言葉の森新聞2008年9月4週号 通算第1048号
文責 中根克明(森川林)
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■■9月23日(火)は休み宿題
9月23日(火)は、休み宿題です。先生からの電話はありませんが、その週の課題を自宅で書いて提出してください。先生からの説明を聞いてから書きたいという場合は、別の日に教室までお電話をして説明をお聞きください。(平日午前9時〜午後7時50分。電話0120-22-3987)
電話の説明を聞かずに自分で作文を書く人は、ホームページの「授業の渚」か課題フォルダの「解説集」を参考にしてください。
「授業の渚」 http://www.mori7.com/nagisa/index.php
「ヒントの池」 http://www.mori7.com/mine/ike.php
■■9月29日(月)・30日(火)は休み
9月29日(月)・30日(火)は、第5週でお休みです。先生からの電話はありません。振替授業もお休みです。
■■新学期の教材を発送しました
新学期の教材を9月17日(水)に発送しました。
国内の生徒で25日になっても届かない場合はご連絡ください。
★項目シールと住所シールは
10月1週の山のたよりと
一緒に送ります。
9月末に発送予定です。★
■■9月の作文送信及び読解マラソンの記録は28日(日)までに
9月29日(月)、ホームページのデータが一斉に入れ替わります。インターネットを利用して作文を送っている方は、9月の課題を9月28日(日)までに「作文の丘」から送信してください。それ以降は正しく送信できなくなります。
また、今学期の読解マラソンの記録も9月28日(日)までにお願いします。
■■9.4週は読解問題と清書。幼稚園生は普通の作文
9月4週は、読解問題と清書です。幼稚園年中と年長の生徒は、第4週も普通の作文を書く練習です。自由な題名で作文を書いてください。項目シールは、予備のものを使ってください。
小学1年生以上の生徒は、第4週に読解問題と清書を行います。
読解問題の時間がかかるため、清書の時間が取れない場合は、清書を省略してもかまいません。
なお、清書が保存されると勉強の記録になりますから、生徒又は家族がパソコン入力ができる場合は、パソコンで書いた清書を作文の丘から送ってください。
■読解問題の仕方
「山のたより」についている読解問題は、課題フォルダにはさんである読解マラソン集から出しています。
読解問題の答えを作文の丘から送信する人は、作文の丘に答えを入れる欄がありますから、清書と一緒にそこから送信してください。
読解問題の答えを作文用紙に書く人は、作文用紙に問題と答えがわかるように書いてください。書き方は自由です。住所シールは、清書の1枚目にはってください。問題の方にははりません。
■清書の仕方
今月の清書のうち、上手に書けたものは、翌々月第1週に優秀作品としてプリントされます。
清書は、パソコンで書いても手書きで書いてもどちらでも結構です。
パソコンで書きインターネットから送信した清書は、ホームページに保存されます。
パソコンで清書を書いて送信した場合、手書きの清書は提出する必要はありません。
インターネットからの送信の仕方は、「学習の手引」をごらんください。
http://www.mori7.com/mori/gate.php#129
手書きの清書を提出する人は、清書がホームページに表示されなくなりますので、先生に送る前にコピーしておかれることをおすすめします。
よく書けた清書は、自分で小学生新聞などに投稿してください。ただし、同じものを複数の新聞社に送らないようにしてください。
新聞社などに投稿する場合、手書きで清書を書いている人は、その清書をコピーして、原本を新聞社への投稿用に、コピーを言葉の森の先生への提出用にしてください。パソコンで清書を送信している人は、その清書をワードなどにコピーして新聞社へ投稿用にしてください。
新聞社に投稿する際は、作文用紙の欄外又は別紙に次の事項を記載してください。
(1)本名とふりがな(ペンネームで書いている場合は本名に訂正しておいてください)
(2)学年
(3)自宅の住所
(4)自宅の電話番号
(5)学校名とふりがな
(6)学校所在地(町村名までで可)
◆表はウェブでごらんください。
https://www.mori7.com/mori/mori_web.php?ki=20080904#12830
これまでの優秀作品は、「入選清書」のページでごらんください。
http://www.mori7.com/seisyo/nyuusenn.php
■■新しい勉強法(マインドマップと作文)
