言葉の森新聞2005年1月1週号 通算第869号
文責 中根克明(森川林)
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■■1月4日(火)から新学期
1月4日から新学期が始まります。1月からの教材の説明は、言葉の森新聞1月1週号臨時号をご覧ください。
教材の説明は、「学習の手引」にも載っています。
http://www.mori7.com/mori/gate.html
■■1月10日(月)は休み宿題
1月10日(月)は、休み宿題です。先生からの電話はありません。その週の課題を自宅で書いて提出してください。先生からの説明を聞いてから書きたいという場合は、別の日に教室までお電話をして説明をお聞きください。(平日午前8時半〜午後8時。電話0120-22-3987)
■■通信生の住所シール・項目シールの使い方
通信の生徒には、1.1週の山のたよりに住所シール・項目シールが同封されています。
住所シールには、先生の住所が印刷されています。封筒用紙に貼ってお使いください。
項目シールには、週ごとに項目シール又はバーコードシールが印刷されています。作文・感想文の週は、作文用紙に項目シールを貼り、生徒コードは手書きで入れてください。清書の週は、項目シールは貼らずに、生徒コードの欄にバーコードシールを貼ってください。
■■賞状と賞品引き換え券は1.2週に送ります
12.1週の作文進級試験の賞状は、1.2週にお送りします。
賞品引き換え券も1.2週にお送りします。
■■森リン破りに対応(森川林/なね先生)
作文検定のホームページに、森リンを自由に使えるページを掲載しています。
「サンプル学園」……
http://www.mori7.info/shoron/sample/index.php
だれでも自由に使えるので、ときどきいたずらというか実験があります。
先日、難しい漢語をランダムに並べた文字列を1200字以上入れた人がいました。素材語彙の点数が異常に高くなり総合得点が90点になり、そのページのベスト10の第1位になってしまいました。
そのままでは問題なので、森リンを手直ししました。わずか数行の手直しで、その作文は一挙にマイナス28万点になってしまいました。(笑)これもこれで変なので、マイナス点は0点とすることにしました。
機械の役割は、不正を発見することにあるのではないというのが私の考えです。ときどき、「機械で表記のミスなども指摘できるのですか」という質問があります。それは可能です。例えば、ワードなどのワープロソフトでは、言葉づかいが不適切なときに波線を引いて知らせてくれたり、勝手に正しい書き方に直してくれたりする機能があります。あり得る可能性の高い誤表記をデータベース化しておき、それに照らし合わせて指摘すればいいだけですから、仕組みは簡単です。しかし、そういう機能を高度化して、子供たちの書いた作文の誤表記を見つけて点数をつけることにどういう意味があるのでしょうか。そもそも間違いを指摘して直すということは、教育以前の問題です。間違いのない文章を書くことは出発点であって、目的地なのではありません。ここは、教育に携わる多くの人が勘違いしているところだと思います。
だから、森リンは、欠点に対しては寛容で、不正に対しては無防備です。そういうところに力を割く意義を感じないからです。
さて、森リンを一般に公開するようになると、今回のように極端ないたずらというか実験をする人も出てきます。
そのときの対策は、単純に言うと次のような仕組みになっています。
まず、対応性の高い言葉の組み合わせをデータベースに入れておきます。例えば、「ご飯:食べる、炊く」「山:登る、見る」「海:泳ぐ、カモメ」などです。そして、評価する文章に対して、「ご飯」のあとに「食べる」や「炊く」などの言葉が来ていない割合を計算します。この割合の高い文章は、異常性の高い文章です。このように書くとややこしそうですが、機械ですから苦もなく瞬時にこの作業をやってくれます。もちろん、一つ一つの文にはさまざまな例外がありますが、1200字の文章の中で確率を計算すると、かなり正確に正常か異常かを判断できます。
このやり方を応用すると、その文章が盗作されたものかどうかとか、普段書いている本人の文体と似ているかどうか(つまり代筆されたものでないかどうか)なども見ることができます。Googleなどの検索技術は、一瞬のうちに何十億というページを検索する能力を持っているので、人間はごまかせても機械はごまかせないというレベルになっています。現に、米国の大学では、この盗作発見のソフトが実際の授業で使われています。
しかし、何度も言うように、機械の役割を、不正をより正確に発見する方向に発展させることには、何の建設的な意味もありません。不正をしないことは単なる当然の出発点だからです。
<<え2411み>>
■■読解力が世界14位だ!(ひとみ/かもの先生)
みなさん、こんにちは。
最近のニュースから、少し、紹介したいことがあります。
小学生、中学生、高校生だけでなく大学生まで、日本語力、つまり国語力がずいぶん落ちたと、このところ日本中が大騒ぎといった状態なのです。世界41か国27万人の学力調査で日本の高校生は、読解力が14位に落ちたというのですね。前回の調査では8位でした。もうほとんど後進国に近いですね。
