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言葉の森新聞
2017年5月3週号 通算第1467号
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![]() 森新聞 |
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■今年の夏合宿は、たっぷり読書とたっぷり遊び |
![]() 2017年の夏合宿の特徴は、読書と遊びをたっぷりすることです。 子供たちの合宿というと、遊びだけ、勉強だけになりがちですが、言葉の森の夏合宿は「よく遊びよく学べ」で、両方を実行します。 特徴1.たっぷり読書をします。 付箋読書という読み方で、午前中3時間たっぷり読書タイムをとります。休憩時間には、敷地に設置した複数の大型ビニールプールで遊びます。 特徴2.たっぷり川遊びをします。 冷たい川でもウェットスーツを着ていれば、長い時間遊んでいても大丈夫です。川遊びのあとは、近くにある小高い丘で自由に遊びます。 特徴3.たっぷり作文を書きます。 川遊びの様子を防水カメラで記録し、夕方に作文を書きます。次の日の夕方、その作文のプレゼン発表をします。プレゼン発表会は、家で待つお父さんやお母さんもウェブ経由で見学できます。 |
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■今年の夏合宿は読書三昧の合宿に |
![]() △言葉の森合宿所は、那須高原南ヶ丘牧場と那須サファリパークの中間です。近所にはペニー・レインというビートルズの音楽が流れるパン屋さんがあります。 物語の本は、すぐに熱中できるものが数多くあります。 そして、最後まで読み続けられます。 しかし、説明文の方はそうではありません。 知的には面白いものでも、読んでいると、途中で飽きることも多いのです。 また、物語の本の場合も、現在のものがテンポが速く飽きずに読み続けられますが、昔の名作と言われる物語の中には、途中で退屈に感じるものもよくありますす。 そういう、読み終えると面白さがわかるが、読んでいる途中で飽きやすい本をどう読むか、ということで考えたのが付箋読書です。 付箋読書とは、自分が読みたいと思う方法10冊ぐらい並べておき、1冊を読んで飽きてきたら付箋を貼り次の本に移るという本の読み方です。 これを繰り返していると、何時間でも飽きずにいろいろな本を読むことができます。 ただし、この方法は理屈で言ってもなかなかわからないので、今度の夏合宿で実践してみようと思いました。 合宿に参加する生徒が、それぞれのおすすめの本を数冊持ってきます。 そして、グループごとに互いの本を貸し借りする形で付箋読書を行います。 45分本を読んだら15分休憩というような形であれば、午前中、読書三昧の生活ができます。 朝の10分間読書ならぬ、午前中の3時間読書です。 そして、たっぷり読書をしたあとに、午後は自然の中で自由に遊びます。 更に、夕方は、午前中の読書と午後の体験を活かして作文を書きます(笑)。 実は、作文と読書との間には深いつながりがあります。 文章を読む時間が多くなると、言葉が浮かんできやすくなり、その後の作文も書きやすくなるのです。 作文の題材は、実際の体験が直前に豊富にあるので、いくらでも思いつきます。 作文の中には、その日一緒に遊んだ友達なども登場すると思うので、その作文をプレゼン発表するような機会を作れば、更に面白いと思っています。 面白い夏合宿にするためにはどうしたらいいかということを考えて、以上のようなことを思いつきました。 名付けて「読書三昧の夏合宿」です。 7月23日から8月23日まで、2泊3日を1単位として連続して開催する予定です。 |
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■将来の仕事に必要なのは、理系の頭脳と文系の頭脳 |
