言葉の森新聞2006年3月1週号 通算第925号
文責 中根克明(森川林)

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■■3.1週に作文進級テスト
 3.1週に、作文進級テストを行います。課題フォルダの字数・構成・題材・表現・主題の●印が全部できていることが合格の条件になります。(表現の項目などで「たとえ」と「ダジャレ」など二つ以上の項目が指定されている場合はどちらかができていればその項目は◎です)。キーワードと字数が採点の基準ですので、指定された字数以上で必要な項目が全部入る作文を書いていってください。中学生以上の時間制限については、今回は採点の基準にしませんが、できるだけ時間内に書き上げる力をつけていきましょう。
 手書きで作文を書く人は、項目ができたところにシールをはっておいてください。
 パソコンで作文を書く人は、キーワードを入れておいてください。
 小学生の場合は、提出する前に、おうちの方が字数と項目シールをチェックしてあげてくださるとよいと思います。
 小学2年生までの生徒は、試験は行いますが、全員進級扱いで先の級に進みます。1月以降に受講を開始した生徒も、試験は行いますが、全員進級扱いで先の級に進みます。ただし、いずれの場合も、賞状は出ますので、できるだけ字数と項目ができるように書いていってください。


■■文章における美的感覚
 ある数学者が、数学関係の会合で「数学に必要なのは美的な感覚だ」と言うと、多くの人が賛同した、という話を聞きました。
 科学の世界でも、ワトソンとクリックがDNAの二重らせん構造を発表するときに、その構造があまりにも美しいので検証する前に正しさが直感できたと述べたそうです。
 私も昔、プログラミングの勉強を始めた当初、簡単なループ式で一瞬にしてきれいなテーブルができるのを見て、その洗練された式に一種の美的な感慨を覚えたことがあります。
 その式は、これです。↓

print "<table border=1>";  //テーブルの出だしをプリントする。
for($gyou=1;$gyou<=10;$gyou++){ //行を1から12まで作る。
   print "<tr>";      
   for($retu=1;$retu<=12;$retu++){ //それぞれの行に対して列を作る。
      print "<td>";
      print $gyou * $retu;     //行と列を掛けた結果をプリント。
      print "</td>";
   }
   print "</tr>";
}
print "</table>";          //テーブルの閉じをプリントする。
 つまり、行を1から10まで作りながら、そのそれぞれの行に対して列を1から12まで作り、できたそれぞれのマスに列×行の計算結果を入れるという式です。(いずれ中学の技術家庭の時間でやるようになると思います)
123456789101112
24681012141618202224
369121518212427303336
4812162024283236404448
51015202530354045505560
61218243036424854606672
71421283542495663707784
81624324048566472808896
918273645546372819099108
102030405060708090100110120

 結果が同じであれば途中の過程はどうでもいいというのも一つの考えです。しかし、人間はその途中の過程でも、美的な感覚を大事にしたいと思うもののようです。料理でも、栄養が同じであれば、見た目や雰囲気はかまわないという人はあまりいません。(私はかまわない方ですが^^;)同じ結果に到達するのにも、より美しく洗練された方法を選びたいと思うものです。その方法自体が一つの作品となっているからです。
 作文について、最近感じたことがあります。ある生徒の作品で、書かれている体験実例に、詩的な作品性を感じました。自分の意見の裏づけとなる体験実例ですから、具体的にわかりやすく書かれていればそれで十分なのですが、そこに作品としていいものを書きたいという感覚があると感じたのです。
 こういう美的な感覚のある子は、成長し続けると思います。単に食べられればいいというのではなく、より美しく食べたいという気持ちがあれば、食べ物に対する探求は続きます。勉強についても、より美しいものを求める感覚が大事なのだと思いました。


