言葉の森新聞2008年6月1週号 通算第1033号
文責 中根克明(森川林)

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■■【重要】6.1週作文進級テスト
 6.1週に、作文進級テストを行います。
 提出が遅れた場合は進級できません。(6月8日ポスト投函まで)
 課題フォルダの字数・構成・題材・表現・主題の●印が全部できていることが合格の条件になります。(表現の項目などで「たとえ」と「ダジャレ」など二つ以上の項目が指定されている場合はどちらかができていればその項目は◎です)。キーワードと字数が採点の基準ですので、指定された字数以上で必要な項目が全部入る作文を書いていってください。中学生以上の時間制限については、今回は採点の基準にしませんが、できるだけ時間内に書き上げる力をつけていきましょう。
 手書きで作文を書く人は、項目ができたところにシールをはっておいてください。
 パソコンで作文を書く人は、キーワードを入れておいてください。
 小学生の場合は、提出する前に、おうちの方が字数と項目シールをチェックしてあげてくださるとよいと思います。
 小学2年生までの生徒は、試験は行いますが、全員進級扱いで先の級に進みます。4月以降に受講を開始した生徒も、試験は行いますが、全員進級扱いで先の級に進みます。ただし、いずれの場合も、賞状は出ますので、できるだけ字数と項目ができるように書いていってください。


■■よくある質問から
質問:書くのに時間がかかりすぎ、ほかの勉強に差支えが出てくるのですが。
回答:書き始める前に、「今日は90分で終わる」などと制限時間を決めて、その時間になったら、途中であっても、「つづく」という形にして終了するようにしてください。
 生活時間との関連で、「今日は忙しいから15分でとりあえず要約と感想だけ書いておしまい」などとしてもいいと思います。
 できるだけ翌日以降に持ち越さず、その日のうちに片付けるようにすることが大事です。

質問:国語の成績がなかなか上がらないのですが。
回答:まず、実際に成績の悪かった国語のテストを親子でもう一度解き直してみることです。そうすると、弱点がわかります。
 よくある原因は、速読力の不足、難読力の不足、解答の仕方の不理解です。速読力と難読力をつけるためには、問題集読書が効果があります。毎日10ページなどと目安を決めて読んでいくといいと思います。(参考ページは、「国語の勉強法」)
http://www.mori7.com/bennkyou.html

質問:作文がなかなかじょうずにならないですが。
回答:作文力は、その子のそれまでの読書や対話などの言語生活を反映したものですから、上達に時間がかかります。また、小学生のときにいい作文を書いていた子が、中学生の意見文中心の課題になると一時的にうまく書けなくなることがあります。しかし、いつもよいところを褒める一方で、毎日の自習を続けていれば、作文力は必ず上達してきます。
 子供の勉強は、毎日自習をして作文を書くことで、お母さんの勉強は、それを毎日褒め続けることと考えて取り組んでいってください。

質問:どんな本を読んだらいいのでしょうか。
回答:原則は、子供が楽しく読める本です。日本の子供向けの読書環境は充実していますから、書店や図書館で手に入りやすい本でかまいません。本の奥付を見て、印刷回数の多いものであれば人気のある本です。
 漫画は悪くはありませんが、漫画しか読まないと読解力は低下します。また、テレビやゲームの時間が長すぎると読解力は低下します。
 大事なことは、どんな本を読むかということよりも、家庭で毎日必ず読書時間を確保することです。「毎日、家での勉強のあとに読書を50ページ以上」などと決めておくとよいでしょう。


■■「幼児は叱るよりほめたほうがいい」(よう/まえ先生)
 私が父から薦められた本で、「幼稚園では遅すぎる」という本があります。これはソニーの創業者の井深大氏による著書であり、幼児教育の必要性について述べている本です。しかし、この中に述べてあることは決して幼児に限ったことではなく、教育について考える時にはいいヒントをたくさん見つけられそう、ということで、私は定期的に読み直すことにしています。つい先日も、読み直す機会があり、改めて感銘を受けた章がありましたので、紹介することにします(^o^)。

