言葉の森新聞
2014年4月2週号 通算第1317号
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森新聞 |
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■プレゼン作文発表会アップロード中 |
3月4週に、通学教室で曜日ごとのプレゼン作文発表会を行いました。今回は、パワーポイントとプロジェクタを使って、社会でよく行われているプレゼンテーションのような形で行いました。 中には堂々とプレゼンテーションをする生徒もいたので、その例を今後の見本として紹介したいと思います。 youtubeには、現在、限定公開機能と顔ぼかし機能があります。これらの機能を利用して、発表会に参加した人どうしが互いの発表を見られるようにしていきたいと思っています。 通学教室では、秋には近くのホールを借りて、教室の生徒全体でプレゼン作文発表会を行っていく予定です。 まだアップロードが途中ですので、アップロードが完了し次第、閲覧先をお知らせします。 |
■勉強は追加すればだらだらやるようになり、早めに終えれば集中力がつくようになる |
勉強が予定よりも早く終わると、親はつい、 「そんなに早く終わるのだったら、もう少しほかのこともやっておこう」 と言ってしまいます。ところが、それがよくないのです。 子供は、自分なりに、与えられた課題を早く仕上げて、お母さんに褒めてもらいたい、又は、早く勉強を終えて遊びに行きたいと思っています。 ところが、早く終わったことによって、その早く終わったことに対する罰であるかのように、新しい勉強が追加されるのですからたまりません(笑)。 そういう勉強の追加をやると、子供はそれからだらだら勉強するようになります。早く終えない方が得だということを学習してしまうからです。 犬の躾にも、似たようなところがあります。広いところで犬を放して遊ばせたあと、「おいで」と言ってもなかなか戻ってこないことがあります。何度呼んでも戻ってこないので、やっと戻ってきたときに、飼主は犬を叱ってしまうのです。 「どうして早く戻ってこなかったの。ゴツン」 すると、犬は、戻ってくると叱られるのだということを学習してしまいます。その結果、ますます戻ってこない犬になるのです。 どうしたらいいかというと、自分の都合で考えるのではなく、相手の立場になって考えるということです。それは、相手が自分よりも弱い立場にいるときほど必要なことです。 しかし、こういう間違いは、多かれ少なかれ誰でもしています。だから、そういう失敗を経験した人が、そのあとの人にその経験を伝えていけばいいのです。昔は、その伝える役割を大家族の中で祖父母が行っていました。これからは、地域あるいはネットの中で父母どうしが子育ての共有をするようになっていくと思います。 では、勉強が予定よりも早く終わったらどうしたらいいのでしょうか。 その前に、勉強は時間でやるのではなく、分量でやらせることが大事です。「○分の勉強」ではなく、「○ページの勉強」というように目標を決めるのです。 その「○ページの勉強」が見積もりよりもかなり早く終わった場合、親は、「わあ、すごい。早く終わったね」と喜んでおしまいにしておくのです。 そうするうちに、だんだんと、その子の実力に応じた分量がわかってきます。しかし、その場合でも、目一杯の分量ではやらせずに、少しものたりないぐらいの分量で続けていくことが大切です。 少なめの分量であれば、子供は自分で勉強の仕方をコントロールすることができます。時間で決められたり、多すぎる分量を与えられたりすると、自分で自分の勉強をコントロールできなくなります。 このコントロールする力が自律心です。 |
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犬の躾の場合は、別に書かなくてもいいかとも思いますが(笑)、犬に長いリードをつけて遊ばせます。そして、「戻っておいで」と言いながら、リードを少しずつ引っ張ります。そうすると、犬は当然引っ張られて戻ってきます。そこで、「えらい、えらい」と褒めてやるのです。 できなかったことを叱るよりも、できるようにさせてできたことを褒めるのがコツです。 しかし、ここでもう一つ大事なコツがあります。 それは、叱るときには、ごくたまに厳しく叱ることです。いざというときには厳しいということがわかっているから、優しく褒められたときに嬉しくなるのです。 |
