言葉の森新聞
2021年8月1週号 通算第1669号 https://www.mori7.com/mori |
森新聞 |
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■【重要】8月9日(月)・8月11日(水)-17日(火)は休み宿題 |
カレンダーに記載してあるとおり、8月9日(月)は祭日、8月11日~17日(火)は言葉の森の夏休みです。 先生からの電話はありませんが、自宅でその週の課題を書いて作文を提出してください。他の日に教室に来るか教室に電話をして、その週の説明を聞いてから書くこともできます。 休み宿題のときに、電話の説明を聞かずに自分で作文を書く人は、ホームページの「授業の渚」か課題フォルダの「解説集」を参考にしてください。 「授業の渚」http://www.mori7.com/nagisa/index.php 「ヒントの池」http://www.mori7.com/mine/ike.php |
■オンラインという言葉はやがて死語になる――それに取って代わるものは何か |
●動画:https://youtu.be/Ttar7jWfw3Y 言葉の森が、Online作文教室言葉の森という名前でホームページを作っていたのは、40年ほど前のことです。 私は当時、オンラインの可能性を、単なる時間や空間の制約からの自由というところよりも、ロングテールとコミュニケーションの広がりの可能性ということで考えていました。 しかし、そのオンラインという考えが普及するのは、かなり時間がかかりました。 2020年のコロナ騒動で、オンライン化がさまざまな分野で取り組まれるようになりました。 教育の分野でも、オンライン化が進みましたが、そのほとんどは、従来のリアル教育をただオンラインで流すだけのリアルのコピーとしてのオンラインでした。 リアルでできることを単にオンラインにしただけのオンライン化は、今後はすたれていきます。 リアルではできないオンライン化が、今後生き残るオンラインです。 アマゾンが、インターネットの書店として登場したころの評価は、「やはり、本は(実際の書店で)手にとって見てみないと」というものでした。 しかし、そのアマゾンがリアルの書店を超えたのは、購入できる冊数の多さとともに、その図書の評価や関連図書のおすすめなどリアルではできない機能があることがわかってきたためでした。 同じことが、これからのオンライン教育についても言えます。 今のオンライン教育のレベルは、「やはり、勉強は(実際の教室で)直接先生に教えてもらわないと」というものです。 それは、現在行われているオンライン教育のほとんどが、リアル教育のコピーでしかないからです。 そのようなオンラインは、「通うのが大変だし、オンラインの方が便利だから」という程度のオンラインで、リアルを補完する形のオンラインです。 リアルを補完するとは言っても、このようなオンライン化は、これからあらゆる分野で広がっていきます。 やがて、わざわざオンラインと言わなくても、普通はオンラインで、特別なときだけオフライン(リアル)ということになってくると、オンラインという言葉は死語になっていきます。 今、言葉の森は、オンライン教育とかオンラインスクールとかいう言葉を全面に出してホームページを作っていますが、近い将来、わざわざオンラインという言葉を使うことが古くさくなる時代が来ます。 そのときに、大事なのは、オンラインそのものではなく、オンラインで追求しようとしていたものです。 それが、最初に述べたロングテールの活用とコミュニケーションの広がりなのです。 言葉の森のオンライン教育は、オンライン5人クラスという形で進めています。 なぜ5人かというと、それは、参加生徒全員の、発表と、対話と、自主学習と、個別指導と、創造教育が成り立つ人数だからです。 今はまだ言葉の森のオンラインの通年学習を行っている生徒は、わずか200名ほどです。 これでは、ロングテールの活用は不十分にしかできません。 本当は、同じぐらいの学年の、同じぐらいのレベルの、同じような関心のある生徒が5人ほど集まって、ひとつのクラスで学習を進めていくというのが、ロングテールの活用です。 そういうクラス運営が可能になれば、そのクラスは、小学生や中学生のころだけでなく、高校生になっても、大学生になっても、社会人になっても、親しい学友の集まりという形で存続していくでしょう。 人間が成長するのは、教材や先生によってよりも、むしろ友達によってです。 自主学習を通した親しい勉強友達作りが、オンライン5人クラスの目指す大きなテーマです。 そのようなオンラインクラスを実現するためには、オンラインの参加生徒が、数百人ではなく、数千人や数万人になっていく必要があります。 このように考えると、今使っているオンライン5人クラスという言葉の中で重要なものは、オンラインという概念ではなく、5人という概念だということがわかります。 5人のクラスであれば、生徒どうしが互いの人柄がわかり、親しくなることができます。 親しくなるということは、そのクラスに安心して参加でき、そこで自分らしさを自由に発揮できるということです。 また、講師が、生徒一人ひとりの学習状況を把握できるので、いつでも保護者とコミュニケーションを取ることができます。 これが、今後のリアルを超えたオンライン教育の可能性なのです。 そこで、言葉の森では、この5という概念を、新しいわかりやすい言葉で表したいと思っています。 5レンジャーとか(笑) というのは冗談ですが、教育の新しいプラットフォームを、このロングテールを生かした5人以内のクラスということでこれから実現していきたいと思います。 |
