言葉の森新聞2005年2月4週号 通算第876号
文責 中根克明(森川林)

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■■2.4週は清書
 毎月第4週は清書です。担当の先生の説明を参考にして、返却された作文の中から自分でいちばんよいと思うものを選び、作文用紙に清書してください。(一度清書したものは、清書しないように注意してください。また、ほかの人の作文を写して清書にすることのないようにしてください)
 なお、今月から、清書提出の際の注意事項が何点が変わっていますので、注意事項をよく読んで提出してください。

 清書は、次の月の4週の「山のたより」に掲載されます。
 清書の意義は、次のとおりです。
(1)これまでに書いた作品をよりよいものに仕上げること(小学生の場合は字数を増やす、表現を更に工夫するなど、中学生以上の場合は字数を短くまとめるなど)
(2)他の生徒の清書を読む機会を持つこと(自分の清書を他の生徒に読んでもらう機会を持つこと)
(3)新聞社に投稿する機会を作ること
 このほかに、(4)パソコンで入力する練習をする、(5)他の生徒の前月の清書に対して感想を書く、などに取り組むこともできます。
【注意事項】
●清書は、黒いペンで書いてください。
(鉛筆だと薄すぎたり、濃すぎたりして、うまく読み取れない場合があります)
●左上に、バーコードシールをはってください。
●バーコードシールは、その月のものを、ページ順に、まっすぐにはってください。
●絵や感想だけの用紙にも、バーコードシールをはってください。
●1枚の用紙の裏表を同時に使わないでください。
●独自の用紙を使う場合は、作文用紙と同じサイズにコピーを取り直してください。
(バーコードシールのないものや間違ってはられているものは、印刷日程の関係で翌々月のプリントになりますのでご了承ください)

 新しく教室に入ったばかりの人は、返却されている作文がない場合もあります。また、返却されている作文の中に清書するものがない場合もあります。そのときは、自由な題名で作文を書いて送ってください。
 清書は、2〜5人のグループ(広場のグループ)ごとにプリントして、翌月の4週に、「山のたより」と一緒にお渡しします。この清書は、インターネットの山のたよりでも見ることができます。
 用紙の空いているところには、絵などを書いて楽しい清書にしてください。色はプリントには出ません。
 感想文を清書する場合は、最初の「三文抜き書き」や「要約」はカットするか、簡単な説明に変えておく方が作品としてまとまりがよくなります。
 中学生以上の人が清書を新聞社に送る際の字数の目安は、500字程度です。長すぎる場合は、新聞社の方でカットされて掲載されることがあります。字数を縮めるときは、いろいろなところを少しずつ縮めるのではなく、段落単位でまとめて削るようにしていきましょう。第一段落の要約と第三段落の社会実例は削除し、名言や書き出しの結びなどの表現の工夫も削除し、第二段落の体験実例と第四段落の意見だけでまとめるようにするといいと思います。
 清書は、ホームページから送ることもできます。作文をホームページから送るときと同じように送ってください。

 よく書けた清書は、自分で新聞などに投稿してください。二重投稿になる可能性があるので、教室の方からの投稿はしません。(港南台の通学生徒の場合は、教室から投稿します)
 手書きで清書を書いている人は、その清書をコピーして、原本を投稿用に、コピーを提出用にしてください。
 パソコンで清書を送信している人は、その清書をワードなどにコピーして投稿用にしてください。
 新聞社に投稿する際は、作文用紙の欄外又は別紙に次の事項を記載してください。
(1)本名とふりがな(ペンネームで書いている場合は本名に訂正しておいてください)
(2)学年
(3)自宅の住所
(4)自宅の電話番号
(5)学校名とふりがな
(6)学校所在地(町村名までで可)
●朝日小学生新聞の住所
104−8433 東京都中央区築地3−5−4 朝日小学生新聞 「ぼくとわたしの作品」係 御中
●毎日小学生新聞の住所
100−8051 東京都千代田区一ツ橋1−1 毎日小学生新聞 さくひん係 御中


