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  作文通信講座の比較
  受験作文の家庭での練習(過去の記事の再掲)
  受験作文小論文の決め手自作名言(過去の記事の再掲)
  作文小論文試験の受験の心構え(過去の記事の再掲)
  森林プロジェクトの目指すもの(1)
 
言葉の森新聞 2011年11月2週号 通算第1199号

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森新聞
作文通信講座の比較
 作文の通信講座で、よく広告を出しているところがあります。朝日小学生新聞などに、月に何度も広告を載せています。顔写真に有名な評論家を使っているので、いかにもいい指導内容のように見えますが、それならなぜそのように頻繁に広告を出しているのかと思うでしょう。
 結局、宣伝でたくさんの生徒を集めても、それらの生徒がすぐやめていくので何度も広告を出しているということです。
 広告をたくさん出しているところは、一見活気があるように見えますが、実は、生徒の定着率がよくないということなのです。
 現に、言葉の森の通学教室は、この何年か宣伝らしい宣伝をしていませんが、生徒はずっと増え続けています。
 通学の教室の場合は、宣伝がなくても地元で実際に通っている人の評判を聞けますが、通信講座の場合は、評判がわからないからつい広告に頼るということがまだ多いのです。
 また、ネットの評判というのも、匿名の場合は宣伝の一環であることが多いのであまりあてになりません。
 このように宣伝に乗せられて勉強を始めてしまう子供たちはかわいそうです。
 一見カラフルで楽しそうな教材で勉強を始めてみても、低学年のうちは遊びのようなことばかりで実力はつきません。言葉の穴埋め問題のようなことをいくらやっても、それはクイズのようなもので、何の実力にもならないのです。
 そして、中高学年になって、実力をつける必要が出てきたときに、それまでが遊びのような教材だったので実力がついていず、続けられなくなってやめるというパターンが多いのだと思います。
 そういう子供たちは、実力がつかなかったばかりか、自分は作文が苦手だという意識を持ってしまいます。
 だから、作文の通信講座は、評論家の顔などにまどわされず、体験学習を実際に受けて内容をよく見きわめる必要があると思います。
 なぜ、こんなことをわざわざ書いたかというと、ここのところ続けてそういう相談があったからです。
「ほかの作文通信講座でやっていたが、結局全然できなくて」
という相談です。
 勉強は、低学年のときほど、最初の始め方が重要なのです。
 ということで、小中学生で作文の通信講座を受ける場合の比較の基準です。
1、体験学習ができるかどうか。
(何でも、実際にやってみなければわかりません)
2、先生からの電話指導など、確実に教えられる手段があるか。
(教材だけで勉強する形だと、穴埋め問題のような単純なことしかできません)
3、書いている途中書けなくなったときに、相談の電話などがすぐにできるか。
(作文は、特に途中で書けなくなるということが多いのです)
4、家庭で毎日取り組む自習のようなものがあるか。
(国語の実力をつけるには毎日の勉強が必要です)
5、中学入試、高校入試、できれば大学入試まで同じ先生で対応できるか。
(低学年の指導であっても、将来の指導に結びついている必要があります)
 
 教科の勉強は、教え方によってすぐに成績を上げることもできます。しかし、作文は、書き方を直すだけならだれでもできますが、実力をつけるように教えるということはなかなかできません。また、実際に作文力を上達させるには、かなり長い時間がかかります。
 ところが、世間の作文通信講座や、作文教室はそのあたりをあまり深く考えていないと思います。
 言葉の森が、小学校1年生から高校3年生まで作文指導をしていて、中にはずっと続けている子もいるというと、多くの人は驚きます。そして、高校3年生の子供たちは、東大、一橋大、早稲田大、慶応大などに合格しているのです。
受験作文の家庭での練習(過去の記事の再掲)
 言葉の森で入試作文の練習をしている人は、家庭でも勉強の続きをしていきましょう。
 それは、教室で書いた作文と同じテーマで、自分の書いた作文を思い出しながら短時間で書き上げる練習です。
