言葉の森新聞2008年4月2週号 通算第1026号
文責 中根克明(森川林)
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■■「週刊ダイヤモンド」4月5日号に言葉の森が掲載
3月31日発売の「週刊ダイヤモンド4月5日号」に、言葉の森が掲載されています。
「教育大不安」という特集の第四部「学校だけに頼らない『家庭力』の高め方」の中で五団体紹介されている中の一つです。
ちなみに、その五団体とは、野外体験の「花まる学習会」、理科実験教室の「サイエンス倶楽部」、出張理科実験の「リバネス」、マインドマップの「ブザン教育協会」、問題解決授業の「デルスタジオ」。いずれもある意味で現在あまり主流とは言えないような勉強の仕方をしている団体です(笑)。
言葉の森も、作文だけという、どちらかと言えばあまりメジャーでない勉強内容ですが、いちばんの違いはやはり年季です。
言葉の森が、なぜ、作文というマイナーな分野で20年以上も指導を続けてこられたかというと、それは日本に作文文化を作るという大きな目標があったからです。いま、その目標を作文検定という形で具体化しつつあるところです。
■■作文検定模試の返却は5月になる予定
3月4週に行った作文検定模試の返却は、5月になる予定です。
通常の検定試験の場合は、書き上げた作品をすぐに採点できますが、今回は先生のところでいったん作品を集約し、それを4月10日ごろに事務局で再度集約する形を取っているため、実際の採点開始が遅くなってしまうためです。
返却が遅れて申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。
■■卒業生への質問
今年、卒業した生徒に勉強のことを質問をしました。
▼質問 「言葉の森の勉強をしたことでどう変わったか」
言葉の森の勉強には、「文章を書く馬力」がつくことに最大のメリットがある。文章構成を先に示して作文させることで、ある程度の長さの文章を書く経験が得られる。これは小学校低学年の生徒が得られそうで得られない最大の経験だ。私の場合、この経験を積むことで、長い文章を書くことが楽しくなった。さらに、長い文章を書けるようになり、それを継続することで、自分の文章は洗練されていったと思う。(私は、文章は「量→質」の順に成長すると考えるが、言葉の森の学習法はそれに適している。)(M君 一橋大・慶應大経済学部)
毎週作文を書くことで、文章を書くことが話すことと同じくらい自然なことになった。大学受験でも、学校のテストでも、文章を書けといわれてとまどうということがなくなった。また、作文の説明や評価を先生から聞くことは、学校の先生でも身内でもない大人の意見を聞くことであり、自分の視野を広げ、精神的に成長させたと思う。(Nさん 早稲田大政経学部・文学部など)
▼質問 「国語力・文章力をつけることのメリットは」
国語力の向上により、難しい考えや思考に触れる機会が増える。その難しい考えを表現する文章力をつけることは、自分の考えを形成することだと思う。大学受験を通して感じたのは、どの教科をとっても、記述を中心とした学習を行った生徒ほど、マーク式の入試でも有利になっていることだ。これは、記述を中心とした学習により、より深い思考力が身につくことを示している。そして、その記述の前提となっているのが文章力だと思う。文章を書く地力がなければ、記述式の問題演習はスムーズに行えない。(M君)
国語力・文章力をつけることは、自分の好奇心を育て全ての学習の基盤を育てることになる。文字を読むことが苦痛だと、それだけで自分に対するチャンスが少なくなると思う。例えば、最近は新聞を読む学生が少ない。しかし、話題が多種多様なものを読むことで、自分が普段触れることのないテーマに出会い、そこで意外な興味を持つ可能性もある。(Nさん)
■■言葉の森の卒業生からのメッセージ
今年、大学入試が無事終わったM君に、言葉の森の生徒のみなさんへのメッセージをお願いしました。
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皆さんこんにちは。
今日は、私の言葉の森での勉強の話、そして皆さんの作文に少し役立つかもしれないお話をしたいと思います。
私は、小学4年生の時に言葉の森の勉強を始めました。小学3年生の時の文集では、何を書いていいのか分からない状態で、「お世話になったのは、×年×組の○○さん、○○さん…」と列記して行数を埋めるという状態でした。
そんな私は、言葉の森の勉強をすることで、文章を「組み立てる」ことができるようになったと思います。実際、4年生の最後に書いた文集は、自分の体験を生かした面白い文章だと褒められるようになりました。