■■「森リン通信」より
 2月から、全国の森リン利用校向けに「森リン通信」が発行されることになりました。
 今回は、その中の記事を紹介します。


今、話題の小論文採点ソフト
 2月15日の朝日新聞夕刊に、「小論文2秒で自動採点」という記事が掲載されました。
 これは、森リンとは異なるJessというソフトです。
 森リンとJessとの最も大きい違いは、自動採点の過程が見えるか見えないかです。Jessは、全国紙の社説やコラム2000本を記憶し、その記憶された見本からどれくらいかけ離れているかで文章を採点しています。これも一つの方法ですが、問題は、採点された生徒が、「ではどうすればよりよい文章が書けるのか」ということを理解できないことです。
 これに対して、森リンは採点の過程をすべてオープンにしています。そのため、採点のアラもすべて見えるようになっています。しかし、採点の過程がわかるので、生徒はどのような文章を書けばいいのかを理解することができます。
 もちろん理解できたからといって、すぐにその理解に応じた文章が書けるわけではありません。上手な文章を書くためには、語彙や実例や表現を増やしていく必要があるからで、それは短期間の努力によっては身につかないものだからです。


森リンの体験利用校増える
 森リンの無料体験利用を実際の授業に生かす学校が増えています。初めは機械による採点に不安を感じていた先生も、子供たちが森リンの採点に無邪気に喜ぶ姿を見て、自動採点に確信を持つようになっています。
 森リン利用のいちばんの効果は、生徒が自分で工夫して上手な文章を書く努力をするようになることです。機械による客観的評価は、パソコン世代の子供たちには、勉強よりも遊びの感覚に近いのかもしれません。書いた文章の推敲という面倒な作業が、ここではゲーム感覚で取り組めます。
 森リンの利点は、学校で作文の練習をするだけでなく、自宅でも練習ができる点です。インターネットにつながる環境があれば、生徒にパスワードを教えておくだけで、自宅で作文の練習を続けることができます。場合によっては、家族で、どうしたらよりよい文章になるか話し合いをすることもできるでしょう。
 森リンは、利用回数が無制限であるだけでなく、毎週1編の作文を一人ずつ保存できるようになっています。自分の書いた文章を蓄積することによって、進歩の跡もはっきりわかるようになるのです。


大学入試にも自動採点が?
 入試で作文小論文を採用する大学や高校が増えています。米国で高校生の卒業論文試験にコンピュータ自動採点が採用されたように、日本でも近い将来、小論文の自動採点が導入される可能性があります。機械による採点とはいっても、特殊なテクニックが必要なわけではありません。基本はあくまでも、語彙や話題や表現の豊富な読みやすい文章を書くことです。
 小論文の練習は、ほかの教科の勉強と同じく練習量が実力の土台になります。この1月に行われた作文小論文検定試験でも、中学生・高校生の多くは、時間内に目標の字数を書く前の段階でつまずいていました。(75分で1200字)
 作文小論文の練習を日常化するためには、機械の利用は欠かせません。人間の先生が作文の添削に追われていては、指導の内容にまでは手が回りません。予備的な評価は機械に任せて、人間は大局的な方向をアドバイスするというのが理想の姿です。


難しい言葉を使おう
 作文の書き方のコツの一つは、格好よく書くことです。普段、電子メールなどでやりとりしている文章をそのまま使っていては、いい文章は書けません。ある意味で、よそ行きの文章を書く力が、上手な小論文を書く力につながります。
 格好よく書くためには、自分の知っている範囲でできるだけ難しい言葉を使うことです。しかし、そういう言葉を使うためには、その言葉が書かれているような本を読まなければなりません。書く力をつける第一歩は、まず読むことなのです。
 森リンの採点では、難しい言葉の評価は、重量語彙の点数という形で表されます。
 もちろん、既に難しい言葉を使っているという人は、それ以上難しく書く必要はありません。それよりも逆に、難しい内容をできるだけ平易に書く力が求められるようになってきます。森リンの採点で、過重量のマイナス点になっている人は、もっと易しい言い回しに変えて書くことが必要になります。
 森リンの重量語彙の点数を見ると、自分がもっと難しく書くべきか、もっと易しく書くべきかということがわかってきます。


