言葉の森新聞2007年4月1週号 通算第977号
文責 中根克明(森川林)
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■■4月2日(月)から新学期
4月2日(月)から新学期が始まります。4月からの教材の説明は、課題フォルダの表紙の裏側に書いてあります。
教材の説明は、「学習の手引」にも載っています。
Http://www.mori7.com/mori/gate.php
■■通信生の項目・住所シールの使い方
通信の生徒には、4.1週の山のたよりに項目・住所シールが同封されています。前学期より、項目シールと住所シールは1枚になっています。
項目シールには、週ごとに●印の項目が印刷されています。作文を書いたあと、項目のできたところにを貼っておきましょう。(清書のときには、項目シールは貼りません。)
先生の住所シールは、3枚に分かれているので、その3枚をまとめて封筒用紙に貼ってください。
次の学期(7月)から、項目シールの貼りやすい封筒用紙にする予定です。
■■長文集の縦書きはホームページに
長文集の縦書きが必要な方はホームページから印刷してください。「課題の岩」の▲というところをクリックすると、縦書きの長文が表示されます。(ただし、インターネットエクスプローラ6以上でないと正しく表示されません)
Http://www.mori7.com/mine/iwa.php
■■1月〜3月の賞状を同封
3月1週の進級試験で、字数が規定以上、構成・題材・表現・主題の4項目のうち3項目が◎で1項目が○以上、の人には認定証を同封しています。字数賞・自習賞・作文賞・皆勤賞は、金賞10クラウン、銀賞5クラウン、銅賞1クラウン、賞外0クラウンです。認定証は10クラウンです。
金賞は点数の上位10%、銀賞は10〜20%、銅賞は20〜80%。それ以外は賞外です。
それぞれの賞で点数がなかった人や、3月1週に在籍していなかった人には、賞状は入っていません。
■■中1「マキの山」の4.1週の長文はありません
中1の課題フォルダで、4.1週に「生きるということ」という長文の題名が入っていますが、これはミスプリントです。
4.1週の長文はありませんので、題名課題の「あだなはよいか」で書くことを準備しておいてください。
■■長文暗唱の方法を開発中
現在、長文暗唱の新しい方法を開発中です。
私(森川林)は記憶力がよくなく、朝何を食べたか昼にはもう忘れているような状態でずっと暮らしてきました。最近は、毎朝同じような野菜だけ食べているので、忘れなくなりましたが。例えば、今朝は、キャベツ、ニンジン、水菜、レンコン、コンブ、シイタケでした。
その私でも、学生時代に、好きな詩だけは暗唱したことがあります。
例えば、萩原朔太郎。
ここに長き橋の架したるは
かのさびしき惣社(そうじゃ)の村より 直(ちょく)として前橋の町に通ずるならん。
……
は、345字でした。
それから、中原中也。
眞ツ白い嘆かひのうちに、
海を見たり。鴎(かもめ)を見たり。
……
は、208字でした。
それから、茨木のり子。
<むかしひとびとの間には
あたたかい共感が流れていたものだ>
……
は、508字でした。
これらの詩は今でも覚えていて、ときどき暗唱すると、そのときの雰囲気がよみがえってきます。
ところが、好きな詩は暗唱できたのですが、散文的な文章になると、同じぐらいの字数のものでもなかなか暗唱できません。
そこで、これは、ただやみくもに覚えようとするのではなく、何か技術のようなものが必要ではないかと考えました。
その技術の仕組みは、マラソン道場と高速聴読を組み合わせたようなものになる予定です。
<<え1006み>>
■■授業の放送を準備中
Youtubeなどで、動画を利用しやすい環境が整ってきました。
言葉の森では、以前から授業の様子を動画で放映する仕組みを作ってきましたが、いずれも手軽に利用しにくい面があり、実験段階だけでストップしていました。
しかし、今後、本格的に利用できるような形で再開したいと思っています。
また授業の放送とともに、高速聴読のページも本格的にスタートする予定です。
■■伝える力(はち/たけこ先生)
<<え304み>>
先日、女性写真家の大石芳野(おおいし・よしの)さんという方の講演会に行ってきました。大石さんは主に世界の子どもたちの写真をとっています。
大石さんは、まずスライドで写真を見せてくれました。コソボというところで、目の前で家とお父さんを爆撃されてなくしてしまった少年や少女。その目から大つぶの涙がこぼれています。ベトナムで戦争があったとき、枯葉剤(かれはざい)という毒薬をまかれ、戦争が終わってからできた子どもたちまで障害をもって生まれてきて、病院で治療(ちりょう)をうけているすがた。カンボジアやラオスで、畑仕事をしているとき、地面にうまったままの地雷(じらい)や不発弾(ふはつだん)で足などをふきとばされてしまった子どもたち。きつい目で前を見ています。
<<え794み>>
しかし、大石さんは言いました。
