言葉の森新聞2009年8月1週号 通算第1089号
文責 中根克明(森川林)
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■■【重要】8月10日(月)〜15日(土)は休み宿題(再掲)
予定表に書いてあるとおり、8月10日(月)〜15日(土)は休み宿題になります。
先生からの電話はありませんが、自宅でその週の課題を書いて作文を提出してください。
ほかの日に教室に来るか教室に電話をして、その週の説明を聞いてから書くこともできます。
休み宿題のときに、電話の説明を聞かずに自分で作文を書く人は、ホームページの「授業の渚」か課題フォルダの「解説集」を参考にしてください。
「授業の渚」 http://www.mori7.com/nagisa/index.php
「ヒントの池」 http://www.mori7.com/mine/ike.php
■■振替授業について(再掲)
振替授業の受付時間は下記の通りです。
(月〜金) 9時〜19時50分
(土) 9時〜11時50分
振替授業の予約はできません。作文が書けるときに直接教室にお電話ください。なお、夏休み中は、混みあうことがあるため、20分くらいお待ちいただく場合があります。
8月10日(月)〜15日(土)は、教室が夏休みのため、振替授業もありません。
■■夏休み中は、作文の返却・講評が遅れることがあります(再掲)
夏休み中は、教室が休みになる週と担当の先生が休みをとる週があるため、作文の返却や講評が一時的に遅れる場合があります。ご了承ください。
■■これならできる。自習の暗唱の仕方
自習の暗唱が難しいという人が多かったので、図解入りでユニークな暗唱の仕方を説明しています。詳しくは、ホームページをごらんください。
http://www.mori7.com/mori/mori/annsyou.php
■■中高一貫校の作文入試は、長さと速さと誤字のなさがポイント
中高一貫校の作文入試は、長さと速さと誤字のなさがポイントです。
作文の評価には多くの例外がありますが、一般に、作文の字数と実力との間には、かなり高い相関があります。しかも、中高一貫校の作文入試では、速度が要求されます。学校によっては、30分で800字書くなどという課題のところもあります。大人では、この時間ではほとんどの人が書き上げることができません。そして、800字の作文で誤字が一つもないということも、普通の大人ではほとんどの人ができないと思います。
では、その三つの対策を述べていきます。
まず、作文の長さについては、材料をふやしていくことが必要です。そのために、予想される課題について家族で対話をして、ほかの人の体験や感想を聞くということが役に立ちます。また、実際に自分で作文の中に書いたことのある実例や表現は、作文試験に使いやすくなります。材料をふやすためには、何度も書いて、書きなれることが必要です。
次に、速度についてです。速度速くするコツは、全体の構成を先に考えることです。これが、言葉の森の指導の特徴です。書きながら考えるのではなく、考えてから書くという書き方をしていきます。
しかし、考えると言っても、構成に5本も10分も書けるわけにはいきません。課題を見たら、全体の流れをすぐに考え、それを作文用紙の余白にメモとして書きます。そのあと、書いている間は、時どきそのメモに戻りながらほとんどノンストップで書いていきます。したがって、普段の練習でも、消しゴムは極力使わないようにして書きます。考えてから書くという書き方をするためにも、やはり書きなれることが必要になってきます。
第三に、誤字を少なくすることについてです。作文の評価は、採点者の負担が大きいので、少しでも誤字があった作文はその場でボツという評価がされます。誤字の減点は、最も大きいのです。一ヶ所の誤字は大目に見られることもありますが、二ヶ所誤字があればまず合格は難しくなります。
しかし、この誤字は、実際に自分で作文を書いてみないと、どういう誤字があるのかわかりません。作文の中に使ってしまう誤字は、普通の漢字の書き取りの練習では直せません。誤字をなくすためには、やはり何度も書いて他の人に指摘してもらう必要があります。一般に、高校生の作文で800字の文章に一ヶ所誤字がある人は、毎週作文を書いても必ず800字で一ヶ所程度、新たな誤字が出てきます。この誤字がなくなるのに、ほぼ1年近くかかります。それぐらい勘違いして覚えている誤字は、自分の力では直しにくいのです。