理科の本が好きな子は、合理的な考え方が好きです。 何かを考えるときも、科学的にどうしたらいいかというような発想をします。 感覚的な好き嫌いよりも、理屈が合っているかどうかを重視するところがあります。 一方、物語の本が好きな子は、感動したり共感したりする話が好きです。 だから、人間関係でも、そういう人情の機微のようなことを察するようになります。 ストーリーのある文章は、その中に自分を投影できるので、それだけものの見方が豊かになるのです。 読書の環境は、外側からは充実しているように見えますが、内実はそうではありません。 いちばんの問題は、勉強や習い事に追われているせいか、読書時間が全体に少ないことです。 「1日10ページでもいいから毎日読むことが大事」と言うと、それを単に10ページ読んでいれば十分と思ってしまう人がいます。 「1日10ページ」は入口で、目標は、「寝食を忘れて読むぐらい熱中できる本に出合う」ということなのです。 もう一つの問題は、自分の好みの本が狭く限定されていることに気が付かないことです。 それは、狭いジャンルでもいくらでも読む本があるからです。 本の傾向を広げる役割は、子供が小さいころはお母さんです。 ある程度大きくなると、友達からの影響で別のジャンルの本を読むということが出てきます。 そういう外からの働きかけによって、読む本の範囲を自然に広げていくことが大事です。 今は、理系の考え方が見直されている時期ですが、理系の力だけでは限界があります。 それは、世界の大きな流れを見るには、文系的な発想が必要になるからです。 そうでなければ、理系はただ道具の使い方を知っているだけということになってしまいます。 専門的な知識や技術を持つとともに、それをこれからの社会にどう生かしていくかということを考える必要があります。 専門的な実力とともに、専門を離れて全体との関連を見ることのできる幅広い視野が必要です。 そういう一種の教養をもとにして、初めて自分の専門性を社会に役立つ形で生かしていくことができるのです。 ==== 将来のその子の仕事のための教育と子育 https://www.mori7.com/index.php?e=2206 これからの子供の教育を考える場合、未来の仕事がどういうものになるかを考えておく必要があります。人生のかなりの部分は、仕事によって占められているからです。 これからは、会社に勤めて給料をもらうという時代から、自分が仕事を作り出すという時代になっていきます。今の大人のほとんどは、会社勤めをしていますから、実感としてわかりにくいと思いますが、世の中はそういう方向に進まざるを得なくなっているのです。 会社というものは、常にコスト削減の波にさらされています。仕事をする人にとっての給料は、企業にとっての人件費です。企業は、利益を出すために、機械化、外注化、省力化を進め、人件費を少しでも減らそうとする傾向を持っています。 今行われている仕事が、機械で代替されるようになると、仕事そのものが人間を必要としなくなります。それは、労働の苦痛から人間を解放するという点で社会の進歩ですが、その仕事で給料をもらっている人にとっては生活の手段がなくなることを意味します。 新しい仕事は、機械化が遅れている分野で探さなければなりません。そういう仕事は、魅力的なものとは言えません。 これに対して、自分が仕事を作っているのであれば、仕事を機械化した分だけ、その人は新しいより創造的な仕事に自分の時間をふりむけることができるようになります。その努力は、自分を成長させるための努力でもあるので、新しい仕事に取り組むことは楽しいチャレンジになるでしょう。 長い目で見れば、どこかに勤める仕事は、次第に面白くない仕事になり、自分で作る仕事は、次第に面白いものになるという傾向があるのです。 では、自分で仕事を作るには、どのような能力が必要になるのでしょうか。 第一は、自分の得意技を複数持ち、その得意技を組み合わせることによって、その分野で第一人者になることです。 第二は、その分野で時間をかけることによって、他の人が真似のできないようなレベルにまで持っていくことです。 第三は、幅広い人間力をつけていくことです。 この人間力は、人望と言ってもいいでしょう。自分より上の人からはかわいがられ、同僚からは信頼され、下の者からは慕われるというのがその人の人望です。 人間関係の力は、勉強だけでなく、実際の交流によって作られます。人間どうしの交流の多くは、遊びを通して得られることも多いので、友達と楽しく遊ぶということは、勉強と同じように大切なことになります。 また、ただ仲よく遊ぶだけでなく、自分の個性や創造性を育てていくことも大事です。そのためには、交流と同じぐらい孤独の時間も必要になってきます。 これまでの子育ては、勉強面での成績のよさや、志望校への合格に還元される面がありました。 これからは、そうではなく、個性、創造性、人間性を育てることが大事になってきます。 子供を見るときに、その子が将来どういう仕事をしていくかということを思い浮かべながら子育てをしていくことが大切になっているのです。 ==== |
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