■退屈な勉強はタイマーをセットして取り組む |
夏期講習で中学生に数学の問題集をさせていてふと思ったのは、「こういう退屈な勉強は、誰だってしたくないだろうなあ」ということでした。 だから、子供たちにはよくこう言います。 「自分でできそうな問題は、答えを見て確認するだけで、飛ばしていってもいいよ」 「難しそうなところだけ解いていけばいんだから」 そのかわり、難しかった問題は、確実に解けるようになるまで何度も繰り返し解く必要がありますが。 問題集の答えは、問題集の横に開いておいて、解いてすぐ答えを確認するようにすれば能率はよくなります。 これは、数学以外の、英語でも理科でも社会でも、勉強の仕方はすべて同じです。 国語の場合は、勉強自体する必要はなく(笑)(せいぜい、漢字と文法の知識ぐらい)、難しい本をしっかり読んで、難しい作文を書いてさえいれば大丈夫です。 ところで、易しい問題は飛ばしていってもいいとは言っても、ある程度は作業的に解く時間は必要になることがあります。 そのときに、集中力を発揮して解くためのコツは、タイマーをセットすることです。 これは、退屈な仕事をするときも同じです。 日常生活の中には、「こうすれば、こうなる」とすっかり手順がわかっている作業がいくつもあります。 例えば、月曜日と金曜日の朝はゴミを出しに行くというような作業です。 こういうわかりきったことは、誰でもやりたくはありません。 人間はもともと創造的な生き物ですから、新しいことや創意工夫を必要とするようなことなら喜んでしますが、誰がやっても同じことはやる気がしないのです。 しかし、ここでも、タイマーをセットして、「よし、このゴミは10分で捨ててこよう」などと設定すると、それなりに集中して取り組めます。 学校の勉強も、ほとんどが退屈な作業で、創意工夫を必要とすることはわずかですから、いつもタイマーを用意して、「よし、この問題は10分でやり遂げよう」などとしていくといいのです。 私がいつも使っているのは、DRETECのキッチンタイマーです(笑)。 (別に宣伝するわけではありませんが。) 勉強でもなんでも、集中して早く終わらせることが大事です。 ただし、ここで注意するのは、早く終わったからと言って、決して追加の勉強をさせるようなことはしないことです。 |
■他人がつける成績など気にしない――子供の将来を遠い視野で見ること |
●動画:https://youtu.be/4emdIfrokYo 日経の「私の履歴書」などを読むと、立派な業績を残している人の多くが、「子供のころ、母親に『勉強しなさい』などと言われたことはなかった」と言っています。 昔と今とでは、学歴に対する考え方も違うとは思いますが、昔はもっと子供に対する全面的な見方をしていて、成績の面中心に子供を見るということは少なかったように思います。 私のうちの例で恐縮ですが、うちの長男が小3のとき、算数の学力テストでひどい点数を取ってきたことがあります。 そのとき、私が最初に思ったのは、「これは面白い。将来いい思い出になるぞ」ということでした。 そして、また、「今の学校には教育力がなくなったんだな」とも思いました。 子供と話をしていれば、その子がどの程度の頭を持っているかはわかります。 テストで評価される点数などは、他人が勝手に他人の基準でつけたものですから、気にすることはありません。 そういう他人基準の評価などは、やる気になればいつでもその基準に合わせた高評価を得られるようになります。 何も、楽しい小学生時代から、そういう他人の評価に振り回される必要はないのです。 小中学生時代は、テストの点数よりも、まず実力をつけることが大事です。 その実力をつける源は、ある程度難しい本を読みこなす力です。 読書さえしっかりできていれば、英語でも数学でも、すぐにできるようになるのです。 (ただし、すぐにはと言っても、2、3ヶ月かかることはあります。) 父母面談で、保護者からの相談としてよく聞くのは、「○○の成績が悪かったが……」というようなことです。 確かに、今の受験では、苦手な科目の点数を上げていくことは大事です。 特に、受験生は、苦手科目の点数を上げることを第一の目標にしなければなりません。 しかし、社会に出るころには、そういうことはどうでもよくなります。 むしろ、個性があること、自分らしい生き方ができること、自分なりの工夫ができること、他人に対する思いやりがあること、人生を真面目に生きようとしていることなどの、点数には出ない特質の方が重要になるのです。 私が、こういうことをここでわざわざ述べるまでもなく、世の中はこれから大きく変わっていきます。 いずれ、今の受験勉強のような評価はなくなります。 しばらくは、今のどうでもいい点数競争に付き合う必要はあるかもしれませんが、親はもっと先を見て、子供の本当の実力を本当の幸福を考えていくといいのだと思います。 |
■オンラインで学ぶ受験作文・記述・国語などの勉強の仕方 |