■小1、小2は勉強の習慣を作る時期 |
小学校1、2年生のころは、誰でもお父さんやお母さんの言うことよく聞きます。だから、この時期は、勉強の習慣を最もつけやすい時期です。小学校3年生になると、自己主張ができるようになるので、「なんで」「どうして」と言うことが多くなり、習慣を作ることが難しくなってきます。 1、2年生の勉強で大事なことは、四つあります。 第一は、決まったことをやり続けるということです。子供が、時間になったら、「あれをして、これをして、これをやったらおしまい」というように、条件反射的に自習ができるようになるぐらい決まりきったやり方を作っておくことです。 第二に、勉強は自分でやることが基本です。親が教材を用意したり、採点したり、間違えたところを教えたりしていると、親に依存した勉強になります。時間になったら、子供が教材を用意して、自分で答え合わせをして、決めた分量が終われば自分で終えるというようにしておくことが大事です。 第三に、繰り返しの勉強に慣れることです。現在は、カラフルな外見だけの面白そうな教材が多いので、子供たちは新しい教材を次々にやるような勉強に慣れています。しかし、面白そうな教材を次々にやっても力はつきません。実力をつけるための教材は、平凡なことを何度も繰り返すようにできている教材です。そういう繰り返しの勉強が、勉強の本来の姿だと自然に納得できるのが小学校低学年です。 第四に、勉強を長時間やらせないことです。低学年の勉強の目的は、習慣を作ることですから、勉強の成果を上げるところまで目指さなくてもよいのです。この時期の勉強は、時間をかければ誰でも成績が上がり、先の進度まで進むことができます。しかし、そういうふうにして勉強の量を多くしたり、難しい問題を解かせたりした子は、勉強というものに対する否定的な印象を持つようになります。勉強の中身が重要になるのは、小学5年生からです。それまでは、学力の土台を作る時期で、特に低学年は、学力の土台を作るための習慣を作る時期なのだと考えておくことです。 |
■漢字の勉強は反復が基本 |
漢字の勉強の教材については、簡単で楽しくできそうな工夫をしてあるものがたくさんあります。しかし、基本は、ひとつの漢字を何十回も書いて覚えることです。回数は、作文用紙2行分の40字としておくとわかりやすいでしょう。 また、漢字を覚える前提に、その漢字が含まれているような文章を読んだ経験、つまり読書経験があることが必要です。 世間に出ている漢字問題集の多くは、子供を飽きさせないために反復の回数を少なく面白く取り組めるようにできています。しかし、これではかえって力がつきません。 漢字は何度も繰り返し読み、繰り返し書くという勉強を基本にして進めておくことです。 |
■中学生になっても言葉の森を続けた方がいいかどうか |
「中学生になっても言葉の森を続けた方がいいかどうか」という質問がありました。それは、もちろん続けた方がいいのです。 中学生で学習する意見文の3種類のパターンは、そのまま大学入試の小論文に使えます。 その小論文の最も基本になる構成の仕方は、小学6年生で学んでいます(そういう自覚のある小6生は少ないと思いますが)。それが、複数の実例と一つの意見(一般化の主題)です。 この形さえ知っていれば、どんな課題でも一応しっかりとまとめることができます。あとは、読書や経験や思索によって構成の中身を埋める材料のレベルを上げていけばいいのです。 だから、構成を知っているだけでは、車の両輪の片側しかできたことになりません。もう片方の車輪は、読む力をつけることによって作られていきます。その読む力のもとになるのが、言葉の森の課題の長文です。 最近の高校入試は、記述重視(場合によっては作文重視)になっています。この傾向は、公立中高一貫校でも、大学入試でも、就職試験でも表れています。 その一つの象徴が、東大や京大でこれから行われる特色入試です。特色入試では、高校生に時代に自分の興味のある分野をいかに深めたかということが問われます。学力については、センター試験の8割が取れればいいということで担保されています。 つまり、学力は、普通にしっかり勉強している程度でよく、それ以上の重箱の隅をつつくような知識やテクニックは必要ないということです。大事なのは、その生徒の個性と意欲と読む力と考える力と書く力なのです。 ただし、中学生は、部活や定期テストで忙しいということも事実です。だから、定期テストの10日前は、音読などの自習は休んでもよいということで柔軟に取り組むことが必要になります。 中学生時代の部活はそれなりに楽しいものですが、部活が多忙で土日も休めないとなると本末転倒です。中学生時代は、勉強が幹で、部活は枝葉だということを再確認しておく必要があります。 |
