言葉の森新聞
2019年8月1週号 通算第1573号 https://www.mori7.com/mori |
森新聞 |
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■【重要】サマーキャンプ中の電話受付時間の変更 |
サマーキャンプ実施期間(7月20日~8月10日、8月17日~8月24日)の電話の受付時間は、平日午前9時から午後7時までとなります。土曜日は通常どおり午前9時から正午までです。 振替授業の受付時間も平日は、午後7時までとなります。 1時間早い終了になり、ご不便をおかけしますが、よろしくお願いいたします。 |
■【重要】8月11日(日)-17日(土)は休み宿題 |
カレンダーに記載してあるとおり、8月11日(日)-17日(土)は言葉の森の夏休みです。 先生からの電話はありませんが、自宅でその週の課題を書いて作文を提出してください。他の日に教室に来るか教室に電話をして、その週の説明を聞いてから書くこともできます。 休み宿題のときに、電話の説明を聞かずに自分で作文を書く人は、ホームページの「授業の渚」か課題フォルダの「解説集」を参考にしてください。 「授業の渚」 http://www.mori7.com/nagisa/index.php 「ヒントの池」 http://www.mori7.com/mine/ike.php |
■読書感想文の書き方は、言葉の森のホームページを参考に |
夏休みに、読書感想文の宿題が出た場合は、言葉の森のホームページの「読書感想文」のカテゴリーをごらんください。ここを見れば、全学年の感想文の書き方がわかります。読書感想文指導をこのような形で行ったのは、言葉の森が最初です。 http://www.mori7.com/beb_category.php?id=28 また、普段の作文の勉強の中で感想文の練習をしている人は、これまでに書いた感想文の中でよく書けたものをふくらませていってもよいと思います。 なお、言葉の森では夏休みの宿題の個別の指導・対応はしませんので、感想文の宿題は各自で取り組んでいくようにしてください。 |
■社会人のための文章講座――社会人作文クラス |
先日、昔お世話になったある出版社の方から相談がありました。 一流企業のある会社で、採用されている新人がみな高学歴の人たちなのに、文章力がかなり見劣りがするということで、どういう対策があるかというような相談でした。 現在、小中学生でも、作文力の低下という傾向が幅広く見られるようになっています。 昔も、作文を書けない子がいましたが、今の子供たちの中には さらに重症な子も増えてきています。 その最も大きな原因は、読書を通して文章語に接する時間が少なくなったことです。 テレビや YouTube やインターネットの SNS の断片的な文章に接していると、自分が文章を書くときにも、同じように断片的な言葉しか出てこなくなるのです。 今の受験勉強は、文章力がなくても、知識を詰め込めばなんとかなるという面があります。 ですから、高学歴にも関わらず文章が書けないという問題が起きているのではないかと思います。 この問題を解決する道は、しっかりした文章を読むことと、それをもとにして自分の考えを感想文という形でしっかり書く練習をする以外にありません。 ところが、文章を読むことは独学でひとりでも何とかできるとしても、文章を書く練習をひとりで続けることはまずできません。 与えられたテーマでひとまとまりの文章を書くということは、かなり負担の大きいことだからです。 また、文章を読むことも、本当は、社会人になったあとでは独学ではなかなかできません。 軽い文章はもちろん誰でも読めますが、本格的な古典と呼ばれるような文章は、学生時代まででなければ読めないからです。 そこで今、社会人のための文章講座を開くことを考えています。 言葉の森は、最初に設立した段階で、小学生から社会人までの作文指導をすることを考えていたので、現在も既に高校3年生を卒業したあとの大学生社会人向けの教材を途中まで作ってあります。 しかし、その後、システムがあまり複雑にならないように、現在のように高校3年生までの課題でいったん卒業ということにしたのです。 今後、社会人の方で文章力を身につけたいという方も学べるように、社会人向けの課題を復活させることを考えています。 今の段階で、社会人の方が言葉の森の作文を受講される場合は、小学6年生相当から始めるようになります。(もちろん、小学1年生から始めることもできますが。) 小学6年生の、「複数の実例プラス一般化の主題」が、作文・小論部の基本ですから、小6の課題を1年間こなすだけでも、文章力はかなりつきます。 その後、中1から中3までの意見文の書き方を身につければ、文章を書くことに関しては、かなり自信がつくようになると思います。 |
■幼児から小3までは日本語脳を育てる時期――英語脳は日本語の土台が確立してから |
「小学生のうちに身につけたい英語力。脱『日英変換』のための5つの視点」という広告記事を読みました。 その記事には、「英語脳をさらに伸ばしていくために、幼稚園児か小学生の低学年から英語脳で味わうという習慣をつけておくことが大切だ」ということが書かれていました。 英語を英語で理解しながら読むという「英語脳」を作ることは、一見、英語学習の近道にように見えます。 しかし、それは、「日本語脳」が失われることと裏腹の関係にあるのです。 小学3年生までは、日本語脳がまだ十分に形成されていない時期なので、この時期に英語の学習をすれば、たやすく英語脳にすることができるかもしれません。 しかし、それは日本語脳が不完全にしか成長しないというリスクをおかしての上のことなのです。 日本語脳が確立すると言われる小学4年生以降に英語脳を鍛える練習をするならば問題はありません。 むしろ、中学生以降に英語の学習をするよりも、英語になじむ度合いはずっと高くなるでしょう。 