言葉の森の勉強をするにあたって、毎回、自分の好きなことを書いてください。毎日やっている野球やサッカーの話、学校の面白い先生の話、習いごとのピアノの話などなど。
皆さんが嫌いなことを作文に書いても、きっと楽しくありません。せっかく、言葉の森のテーマは詳しく決められてはいないのだから、皆さんの好きなことを書きましょう。
言葉の森の作文には「設計図」がありますよね。たとえば、「書き出しの工夫」とともに一つの考えを書いてから、その理由を2つあげて、最後に「光る表現」を加えてまとめます。
作文を書くのが得意になってきたら、だんだんこの「設計図」を、自分なりに「崩してゆく」ことをしたいと思うようになるでしょう。私の場合、最初は学校の作文などでも、言葉の森で習ったような型で書いていましたが、作文が楽しくなると、それを自分なりに変え、いくつかの学期でのポイントを組み合わせるようになりました。小学校高学年や中学生になったら、そうやって「自分らしい作文」を作れるようにもなっていってほしいと思います。
文章を書ける人は、自分の思いを伝えられるし、いろんな考えを人と話し合えるようになると思います。
言葉の「森」で、一つでも多くの、素敵な「言の葉」を見つけられるように、毎週の作文に取り組んでください。
さ、こんな難しいことは考えないで、まずは今週の作文を楽しみましょう! 応援しています♪
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■■魔法をかけよう(あん/つんこ先生)
<<え2007/266み>><<え5589み>>
「ちちん、ぷいぷい。カボチャよ、カボチャ。馬車になあれ。」
すると、どうでしょう。カボチャは立派な馬車になりました。
おなじみ、「シンデレラ」の一場面です。
実は、私たち人間にも魔法が使えるんです。ふつうは「暗示(あんじ)」とよばれています。
知り合いの先生から聞いたお話です。その先生は、高校のバスケット部のかんとくをされていました。弱かったそのチームを全国大会優勝までみちびいたそうです。
しかし、その先生自身、はじめはバスケの「バ」の字も知らなかったそうです。ただ、「おまえたちはできるんだ。きっと強くなる。」といつもはげまし、いっしょにがんばったそうです。すると、どうでしょう、まるで魔法にかかったかのように、せいとたちはメキメキ上手くなり、優勝してしまったそうです。その先生いわく、よい暗示にかけることがとても大切なんだと身をもって知ったそうです。その後もその学校は優勝しつづけたようですよ。
他にも、にたお話がいくつかあります。
一つ目は、東大生が書いた勉強方についての本の中で、うまくできた時は「私って天才だな。」「すごいな。やるじゃん。」とかなんとかベタほめしてやるのだそうです。すると、イヤな勉強もはかどるのだそうです。
二つ目は「宇宙にお願い」という本の中で、「〜できる。」「〜なる。」という、言い切りの形で宇宙にお願いするのだそうです。そうすると、必要な時、必要な分だけ、願いがかなうそうです。これは先生もやってみて、5回くらい、ほぼ100%の確率でかなえてもらってます。ただし、お願いの最後に、宇宙へ感しゃする。(私は「宇宙さんありがとう。」と一こと言ってます。)。そして、願ったことは忘れること。この二つの注意事項を忘れないでね。
三つ目は、友達から教えてもらったのですが、なりたい自分を自分に向って言い切りの形で言う。そうすると、細ぼう(体を作っている小さな粒)が、言った通りにしようとがんばってくれるそうです。
どうですか、なんだか魔法みたいでしょう。「うわぁ、今のは大リーガー顔負けだ。」とか、「メジャー入りかくじつだね。」とか、やってみて下さい。必ず声に出してね。ただし、近くに人がいる時は、小声でね。ひとりの時は、思いっきりやってみて。
けっして、「だめだなぁ。最低。」とかいう悪い魔法はかけないでくださいね。心の中で思っても、口に出してはダメですよ。
魔法のきき目があらわれたら、かならず先生に教えてね。よいお知らせを待ってます。<<え2007/81jみ>>
<<え2005/42jみ>>
保護者の方へ。
「子どもを褒めて育てよ。」というのには、暗示の効果が期待できるからだと思います。具体的に子どもの心に届くように褒めてみましょう。(私も実践中です。叱ってることも多いけど。)口先だけでなく、相手の心に届くよう褒めるということは、結構大変で、地道で、効果が確認しにくい作業だとおもいます。ですから、きっと、子どものことを本気でみている、「親」にしかできない作業かもしれません。(もちろん、私も講師として作文の分野ではしっかりやります。)
できなかった時は、寝ているわが子に語りかけてもいいらしいです。ただし、寝ていても声をだして、どこかを撫でてやりながら、褒めてやったり、いたわってやると、記憶には残りませんが、心には残るそうです。