「この写真は、いやがるのをむりにとったのではありません。子どもたちのほうから、『ぼくたちの姿をとってください』『そして世界の人に伝えてください』と言ってきたのです」
私は、そう言った子どもたちの強い心に感動しました。
大石さんが子どもたちに「伝えてください」と言われてこうして伝えている。それをまた、私が聞いて、みなさんに「伝えて」いるのです。
<<え668み>>
さらに、大石さんはこんなこともおっしゃりました。
「でも、世界中の戦争などで不幸な目にあった場所に行っていますが、どこでも大人と子どもの大きなちがいを感じました。子どもは、そこに針の先ほどでも、希望の光があれば、それに向かってダーッと走っていくエネルギーがあるんですよ」と。
そうして、子どもたちの大きな笑顔の写真も見せてくれました。
<<え801み>>
みなさんの中にも、「走って行く」エネルギーがあると思います。
そうして、「伝える」ことのできる力も。
「でも、日本では戦争なんかないし、『伝える』ことなんかないなあ」と思うかもしれませんが、平和な日本でできることがあります。
それは、世界中から「伝えてください」と言ってきた子どもたちに、「わかりました、あなたたちのこと、聞きましたよ」と「伝え返し」をすることなんです。
もちろん、直接写真の子どもたちに伝えることはできないでしょう。それに、今すぐ伝えることもできないでしょう。
でも、「いつか『伝え返し』しよう」という「希望」をわすれずにずっと持っていれば、何年先か、何十年先か、その子たちでなくても、にたような子どもたちに、きっと「伝え返し」できるチャンスが来ると思います。(「そっ啄の機」っていう長文覚えてますか?笑)
「情報化社会」と言われ、世界はせまくなったと言われます。自分の村のことしかわからず、そこから出ることもなかった昔の人とちがって、私たちは世界中の人々のことを知ることができるのです。これだけでも喜びなのですから、いつか「伝え返し」ができる、という希望をもつことも、今の時代だからこそできる、大きな喜びになると思います。そしてもちろん、それは「文章」で「伝え返し」することもできるのです。というわけで、「伝える力」をみがく「作文」、これも希望への一歩というわけ!
<<えa/480み>><<え2004/646み>>
■■弥生に思うこと(まよ/おれお先生)
あなたは失敗するのが好きですか。
きらいにきまってるでしょ、と答える人がほとんどでしょう。私もやっぱりきらいです。誰でもケーキを焼けばきっちり膨らんで欲しいし、オーディションを受ければ(ちなみにわたしは受けたことがありません)合格したいものです。当然、テストでも良い点をとりたいと思うでしょう。
失敗は悪いものだ。いつも成功しなければならない。わたしたちはこう考えがちです。しかし、実は「良い失敗」というものもあるのです。どういう意味でしょう。
<<えa/1378み>>
「失敗学」という言葉を知っていますか。東京大学名誉教授の畑村洋太郎氏が提唱する考え方です。工学系教授であった氏は、科学技術分野の事故や失敗事例を集めて分析し、「失敗学のすすめ」という本を著しました。ベストセラーになり、高校の教科書でも取上げられたので、読んだことのある人もいるでしょう。
その畑村教授曰く、失敗には二通りあるのだそうです。悪い失敗と良い失敗です。失敗に良い悪いがあるなんて?
教授は続けます。悪い失敗とは、手抜きしたために起こったもの。良い失敗とは、進歩を目指して工夫したのに起こってしまったもの。一つ目はしてはいけない失敗、二つ目は誉めてもらえる失敗。良い失敗は新しい発見につながるので、「しちゃいけない」と思う必要はない。良い失敗を恐れると、進歩がなくなってしまう。それはもったいない、と。
教授によれば、「失敗は宝の山」なのです。『失敗は成功の母』という言葉もありますね。『転んでもただでは起きない』精神さえあれば大丈夫。失敗を、創造力を磨く機会だと考えましょう。次はどうしたらうまくいくかしら?こうしたらどうだろう、ああしたら……と創造力を働かせるチャンスなのだと。そう考えれば、失敗は決して恐ろしいものではないのです。
しかし同時に、「悪い失敗」を恐れることも学ばなければなりません。手抜きをしたために起きる、誉められないほうの失敗です。しかしこちらは、基本を怠らず慎重に取り組むことで避けられます。国語の勉強であれば、漢字をしっかり練習する、文章をきちんと音読する、これらの基本を守ることでしょう。
<<えa/1416み>>
要約すると……失敗したらまず、それは手抜きの結果かどうかを考える。YESであれば大いに反省して基本を見直す。NOであれば、とにかく自分を誉めてあげる。そして次はどうしたらうまくいくかを考える。ここまでくれば免許皆伝です。失敗のエキスパートを目指しましょう。失敗はどうしても避けられないのですから、どうせなら「上手に失敗する」方法を学ぶ。これが得策というものですね♪
<<えa/2487み>>
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