言葉の森新聞2010年7月1週号 通算第1133号
文責 中根克明(森川林)

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■■【重要】夏休み中の授業について
 夏休みは帰省したり塾の夏期講習に行ったりするために、通常の時間に授業を受けられない場合も多いと思います。その場合は次のようにしてください。

(1)通常の電話指導を受けられない分を、他の曜日や時間に振り替えて受講できます。平日午前9時〜午後7時50分、土曜午前9時〜午前11時50分の間に、直接教室にお電話ください。希望の週の課題の説明をします。事前の予約などは必要ありません。8月に休む分を7月や9月に振り替えることもできます。
電話0120−22−3987(045−830−1177)
(2)山のたよりの送付先や電話の宛先を、自宅以外にすることができます。帰省先や滞在先などで授業を受けることを希望される場合はご連絡ください。ただし曜日や時間を変更する場合は、先生から生徒にはお電話しませんので、生徒から直接教室にお電話をして説明を聞くようにしてください。
(3)8月のみ休会されるという場合でも受講料の返金はしませんので、できるだけほかの曜日や時間に振り替えて授業を受けてくださるようお願いします。ただし、(A)海外にホームステイで出かける場合、(B)病気治療のため入院する場合など、電話連絡のとれない状況での1ヶ月以上の休会は受講料の返金をしますのでご相談ください。

 なお、8月9日(月)より8月14日(土)までは、振替などの電話の受付もお休みとなりますのでご了承ください。
 夏休みは、通常と違い多忙になることが多いので、つい「1ヶ月休んで」と考えてしまいがちです。しかし、振替授業を受けたり、字数を短くして提出したりとできるだけ休まない形で続けていく方が、その後の子供の勉強意欲にとってプラスになります。


■■7月1日(木)から新学期
 7月1日から新学期が始まります。7月からの教材の説明は、課題フォルダの表紙の裏側に書いてあります。
 教材の説明は、「学習の手引」にも載っています。
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■■4月〜6月の賞状を同封
 6月1週の進級試験で、字数が規定以上、構成・題材・表現・主題の4項目のうち3項目が◎で1項目が○以上、の人には認定証を同封しています。字数賞・作文賞・皆勤賞は、金賞10クラウン、銀賞5クラウン、銅賞1クラウン、賞外0クラウンです。認定証は10クラウンです。
 金賞は点数の上位10%、銀賞は10〜20%、銅賞は20〜80%。それ以外は賞外です。
 それぞれの賞で点数がなかった人や、6月1週に在籍していなかった人には、賞状は入っていません。
 なお、3ヶ月の学期の途中から入会された方は、日数の関係で賞状の点数が低くなっております。次の学期からは、正しく表示されるようになりますのでご了承ください。


■■7.1週の暗唱はできる範囲で
 新学期の教材発送が地域によっては遅くなりますので、7.1週の長文暗唱は、できる範囲でやっておいてくだされば結構です。

■■暗唱用長文を課題の長文にも拡大(再掲)

 7月から、暗唱用の長文を毎週の課題の長文にも拡大します。具体的には、毎週の課題の長文に100字ごとの区切りを入れています。
 これまでのような形で暗唱用の3つの長文を選択してもいいですし、課題の長文12週分の中から選択してもかまいません。
 ただし、課題の長文は、説明文の文章が多いため、暗唱が難しくなると思います。
 そこで、暗唱のコツを再度説明します。
 暗唱は、覚えることを目的としません。繰り返し音読する結果として覚えることになるということです。
 第一のコツは、暗唱用紙を使うことです。このやり方が、いちばんわかりやすいと思います。暗唱用紙を横に1回ずつ山折りするときに縦に谷折リをしておくと、形が固定するので、回数を数えやすくなります。
 第二に読み方です。100字の暗唱は、ほぼノンストップで、句読点であまり区切らずに、早口で一息に、自分の耳に聞こえるぐらいの声を出して読みます。しかし、最初の数回はゆっくり読んでもいいので、できるだけ一文字も間違えないように読みます。最初に読み間違えると、その間違いが定着してしまうからです。
 第三は、100字と次の100字の間のつなぎです。100字の文章は一息に歌のように読めるので、途中で詰まることはありませんが、次の100字の文章に移るときの出だしが思いつきにくいのです。事実文であれば、自然にストーリーがつながりますが、説明文はストーリーにはなりません。そこで、出だしの言葉をイメージ記憶で覚えて、自分でストーリー化します。このときに、ダジャレの感覚が必要になります。
 以上のようなやり方ですっかり暗唱できるようになったら、早口ではなく普通の読み方で、イメージ記憶も使わずに読んでいくようにします。
 1日10分の暗唱で、頭脳が活性化します。頭のラジオ体操のようなつもりでやっていくといいと思います。
 よく、「数回で覚えてしまうので、そうしたら、もうそれ以上読まなくていいですか」という質問があります。
 このように、覚えることが目的のようになってしまうと、文章が難しくなって覚えにくくなったときに、逆に暗唱ができなくなってしまいます。
 この場合は、次のいずれかの方法で対応していってください。
(1)覚えられたかどうかに関わらず、決めた回数だけ読むようにする。
(2)当面は覚えたらよいとするが、文章が難しくなって覚えられなくなったときは、回数を決めた読み方に戻る。
(3)回数を少なくして決めなおす。


