますが、最後の感想のところがちょっと違います。1日目、2日目は、引用した小さな箇所の感想でしたが、3日目は本全体についての感想を書いていきます。 小学5・6年生の生徒の場合、この感想は、「○○は(人間にとって)……である」というような一般化した大きな感想を書いてまとめます。この感想の部分は、お母さんやお父さんと話し合いをして、子供自身の考えを深めていくといいと思います。そして、「私はこれから」などという言葉を使い、この本から得たことを自分のこれからの生き方にどうつなげていくかを考えてまとめます。中学生の場合は、結びの5行に「光る表現」を入れていくとよいでしょう。 本の引用(3)→似た話(3)→大きな感想(○○は人間にとって……。私はこれから) |
●書き方の手順「4日目の清書」 |
4日目は清書です。お母さんやお父さんが全体を通して読んであげると、要らないところが見つかると思います(書いた人自身には、要らない部分というものはなかなかわかりません。これは大人でも同じです)。この要らない部分を削ります。次に、書き出しの部分に本の引用として情景描写の部分を入れられれば、書き出しの工夫ができます。これは無理のない範囲でやっていくといいでしょう。 |
●書き方の手順「できたらほめる」 |
書いている途中でも、書き終えたあとでも、親や先生が「これは、おもしろいね」「それは、いいね」と、子供の書いた内容のいいところやおもしろいところをどんどん認めてあげることが大切です。多少おかしいところや変なところがあっても、子供が書いた内容をできるだけ尊重してあげてください。これと反対に「これは、こうした方がいいんじゃない?」「そこは、ちょっとおかしいんじゃない?」などという否定的なアドバイスをすると、勉強でいちばん大事な子供の意欲をそぐことになります。大事なことは、いい作品を仕上げることではなく、手順にそってできるだけ自力で書く力をつけることです。 |
●教室では宿題の感想文の個別指導はしません |
感想文の指導には、生徒ひとりずつ異なるアドバイスが要求されます。更に作品として完成させるためには、書いている途中にも頻繁にアドバイスをする必要が出てきます。このような対応は、普段の勉強の中ではできませんので、夏休みの宿題のための感想文指導は、教室では行ないません。 宿題として感想文を提出しなければならないという事情のある方は、教室で練習した長文の感想文で似た話のよく書けたものをベースにして、ご家庭で書き直していかれるといいと思います。 また、どうしても書いた作品を見てアドバイスをしてほしいという場合は、担当の先生ではなく、言葉の森の本部に直接ファクスでお送りください。折り返しファクスとお電話で説明します。 |
■敬語のススメ(たんたん/はらこ先生) |
「たくさんの方が応えんしてくれて、うれしいです。」 これは、5月の国内男子ゴルフツアーにおいて、史上最年少の15歳で初優勝した石川遼くんの言葉です。石川くんは、ちょっぴりはずかしそうに笑うので「ハニカミ王子」と呼ばれ、一躍(いちやく)人気者になりました。もしかしたら、みんなのお母さんも、ハニカミ王子のファンかもしれません(笑)。しかし、残念なことに、このときの石川くんの言葉は正しい日本語ではありません。 正しくは、 「たくさんの方が応えんしてくださって、うれしいです。」 と言うべきでしょう。そうです、敬語が使えていなかったのです。[まぁまぁ、お母さま方、そう怒らずに(^_^)]。たまたま、そのインタビューのときに限って、敬語でミスったのかもしれません。 「アメリカから帰国して、成長した姿をみなさんにお見せできればと思い、がんばりました。」 これは、同じゴルフ界のアイドル、宮里藍さんのコメントです。先生がテレビのニュースを見ている限り、宮里さんはほぼ100%正しい敬語を使っていると思います。別にいちいち数えているわけではありませんが、まちがった日本語や敬語はけっこう耳ざわりなものです。 なーんて、えらそうなことを書きましたが、先生も1日に何回も「いま、私の言葉づかいはおかしかったかな」と思うことがあります。言葉ってむずかしいので、反省の毎日です。 学校は、同じ年の子たちと1つの教室で過ごします。でもこれは、かなり特別な環境です。大学へ行けば、同じ学年でも年れいはバラバラですし、社会人になれば、ほとんどが自分より年上の人ばかりです。敬語が使えなければ、先ぱいや上司から「なんだ、あの子の言葉づかいは」と思われてしまいます。