言葉の森新聞2008年7月3週号 通算第1039号
文責 中根克明(森川林)
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■■7月21日(月)は休み宿題(再掲)
7月21日(月)は、休み宿題です。先生からの電話はありませんが、その週の課題を自宅で書いて提出してください。先生からの説明を聞いてから書きたいという場合は、別の日に教室までお電話をして説明をお聞きください。(平日午前9時〜午後7時50分。電話0120-22-3987)
電話の説明を聞かずに自分で作文を書く人は、ホームページの「授業の渚」か課題フォルダの「解説集」を参考にしてください。
「授業の渚」 http://www.mori7.com/nagisa/index.php
「ヒントの池」 http://www.mori7.com/mine/ike.php
■■「AO入試廃止の動き」の根本にあるもの
日本経済新聞(7月7日)で「AO入試廃止の動き」という記事がありました。原因は、AO入試で入った生徒の学力不足だということです。
この問題の根本は、入試の仕方にあるのではなく、高校までの授業にあります。
高校までの授業が、大学入試という受験を目的にしているので、打算的になっているからです。例えば、受験に必要のない科目は勉強しないというような勉強の仕方が半ば常識になっています。だから、大学での勉強についていけないほどの極端な学力不足が教科によっては生まれてしまうのです。
しかし、これは、学校や教師の問題ではなく、生徒及び父母、ひいては社会の文化の問題です。
教育の目的は、個人の学歴を高めることにあるのではなく、各人が立派な日本の社会人となることにあります。それをみんなが忘れているのだと思います。
■■小2以下の「字数ランキング」は非表示に
小学校低学年のころは、字数を長くすることに関心を持ちがちです。
しかし、他の人と比較して意欲を持つ年齢にはまだなっていないので、「山のたより」の字数ランキングを非表示にしました。
■■小1の音読は、途中まででも可
小学1年生の長文音読は、全文読むと負担が大きい場合もあると思います。
お子様の様子を見ながら、無理のない行数まで読ませ、続きはお母様やお父様が読んであげるかたちにしても結構です。
■■毎日小学生新聞も算用数字を縦書きに
毎日小学生新聞(7月7日)に次のような「おことわり」が載っていました。
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これまで縦書きの場合は漢数字(二日、十五人など)を原則として使ってきましたが、ニュース記事が中心となっている1面と3面については、今日の紙面から原則、洋数字(2日、15人など)に改めます。
記事の多くが毎日新聞に基づいており、一般の新聞は現在、大半が洋数字を採用しているためです。
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これまでは、新聞の表記が社会全体の表記を先導していましたが、今後はインターネットが社会全体の表記の基準になっていくと思われます。
現在、Googleで検索すると、「見れる」の方が「見られる」よりも検索ヒット数が多くなっています。「ら抜き言葉」は事実上認められているということでしょう。
会話のカギの使い方も、パソコンで入力しやすい形にだんだん統一されてくると思われます。
■■ファクス送信のモニター募集
手書きの作文は、現在郵送で講師の自宅にお送りいただくようになっています。
しかし、郵便事情の関係で講師への到着や返却に日数がかかり、翌週返却が次第に難しくなっているようです。
そこで、試験的に作文のファクス送信をしてくださるモニターを募集します。
条件は次のようになります。モニターをしてくださる方は、父母の広場に生徒コードがわかるようにご記入ください。
http://www.mori7.com/nohara/hubo/
【流れ】
1、手書きの作文は、ファクスで事務局に送ります(0120-72-3987 24時間受付)。