認めてくれていると実感できる人からの忠告や助言は、きっと子どもの心に届くでしょう。叱った時の効き目も期待できるのではないでしょうか。
また、上手くいけば、「私って、最高の親だよね。おまけに美人(美男)だしね。」と、ご自分にも魔法をかけてみて下さいませ。
最後に、決して宗教ではありませんので。念のため。(笑)
■■泳ぐシカ(みのり/まこ先生)
ケラマジカというシカは、島から島へ泳いで渡るそうです。別に泳ぐのが好きだからというようなお気楽な話ではありません。生きるために命をかけて大海原に向かって泳ぎ出すのです。だれに教えられたわけでもなく、だれを見習うわけでもありません。ある日突然、シカは決意するのです。
小さな島に生まれたオスジカは、大きくなると母親の群れから追い払われます。道端のわずかな草を食べて幾日が過ごしますが、それだけでは足りません。おまけに小さな島ですから、すぐに母親の群れと出あってしまいます。そのたびに猛烈な攻撃を受けて追い払われるのです。こうして居場所をなくしたシカは泳ぎ出すのです。
海は潮流が速く、溺れて死んでしまうものもいるそうです。せっかく渡り着いた島にも断崖に阻まれて上陸できず、元いた島に戻ってくるという失敗をするものもあります。それにもめげず、幾度も泳ぎ出す姿にはほんとうに胸を打たれます。
ふしぎです。どうしてそうまでして生きようとするのでしょうか?
春は、新しいクラス、新しい学校という未知の世界に飛び出して行く人も多いでしょう。慣れ親しんだ友だちや学校と別れ、まったく新しい環境に飛び込んで行くのは、期待もあるでしょうが、不安のほうが大きいかもしれないね。成長して、より大きな世界に出ていこうとする人たちのことを考えていたら、わたしの中で、ふとあの泳ぐシカの姿が重なったのでした。
旅立つ勇気も失敗を乗り越える力も、生まれたときからお日様の光がふりそそいでいたように、はじめからわたしたちの中に備わっている。
さあ、新しい春を笑って迎えましょう。
<<えa/338み>>
■■謙譲の美徳
<<えa/600み>> 日本人は、謙虚な国民だとよく言われます。みなさんの周囲にも、何に対しても積極的で、ときには傲慢だと思われるような人より、もっと自信を持ってもいいのにと思うような謙虚すぎるくらいの人の方が多いのではないでしょうか。確かに、謙虚であることはよいことです。しかし、自分から一歩を踏み出さない限り、進歩がないということも事実だと思います。誰かが率先して何かをしなければ、新しいことは生まれません。いつも引っ込んでばかりいては、自分自身も成長しないでしょう。また、過度の謙虚さは、他人に不快感を与えることもあります。
<<えa/608み>> メギ3.3週の長文には、香港の会社の求人の話が出てきます。「日本語のできる人を求む」という広告に、あいさつ程度しか日本語を話すことのできない香港人が殺到したというのです。もし、日本で、「英語のできる人を求む」という広告が出されたら、応募するのは、流暢に英語を話すことのできる、英語にはかなりの自信がある人だけでしょう。あいさつ程度の英語では、「英語ができる」とは言えないというのが日本人の認識だからです。そんな日本人に比べると、香港人は、非常に果敢であると言えます。
<<えa/614み>> もちろん、この香港人の行動には、賛否両論あるでしょうが、見習うべき点が大きいと思います。「あいさつしかできないのに、万が一採用されたら大変なことになってしまう。だから、当然、応募なんてできない。それに、他人に、あいつは傲慢な奴だと思われるに違いない。」というのが日本人の感覚でしょう。一方、香港人は、「今は、あいさつしかできないけれど、もし採用されたら、どうにかなるものさ。話さざるを得ない立場に置かれたら、勉強して話せるようになればいいのだ。」という大きな気持ちを持っているのではないでしょうか。そう考えると、香港人の方が前向きで、この先の成長が期待できます。
<<えa/607み>> 「謙譲の美徳」という盾の陰で、自分の殻にこもることは自分の可能性を狭めてしまいます。自分の良い点は素直に認め、良い点を前面に押し出していくことも必要ではないでしょうか。もともと謙虚さが身についている日本人なら、きっとスマートにさりげなく自己アピールすることができるでしょう。まずは、自分の良い点を認め、自分を成長させていこうという前向きな気持ちを持つことが大切です。そうすれば、自ずと積極的な態度が身につき、少しずつ世界が広がっていきます。謙虚さとは、自己をおしとどめるものではなく、自己を押し出すバネになるものなのです。
<<えa/604み>> 山田 純子(メグ)
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