話題を広げて書こう
 森リンで高得点を取るためには、話題を広げることが大切です。
 論文というと、自分の考えを述べるだけのように感じる人がいるかもしれませんが、意見だけの文章は逆に説得力がなくなります。意見の裏づけになる具体例を書くことが、面白くかつわかりやすい小論文を書くコツです。
 具体例には、自分の体験によるものと、自分の知識によるものとがあります。小論文では、このどちらもが大切です。幅広い実例を書くためには、普段からいろいろなことに挑戦するとともに、読書によって教養を広げておく必要があります。
 なぜ読書が大切かというと、単なる断片的な知識では、小論文を書くときにはその知識が生かせないからです。生きた知識は、文脈を伴った知識です。用語集を暗記して語彙を増やしても、小論文にその語彙を生かすことはできません。読書を通して得た語彙は、一見関係の薄いように見えるテーマにも活用していくことができるのです。


■■ネガティブシャワーによる心の壁(スピカ/かも先生)
 先日読んだコラムの中で、「ネガティブシャワーによる心の壁」の話がありましたので、紹介します。
 まず、ネガティブシャワーとは? 中学生以上の人ならわかるでしょうか。ネガティブというのは、英語で、「消極的」「後ろ向き」というような意味です。みなさんは、お父さんやお母さんや先生から「あなたはまだ小さいからそんなことはできない。」「どうしてこんなことができないの?」「○○ちゃんを見習ったらどうだ。」「何回やったらわかるの。本当にしょうがない。」などと言われたことはありませんか? 言われたことのある人、さぞいやな気分になったでしょう。ない、という人も想像してみてください。すごくいやだと思いませんか? 実は私も、何度も言われたこともあるし、子どもに向かって言ってしまっていることもあります。書いていて、ちょっと冷や汗ものです。もちろん、言う方は、善意で、「いい人間に育ってほしい」というつもりで言うのですが、こんな否定的な言葉、ネガティブなシャワーを浴びせられ続けた子どもは、「心の壁」を作り上げ、つまり「自分はできない」と思い込み、がんばってチャレンジしなくなってしまうという話なのです。
 このコラムでは、具体的に次のような例を挙げています。
 インドでは、象を捕(とら)らえたとき、その象を調教するために、はじめは頑丈(がんじょう)な竹につなぐそうです。象は竹を引き倒して自由になろうとあがきますが、やがてどんなにがんばっても逃げることができないと、逃げる努力をやめるそうです。あきらめてしまうわけです。そのマイナスの学習効果で、その後は地面に小さな杭を打ち、それにつなぐだけで、象を縛り付けておけるようになるそうです。象の記憶の中に「どんなに暴れても逃げられない」という心の壁ができるためです。
 ノミの実験というのもあるそうです。1メートル以上ジャンプできるノミをビーカーに捕らえ、ガラスの天井でふたをします。ノミはジャンプして逃げようとして何度もガラスの天井にぶつかります。そのうちノミはビーカーの高さまでしかジャンプしなくなるそうです。ノミの心の中にも壁が出来上がったわけです。このノミをビーカーから出してガラスの天井をはずしても、もうノミはビーカーの高さ以上にはジャンプしないそうです。能力はあるのに、あきらめているわけです。
 水族館では、カマスとサワラをいっしょの水槽(すいそう)に入れますが、カマスがサワラを攻撃する習性があるので、最初に攻撃できないようにガラスの仕切りを入れるそうです。カマスはサワラを攻撃しようと、何度もガラスの仕切りにぶつかり、痛い目にあい、ついには攻撃をあきらめるそうです。その後ガラスの仕切りをはずしても、仕切りのあったところまでくると、あきらめて方向転換してしまうそうです。
 象や、ノミやカマスでさえ、心の壁を作られてしまう……。子を持つ親として恐ろしくなりました。本当に気をつけたいと思いました。これを読んでいただいた保護者のみなさまも、そう思われたと思います。
 でも、私たちは、象やノミやカマスではなく、人間です。もし、ネガティブシャワーを浴びてしまったとして、そして、心の壁ができてしまったとして、それは、その先ずっと打ち破れないものではありません。心の壁がネガティブシャワーによる学習効果であるならば、その壁を崩すには、小さなことでいいから、一つ一つ「自分はできる」「できた!」という成功体験を、心の壁を越える高さにまで積み上げていけばいいのです。言うは易しで、それはもちろん一朝一夕になることではないでしょう。しかし心の壁は、一度乗り越えてしまえば、もう大丈夫です。越える前は、高く頑丈にそびえているように見えた壁も、一度越えてしまうと、まぼろしのような、まさに心の中のものだったことがわかります。大丈夫。本当は、あなたの前に壁なんかない。どの道でもいい。これだ、と思った道をつき進んでごらん。きっと、最初に思ったよりもずっと遠くまで行けるよ。
<<え2004/208jみ>>


