言葉の森新聞2010年1月1週号 通算第1109号
文責 中根克明(森川林)

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■■1月4日(月)から新学期
 1月4日(月)から新学期が始まります。1月からの教材の説明は、課題フォルダの表紙の裏側に書いてあります。
 教材の説明は、「学習の手引」にも載っています。
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■■10月〜12月の賞状を同封
 12月1週の進級試験で、字数が規定以上、構成・題材・表現・主題の4項目のうち3項目が◎で1項目が○以上、の人には認定証を同封しています。字数賞・自習賞・作文賞・皆勤賞は、金賞10クラウン、銀賞5クラウン、銅賞1クラウン、賞外0クラウンです。認定証は10クラウンです。
 金賞は点数の上位10%、銀賞は10〜20%、銅賞は20〜80%。それ以外は賞外です。
 それぞれの賞で点数がなかった人や、12月1週に在籍していなかった人には、賞状は入っていません。
 なお、3ヶ月の学期の途中から入会された方は、日数の関係で賞状の点数が低くなっております。次の学期からは、正しく表示されるようになりますのでご了承ください。


■■1月11日(月)は休み宿題
 1月11日(月)は、休み宿題です。先生からの電話はありませんが、その週の課題を自宅で書いて提出してください。先生からの説明を聞いてから書きたいという場合は、別の日に教室までお電話をして説明をお聞きください。(平日午前9時〜午後7時50分。電話0120-22-3987)
 電話の説明を聞かずに自分で作文を書く人は、ホームページの「授業の渚」か課題フォルダの「解説集」を参考にしてください。
 「授業の渚」 http://www.mori7.com/nagisa/index.php
 「ヒントの池」 http://www.mori7.com/mine/ike.php


■■言葉の森の受験作文指導
 例年、今ごろの時期になると、駆け込みで受験作文小論文の指導を頼まれます。本当は、受験で困っている人は全部引き受けたいのですが、臨時に指導できる人数は限られているので、大学入試であと数ヶ月というような場合はお断りせざるをえないことがほとんどです。
 しかし、単に断るのではかわいそうなので、1回だけ書いたものを見て、今後の勉強の方向をアドバイスしてあげるということは極力するようにしています。(中略)
 言葉の森の受験作文指導の特徴は、志望校の傾向や過去問にあわせた問題で作文を書くことです。その学校の傾向に合わせて10本ぐらい作文を書いておくと、そこで書いた主題や表現や実例が試験の本番でも使えます。
 この場合、ただ書くだけでもよいのですが、言葉の森では、構成的に書くように指導しています。例えば、「こういうテーマの場合、第一段落はこうで、第二段落はこうで、第三段落はこうで、第四段落はこういう形で書くといい」といった説明です。
 実際の試験では、もちろんこのようにきれいに書けるわけではありませんが、構成的に書く練習をしていると、試験のときも自然に全体の構造がしっかりした文章を書くことができます。作文の試験というと、普通は書きながら考えていくような人が多いのですが、言葉の森の生徒は最初に考えてから書くという書き方ができる人が多いようです。予備校などの小論文模試を受けると、言葉の森の生徒は構成力の点数が際立って高いという特徴があります。
 さて、赤本などで大学入試の小論文の模範解答をときどき見ることがありますが、それらの模範解答は、合格ラインぎりぎりの文章だと思います。いずれも表面的に当たりさわりのないことを書いているので、欠点もないが長所もない文章になっています。受験生の多くがこういう文章を模範的な文章だと思って書いていると、採点するために読む方も大変です。

 受験の小論文でよく「具体例を挙げて書きなさい」という指示がついているのは、受験生の中に模範解答と同じように理屈だけで書いている人が多いためだと思います。
 森リン(言葉の森が開発した小論文自動採点ソフト)にこれらの文章をかけてみると、理屈だけで書いた文章は、語彙の多様性が低下していることが多いので、読んだ感じとして味気ない文章という感じが残ります。理屈だけで書いて、しかも語彙が多様である書き方ができるのは、かなり実力のある人だけです。
 言葉の森では、文章には理屈の裏づけとしての実例をいつも入れるように指導しています。しかし、受験の場合はちょっとしたコツがあります。それは、特に大学入試の場合、体験実例を入れるとよほど文章力のある人でないかぎり、文章が幼稚に見えてしまうことがあるということです。
 したがって、大学入試の場合、体験実例よりも社会実例を入れるような書き方を指導しています。しかし、本当は論説文であっても裏づけとなる実例に体験実例を入れた方がずっと面白い文章になることが多いのです。大学入試の問題を出す人は、「体験実例を入れて書きなさい」という指示をしてくれるといいのかもしれません。