いや、むしろ最近は、宮里さんのように正しい敬語を使える若い子の方があっとうてきに少ないと感じます。言葉の森でも、きちっと敬語を使って書いてくれる生徒さんの作文は、どこかキラッと光って見えるものです。正しい言葉づかいができない人が多い世の中だからこそ、みなさんにはキラリと光ってもらいたい。「できる」大人になってもらいたいと思っています。[なんだか私、若年寄みたいですが・・・] 言葉づかいは、その人の「品格」を表すと思います。つまり、言葉はその人自身を表すものなのです。言葉が正しく使える人は、人からの信らいも厚いでしょうし、社会の中で上手に生きていける気がします。 ちなみに、先生の夫は会社に入ってすぐ、先ぱいに「そうなんだよねー」と言って、どつかれたらしいです[そりゃ、そうだろ(笑)]。 言葉は急に直そうと思っても直りません。 「向かいの家の田中さんから、ナスをいただいたよ。」 「学校の山川先生が『2学期のはじめに、ぞうきんを忘れないで』って、おっしゃったよ。」 など、家族との会話の中でも、少し気をつけていくうちに、敬語は自然に身につくと思います。脳トレならぬ、口のトレーニングを始めませんか。 敬語は、日本語の特ちょうの1つです。ならば、正しい敬語を話せるように努力するのは、当然のこと。日本人として、そして作文を勉強する言葉の森の生徒として。ねっ。 |
■話し言葉と書き言葉(ひまわり/すぎ先生) |
話し言葉と書き言葉の違いについて、きちんと意識したことはありますか? どちらも同じ日本語なのだから、そんなに変わらないだろうと思うかもしれません。では、少し意識して家族や友人同士の会話を聞いてみてください。その言葉を、そのまま文字にしたらどうでしょう。たとえば、話し言葉で最近よく使われる「うざい」などは、文章にするときには別の表現にしたいものです。 昨年亡くなった、ロシア語通訳者であり作家の米原万里さんの著作『不実な美女か貞淑な醜女か』に、通訳と翻訳の違いについて述べた興味深い話があります。通訳も翻訳も、ある言語を別の言語に置き換えるという意味では同じ作業ですが、通訳のほうは圧倒的に短い時間で行なわなくてはなりません。では、通訳は翻訳よりもはるかに困難な仕事なのでしょうか。 実は、時間的制約の厳しい通訳という仕事を助けてくれるものが、話し言葉の冗語性の高さ(余分な言葉の多さ)だそうです。 「えーっと、そのですねえ。要するに私の言いたいことは、そうですね。うん、まぁ先ほども述べましたように……。」 このような言葉は、いくら早口で話されても、通訳者は大して困ることはありません。情報の密度が非常に薄いからです。また話し言葉の、同じ内容をしつこく繰り返しながら進んでいくという特徴もまた、通訳者に大いに味方してくれます。 ところが、国際機関の会議などでは、発言者が文章を読み上げることがあります。あらかじめ通訳者に文章を配っておけば問題はないのですが、そうでない場合に、発言者が猛スピードで読み上げたりすると、通訳者たちはいっせいに席を蹴って出て行くそうです(笑)。 良い文章と言われるものは、一般に冗語性が低く情報密度が濃いものです。余分な言葉を一切取り除き、情報が濃密に凝縮された「優れた文章」を、発言者がすさまじいスピードで棒読みしたりすると、通訳者はお手上げというわけです。 みなさんは、毎週、作文に取り組んでいるわけですが、だれかに話す言葉をそのまま書いたりはしないでしょう。最初に頭に浮かんでくるのは、話し言葉に近いものかもしれませんが、それを文章にする際、書き言葉に変換する作業を多少なりとも行なっているはずです。しかし、ただそれだけでは、なかなか密度の濃い「優れた文章」を書くことは難しいですね。「優れた文章」を目指すには、どうしたらよいのでしょうか。 文章をまとめるときは、何をどんな順序で書いていくかを考えることが大事です。たいていは四段落構成になると思いますが、先生と電話で話したときに、どの段落にどんな話を書いていくのか、構成メモを作っておきましょう。これだけで、話し言葉のような無駄な繰り返しが減り、密度の濃い文章に少し近づきます。こうして書いた作文を、清書の際には推敲してみましょう。余分な言葉を省いたり、繰り返し出てくる言葉を別の言葉に言い換えたりしながら、さらに文章の密度を上げていきます。「この文章を早口で読み上げたら、通訳者が怒って席を立つだろうな。」というものが書きあがるといいですね。 |