入力と出力の間にあるのが思考という過程です。この過程を充実させる方法として、マインドマップというものがあります。
人間の短期記憶が7つぐらいしかカバーできないことから、通常の思考は、その7つの概念をとっかえひっかえして考える形になります。ちょうど、狭い画面で広い図面のあちこちを見るようなものです。紙の新聞が読みやすく、ウェブの新聞が読みにくいのは、紙の方には一覧性があるからです。だから、ウェブの新聞が成功するためには、パソコンの画面でも一覧性が持てるような奥行きのある画面を作る必要があります。
マインドマップで作文が書きやすくなるのは、頭の中にある多数の概念を平面に広げることができるからです。マインドマップのような方法を使わずに、普通に頭の中で考えると、テーマに関連のある多数の概念の中から、短期記憶が処理できる7つの概念を何度も組み合わせてみなければなりません。そのため、書きながら考えると、書くことが遅くなるのです。概念を平面に並べると、書くことがすぐにまとまります。そして、途中で修正する必要がほとんどなくなります。
更に、概念を平面に並べることには、速くたくさん書くこと以外の大きな効果があります。多数の概念を平面に並べると、ある概念と他の概念の間の共通性に気づきやすくなるのです。
例えば、ある概念Aと他の概念Bの間に共通なものを感じたとします。そして、概念Aには、A→A’という関数が成り立つことがわかっていると、そこから必然的に、B→B’という関数を予測することができます。この新たに発見した概念B’が創造なのです。
例えば、こういう例です。
昔、私が山登りをしていたころ、バックスキンの登山靴がはやっていました。そのときに、私は、ミカンの皮のことを考えました。ミカンの皮は、表面がつるつるしていて防水や防虫の機能を持っています。内側の白い綿のような部分は、内部を保護する機能を持っています。自然の仕組みは、このように合理的にできています。すると、動物も自分の皮膚を自然に対して最も合理的になるように作っているはずです。その合理的である皮膚を裏側にして靴を作るというのは、やはり何か自然に反する面があるのではないかと思ったのです。ここから更に連想して、動物の皮膚は、毛が生えていたりうろこがあったりして外側からの衝撃に対応しています。それに対して、人間が作った車のボディは、見た目はきれいですが、石などが当たればすぐに傷ついてしまいます。自然に学ぶということから考えると、将来の車のボディは、毛が生えるような仕組みのものになるのではないかと思ったのです。これらの新しい考えは、登山靴を見るだけだったり、車のボディを見るだけだったりでは気がつきません。共通性のある異なる概念との対応で考えついたことだからです。このような考え方を容易にするというのが、概念を平面に並べる意味です。
■■辞書を楽しもう(ひまわり/すぎ先生)
先日、文化庁の、日本語の慣用句や言葉の使い方についての世論調査の結果が、新聞に載っていました。調査は、今年3月、全国16歳以上の男女を対象に行われたそうです。
<<え2004/225み>> まず「檄を飛ばす」。これは、「上司が部下に『檄を飛ばす』」のように使う人が多そうですね。この場合、「元気のないものに刺激を与えて活気づけること」という意味で使っているのでしょう。しかし、本来の意味は「自分の主張や考えを広く人々に知らせて同意を求める」です。「刺激」の「激」ではなく、「檄」という漢字を使っているところに注目してください。「檄」はあまり使わない字ですが、辞書を引いてみると「昔、中国で召喚や説諭のため政府・官庁から出した、木札に書いた文書」とのこと。だから「木偏」だったのですね。一度辞書で引き、由来を知っておけば、漢字を間違えて書くこともなさそうです。
「憮然」という言葉は、どんな意味だと理解していますか? 「憮然とした様子で、部屋を出て行った」と言うと、たいていの人は「怒って出て行った」と思うようです。調査によれば70%の人が「腹を立てている様子」と答えたそうですが、本来の意味は「失望してぼんやりしている様子」です。辞書を引くと「失望するさま。またあきれて驚くさま。」とありました。「怒る」というニュアンスは含まれていないのですね。
<<え2006/55み>> もう一つ、「さわり」という言葉はどんな意味だと思いますか? 本来は「話などの要点」を意味するものですが、半数以上の人が「話などの最初の部分」、曲で言えば「イントロ部分」と誤解していたそうです。これを辞書で引いてみると、「さわった感じ。人に接したときの感じ」という一般的な意味に続いて、「一曲中で眼目とする、聞かせどころ」と出てきます。さらに、「もと、義太夫で、他の節づけを取り入れた箇所。」という説明もありました。つまり、義太夫節の中で、他の音曲の旋律を取り入れた部分で、曲中で目立つ箇所を「さわり」と言うのです。これを知っていれば、歌い出し(イントロ)の意味だと誤解することはないでしょう。