■■やっぱり学力は低下したのです(ひとみ/かもの先生)
 みなさん、こんにちは。先日、上京しました折に、文科省の教育課程課長の話を聞かされる機会がありました。
 話の内容を、ひとことで言いますと、学力低下が、相当にこたえている、という風情でした。それならば、「ゆとり教育」をさっさと、返上したらどうかと、あとで言いましたところ、役人というのは自らの失敗を簡単には認めないという性質がありますね。「ゆとり教育」は間違っていなかったと言います。
 そのいっぽうで学力向上の策を、いろいろ打ち出すという意味のことをしきりに言っていました。その中身が最近、中央教育審議会の報告案となって新聞に報じられていましたね。
 そのことを、わたくしの敬愛する先輩Nさんが新聞のコラムに、次のように書いていました。
 そっくり引用します
 <読み・書き・ソロバン>は昔から子供の教育の基本であった。近くは<一に国語、二に国語、三、四がなくて、五に算数>と数学者の藤原正彦さんが言うのも同じ趣旨だろう◆中央教育審議会の教育課程部会が小・中学校で、国語を「すべての教科の基本」、理数を「科学技術の土台」と位置付け、それぞれ授業時間増を求める報告書案をまとめた。文科省は学習指導要領に反映させる方針という◆つまり<読み・書き……>の重視だ。「ゆとり教育」だ「学力低下」だなど、揺れつつ回り道をして、失礼ながら、やっと本道に戻るの感がある◆やっとでもいい、教育の土台をしっかり固めたい。とりわけ小学校で国語をすべての教科の基本とする軸がぶれないように◆藤原さんの著<祖国とは国語>を思う。氏は「国語こそすべての知的活動の基礎だ」「文化も伝統も、日本という国はすべて言葉の中にある」と<国語教育絶対論>を展開した。特に<読み>が大切◆国語の読む・書く・話す・聞くにあえて重みをつけると順に20・5・1・1と藤原さんは書いている。
 以上です。
 「言葉の森」をしっかりやることの大切なことが、ここでもよくわかります。
 きょうは、保護者の皆さんに向けて学級新聞を書きました。










<<え2006/43み>>


■■三角食べを見直そう(もんぴぃ/おのぴ先生)
   <<え2004/811jみ>>
 
 前学期の長文に関係する話を見つけました。紹介したいと思います。テーマは食べ物の食べ方です。<<え3737み>>
 皆さんは食事の時いろいろな食べ物を交互に少しずつ食べますか、それとも一品終わったら次の一品というように食べていきますか?前者は三角食べとよばれる食べ方です。【ごはん→おかず→汁物】という順番でごはんとおかずを口の中でまぜながら、全体を均等に食べていく方法です。このように口の中で食べ物の味付けを調整しながら食べていくことを口中調味といいます。これは日本人独特の方法なのだそうです。一方後者は一皿ずつ料理を食べながら食事を完成していく欧米風の食事の取り方です。(これをばっかり食べと呼んでいる人もいます。)<<え3733み>>
 我々日本人は昔から口中調味をすることで、味や栄養分などを調整しながらバランスのいい食事がとれるように工夫してきました。考えてみればどれも少しずつ取りながらの食事だとお腹いっぱいになった時、量はともかく必要な栄養分はどの皿からもまんべんなく得ていることになるわけですよね。欧米風の食べ方では一皿一皿かたづけながらの食事ですから場合によっては肉だけ食べて終わってしまうということもあります。そうなるといろいろな栄養分を取ることはむずかしくなります。また満腹なのに我慢して最後のデザートまで食べてしまうと今度は食べすぎの可能性もでてきます。そういうことから考えると三角食べというのはバランスを考えた優れた食事方法といえそうです。
 しかし近年三角食べという言葉すら知らない人もでてきました。ばっかリ食べをする人がふえてきたのです。これは全体的にうす味の食べ物がふえ口中調味の必要がなくなってきたことが大きな原因だといわれています。<<え3738み>>
 本来日本食は様々な味のバリエーションを持っています。(口中調味のことを考えるとさらにこの範囲はひろがります。)それがわかる日本人の味覚はとても繊細なものだといえるでしょう。このままばっかり食べをする人がふえていけば、日本独特の味付けや味覚を失うと共に今まで築いてきた食文化がくずれていくことにもなりかねません。わたしたちの築いてきた食文化を守る意味でも三角食べを見直して実践していきたいものです。
        
               <<え2005/66み>>


■■生き物と暮らすということ(ひまわり/すぎ先生)
 今月は、生き物について考えさせられる機会が多くありました。『何かを育てたこと』という題名で作文を書いてくれた人も何人かいます。また、長文にも生き物に関する話が多く出てきます。犬や猫、ウサギやハムスター、また金魚やメダカ、チョウやカブトムシなど、みなさんは、たくさんの生き物とふれあって生活していますね。