●動画:https://youtu.be/SyOqICva19k 能率のよい勉強の仕方は、繰り返し読むことです。 その反対の能率の悪い勉強の仕方は、解くことです。 解く勉強は、読む勉強の5倍から10倍時間がかかります。 だから、解く勉強をしていると、大抵は1回解くだけでその勉強は終わりにしてしまいます。 解く勉強をして、できた問題は、もともと解かなてくもできたはずの問題ですから、解くだけ時間の無駄だったのです。 解く勉強をして、できなかった問題があった場合、その問題に印をつけて、日をおいて再度解くという子はまれです。 だから、できなかった問題は、できないまま残るのです。 読むだけの勉強であれば、解くよりも早くできますから、同じところを繰り返し読むことができます。 繰り返し読むことによって、問題を解く力がついてくるのです。 作文を上達させるコツは、書くことではなく、読むことです。 確かに、書くことによって初めて身につく構成力、表記力、字数力、スピード力などはあります。 しかし、内容の豊かさ、表現の上手さ、主題の深さなどは、書くことによってではなく、主に読むことによって身につく作文力です。 夏期講習で受験作文の講座がありますが、このテキストをそのまま解いて(書いて)やっていたら、夏休み中に終えることはできません。 問題文を読み、解答を読み、「このテーマだったら、こういうことを書けばいいのだな」と理解する勉強としてやっていくのです。 その理解度と再現度を、先生が口頭で確認します。 こういうやり方を1冊で何回も繰り返していくというのが最も能率のよい勉強法です。 これは、記述の練習についても言えます。 記述の問題をわざわざ書いて解いていたら、1日に2、3ページ進むのがせいぜいでしょう。 問題を読み解答を読み、それを理解するという勉強であれば、1日に10ページぐらいは進みます。 そして、それを先生がチェックするのです。 ただし、記述の場合は、指定の字数内で時間内にまとめるという力も必要なので、それは要約の練習としてやっていきます。 記述も作文も、書き慣れるという要素があるので、実際に書いてみる時間は必要です。 しかし、書く勉強(解く勉強)はできるだけ少なくして、読む勉強を中心にしていくことが大事です。 同じことは、国語の勉強についても言えます。 国語の問題集は、ほとんどすべての子が順番に解く形で勉強しています。 しかし、それでは、記述の問題と同じように、1日に2、3ページしか進めません。 問題文を読む勉強を中心にすれば、1日10ページは進むことができます。 その問題文の理解の状態を先生が確認するのです。 このような読む勉強が、世の中でほとんど行われていない理由は、子供も、親も、また先生も、解いた形が残らないと、勉強した気がしないからです。 しかし、勉強の本質を考えれば、作文、記述、国語などの勉強は特に、読んで理解する勉強を中心にしていいくといいのです。 |
■言葉の森の「オンライン5人クラス」の学習と、ほかのオンライン学習との違い |
●動画:https://youtu.be/N99IgprFw0M オンライン5人クラスでは、生徒が自分で勉強し、先生がそれを確認する形で勉強を進めていきます。 また、5人以内のクラスということを利用して、互いの読書紹介などの知的な交流の時間も設けています。 勉強は、自分のペースで進めるのが基本です。 自分のペースとは、簡単なところは答えを確認して飛ばして進み、難しいところは印をつけて何度も解き直すことです。 その進度を先生がチェックし、生徒がわからないところをアドバイスします。 こういう形の勉強だから、授業時間そのものが勉強の中身になるので、わざわざ宿題を出すような必要はありません。 また、学習の定着度を見るために、テストをする必要もありません。 その子の出来具合は、先生が個別アドバイスの中で把握できるからです。 こういう勉強の仕方を毎日していれば、勉強時間は短時間で済みます。 この勉強の仕方を定着させるために、オンラインの学習と同じやりかたの自学自習を毎日続けるといいのです。 事実、言葉の森のオンライン学習だけで、好成績を維持している小学生や中学生はたくさんいます。 一方、言葉の森以外の塾や学校の勉強は、もともと5人以内のクラスということは想定していませんから、集団の一斉指導が前提になっています。 一斉指導だと、教える先生はそれなりに工夫して、みんなを引きつける授業をします。 しかし、それは先生の力をつけることにはなっても、生徒の力をつけることにはなりません。 そのため、集団一斉指導は、授業の後の宿題をセットとして出さなければならなくなるのです。 子供が本当の意味で勉強するのは、この宿題をやっているときです。 しかし、宿題の問題点は、自分にとって簡単なことも一応時間をかけてやっていかなければならないことです。 この時間の無駄以上に、宿題にはもっと大きな問題があります。 それは、子供が自分のやるべきことを自分で判断せずに、人に指示されたことをそのとおり従順にこなすという姿勢を身につけてしまうことです。 従順さが価値を持ったのは、高度成長期までのことです。 従順さと似ていますが、素直さというのはまた別です。 素直な姿勢というのは、どの時代にも大切な、人間の成長の基盤です。 しかし、単に指示されたことをそのとおりにこなす従順さは、これからの時代にはかえってマイナスになります。 これからの時代は、個性を発揮し、自分の意見を発表し、知識だけではなく行動をすることが求められる時代だからです。 このように考えると、これまでの集団一斉授業は限界に来ていることがわかります。 しかし、ほとんどの人は、それ以外の選択肢がないので、仕方なく集団一斉指導の授業に適応しているのです。 言葉の森のオンライン5人クラスは、この集団一斉授業型の教育を超える、新しい選択肢です。 オンラインの5人の学習が、これからの教育のスタンダードになっていくと思います。 |