■■作文とは違う読書感想文の勘どころ
■なぜ、感想文は難しいのか
作文は、平たく言えば、自分の意見や感想を書きたいように書くだけですから、「会話」や「たとえ」などの表現項目を盛り込めば、小学校低学年でも書くことができます。
ところが、感想文は、本の中から書く場所を選ぶにしても、感想を書くにしても、考える範囲が広すぎて、子供にとっては雲をつかむような話となります。
小学校低学年の場合は、手取り足取り指導しないとまず書けません。
■上手に書く秘訣
感想文を書くうえで大事なことは三つあります。
いちばん大事なことは、「似た話」を探し、ふくらませるということです。子供たちの多くは、あらすじを長く書きがちです。あらすじを書くこと自体はいい勉強になりますが、あらすじをいくら書いても感想文にはなりませ」ん。また、感想文もいう言葉から、感想を長く書こうとする子もいます。しかし、感想とは、結局「おもしろかった」か「おもしろくなかった」かに帰着しますから、感想を長く書こうとするとかえって個性が出ません。感想文は、「似た話」を書くことによって、長く個性的に書けるようになるのです。
もう一つの大事なことは、何回かに分けて書くということでず。一日四〇〇字で三日に分けて書くということであれば、教えるほうも教わるほうも無理なく取り組めます。準備のための取材や調査に時間をとれば、さらに日数はかかりますが、時間をかければそれだけ楽に書けるようになります。
最後に大事なことは、書いたあとに、書き上げたことそのものを褒めてあげることです。コンクールに入選させるために、それ以上手季直しをする必要はありません。入選を左右するのは題材のおもしろさです。そして、題材は偶然に左右されます。教育で大事なことは、偶然を評価することではなく、努力を評価することです。
ホームページに感想文の書き方を載せています。
■■読書の土台となる楽しい読み聞かせ
読書とは、言語を通して知識や経験を得ることですから、本を読むことに限りません。読み聞かせや対話も、広い意味の読書と言えます。
よく読み聞かせをしていると自分で本を読まなくなるのではないかと心配する人がいますが、そのようなことはありません。たっぷり読み聞かせをして言語経験を豊富にしていくことが、自分で読む読書につながります。その子にとって難しい本であっても、読み聞かせをしているうちに子供が内容に興味がわき続きを自分で読んでしまうということがあります。読み聞かせという形でなければ、子供が自ら決して読まなかったような本でもそういうことがあるのです。
しかし、そのためには、読み聞かせを楽しい雰囲気で行うことが大切です。子供が興味を持てるような本を楽しい雰囲気で読むというのが読み聞かせの基本です。
とは言っても、親もくたびれることがあります。読みたくもない本を子供のために読み聞かせるというのが毎日となると、やはり飽きることもあるのです。そのときのコツは創作です。親が自分で物語を創作して子供に聞かせるのです。人間は何かを創造しているときは飽きません。アドリブで物語を作りながらときどきギャグを入れるというのは、子供にとって楽しいだけでなく、親にとっても知的な楽しい時間の過ごし方になると思います。
私が子供によく聞かせた話は、次のようなものです。
子供:「ねえ、おもしろい話、して」
私:「よし、じゃあ、おもしろい話だよ。あるところに犬がいました。それは、真っ白な犬でした。手も白い、足も白い、背中も白い、お腹も白い、口も白い、鼻も白い、耳も白い、目も白い、何、目も白い? それじゃあ、死んでるだろー(笑)」
子供:「あはははは」
私:「そして、何とその犬は、尾も白かったのです。尾も白い、尾も白い、尾も白い。さあ、言ってみよう」
子供:「おもしろい」
私:「な、おもしろい話だったろ」
子供:「ううん。じゃあ、もう一個話をして」
私:「そうだなあ。では、あるところに、ロイさんという外人がいました。あるとき、ロイさんはたくあんを作ろうとしました。たくあんは、干した大根をたるのなかに入れて塩をまぜて上から大きい重たい石を乗せて作ります」
子供:「あ、わかった。重し、ロイだ」
私:「と思うだろう。それが違うんだよなあ」(とあわてて別のストーリーを考える)
子供:「……」
私:「そこで、ロイさんは、まず百済という国に行きました」(と「くだらない話」に切り替えようとする)