 毎日1回、そのように自分が書いたものを思い出して作文を書いていると、作文を書く感覚に慣れてきます。新しいテーマでなく、既に書いたことのある作文を思い出して書くのですから、勉強の負担はあまり大きくありません。
 同じテーマの作文を書くときは、できるだけ消しゴムを使わずに短時間で書いていきます。初めて書くテーマのときは、実例や意見をいろいろ考えるので時間がかかってもかまいませんが、仕上げの練習として同じテーマで書くときは、短時間で書き上げることが大切です。
 入試に合格する作文の条件は、(1)時間内に書くスピード、(2)字数いっぱいまで書いてあるボリューム、(3)光る表現(と主題)、(4)味のある実例、の4つです。
 このうち、スピードとボリュームは、家庭で力をつけていくことができます。スピードは、途中で読み返したり考えたりせずに、最後まで一挙に書き上げる練習で身につきます。これを、同じテーマで書く練習をするときに心がけていくとよいでしょう。
 ボリュームは、何が何でも目標の字数まで埋めるという練習でつけていくことができます。これも、同じテーマで書く練習をするときに心がけていきます。
 芸がないようですが、スピードとボリュームは、テクニックではなく、本人のがんばろうとする意識と慣れで力がついていくものです。
 光る表現は、作文を書く中で偶然生み出される面があります。一生懸命に書いていると、自然にいい表現が出てくることがありますから、それをたくさんストックしておきます。
 光る表現を意識的に書くには、小学生の場合は一般化の主題で「○○は(人間にとって)……である」というスタイルで考えてみます。中学生や高校生は、「○○はAではなくBである」というスタイルで、自分なりの名言を作っていくことができます。この自作名言は、小学生の場合ももちろん使えます。
 味のある実例は、作文に書く実例ををお父さんやお母さんがアドバイスをしてあげることでついていきます。子供が自分で思い出せないようなことでも、親が「この話なら、昔こういうことがあったじゃない」と示唆してあげることができます。また、お父さんやお母さんに聞いた話ということで、両親の実例を書いていくこともできます。親に聞いた話というのは、意外といい実例になるものです。
 作文試験がだんだん広がっていくと、受験生がみんな作文試験の対策を立てくるので、試験の問題もそれに対応して異常に難しい問題になっていきます。なぜこういう難しい試験をするかというと、書くことに自信のある子は、到底書けないような課題が出ても何とか書いてしまうので、そこで差がつくのです。そういう自信をつけるには、書く回数を増やすことです。言葉の森の指導は週に1回ですから、その間の6日間は、これまでに書いたものと同じテーマで同じように書く練習をしていってください。
受験作文小論文の決め手自作名言(過去の記事の再掲)
 受験で作文小論文を書く人は、結びに自作名言を入れる練習をしていきましょう。
 これは、小学生の場合は子供の力ではなかなかできないので、お父さんやお母さんが手助けをしてあげてください。教室で先生が指導してしまうと、複数の生徒が同じ表現を使う可能性が出てくるので、教室では大きな方向だけを説明します。
 自作名言とは、「○○とはAでなく、Bである。」という形の文です。Aの部分は世間の常識、Bの部分は逆説の真理という位置づけになります。
 例えば、「私の家族」という題名の作文でしたら、主題となる家族という言葉について、「家族とは、子供たちを社会の荒波から守る場所ではなく、子供たちがその中で社会の荒波に備えて練習をする場である。」というような名言が作れます。
 「戦争」という題名でしたら、「戦争は、問題を解決する手段ではなく、問題の解決を遅らせる原因になっている。」というような自作名言が作れます。
 「自然」でしたら、「自然とは、保護するものではなく、人間がその中で暮らす家なのである。」というような自作名言が作れます。
 こういう自作名言を、これまでに書いた作文のそれぞれについて、結びの5行に入れられるようにしておきましょう。その名言を全部覚え、自信のある二つの体験実例をいつでも書けるようにして、試験に臨みましょう。
 これまでの経験では、作文の結びの5行に名言が一つ入ると、印象点が2割近くアップします。ボーダーラインに並んだ場合は、名言の有無が決定的な役割を果たします。