(以下、引用)
 「幼児は叱るよりほめたほうがいい」

 「ほめる」のと「叱る」のとをくらべると、幼児教育では「叱る」ほうが、強い威力を発揮するようです。といっても早合点しないでください。幼児は叱られることによって、それに抵抗し身構えるという異常な才能を発達させてしまうのです。これは意地の悪い逆説的ないい方ですが、幼児教育にとって、「ほめる」「叱る」は、じゅうぶんな配慮のもとに行う必要があります。
 たとえば、子どもの前で母親がジュースを持ってコップに入れて運んだりすると、二歳ぐらいの子どもなら、もう真似をして、コップを運びたがります。そのようなとき、ジュースをこぼされでもしたらたいへんというわけで、よく「いけません!」などといってやめさせてしまいます。これはまちがったやり方です。こんな親にかぎって、子どもが少し大きくなると、「少しは手伝ったらどう」などとガミガミいうのです。いくら相手が子どもでも、これはあまりにも矛盾しています。子どもにはどうしても無理な場合でも、まずは「えらいわね」とほめておき、ジュースの量を減らして持たせてやるくらいの配慮が必要です。
 バイオリンの鈴木先生もおもしろいことをいっておられます。ある町のバイオリン教室の、バイオリンの弾き方がめちゃくちゃな子がいて、どうにも手に負えないとみんなからいわれていました。
 そこで先生が、「ちょっと聞かせてちょうだい」というと、弾くには弾いたが、やはりめちゃめちゃな弾き方でした。しかし、先生は「よく弾いた、よく弾いた」とほめておいて、「ここのところは、先生はこうできるが、あなたはできるかな」といったのだそうです。するとその子どもは「できる」といって意外なほど素直にレッスンを受けたそうです。ですから、幼児は基本的には「叱る」より、うまく「ほめる」という方法で教育していくほうが、より効果的だと考えるべきです。

(後略)

 この文章では、「幼児は」というふうに限定されていますが、これは何も幼児に限ったことではないですよね。

 基本的に「言葉の森」での指導は「誉める」ことが中心です。幸い、みなさんとても楽しい(時にはおもしろい)作文を書いてくれるので、誉めることにもあまり不自由はしません(本当ですよ!)。楽しく添削をし、楽しく電話でお話できています。でも、日常生活を考えてみるとどうでしょう。他人の(もしくは物事の)短所や欠点ばかりが目につく、なんてことがたまにあります。そうすると、イライラしたり、腹が立ったり。いいことなんて一つもありません(断言)。やっぱり、いいところをたくさん見つけてニコニコ過ごす方が楽しいに決まっています。

 これから、毎週作文を書いていく中で、短所や欠点が大きくクローズアップして見えてくることもあることでしょう。でも、頑張ったこと、できたことをそれよりたくさん見つけていきましょう♪ たくさんいいところを見つけて、たくさん誉めて、楽しくやっていきましょうね。



<<え1109み>>


■■作文は創造力、質問も創造力(はち/たけこ先生)
 作文がむずかしくて、おもしろいところは、ほかの勉強とちがって、何かを暗記してそれを答えとして書くのではない、という点ですよね。
 学校の授業やいろいろなニュース、そして本などで学んだこと。それだけでなく、自分で見たり聞いたりやったりしたことも、全部作文のたねになるのです。自分の中でみーんなまぜあわせて、そこから作り出さなければならなず、どこを見ても答えが書いてあるページはありません。自分の作った考えを表すので、たいへんだけれど、おもしろい、ということですね。
<<えa/2796み>>
 作文でたいせつなところが、この「自分の作った考えを表す」つまり、「どんどん外に出していく」というところです。
 作文を始めたばかりのとき、しばしば保護者のみなさまから相談されることが、「作文がまとまっていないのですが、いいでしょうか」というご心配です。実際、以前保護者の方が書き直されて提出されていたこともあり、こういうご相談があれば、「全くそのままでいいのです!」としっかりお伝えするようにしています。最初に形にとらわれすぎると、自分の中の考えのたねをどんどん出せなくなってしまうからです。まずは、形から大きくはみだしても、自分の考えをどんどん書くほうがいいのです。そして、「あ、こんなこともどんどん書いていいんだ」と安心してくると、ますますいい考えや、自分で作ったいいことばが出てきます。いわば、最初の「まとまっていないように大人には見える作文」は、私から見れば、「宝物がいっぱいつまった宝箱」なのです。常識からはずれたところに、その生徒さんなりの個性があるのです。
 そして、なれてくると、言葉の森の課題の中ができるようになり、知らず知らず、作文としてのまとまりが出てきます。その上、まとまっていながら、個性のある文が書けるようになるのです。生徒さんの作文にあった「せっかくの気持ちの強いお母さん」「残飯大国日本」「有名は大変のもと」という文など、実はその後も愛用させてもらっているものがたくさんあります。
<<え2004/213み>>
 このように自分の発言に安心できるようになると、どんどんと質問も出てきます。10分の指導時間では足りないので、答えは次の週にしたり、清書の週に聞いたりすることにしています。たとえば、「道草ってどうしてそういうようになったんだろう?」という質問がありました。ほかの講師の方にも聞いて、「昔田んぼに牛を連れていく途中、牛があぜ道の草を食べて、なかなか進まなかったことから。だから『道草をする』でなく『道草をくう』」のだというおもしろい答えがわかりました。これは長文に関係した質問でしたが、まったく長文と関係ない、ふと思いついた質問でもいいのです。おもしろかったのは、「学ランってなんでそう言うようになったのでしょう?」そう、あの応援団の人が着るような、つめえりの高いたけの長い学生服ですよね。これも調べてみると、なんとその語源は、幕末までさかのぼることがわかりました。そのころ、庶民も町で欧米人をよく見かけるようになりました。当時は欧米というと日本人が思い浮かべるのは「蘭学」ということばに代表されるように、「オランダ」のことでした。そこで、欧米人の着ている洋服を「オランダの服」略して「ランダ」というようになったのだそうです。当時から、日本人のことばの作りかたって、今と変わらないのがここからわかりますね。そして明治になって、大学などの高等教育を受けるようになった学生の若者が羽織はかまだけでなく、明治の洋式軍服を着て学校に通うのを見て、人々は「学生のランダ」略して「学ラン」というようになったのだそうです!当時の洋式軍服がつめえりだったのだそうなのです。なんの気なしの質問から、歴史や日本人の文化が見えてきたのでした。
 答えのある質問だけでなく、「流行って誰が作るのですか?」といういっしょに考える質問もありました。たとえば、流行はものを売る側が作るかのように見えますが、同じように売ろうとしても、『ハリー・ポッター』はなぜ、世界中をまきこんだ人気作品になったのに、ほかの作品はなぜそれほどではないのでしょうか。これは明解な答えは出なくても、たいへんおもしろい問題だと思います。
 そんなわけで、時間のあるときや、ないときも(笑)、どんな質問でもいいので、聞いてくださいね。実際は自分で調べられることでもいいのです。「いっしょに考える」というところがかんじんなのですから。
<<え2008/42み>>
 といっても、私は実は大学生くらいまで、とても人見知りなはずかしがりやで、口ベタでした。だから、電話口でもはずかしそうにしている生徒さんの気もちもとてもよくわかります。たくさんしゃべらなくても、まったく心配いらないので、みなさん安心してくださいね。それがなぜ、こんなにおしゃべりに?なったか・・・は、またいつか学級新聞に書いてみようと思います。