今年初め、10年ぶりに「広辞苑」が改訂され、約1万語の新語が追加されました。その中には、「いけ面」「うざい」「ニート」が含まれているとのことです。このことが示すように、言葉は時代とともに変わっていくものですが、一度、辞書を引いて、きちんと知った上で言葉をアレンジするのと、本来の意味を知らずに逸脱しているのとでは、大きな違いがあります。言葉の由来、本来の意味を知っていると、自信を持って使える言葉の範囲が広がります。せっかく言葉の森で、文章を書く練習を積んでいるみなさんには、辞書をどんどん活用していただきたいと思います。第一、辞書で遊ぶのは楽しいですよ。引いた言葉だけでなく、同じページに載っている言葉にも目をとめて、しばし辞書の中の散歩を楽しんでみてはいかがでしょう。
■■ウサギの意外な歴史(ふじのみや/ふじ先生)
先日、ひどい集中豪雨のあと河川敷を歩いていると、どこから来たのかネズミの仔が一匹、敷石の上でブルブルと震えていました。お供のウサギに「ほーら、ミッキーちゃんだよ〜」と見せてやりましたが、たいした反応はなく…見えていても見慣れぬものには手を出さず固まった姿勢をとって「無視」をするのがウサギ流。慣れたら肩に乗ったりくっついてきたりするのですが、「慣れ」の範囲が狭く時間がかかります。食べられる生き物としての本能のあらわれかな。
さてさて、今日は、ウサギの意外な歴史についてお話しましょう。
ウサギを連れているとときどき、「ワシも昔、ウサギをたくさん飼っていたんじゃ」と話しかけてくるおじいさんがいます。また、「そのウサギは愛玩用?」と真面目な顔でたずねられることもあります。一羽を可愛がって育てているようすは、お年寄りにとってはめずらしく見えるのでしょうか。
ほんの50年ほど前は、家で飼うウサギは食用のことが多かったようです。ウサギは、飼育が簡単ですぐに子を産むし、お肉もそこそこおいしいのだとか。また、毛皮は防寒用にも使えます。しぐさを可愛がるというより、実用的な家畜だったのです。
さて、そんなウサギに明治時代、税がかけられていた時期がありました。税とは、簡単にいうと、もうけたお金や手に入れた財産などの一部を、国の仕事を行うために渡すお金のこと。
今から135年前、今の東京都が「兎取締ノ儀」というおふれを出しました。それは、ウサギを一羽飼育するにつき、月一円を税として払うというもの。たった一円? ではありません。当時の一円はお米が約30キログラム買えるほどの大金だったのです。
どうしてウサギに税をかけるようになったのか。それは、人々の間に「ウサギを飼えばもうかる」という噂が広まり、あちこちでウサギを飼う人が急増したからだそう。たとえば、こんな話。
「もらったウサギの夫婦に、野菜のクズを与えて育てたら10匹ほどの子を産んだ。肉をとってみそ漬けにして食べ、毛はふとんの中に入れる綿にして、皮はあぶらをぬいて子どもの上着にした」
今聞くと、ちょっとギョッとしますが、家畜としては基本的な扱いですね。さらに、珍しい毛皮であれば高額で売ることもできると、珍種のウサギには高い値段がついたそうです。かんたんに飼うことができて、食用にもなるけれど、どうせなら高く売れるウサギを飼って、どんどんふやして大もうけをしよう! そんな人が続出し、珍種のウサギには、一羽150円(お米4,500キログラム相当)とか、400円(お米12,000キログラム!)という驚くほどの値段で取引され、ウサギ長者もあらわれたとか。そこで、これは放っておけないと考えた政府が、「ウサギ税」を考え出したのです。
ところが、珍種といっても、増えればありきたりの種類になります。それに、ウサギはウサギ。お金に進化することはありません。珍しさに飽きられると、異常な高価格が暴落、ウサギ取引ブームも終わり、「ウサギ税」は6年ほどで廃止されてしまいました。
ものには、それ本来の価値があります。価値をはかるものさしがお金ですが、お金もうけに目がくらむと、目盛りの狂ったものさしをあてていることに気がつかないこともあるのです。それが、長い目で見て何かの役に立つだろうか。日頃から、幅広くさまざまな経験をし時間をかけて考える。そして「ものの価値」のはかりかたを身につける。情報だけが取引されることの多い現代においても、この姿勢は大切だなあ……欲の犠牲になったであろう多くのウサギさんたちのことを思いつつ、そんなことを考えました。 参考/種村季弘『迷信博覧会』ちくま文庫 <<えg2008/0804120008jみ>>
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