■■問題集読書で国語力をつける
 先日、ホームページの記事で問題集読書のことを書きました。何人かの方からそのやり方についての問合せがありましたので、より詳しく書きたいと思います。
 まず、問題集読書の意義は、三つあります。一つは、難読、つまり難しい文章を読む機会を増やすということです。もう一つは、復読、つまりその難しい文章を何度も繰り返して読む機会を作るということです。そして最後は、時代性、つまり現代という時代の思潮を知るということです。(中略)
 問題集読書の方法は、まず問題集を分解するところから始まります。全国の入試問題1年間分というのはかなり分厚いので、そのまま読もうとすると、本棚から出すたびに「どっこいしょ」と言わなければならないからです。
 その分解した問題集を、40ページぐらいずつまとめてきれいな表紙をつけてホッチキスで止めます。この40ページが1週間分で、毎日6ページぐらいを目安に読んでいきます。読みながら、印象に残ったところに傍線を引きます。傍線でなく付箋をつける方法でもかまいません。
 言葉の森の通学教室では、その付箋をつけたところを参考にしながら四行詩で感想を書くようにしています。読書ノートを1冊用意して、毎日四行詩を書いていくのです。四行詩ということがピンと来ない場合は、四行の引用や感想でもかまいません。
 問題集読書について、ときどき質問を受けることがあります。
 「天声人語のようなコラムを読むのはどうですか」と聞かれることがあります。天声人語は、難読というには軽すぎます。
 「要約するのはどうですか」という質問もあります。要約をしてもかまいませんが、面倒なことは長続きしません。時間をかけずに気楽に毎日続けられるものの方がいいのです。
 「なぜ問題を解かないのですか」という質問もよくあります。問題を解こうとすると、ただ読むだけのときよりも数倍の時間がかかります。そして、その結果○がついた問題は、もともとやらなくてもできた問題ですから解いただけ時間の無駄だったわけです。また、×がついた問題は解答を見てもできるようにはなりませんから、やはり解いただけ時間の無駄だったことになります。
 問題の解き方には、実はコツがあります。そのコツは、正しいものを選ぶのではなく、正しくないものを選ばないで残ったものを選ぶということです。この方法は、一般論として説明してもなかなかできるようにはなりませんが、実際にその子の解いた国語問題をもう一度解きなおしながら説明すると、だれでも1時間ぐらいですぐに理解できます。その結果、高校生でも一挙に点数が上がるということがよくあります。
 しかし、その点数が上がるのは、その子の実力のところまでです。だから、普段の国語の勉強は、解き方のコツのようなことはする必要がなく、ただ実力をつけるための勉強に徹していればいいのです。その実力をつける勉強法が読む勉強です。
 言葉の森の通学教室では、今、長文暗唱と付箋読書(問題集読書を含む)を組み合わせた自習をしています。昔の言葉の森の自習は、音読と読書でした。音読と読書は、真面目にやっていれば必ず実力がつきますが、音読と読書という方法自体に外から見てチェックする仕組みがないので、どうしても言葉かけだけで終わりがちだという面がありました。今、暗唱や付箋読書をしている子供たちは、今後確実に力をつけていくと思います。


■■森リンで10人中9人が作文力アップ

 9月から生徒の清書を自動採点ソフト「森リン」で採点して表示しています。
 これは、父母アンケートで、「作文力がどのくらい向上しているか知りたい」というご要望があったためです。
 11月の清書について、各学年の上位の生徒(その生徒がまだ1回しか森リン点を出していない場合はその次の順位の生徒)の点数推移グラフを見てみました。
 その結果、ランダムに選んだ10人中9人の生徒の作文力が向上していました。また点数が低下していたの生徒についても、9月から11月の成績に限って見てみると、やはり作文力が向上していました。
 森リンの点数における作文力の向上は、全生徒を平均すると年間2ポイントぐらいですから、短期間ではなかなか文章力の上達を実感しにくいと思います。しかし、これらのグラフを見ていただくとわかるように、真面目に勉強している子は作文力が確実に向上しています。
▽小1▽小2▽小3
▽小4▽小5▽小6
▽中1▽中2▽中3

 森リン(もりりん)は、言葉の森が開発した作文小論文の自動採点ソフトで、人間の評価との相関が高いことで知られています。(グラフの赤い折れ線が総合点)