2、事務局で赤ペンを入れ、作文の丘にPDFファイルでアップロードします(住所電話氏名などの個人情報は表示しません)。
3、担当の講師が評価と講評を書きます(これはこれまでどおり)。
4、作文は返却しませんので、ウェブの「山のたより」又は「作文の丘」でごらんください。
【利点】
1、自分の書いた作文がウェブ上に保存されます。
2、郵送の手間や費用がかかりません。
3、翌週までの評価講評返却が確実にできます。
4、生徒から事務局への質問の際の対応がスムーズになります。
【問題点】
1、赤ペンを入れる先生(事務局)と評価講評を入れる先生が異なります。しかし、指導の中心になるのは、評価講評を入れる先生の電話指導ですので、これまでと比べて大きな差はないと思います。
【モニター】
1、モニターをしてくださる方は、父母の広場に生徒コードがわかるようにご記入ください。
2、期間は、9月4週までとします。
3、途中で郵送による送信に切り換えてもかまいません。
4、ファクスが正常に送信されたかどうかは、メールで連絡し「検索の坂」に表示します。正常に送信されていない場合は再送信をお願いします。
5、モニターをしてくださった方には、粗品を進呈します。
■■ダジャレを言うのはだれじゃ(なら/なら先生)
<<え2004/197み>> テレビを見ていたら、とあるコマーシャルで上戸彩さんが笑顔で言っています。「コーディネートはコーデナイト!」ありゃぁ、こんなオヤジギャグ、ダジャレを使って! 知人にまさにこのギャグを持ちネタとしている人がいます。その人のダジャレを聞くと、正直腰砕けになるような気分で、笑うに笑えない……と思っていました。しかし、上戸さんがかわいらしい笑顔で言うと、何だかほほえましく思えてきます。
<<えa/513み>> 言葉の森の課題にも「ダジャレ表現」という項目があります。小学校上級生の課題になっていますね。「ダジャレ」の「ダ」は「駄」。無駄・駄作・駄目などの言葉からも連想できるように、「つまらない・取るに足らない」などの意味があります。そのせいか、ダジャレは嫌われたり、格が下がると思われたりすることが多いようです。荻野アンナさんという作家がいます。この人は、作品よりも「ダジャレ好き」の方が有名で、そのせいで不当に評価を下げている一人かもしれません。1991年に『背負い水』という作品で芥川賞を受賞しましたが、この受賞を電話で受けた時の答えが「あ、しょう(そう)」。これを聞いた人はどんな気分だったでしょうね。他にも、テレビのコメンテーターとしてよく登場するデーブ・スペクターさんも、ダジャレを連発しています。もう「デーブのダジャレ」というネタにもなっているようです。
しかし、ダジャレはばかばかしい格が下がるものかというと、そうもいえません。まず、語彙が豊富でなければ思いつきません。言葉の音と意味に通じていて、人が思いつかないような組み合わせを考えられる、頭の柔軟さが必要です。それに、回転の速さ。これらが揃わないと、ダジャレは成立しないのですからね。デーブ・スペクターさんはアメリカ人、その彼が日本語でダジャレを言うのですから、日々の努力は並大抵のものではないでしょう。今も、1日に3〜5個の日本語を新たに覚えることを続けているそうです。
<<え1428み>> 古くから、日本語には言葉遊びの要素をもった修辞法がありました。古文を習っている人は、「掛詞(かけことば)」と言えばわかりますね。「松と待つ」などは、現代人の私たちでもすぐに思いつきます。「あの松の木の下で待つ」という感じですね。掛詞というダジャレを使って、和歌の意味をより深く解釈できるようにするという表現方法です。ダジャレ好きな人であれば、もっと付け加えて「あの松の木の下で待つ木下さん……」などとするのかな。
現代詩の世界でも、ダジャレ好きな人がいますね。谷川俊太郎さんです。「ことばあそびうた」の中の「イルカいないか、いないかイルカ」はあまりにも有名です。あの詩を声を出して読んでいると、わくわくしてくるから不思議です。