 さて、我が家にウサギが来て、一年以上がたちました。最近では、もっと頭をなでろと要求したり、大好きなスナックの袋をかじって欲しがったり。ケージから出すと、わがもの顔で部屋の中を走り回って、カーペットやコードなどいろいろなものをかじっています。ただ、掃除機だけは大の苦手で、このごろでは掃除機を出しただけで一目散にケージに逃げ込むようになりました。意外に賢い一面も発見。
<<え3515み>> すっかり家族にも慣れ、我が家での生活を楽しんでいるかのように見えるウサギですが、先日こんな事件がありました。年末年始の帰省のとき、ケージごと車に積んで連れて行ったのですが、長時間、車の中に閉じ込められるのはさぞかし不愉快だろうと、途中のサービスエリアで散歩をさせたのです。部屋の中でいつも散歩をしているとはいえ、こんなに広い場所は初めてです。最初は静かにその辺の草を食べたりして、おとなしかったので油断していたのですが、しばらくすると地面にいきおいよく穴を掘り始めてしまいました。こんな姿は見たことがありません。さらに興奮して、ものすごい勢いで走り出し、半回転ジャンプを小気味よく何度も決めてくれました。ハーネスのひもを持っている娘がめちゃくちゃに振り回されています。まさに野生の本能丸出し!!
「ええーっ!? こんなに速く走るんだ。ウサギって、こんなに高くジャンプできるんだ。」
 ここでひもを離したら、もう二度と戻ってこないと、娘は必死でつかんでいました。なんとか二人で押さえつけて抱き上げると、まだ興奮してハアハア息をしています。気づくと、周囲には見物人がたくさん集まって笑っていました。
<<え3518み>> 人間に飼われているペットは、快適に暮らしているように見えても、実は自分を抑えて人間の生活に合わせてくれているのだなあと強く感じたできごとでした。本来、それぞれの生き物に合った環境、暮らし方があります。野生のアナウサギ(飼いウサギのもとになった種類)は、その名のとおり地面に穴を掘って暮らしているそうです。走る速さは、人間など遠くおよびません。それが、人間と一緒に暮らしているのですから、がまんしていることもたくさんあるに違いありませんね。
 その事件以来、ケージの中でのんびり寝そべっているウサギを見ると、「本当は、あんなふうに走り回りたいのだね。」「いつも合わせてくれてありがとう。」という気持ちになります。春になったら、タンポポでも食べさせに、外に連れて行こうと思います。もちろんハーネスは、絶対に外れないようにしっかりとつけていきますが。
 どんな生き物でも、本来はどのような環境で生活をするものなのか、きちんと知識を持って、できるだけ快適に暮らせるような工夫をしてやることが大事だとあらためて思いました。それがペットに対する思いやりです。お互いに歩み寄って、もっと仲良く快適に暮らせるようになりたいものです。
<<えa/2287み>>


■■感激? 観劇(はちみつ/おと先生)
 もう春なんですよね。まだまだ寒い日が続いてますね。今年の冬は特に寒いですね。風邪には気を付けてくださいね。

 私は先日、生まれて初めて宝塚劇団のレビューを見てきました。「ベルサイユのばら」です。有名な漫画と宝塚の大当たり演目です。全く興味はなかったのですが、人に誘われてついて行きました。劇場はほぼ満員。マリーアントワネット、生誕250周年。久々の復活、記念公演とあって、懐かしさもあってか大人気です。

 まるで漫画の世界。スターは漫画から出てきたようです。フランス革命という大きな歴史の舞台の中にあって、創造の登場人物が織り成す悲恋物語。時代の波に翻弄されながらひたすら相手を思う、献身的な愛がテーマでした。

 そこには人気が落ちてしまった宝塚の復帰をかけた、演出、演技の手法もあったようです。バレエやオペラ、映画など人をひきつけるテーマは繰り返し繰り返し、様々な場所や時代の場面で洋の東西を問わず演じられます。

 予備知識が楽しみ方も数倍になります。なぜ、ここでこんなせりふを言うのか、こんな行動をとるのか。その予備知識というのは、歴史です。広く浅くでいいのでしょう。西洋の文学や演劇などを楽しむには、ギリシャ神話や聖書を知っていると全然違うでしょう。これらは物語としても面白いものです。

 逆に演劇や映画などで歴史上の人物に興味を持つこともありますね。古典といわれるもの、人がいいと人気のあるものは、食わず嫌いせずに、一度味わってみるべきだなぁと思いました。なぜ人をひきつけるのか、何が魅力なのか。ちょっとでも知っていることと、全く知らないことの差は大きいということなんだなぁと思います。

<<え803み>>


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