■中学生の勉強はリビングで |
中学生になると、自分で勉強させた方がよいという考えから、子供部屋で勉強させるようにする家庭も増えてきます。しかし、中学3年生の受験期になるまで、中学生は勉強に対する自覚がないのが普通ですから、自分の部屋で勉強させるのはよくありません。自分の部屋は遊ぶために使う部屋で、勉強するために使う部屋ではないと考えておくことです。 勉強は、家族がいるリビングで行うようにする方が能率が上がります。しかし、その場合、テレビの音声は勉強の妨げになるので切っておく必要があります。 リビングで勉強していると、子供の勉強する様子が目に入るので、つい注意をしたくなることが出てきますが、勉強の態度に対する干渉はしないようにします。口うるさく言っていると、親の前で勉強することを嫌がるようになります。 勉強の態度に干渉しないようにするためには、勉強の内容を決めておくことです。勉強の内容を決めるためには、家庭で勉強の内容を把握しておく必要があります。だから、塾や通信教材に任せる形の勉強はあまりよくありません。子供が何をやっているかわからないので、つい勉強をする態度に注文をつけたくなるのです。 小中学校の勉強のための教材は、市販のもので完成されたものがそろっています。その中から親子で適当だと思われるものを選んでやっていけばよいのです。 受験に対応するための勉強は、中学3年生の受験期からで間に合います。それまでは、実力をつけることが第一で、そのためには、家庭で子供の勉強の内容が把握できるようにしておき、家族の中で勉強させるようにしておくことです。 |
■読書は勉強よりも優先して |
小学生の学力の中心は読書です。しかし、この読書の範囲の中には、図鑑、絵本、雑誌、新聞、学習漫画、漫画などは含みません。それらを読むのはもちろんよいことですが、読書としては、文章を読むようなものを中心にしていく必要があります。 読書は、時間のコントロールがしにくいので、勉強の最中には行いません。朝ご飯が終わって学校に行くまでの空き時間や、夕ご飯が終わって休憩している間の時間や、夕方の勉強が終わってあとは自由時間となる前の時間などに読む時間を設けるようにします。 読書は毎日行うことが必要で、毎日10ページ以上は読むと決めておけば、読書の苦手な子も必ず読書好きになります。本の好きな子は、毎日50ページ以上と決めておくとよいでしょう。 小学生が平均的に読む冊数は、1週間に約2冊と言われています。この読書量の差が、小学生の学力の差です。同じように勉強していて、よくできる子とよくできない子がいるのは、勉強の時間以外の家庭における読書の差と言ってもよいでしょう。 読書でどんな本を読むといいかということについては、言葉の森facebookグループに毎日おすすめの本の紹介がされているので参考にしてください。 「読書の好きな子になる庭」 https://www.facebook.com/groups/dokusho/ よくない読書選びは、子供の読む力よりも難しい本を読ませること、有名だからという理由で読ませることです。facebookグループで紹介された本などを参考に、子供が自分で好きな本を選ぶようにすることが大事です。 また、読書は、家庭の環境も大事です。テレビがいつもつけっぱなしであるような状態では読書はできません。子供に読書をさせるためには、親も自分の好きな本を読む習慣を作っておくことです。 |
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■言葉の森のfacebookグループで最近紹介された本 |
実際に読んだ人の体験をもとに紹介されているので参考になります。 |