<<えa/169み>> 言葉の森の生徒の中には、「ダジャレ苦手」とか「好きじゃない」と思っている人がいるかもしれません。あまり難しく考えず、言葉遊びだと思って気軽に取り組むといいですよ。「こんなのカッコ悪い」「下品」と思う必要もありません。そうそう、言葉の森のHPに「ダジャレの木」というページがあります。おもしろいと思ったものに投票もできるのですが、人気があるのがシモネタもの。シモネタものにまゆをひそめる大人も少なくはありませんが、こういうのが楽しいと思う年代も確かにあります。その年代を経て表現の幅を広げていくのですから、シモネタに目くじらを立てる必要はないでしょう。私が気に入ったのは「ストーカーすっとか?」ストーカーは犯罪ですが、「すっとか」という九州弁を使ったところに笑いを生む技があります。……ハイ、私は熊本の出身です。そういえば、熊本弁のお笑い話を思い出しました。「すーすーすー」「たったったー」「とっとっとー」この意味がわかる人がいたら、嬉しいなぁ。これもダジャレの一種だと思います。
さあ、ダジャレを使って作文を読んでくれる人をクスリと笑わせてみましょう。
■■グズをなおせば人生はうまくいく!?(ふじのみや/ふじ先生)
<<え2004/259jみ>> 曇りや雨の日が多い季節になりましたね。きのう、ウサギを連れて散歩にでかけた河原で、ひさしぶりに「かたつむり」を見つけました。町中ではほどんど見ることがなくなったかたつむり。子どものころ、たくさん集めて遊んだなあ……なぜか翌朝には、全部いなくなっていました。「みんなおうちに帰った!」思っていたのですが、今考えれば虫の苦手な母が、自然に帰してやったのでしょう。
「かたつむり」を見ていると、自分が子どものころよく言われた言葉を思い出します。それは、「グズやなぁ」、「のろまやねぇ」。文字だけで見ると、子どもを傷つけるよくない言葉のようですね。でも、やわらかな関西弁の節がついていたし、そもそも、この指摘は子どもの私にとっても(そのとおり!)でしたので、あまり気にしなかった覚えがあります。
それどころか、「やればできるんだって! 時期を待っているだけだもん。せかさないでよねー」なんて、思うこともありました。
でも、朝はぎりぎりまで寝ていて、朝食を食べるのもゆっくりで、時間割は当日の朝合わせて、集団登校にはしょっちゅう間に合わなかった私のことを、家族は「グズグスしないで! さっさとしなさい!」と、やきもきしながら見ていたはずです。大人になったら治るかな、、とあきらめていたかもしれません。
さて、本当に大人になって、グズグズ癖は治ったでしょうか。
答え。治りませんでした。
実は今日もそうです。今朝までにしなければならないちょっとした宿題があったのですが、昨日の夜は、どうしても読みたい本があって結局午前2時ごろまでかかって読破してしまった。本なんていつでも読めるんだから、先に宿題をする。これがまっとうな段取りですが、私は「宿題は明日朝からやれば10時には仕上がるだろうから、今日は本!」というプランを立てたのです。
明けて朝8時。宿題にとりかかろうとして、はたと思い出しました。今日は、水道工事の人が来る日。だから家中を片づけなければならない! 「でも、何時に来るんだっけ?」…問い合わせると、午後1時。
(ああ、よかった。今から宿題をして、そのあと片づけをしたら間に合うね)
しかし、この時点でもう8時半。約束の10時まであと1時間半しかありません。
ここでようやく、スイッチオン。部屋に閉じこもり、超集中!! 「これで間に合いそうだ」と時計を見ると、もうあと20分しかない。いよいよ焦り始めました。そのとき、ドアが開いて子どもが入ってきました。「何たらかんたら…それで…」、話を聞いてやって、ふと手元を見ると…必死でしあげた宿題が、手でこすれて半分消えてしまっている。
あーあ。誰にも文句を言えません…。
またしても、「ああ、グズグズせずに、余裕のあるうちにきちんとやってくのだった」と、反省したのです。間に合わなかった宿題。しかたないので、電話をして「急用ができたので、遅れて持って行ってもいいでしょうか」と、おわびすると、「今日はもういいですよ。明日にしてください」と、やさしいお答えが。でもきっと、わかっていたと思います。「ははーん。まーたぎりぎりで仕上げようとして、間に合わなかったんだな」と。