■■「ひねもす」(あかね/つね先生)
 みなさんは、何か環境(かんきょう)によいことをしていますか?牛乳パックをリサイクルしたり、マイバッグを持って買い物に行ったり……。先生の家では、最近、楽しくて環境によい、一石二鳥のおもちゃを買いました。「ひねもす」という名前のおもちゃで、いらなくなった広告の紙をクルクルと丸めて棒状にして、色々な工作をしてしまおうというもの。紙を棒状に丸める機械のようなもの(ひねもすキット)を使えば、材料は、本当にチラシだけ。先生の家でも、3人の子供が、夢中になって、サッカーボールや小物入れなど、色々なものを作っています。創造性(そうぞうせい)も発揮(はっき)できて、自然(しぜん)とエコロジーにもなる。人気のゲームもいいけれど、こんなおもちゃも、たまには、いかがですか?

  <<え2005/42jみ>>


■■雀とキツツキ(なべ/いちご先生)
 今年は酉年(とりどし)ですね。年賀状ににわとりの絵を描いたお友達もいると思います。そこで、わがやの(と言っても三歳の息子の)マイブームである、「まんが日本昔ばなし」のビデオから、鳥にちなんだ昔話を紹介したいと思います。「まんが日本昔話」は、私が小学生〜中学生のころにテレビで放送されてたもので、当時をなつかしく思った私の母が息子に買ってくれたものです。

 「雀(すずめ)とキツツキ」というお話です。あるところにキツツキと雀の姉妹がいました。妹の雀は気だてがやさしくて働き者。姉のキツツキはわがままで見栄っ張り(みえっぱり)。二人は白い布を織(お)り、色とりどりに染(そ)めて着るのを楽しみにしていました。そんな時、故郷(こきょう)のお父さんから、病気になってしまったとの手紙が届きます。やさしい妹は気が気ではなく、白い布を急いで織って白い着物のまま急いで故郷に帰り、お父さんの死に目にあいましたが、姉のキツツキは、何よりも着物が大事。きれいな色に染めてとてもきれいな着物を身にまとってやっと故郷に帰ってきました。そんな姉に妹はショックでしたが、気を取り直してお父さんのお墓参りに行きました。そこへどこからともなく、天の声が聞こえてきました。「親思いの雀は、お父さんを思うあまりに白い着物を台無(だいな)しにしてしまった。そのかわり、米でもなんでも好きなものを食べて生きなさい。キツツキは、親よりも着物が大事なのだから、きれいな着物を着ているかわりに、木をつついて虫だけ食べて生きていくがよい。」と。そして、雀は茶色い地味(じみ)な体ですが、なんでも食べる鳥に、キツツキはきれいな模様(もよう)をしているけれども、木をつついて一生虫しか食べられない生き物になったということです。
<<え3090み>>  <<え3091み>>  <<え3092み>>  <<え3093み>>
 昔話というと、どうしても「桃太郎」や「金太郎」のような定番(ていばん)のものを思い浮かべがちですが、このようにあんまり知られていない話もあるんですね。お友達の中には、新学期の項目に昔話を用いるというのがあると思います。たまには、このような昔話を読んでみるのも楽しいかもしれないですね!
<<えa/3010み>>  <<えa/3011み>>


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