大学生1万3千人をしらべた別の調査では、中学生の国語力しかない大学生が国立大で6%、私立大で20%、短大で35%もいると、これも驚く結果でした。
そういうことから、どういうことが起きるのかと言うと、わたくしのよく知る読売新聞・編集手帳の竹内政明記者は、「昔ならば口げんかの一つもすれば収まりのついたいさかいで、いきなり前後の見境もなく凶行に走る若者が増えている。言語能力の衰えを裏付けた調査結果との相似形では……」と心配します。
産経新聞・産経抄の石井英夫さんは「パソコンや携帯電話の急速な普及は、言語文化の伝統喪失にかかわりありや……」と見ます。
中学校の国語の先生を長く務めて、いま、大学の講師をしている遠藤瑛子さんという人は、「短文を羅列する携帯電話のメールに慣れてしまい、長文読解のような深い思考をしなくなっているのではないか。まず、書く力を育てるべきだ」と、言っています。
もう、わたくしの言おうとしていることは、おわかりですね。
きょうも、しっかり、「言葉の森」の作文を書こう、これに尽きます。
そうして、課題の長文をしっかり読もう。
ときどき、わたくしでも、読むのがいやになるような長文があります。でも、それを読み砕くことも、また、大切なことだと思って、鉢巻をしてでも読み砕いてください。
■■つもりちがい十か条(クッキー/むぎこ先生)
『 つもりちがい十か条 』
高いつもりで低いのが教養
低いつもりで高いのが気位
深いつもりで浅いのが知識
浅いつもりで深いのか欲望
厚いつもりで薄いのが人情
薄いつもりで厚いのが面皮
強いつもりで弱いのが根性
弱いつもりで強いのが自我
多いつもりで少ないのが分別
少ないつもりで多いのが無駄
岡山の蒜山高原で見つけたこの言葉を今年の元旦、部屋に飾りました。この言葉と出会ったのは去年の11月頃だったのですが、
そのとき、普段気をつけているつもりでもちょっとしたときに出てしまう『自分の地』に気付いて、心を打たれたのです。
この言葉をお正月早々部屋に飾ったのは、時々見えるそんなイヤな自分と完全にさようならしたかったからでした。
そして、1年後、その結果は?というと……。
もう、どうでもよくなりました(笑) <<え1516み>>
私が特に気にしていたのは「気位」「皮の面」「自我」「人情」「根性」という5つでした。周りからはどう見えるかわかりませんが、この十か条と出会う前から私はこの5つをかなり意識していました。だからこそ、本当に「悟り」でも開いたような、完全な自分を目指したかったのです。でも、いろんなことが重なってくると、理解できない自分がいました。プライドなど全く持っていないと思っていても、ひどい言われ方をされると反発する気持ちがうまれました。誰かのために役に立ちたいと願っていても、家族を中心に考えてしまったこともありました。親戚と分かり合えないとき、「どうしてわかってくれないんだろう……」と嘆いたこともありました。
そんなことを何度か経験し、結局、私にはこれを完全に克服することは無理だと思いました。でも、それは「あきらめる」とか「ひらきなおる」ということではなく、ただそれを認めたというだけでした。「こうありたい」または「こうなりたくない」と思っても、人間には限界があると思ったのです。それを完全に消すことを考えるのではなく、そういった面を知りながら、なおかつできる範囲で自分を理想の自分に近づけていければ・・と考えたのでした。
私には悪い癖があり、時々必要以上に物事を深く考えてしまうことがあります。この十ヶ条でさえも、前向きになればよいだけなのに、後ろ向きにばかり考え、「自分は悪い人間なのかもしれない・・。」なんてくだらないことばかり考えていました。その他でも深く考え、優しい方々に迷惑をかけたこともありました。そして、その結果、「考えすぎる」ことはあまりいいことではないと思うようになったのです。深く考える自分とは今年かぎりでお別れして、来年からは真面目に考えることは忘れずに、なんでも前向きに元気一杯過ごしたいと思います。
皆さんは今年はどんな1年でしたか? きっといろんなことがあったと思いますが、前向きに考えられることはできるだけ『良いこと』にして、新しい年を迎えましょうね\(^0^)/
<<え1539み>>
■■ああ、勘違い(のり/いしみ先生)
今回はよくありがちな「ああ、勘違い(かんちがい)」という話です。
先日の作文で「おもちのびーる」という題名をつけてくれたお友達(キウィちゃん)がいました。もちろん、お餅がビヨーンとのびている様子を書いてくれたのですが、おもしろい題名だったから「お餅のびーるだって。すごくおもしろいと思わない?」と子どもたちに言ったところ、「えっ、おもちのびーる??なーにそれ?」という意外な反応を示されました。先生も最初は何が何だかわからなくて「???」と考えていたら、ピンとひらめきました。彼らは「お餅のビール」だと思ったのです。みんなで、大笑いしましたよ。言葉って不思議ですよね。
それから少したったある日、運転中にラジオで交通情報を聞いていると、アナウンサーが「〇〇〇線は事故のため上りが3キロの渋滞です。さけた車が××道路へ向かっています。このため、…」しばらく聞いて、あっとわかりましたが、先生は「さけた車」というのは「事故で真っ二つに裂けた車」と勘違いし「裂けた車がどうして××道路へ走るのかな?」と納得できずに聞いていました。きちんと「それをさけた車が」とか「渋滞をさけた車が」と言って欲しかったな、と思ったのはもちろんのことです。