■■11月の森リン大賞について
 11月の清書の森リン大賞が決まりました。
 今回の「山のたより」には、小4までの生徒にはベストテンの作文の題名と得点だけを掲載しました。小5以上の生徒にはベストテンの題名と得点のほかに1位の作品を掲載しました。
 上位の作品の掲載を少なくしたかわりに、それぞれの生徒の自分自身の作文(パソコンで入力した清書)の過去10ヶ月分の得点と過去2か月分の清書を掲載するようにしました。

 どの学年の作品も力作でした。小学校低中学年の生徒の作品には、ほほえましいものが多く、この子供たちが大きくなって自分の小さいころの作文を読む機会があったら懐かしい思いがするだろうと思いました。
 例えば、小3の生徒の作品の中に、次のようなものがありました。
====▽(引用ここから)
(アインシュタインのように)えらい人になっても、小学生がまるで友だちのように親しくなるように、やさしくしたいです。
 でも、やっぱり、みんなも、お母さんも言っていました。
「やっぱりおしゃれして行かないと、はずかしいよね。へんな服で行くと、変な人だと、思われてしまうからいやだと思うよ。」
 と笑っていました。
 私の子どもも、アインシュタインのような心にしたいです。アインシュタインは、身なりにかまわず、はずかしがらず、えらくて、プリンストンの名物教授にもなれるくらい、頭がよくて、とても親切だという話を、私の子どもに、してあげたいと思います。
====△(引用ここまで)
 アインシュタインの話を読んでの感想文を清書にしたので、3年生では長く書くのが難しかったと思います。(3年生はまだ感想文を書くのは早すぎる学年ですが、言葉の森ではその後の学年の準備として感想文の指導をしています)
 今学期勉強した項目の中に、「聞いた話似た話」というものがあったためだと思いますが、お父さんやお母さんに取材して書いた部分があります。この「聞いた話」がごく自然で飾り気がなく、「やっぱりおしゃれしていかないと、はずかしいよね」というお母さんの会話の中に、普段からの楽しいコミュニケーションの様子が感じられました。
 この子は、きっと将来、この長文のアインシュタインのように謙虚で優しい人になることでしょう。

 中学生や高校生の上位の作品には、読書好きの子の書いたものが多かったようです。作文の中に書かれている語彙を見ると、その学年ではあまり使わないような難しいものが自分なりに消化されています。こういう子供たちが成長して、それぞれに自分の意見を書いていくということを考えると、とても頼もしい感じがしました。
 中学1年生の最高点の作文を書いた生徒は、自分で小説を書いているようです。与えられた課題をRPGの物語という個性的な実例で書いていました。
====▽(引用ここから)
 ダーウィンは、ミミズの研究に基づき、ミミズが有機土壌の形成に大きな貢献していると述べた。これは、ミミズが地中を絶え間なく動き回ることで土の中に穴が出来、水はけや空気の通りが良くなるなどの利点から言われている。また、有吉佐和子は小説、『複合汚染』を執筆し、人間が自然を痛めつけた結果、自分達にひどい影響が及んでいる現状を詳しく書いている。ロンドンではミミズを利用した生ゴミの処理を行おうとしている。
 小さい生物にもそれ相応の役割があり、また、なくてはならないものだと考える。
 よく、小説を書いていて思うことがある。登場人物の中でも、主要キャラ、準主要キャラ、そしてサブキャラと分けることが出来る。
(中略)
 RPG物の小説を書くと、このサブキャラがかなり重要になる。なぜなら、雑魚モンスターがいなければパーティーのレベルはあがらない。そもそも、その小説自体にスリルや緊迫感がなくなる。ラスボスが出てくるまで、ヤッホホトゥラララの世界といのはかなりほのぼのとした冒険小説である。雑魚モンスターがでてきて、
「うあー!!こいつ、何気につえええ!!!」
とか、
「うああああ!?戦闘不能?!回復魔法やって・・・!!」
とか
「ははっ弱いぜ!!大したことねえな、ふはははははは!!」
とか言っている所をフハハハ(とは言わない)とラスボスが出現するからこそ、RPG小説、あるいはゲームの面白さはある。
====△(引用ここまで)
 作文を書くという勉強を自分なりに楽しんでいることがわかります。文章力のある子の作品は、一回一回がそれぞれ力作なので、書くたびに考えが成長していくという感じがします。
 ときどき大学生になった子が教室に来て、自分の中学生や高校生のころの作文を読む機会があると、「あのころの方がよく考えていたなあ」と言うときがあります。難しい文章を読んで自分なりに考えて書くという機会はやはりなかなかないのだと思います。


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