大人になると、よほどのことがない限り、本気でしかってもらえることはありません。そのかわり、「もういいですよ」と言われてしまうのです。それは、「この人は、あてにならないね」という意味も含んでいるのです。
いくら、「ちゃんとやれば、私はできるんです」と言い訳しても、「ちゃんと」の中には、約束の時間に間に合わせることも含まれているのですね。
ちなみに宿題とは、趣味で始めた絵です。絵といっても、紙やキャンバスではなく、陶器に特殊な絵の具で書いて、それを窯(かま)に入れて焼いて定着させます。毎月、第二水曜日は、窯で焼く日。1ヵ月まえから聞いていたのにね…グズだなあ。反省しながら、読みかけの別の本(何冊かの本を手元においておき、並行して読んでいます)にちらりと目をやる私。
その本は、『グズをなおせは人生はうまくいく 〜ついつい“先のばし”する損な人たち〜』。第一章の冒頭に、こんなことが書かれています。「この本を手に取った、自分がグズであることを自覚しているあなたなら大丈夫。グズはなおる。なぜグズになるのか、原因を知ることから解決策が見出せるからだ』。
ほほ…う。治せるのなら読んでみましょうか。来月の学級新聞に、この本で得た教訓を書くことができるよう、今度こそグズグズせずに、しっかり読んでおきますね!
<<えg2008/0611132223jみ>>
■■言葉と思い込み(ルビー/おぎ先生)
「ピンからキリまで」という言葉の意味を知っていますか? この言葉が「良いものから悪いものまで」といったような物の良し悪しや値段の高い安いを指すことは知っていても、「ピン」「キリ」それぞれの意味はあまり知られていません。
以前友人が、
「ピンからキリまでっていうのは色々な説があるらしいね。実は私、ピンは安全ピンのこと、キリは工具の錐(きり)だと思っていたよ。ずいぶん範囲がせまいなとは思っていたけれどね」
と言って、その場にいたみんなで大笑いしたことがあります。実は私もピンとキリの意味は知らなかったのですが、この友人が「ピンからキリまで」という言葉を耳にしたり口にしたりするたびに「安全ピンと錐」を思い浮かべていたのかと思うと、とてもおかしくなりました。
「ピンとキリ」は「ポルトガル語で一と十を表す」、「江戸時代の俗語でカルタやサイコロなどの最初と最後を表す」など様々な説があるようです。いずれが本当なのか、どれもそれぞれ本当なのか正確なことは言えませんが、一度調べてみるとおもしろいですよ。
思い込み、ということで近頃思うのがメタボリックシンドロームの「メタボ」という言葉です。
メタボリックは英語で「metabolic」と表記し、日本語訳は「代謝(たいしゃ)の」という形容詞になります。メタボリックシンドロームという言葉になってはじめて、「代謝症候群」という、「運動不足や食生活のために代謝力が弱まって生活習慣病の要因をたくさんもってしまうこと」の意味を示します。「メタボリック」だけでは悪い意味の言葉にはなりません。
しかし、あちこちで「メタボ」「メタボリック」という言葉とともに太ったおじさんのおなかなどの写真を目にするため、私たちは「メタボリック」という言葉を悪魔か何かのように悪いものとしてとらえてしまいます。
また、有名人のある悪い一面がなどが週刊誌に書かれることも、同じように思い込みを引き起こします。その書かれた悪い一面によって、今まで好みだったタレントにそれほど興味がなくなったり、嫌いになったりした、という経験を持つ人もいるでしょう。
「宗教」や「在留外国人」、「格差」などの言葉も、社会問題となった事件がきっかけで、つい良くないことを連想してしまう人もいると思います。
このように、人間には目や耳にした強烈な言葉を一番の記憶としてとらえてしまう傾向があるようです。それが思い込みとなって、その人の考え方や物の見方を変えてしまうこともあるかもしれません。思い込みは、プラスよりもマイナスになる場合が多いように思えます。思い込みにとらわれないで、真実を見極めることができるような人間になりたいですね。
<<え2008/43み>>
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