 作った自作名言が効果的なものかどうかわかりにくいという場合は、教室までお電話でご相談ください。(0120-22-3987平日午前9:00〜午後7:50)
作文小論文試験の受験の心構え(過去の記事の再掲)
(1)これまでの作文をファイルしておきましょう。
(2)上手に書けていると思ったところに赤ペンで線を引いておきましょう。
(3)線を引いたところを何度も繰り返し読んで、覚えましょう。
(4)これまでに書いた作文の中で、自分らしい体験実例が書かれているところを二つ選び、その実例をいつでも書けるようにしておきましょう。
(5)試験の始まる直前まで、作文のファイルを読みましょう。
(6)課題が出されたら、頭の中にあるこれまでのいい実例、いい表現であてはまりそうなものを思い出して、問題用紙の横などにメモしましょう。
(7)全体の構成は、第一段落「説明と意見」、第二段落「理由・方法・実例」、第三段落「理由2・方法2・実例2」、第四段落「第一段落と同じ意見」という形を基本にしましょう。それぞれの段落の長さは150字ぐらいが目安です。
(8)構成メモを考えたら、字数配分で8割ぐらいまでのところは、できるだけ速く書き、最後の2割はじっくり書くようにしましょう。
(9)結びの第四段落には、できるだけ「確かに……」という言葉で反対意見に対する理解を入れましょう。
(10)書き出しと結びの意見は必ず対応させましょう。
(11)課題文の中にあるキーワードは、できるだけ結びの5行の中に入れましょう。
(12)習った漢字は全部使いましょう。書こうとする漢字に自信がないときは、別の表現の仕方を考えましょう。
(13)できるだけ指定の字数ぎりぎりまで書きましょう。
森林プロジェクトの目指すもの(1)
 これまで、多くの子供たちの勉強の様子を見てきて痛感するのは、学力は家庭でほとんど決まるのではないかということです。
 もちろん、学校や塾で先生が教える教え方によって、成績が早く上がったりなかなか上がらなかったりということはあります。そこだけ見ると、先生の力は大きいように見えますが、しかし必ずしもそうとは言えません。
 先生は、植物の栽培で言えば、花を咲かせる段階のテクニックを知っているのです。
 私(森川林)も、子供たちの国語の成績を上げたり、作文小論文を上手に書かせたりすることはできます。しかし、それはテクニックです。誰でも同じことができるようにその方法はすべてホームページで公開していますが、実際にはやりなれていないと自信を持ってできないので、特別な技術のある人しかできないように見えるのです。
 しかし、先生が、教え方の技術によって子供たちの成績を上げることができるように見えても、そのテクニックが生きてくるのは、その子のもともとの実力までです。つまり、植物で言えば、張っている根っこの力の範囲までしかいい花を咲かせることはできないのです。
 では、その家庭の教育力とは何でしょうか。それは、できる人には簡単にできるが、できない人には全く難しく見える、家庭での習慣作りです。その習慣作りの最初の方向と方法さえ間違わなければ、どの子も実力がつき、いい子に育ちます。
 実力のある子は、必要に応じて勉強を始めると、すぐに成績が上がります。逆に、小中学校時代に、成績を上げることに目を奪われ、実力をつけることをおろそかにしていると、みんなが勉強を始める時期に、逆に成績が低下してきます。
 小中学校時代の勉強は、成績を上げることではなく実力をつけることです。
 わかりやすい例で言うと、小学生の子に、国語の勉強としてドリルのようなものをさせる人も多いと思います。問題を解く勉強を毎日する習慣がついたとしても、これでは実力をつけていることになりません。
 国語の力をつけるためには、問題を解くよりも読書と対話に時間を割いた方がいいのです。
 国語のドリルをやっている子は、学校や塾の国語のテストも要領がわかるので、最初のうち、少しは点数がいいかもしれません。しかし、学年が上がるにつれて成績が上がっていくのは、国語の問題集などせずに、読書を楽しみ、家族と対話をしていた子の方なのです。
 算数、数学でも、同じです。できる問題も、できない問題も、ただ枚数や時間を決めて解くだけという勉強の仕方をしている子は、たとえ毎日算数の問題を解く勉強をしていても力がつきません。できない問題だけをできるようにするという教材の選択の仕方が大事なのです。