中学生になると、英語を日本語のフィルターを通して、知識と理屈で理解する面が強くなります。 小4から小6にかけては、英語を英語のまま聞き取る力が、まだ十分に発達しているからです。 しかし、小4以降の、日本語脳がある程度形成された時期から始める英語の学習は、日本語脳が十分に形成されていない幼児や小学校低学年のころから始める英語学習よりも進度が落ちるはずです だからといって、幼児や小学校低学年のうちから英語の学習を始めるというのは短絡的な発想です。 低学年のうちに英語脳をつくるということは、低学年のうちの日本語脳の発達を止めるということと同じです。 この弊害が出てくるのは、子供たちが高学年になってからです。 今、幼稚園や小学校低学年で英語の勉強をしている人は、英語ができるようになったというよい面しか見ていません。 日本語の生活自体がまだ初歩的なレベルなので、日本語脳が阻害されているとは感じられません。 だから、英語も日本語も同じようにできている気がするのです。 しかし、学年が上がり、難しい日本語の文章を読む時期になると、日本語を実感的に読み取れないという弱点が次第に強くなってきます。 ただし、英語と親しむ程度の英語教育は、こういう心配はありません。 英語の音声をシャワーのように聞かせ、親子でも英語で話をし、英語の本を日本語の本よりも優先して読ませるというようなやりすぎの幼児英語教育の場合に、弊害が生まれてきます。 英語教育に真剣に携わっている人は、英語の基礎となる幼児期の日本語学習の大切さを理解しています。 私の知っている人の中にも、そういう人はたくさんいます。 しかし、それ以上に多くの人が、幼児期や低学年の日本語の土台の大切さを理解していないようなのです。 そのひとつが、冒頭の広告記事にあるような考え方です。 では、なぜそのような英語教育が行われているかというと、言語というものを単なる伝達の手段として考えているからです。 言語は、伝達の手段ではなく文化の手段です。 言語は、ものの見方や考え方を身につける枠組みであって、単に情報を人に伝えるための入れ物ではありません。 人に伝える道具としてので言語は、これから急速に機械化されていきます。 今でもすでに、さまざまな言語を他の言語に翻訳するソフトが、不十分ながら実用に近いレベルで開発されています。 伝達の精度を100パーセント保証できるようになるまでは、まだ時間がかかるでしょうが、実用性のレベルでは100パーセントに近いという程度で十分です。 そういう先のことを考えると、子供たちの学習の重点は、第一に日本語、第二に算数数学、第三に英語です。 学習以外のことも含めれば、第一と同じところに「遊び」も入ると思います。 英語教育を行っている人の仕事の邪魔をするわけではありませんが、こういう、ごく当然のことを書く人があまりにも少ないように思ったので、敢えて書きました。 ▽参考図書 「日本語人の脳:理性・感性・情動、時間と大地の科学」角田忠信 「英語の早期教育・社内公用語は百害あって一利なし」渡部昇一 |
■勉強の本来の姿は自主学習――家庭で学ぶからこそ能率がよい |
「見える学力見えない学力」を書いた岸本裕史さんは、家庭塾というものを開いていました。 これは、勉強の土台は、家庭での学習にあるという考えにもとづくものです。 同じ考えで行われていたものに、初代総裁を平澤興氏が務めていた全家研の運動があります。 今は、学習塾の隆盛に押される形で、そういう家庭で自分の計画で行う勉強は少なくなっているのではないかと思います。 しかし、勉強の本来の姿はこの家庭塾なのです。 どんなに面白くわかりやすい授業を聞いても、それは、頭の表面を通り過ぎて行くだけです。 その知識が自分の中に定着し、さらに他の場面にも活かせるようになるためには、その勉強を繰り返し実習するという時間を欠かすことはできません。 ところが、学習環境が豊かになるにつれて、面白い授業を見るだけの勉強の時間が増え、自分でそれを定着させる時間が減っているという状況があるのです。 そのために、塾に長時間通うような勉強をしているのになかなか成績が伸びないとか、塾から出される宿題の量が多くて負担だとかいう問題が起きているのです。 小中学生の勉強は、教科書に準拠した分かりやすい参考書があれば、特にうまく教えてくれる先生がいなくても家庭で十分にやれるものです。 子供たちが勉強の時間をかけるところは、知識を面白く教えてもらうところではなく、それを定着させるために自分で勉強をするところなのです。 自主学習クラスでは、教材を決めて子供たちが自分のペースで勉強をしています。 分からないところは解法を見て自分で理解するか、又は、自分で理解できないときはお母さんやお父さんに聞くかします。 お母さんやお父さんも教えにくい問題のときは先生に聞きますが、ほとんどの勉強は子供が自分で答えを読んで理解できるものですから、人に教えてもらう時間は自然に少なくなります。 わからないところだけ人に聞く勉強なので、最初から最後まで人に教わる勉強よりも、ずっと能率がよい勉強になるのです。 この自主学習クラスのような勉強が、これまでなぜなかったかというと、オンラインで子供たちが集まって一緒に勉強するという仕組みがなかったからです。 言葉の森が始めた自主学習クラスは、古き良き家庭学習の伝統を、オンラインの技術で新しく作り直したものです。 また、単に古いものを新しい技術で復活させただけではなく、教育の目的も新しい理念に基づいて作り上げています。 それは、単に与えられた知識を詰め込むだけではなく(詰め込みの勉強ももちろん必要なことはありますが)、自分の個性を発見し、その個性を生かし、考える力を伸ばし、創造する力を育てるという教育の理念です。 この自主学習クラスを、作文クラス、発表学習クラスと同じようにこれから広げていきたいと思っています。 そして、この自主学習クラスの講師を担う人は、森林プロジェクトで作文講師資格を取得した全国の志ある仲間たちなのです。 |