<<え387み>>
皆さんにはこういう言葉の勘違いをした経験ってありませんか。言葉の勘違いは、ややもすると「ダジャレ」につながっていくものです。冬休み、おじいちゃまやおばあちゃまに会ったとき、もしかしたら方言を話してくれるかもしれません。,そのときには「何言っているのかわからない」といわず、滅多(めった)にないチャンスと思って、たくさんの話をしてきてくださいね。思いがけないダジャレが発見できるかも……。
■■なぜ『読解力』は低下したのか(たいよう/なかひ先生)
12月8日付読売新聞の社説は、興味深いものでした。[学力国際比較]「なぜ『読解力』は低下したのか」という社説です。
経済協力開発機構(OECD)の国際学習到達度調査の結果から、日本の子供たちの学力はもはや世界のトップレベルにあるとは言えなったという事実が判明し、コラムニストは非常に憂いています。書かれた文章を理解し、知識を高め、社会生活に生かす能力である「読解力」が上位集団から平均へ低落したというのです。理由は読書量の低下と、自分の意見を述べたり書いたりする授業が不足しているからというのが文部省の見解です。要するに「ゆとり教育」の落とし穴だったというわけですね。
「ゆとり教育」が導入された頃から「学力低下」を危惧(きぐ)する声をよく聞きました。でも、先生はそんな最近の制度だけが問題なのではないと思います。戦後すぐに日常使う漢字の数をぐんと減らしましたね。そのころから少しずつ蝕(むしば)まれていったのではないでしょうか。漢字を減らすことによって目にする熟語や言い回し、果ては文章の形態数まで減ったことでしょう。堅苦しい文語調を雲の上の存在にしてしまうと、日常会話のくだけた部分ばかりが発達してしまい、良い意味で存在していた儒教文化の根底をも揺るがしてしまったのではないかと考えます。
この社説には「(教師の学歴も)社会的地位も高い」とありますが、まんざら教師の資質の問題だけではないと思うのです。子供が先生を敬(うやま)い、教えられることの有難さを知ろうとしなくなった風潮も、自身の学力低下を招いているのではないでしょうか。
耳の痛い話だと思うひと?実をいうと、なかひ先生も今の年齢になってから「学生時代、斜に構えていたが無意味だったこと」や「漢文が読めない」という事実に気が付いて、落ち込んでいるのですよ(笑)。
■■朝食を食べよう(りょんこ/よお先生)
朝起きるのがつらい季節になりましたね。みなさん早起きして、朝ごはんをしっかり食べて学校や幼稚園へ行っているでしょうか?
これは、お母さま方にも読んでいただきたいのですが、新聞の記事によると、某県の県庁保健体育課の「児童・生徒の食生活調査」では、朝食を毎日とっている児童・生徒の割合は約70パーセントで、また朝食を子どもだけで食べるケースが約40パーセントであるとのことです。その記事には、「朝食欠食は集中力や記憶力を低下させ、勉強嫌いの原因にもなる。イライラしたりキレたりする子供の増加とも無関係とは言えない」、「朝食をとらない生徒より朝食をとる生徒のほうが平均すると学力が高い」などの専門家の指摘もあると記されていました。
実は私は子どもの頃、ずっと朝が苦手で、夜中の1時、2時が一日でいちばん集中できるというようなひどい夜型でした。でも、振り返ってみると、起きてすぐ朝食も食べずに学校へ行くと、午前中はずっとぼーっとしてしまって、お昼前頃になってようやく頭が動き出すというような毎日だった気がします。とてももったいない時間の使い方だったと今では反省し、わが子にはきちんと早寝早起きの習慣をつけようと、必死で毎朝早起きしています。朝遅く朝食を食べない子どもは、大人になって働くようになってもこの習慣がなかなかぬけない傾向があるそうですが、まさに私がその例です。早寝早起きはなるべく早く習慣づけるのが得策なのでしょうね。
ある教育者は、著書の中で「朝食前は金の時間」であると著しています。早寝してしっかり睡眠をとると、翌朝はすっきり目が覚めるので、勉強のように頭を使う仕事には、一日のうちでいちばん能率のよい時間帯なのだそうです。また、早起きをしても、朝ごはんを食べた後は、「鉄の時間」になってしまうとも言っています。食事の後は、どうしても精神を集中させにくくなりますね。朝食前の次に能率が良いのは、やはり食事前の昼食前と夕食前でこれは「銀の時間」だそうです。人間も動物と同じで満腹になると、ぼーっとして集中力が低下するのですね。
余裕をもって早起きすることができていたら、一度、朝食前に学習してみるというのはいかがでしょう。実際には、ほんの少ししか時間はとれないと思いますので、内容は、「言葉の森」の自習の音読を5分間だけするとか、百ます計算を一回だけするなど、5分間、10分間でできる課題にします。短時間で集中できるので、きっと高い学習の効果が期待できると思いますよ。それに集中して頭を使うと胃も動き出して、朝ごはんもしっかり食べられるでしょう。
<<え117み>>
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