 これは、勉強以外のさまざまな生活習慣についても同様です。例えば、食事中はテレビを見ない、ゲームの時間は制限する、朝起きたらあいさつをする、イスにはまっすぐに腰かける、いい言葉づかいをする、などということは、実行している家庭では全く何の特別なことでもなく、ごくあたりまえのこととして続けています。しかし、それができない家庭では、親が子供に何度言ってもできない難しい問題になっています。
 そして、こういうことが、子供の勉強力の根っこになっています。根がしっかり張っている子は、その根の力の範囲まですぐに花を咲かせることができるのです。
 そこで、言葉の森で考えたのが、森林プロジェクトです。
 言葉の森では、週1回作文の勉強を教えていますが、週1回の授業を充実したものにするのは、家庭での毎日の自習と予習です。
 子供を育てるのは、先生だけでも親だけでもなく、先生と親との協力です。そして、どちらが大事かと言えば、もちろん家庭で毎日接している親の方です。
 だから、家庭で毎日行う自習と生活習慣作りを中心にして、そこに、教え方のノウハウと教材を組み合わせて、親が先生の代わりをして子供たちを教えるという形の勉強法を考えました。
 しかし、子供というのは、友達との集団の中で勉強するのが好きです。勉強が楽しいという子はあまりいませんが、友達と勉強するのが楽しいという子は多いのです。
 そこで、親が自分の子供を教えるだけでなく、その子の友達も呼んで、近所の仲のいい子と数人で勉強するようにします。そのために、教材はかなり低価格に抑えます。
 お母さんは、自分の子供を教え、一緒に近所の子供も教え、集団の中で教えることで子供たちの勉強意欲を引き出すことができます。
 また、教えるのは近所の子供ですから、その子の親にも家庭での自習をうまく勧めることができます。こうして、自分の子供と近所の子供が、本当の実力をつけることを目指した教育を行っていくのです。
 このようにして子供たちを教えていく中で、やがて教えることに優れた能力を発揮するお母さんも出てくると思います(もちろん、お父さんでもいいです)。そういうお父さんやお母さんは、その地域で集会所や公民館などを利用して、より大勢の子供たちを教えていくこともできます。
 また、それほど大人数にならなくても、子供の勉強を通して近所の人たちと家庭のつながりができるというのは魅力のあることです。
 特に、言葉の森が教えている勉強の中心は作文ですから、近所の人たちが集まって、子供たちの作文の発表会などを行うことができます。また、言葉の森が毎日の自習として行っている暗唱を生かして、暗唱発表会などを開くこともできるでしょう。
 普通の子供の集まりであれば、例えばバーベキューなどを行ってもみんなで楽しく遊んでおしまいですが、作文の勉強という知的な共通点のある集団では、親も子も密度の濃い話ができます。
 例えば、子供たちが読んでいる本を紹介し合い、貸し借りをするようなことも自然に行われるでしょう。内容のある話を交わす大人たちの間で育つ子供たちは、人間関係のコツなども自然に学んでいくでしょう。
 子供のバランスのよい成長には、複数の大人が必要です。どんなに優れた親であっても、一人の親が一人の子供を育てているのでは、必ず偏りが出てきます。(しかし、母子家庭、父子家庭の家もあると思うので、そのことについてはあとで述べます)
 例えば、厳しい父親は、子供をしっかりした子にさせる力がありますが、同時に自由なのびのびとした子に育てるのは難しい面があります。反対に、優しい母親は、子供をのびのびと育てる力がありますが、いざというときにくじけずにがんばる子を育てる面はやはり弱いのです。
 だから、子供の教育には、父親も母親も大事なのですが、更に、父と母だけでは不十分なこともあります。
 複数の家庭が子育てで共通点を持つと、ある家庭は、野山でキャンプをするワイルドな経験を伝えてくれるでしょう。ほかのある家庭は、工場見学のような物作りの楽しさを伝えてくれるでしょう。またほかのある家庭は、カラオケ大会のような自分で表現する楽しさを伝えてくれるでしょう。
 このような複数の家庭の交流の中で、バランスのとれた子供たちが成長していくのです。
 だから、母と子、父と子だけの家庭でも、対策は同じです。親が、親子の関係の中に、ほかの大人や子供と一緒にいる機会をできるだけ作っていけばいいのです。(つづく)
 
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