―以下略ー
私自身、子供のころ、母に「桃太郎」の話を何度も聞かせてもらいました。たいていは、話の途中で話している母が寝てしまうのですが、親が話してくれる物語というのは同じものを何度聞いても楽しいものでした。同じ話の反復というのは、言語能力の定着ということで暗唱の学習にも通じるものがあると思います。
■■読書のすすめ―質問に答えて
父母の方から、「学年ごとにどんな本を読ませたらよいか」という質問をいただきました。
以下は、その質問に対してのお返事で、父母の広場に掲載したものです。
読書は多読と難読に分けられます。多読で裾野を広げ、難読で頂上を高くしていくというのが読書の理想の姿です。
多読のためには、面白いものをたくさん読むことが必要です。
この面白いものの中には、漫画、漫画的物語(怪傑ゾロリなど)、軽い小説(中村うさぎの本など)があります。
大人が見ると一見面白いだけのやや品のない本のように見えますが、読書好きな子は、ほぼ例外なくこういう本も好きです。面白い本を多読することによって、読書の楽しさを知り、読む力の土台がついてきます。
そして、現代の面白い本と並行して、昔からの名作を読み、更に幅広く読書の楽しさを味わうようにしていきます。名作は、多読と難読の中間に位置します。
名作を読むときの参考になるのが、シリーズ化されている本です。フォア文庫、偕成社文庫、講談社青い鳥文庫などは、これまで人気のあった本をシリーズ化しています。しかし、子供に本の選択をまかせると、書名や表紙だけで選んでしまいますから、親が中身をざっと見てあげる必要があります。
子供が自分では読まないというときは、親が読み聞かせをしてあげます。内容に興味がわいてくると、続きを自分で読むようになります。
難読の初歩は、ノンフィクションです。
書店には、子供向けのノンフィクションの本はあまり出ていないので、図書館を利用します。ノンフィクションというのは、理科の本、社会の本、説明文、意見文の本です。鉄道に興味のある子であれば、鉄道に関する本は多少難しくても読もうとします。同様に、動物の本、虫の本、恐竜の本、歴史の本など、子供が興味を持っている説明文の本が難読のスタートになります。
説明文の本は事実に基づいているので、どうしても難しい漢字が出てきます。その漢字にルビがふってあれば、漢字を読む力が自然に育ちます。読書好きの子は、学校で習っていない漢字もよく読めるという共通点があります。
説明的な文章を読む力がつくと、成長して自然科学、社会科学、人文科学の本を読むことに抵抗がなくなります。
中高生の説明文も、最初の選択の基準はシリーズ化されたものです。ちくま少年図書館、岩波ジュニア新書、中公新書などで、奥付の印刷回数を参考にするといい本に出合う確率が高くなります。
読書感想文を書かせることには多くの批判がありますが、全国学校図書館協議会がすすめる毎年の課題図書は優れた内容のものが多く参考になります。その年の課題図書だけではなく、過去の課題図書を探すと読み応えのある本が見つかります。
ノンフィクションの本も、過去の課題図書も、書店ではなかなか見つかりません。しかし、図書館を利用して借りて読むだけでは何度も繰り返して読めません。いい本は自宅に置いておき繰り返して読めるようにしておく必要があります。何度も読みたい本があったときは、アマゾンなどで中古の本を購入するといいと思います。
難読は、国語の入試問題を読む力になりますが、実際には、入試問題に出るレベルの本を自力で楽しみながら読める子はほとんどいません。そこで、国語力をつけるための読書として考えられるのが問題集読書です。読む力のある子は、問題集の問題文を読書のようなつもりで読みます。ただし、普通の読書のように何時間も読むというわけにはいきません。細切れの文章をいくつも読むというのは、一冊の本を通して読むよりも、ずっとくたびれるからです。毎日10ページ又は15分間などと決めて読んでいくと、国語の勉強を兼ねた読書ができます。
大学生になってからの読書の基本は、古典又は原典と呼ばれるものを読むことです。大学の教科書は、知識を整理するためのものです。教科書以外の原典を自分で読まないと、本当の考える力は身につかないと思います。
<<え2009/330み>>
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