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  算数は例題、英語は文法、国語は理屈が大事
  問題集読書は、なぜ1冊を最後まで読み終えてから最初に戻って繰り返すのか
 
言葉の森新聞
2022年4月3週号 通算第1703号

https://www.mori7.com/mori

森新聞
算数は例題、英語は文法、国語は理屈が大事
●動画:https://youtu.be/YmNqASliygs

 算数数学の勉強をしていてわからない問題があったとき、大事なのはその問題がわかることではなく、例題に戻って原理の上でわかるようにすることです。
 英語も同じです。英文を読み慣れていれば、例えば副詞の位置はどこがいいかということは感覚的にわかります。しかし、それを文法の上の理屈としてわかっておくことが大事です。
 国語もまた同じです。読解の問題は、感覚的に合っていそうかどうかで選ぶのではなく、理詰めにどういう理由でその選択肢なのかということを考えて解くことが大事です。

 勉強時間が長いわりに成績が上がらないのは、勉強が理屈で理解する勉強ではなく、作業的に量をこなす経験的な勉強になっているからです。
 そうなる理由のひとつは、親に見せるための勉強になっていることです。ひっきりなしに手を動かしていれば、外からみて、いかにも勉強しているように見えます。逆に理屈を理解しようとしてじっと考えていると、なまけているように見えます。

 こういう人に見せる勉強をしないことが大事です。

 勉強時間が長いわりに成績が上がらないもうひとつの理由は、勉強がページ数ではなくかけた時間を基準にした勉強になっていることです。
 時間で勉強するのは、本人が自覚して勉強できる年齢の高校生になってからです。小学生のうちに、時間を基準にして勉強をさせると、だらだらした集中力のない勉強の仕方になります。

 しかし、ページ数を基準にして勉強をさせると、予想以上に早い時間で勉強が終わってしまうことがあります。ゴールがはっきりしていれば、子供はそれをできるだけ早く済ませようと思うからです。
 しかし、そこで、「そんなに早く終わるのだったら、もう少し追加させよう」ということになると、子供はもう二度と集中して勉強をしなくなります。

 いずれの場合も大事なのは、親の都合ではなく、子供の気持ちになって考えることです。
 自分がもし子供だったらと考えれば、勉強を早く終えたのに追加させられたというのが、どんなにがっくりすることかわかるはずです。

 少し話は変わりますが、先日ホームページのコメントに、「鬼のように怒ってしまう母親としての自分」という投稿がありました。
 子供の気持ちになれば、親が怒ることや親が機嫌悪そうにしていることが、どんなに子供の気持ちを暗くするかわかるはずです。

 では、どうしたらいいかというと、それはひとつの決心なのです。「自分はどんなときでも子供に優しく明るく接しよう」と決心すればいいのです。
問題集読書は、なぜ1冊を最後まで読み終えてから最初に戻って繰り返すのか
 覚えるために読むのであれば、短期間に何度も繰り返した方がいいのです。いわゆる一夜漬けの勉強法です。
 覚えたことは、記憶の忘却曲線に沿って忘れていくので、忘れる前に同じことを覚え直せば、その記憶は残ります。だから、試験前はそういう勉強の仕方をするのです。
 しかし、その記憶は頭の表面にとどまる記憶なので、時間がたてばすぐに忘れます。

 人間の頭脳は、短期間に集中的に覚えたことは、一時的な記憶だとみなします。だから、忘れるのも早いのです。
 すっかり忘れたあとに、また同じことを繰り返すと、最初に覚えたのと同じくらいの時間がかかります。だから、一見能率が悪いように見えます。
 しかし、人間の頭脳は、忘れたころにまた同じことに遭遇すると、その記憶が人生にとって大事なことだとみなすのです。だから、時間をかけて覚えたことほど、忘れにくくなります。

 筋肉も同じです。
 短期間でつけた筋肉は、運動をやめれば短期間で落ちます。
 長い時間をかけてつけた筋肉は、運動をやめてもなかなか落ちません。

 考える力や読む力をつける勉強は、一夜漬けの勉強ではありません。
 試験に間に合わせるために読むのではなく、自分の実力をつけるために読む勉強です。

 だから、問題集読書は、同じページを昨日も今日も明日も繰り返し読むのではなく、1冊を最後まで読んでから最初に戻って読み直すようにしているのです。
 1冊が最後まで終わったら最初に戻るという方法なら、勉強の仕方に迷うことはありません。

 また、これは、読む子供の立場に立ってみればわかりますが、同じものを今日も明日も明後日もやるというのは飽きるのです。
 だから、昨日やったことがまだ残っているうちに、今日も同じことをやると、頭の中が斜め読みになります。
 同じ文章を新鮮な気持ちで読むためにも、すっかり忘れたころに読むのがいいのです。
 
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