■■飛べ! 紙ひこうき(かいす/きあ先生)
   <<え4879み>>
 みなさんは、紙ひこうきを飛ばしたことがありますか?
先生が通っていた小学校では、「紙ひこうきコンテスト」があって、自分で作った紙ひこうきを遠くまで飛ばすチャンピオンを決めていました。先生の同級生で、6年間のうち4回チャンピオンになって「ひこうきマン」と呼ばれていたA君が、今、『紙ひこうきを宇宙から飛ばそう』というプロジトに取り組んでいます。

 東京大学工学部で「航空工学」という飛行機の研究をしているA君に、とても面白い話を聞きました。

 「宇宙から紙ひこうきを飛ばすと、地球に戻ってくるんだよ」

 ええ〜っ!?みなさんも知っている通り、宇宙と地球の間には大気圏という高温(約200度)高速(マッハ7、東京〜大阪間が5分30秒)の層があります。宇宙戦艦ヤマトだって(笑)スペースシャトルだって、この大気圏突入で何度も失敗しています。紙ひこうきがそんなところを無事に通ってこれるはずありませんよね。
 ところが、地球からの高度400キロメートルの国際ステーションから、進行方向とは逆向きに紙ひこうきを飛ばすと、地球を何周かしたあと、大気が濃くなる高度150キロメートル付近から、ゆっくりゆっくり地上へ舞いおりるのだそうです。

 もちろん、大気圏をくぐり抜けるのが、一番の問題点。A君が今、進めている成功へのヒミツをちょっとだけ教えてくれました。
 「紙」・・・「バガス紙」というさとうきびのしぼりかすでできた素材が使われているそうです。コーヒーフィルターなどに使われるもので、厚みがあるわりに軽いのが特徴だとか。地上へおりたときに、土にかえるように、エコ素材にこだわっているそうです。
 「折り方」・・・ふつう、紙ひこうきは遠くまで飛ぶように、先をシュッと、とがらせますが、今回は、なるべくゆっくりおりるように立体的に作ります。スペースシャトルのような形になるのかな?
 「コーティング」・・・高温に耐えるように、ガラスの細かい粒を液状にしたものを、ひこうきに吹き付けるそうです。

 そのほかにも、ステーションからひこうきを打ち出す角度や、宇宙空間の天候(砂嵐や台風みたいなものが発生するんですって)などなど、研究課題は山のようにあるそうですが、A君いわく「実現する確率は100%」と自信満々です。小学生のころ、「羽の角度は直角で・・・前の部分にねんどでおもりを・・・」と目を輝かせていた「ひこうきマン」を思い出しました。「とんでもないこと、思いつくよなあって思うでしょ?でも、原点は小学校の頃のコンテストなんだよね。あの頃の、遠くまで飛ばしたい気持ちが宇宙までいっちゃったんだよ」と、A君は笑っていました。子どものころの、○○が好き!という興味、好奇心は本当に大事なんですね。その気持ちが世界も注目するプロジェクトにつながりました。みなさんにも、好きなこと(もの)を続けてほしいなあと思います。

 ふと、見上げた空から宇宙空間を旅してきた紙ひこうきが、ふわりふわりとおりてくる・・・なんだかステキですね。まだかなあ・・・先生は最近、空を見上げる回数が増えたような気がします。

               <<え2007/329jみ>>


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