■■付箋読書の具体的な方法

 付箋読書の方法について、生徒から質問があったので、詳しく紹介します。
 付箋を貼りながら本を読むと、読書の能率が大幅に向上します。小中学生で物語文を読む場合はそれほどでもありませんが、高校生以上で説明文や意見文の本を読むときは、付箋読書が大きな力を発揮します。

 上の本の画像は、最近読んだ「FREE」という本で、約350ページあります。付箋が400−500枚貼ってあるので、1ページについて1枚か2枚付箋を貼りながら読んでいたことになります。
 横に貼ってある付箋は、読みかけのところで区切りに貼ったものですから、6回ぐらい途中で休憩したことがわかります。この休憩のときに、ほかのことをしたり、ほかの本を読んだりしたあと、またこの本に戻って付箋のところから再開したというわけです。
 この本を再読する場合は、上に貼ってある付箋のところだけを飛ばし読みしていきます。15−30分で再読できます。特に深く読みたいというときは、再読しながら要点をノートに書き出します。
 付箋読書の方法は、下記の図のようになります。

読み始めたページの横に付箋を貼ります。

面白いと思ったところに縦に付箋を貼りながら読んでいきます。

特に面白いと思ったところは二重に貼っておきます。

読みかけでいったん中断するときは横に付箋を貼っておきます。

本を閉じても、どこまで読んだかすぐにわかります。

次々と付箋を貼りながら読んでいくとこんな形に。

読み始めたページの横に付箋を貼ります。 面白いと思ったところに縦に付箋を貼りながら読んでいきます。 特に面白いと思ったところは二重に貼っておきます。
読みかけでいったん中断するときは横に付箋を貼っておきます。 本を閉じても、どこまで読んだかすぐにわかります。 次々と付箋を貼りながら読んでいくとこんな形に。
 付箋読書をすると、どういう利点があるかというと、まず気軽に読み出せて、いつでも中断できるので、読書がはかどります。付箋を貼りながら読んでいると、数冊の本を並行して読むことも簡単にできます。
 付箋は、手作りのものですから、大量に使えます。傍線を引くよりもずっと楽に付箋を貼れます。付箋を貼った箇所を再読すると、1冊の本を2回読んだことと同じになります。再読した本は、内容がしっかり頭に定着します。
 物語文の本では、特に面白いところに付箋を貼る必要はありません。説明文や意見文の本で、自分なりに考えながら読むような本が付箋読書に向いています。ただし、物語文の本でも、読みかけのしおり代わりに横に付箋を貼っていくと読書が進みます。
 付箋読書の難点は、電車の中などで読むときに、ちょっと恥ずかしい気がすることです。しかし、自分が気にするほど、他人は何とも思っていません。
 将来は、キンドルやiPadなどでデジタルの本を読むときも、デジタルの付箋を貼る機能が付くようになると思います。


■■夏休みの読書感想文をどう考えるか
 例年、今ごろになると、学校の読書感想文の宿題にどう対応したらいいかという相談が来ます。
 小学校4年生までは、読書感想文を書かせることに教育的意義はほとんどないと思います。それなのに、なぜ感想文の宿題を出すかというと、単に惰性で出しているにすぎません。
 言葉の森では、小学校5年生以降に本格的に感想文の勉強をするための準備として、小学校3年生から感想文の指導をしています。しかし、それは、あくまでも小5の勉強につなげるための準備であって、小学校3,4年生で上手な感想文を書かせることを第一の目的にしているのではありません。
 言葉の森では、小学校1、2年生でも、感想文の課題を選択することができるようになっていますが、よほどのことがないかぎり低学年の子が感想文を書くことはおすすめしていません。
 学校で、感想文の指導をすることに意義があるというなら、どうして授業の中でそういう指導をしないのでしょうか。授業の中で指導することができないから、家庭での宿題として出しているだけだと思います。
 読書の意義は、文章を通してその本の世界を経験することにあります。そのためには、まず本を読むということがいちばんです。小学校低中学年で、苦労して感想文を書く時間があったら、その分、自分の好きな本をたくさん読んでいる方がずっといいのです。
 少なくとも、小2までの感想文は、たとえ宿題として出されていても、子供には書かせないというのが原則です。小2までの子に感想文を書かせるというのは、一種の児童虐待に近いと思います(T_T)。小学校低学年で感想文のコンクールに入選するような文章は、ほぼ例外なく親や先生の手が入っています。
 感想文が、勉強としての意味を持つのは、小学校5年生からです。このころになると、物事を構成的に考える力がつき、本のテーマを一般化して考える力がついてきます。したがって、小5以降の感想文の書き方は、似た例を通して、一般化した感想を書いていくことです。
 言葉の森の生徒は、普段の感想文の課題のときに、このような書き方を練習しているので、これまでの感想文で上手に書けたものを参考にして、学校の宿題の感想文を書いていくといいと思います。
 とは言っても、やはり宿題の感想文を書かざるを得ない人のために。
▽参考ページ
●読書感想文の書かせ方(プレジデントFamilyの記事。画像をクリックすると拡大して読めます) http://www.mori7.com/pr/index.html#pr20070901
●読書感想文の書き方―小学校低中学年 http://www.mori7.com/as/537.html
●読書感想文の書き方―小学校高学年 http://www.mori7.com/as/538.html
●読書感想文の書き方―中学生 http://www.mori7.com/as/539.html


■■成長の途上に必要な無駄―遊びについて
 社会人になると、無駄のない能率的な行動が要求されるようになります。そういう状態に慣れると、つい子供に対しても能率を要求してしまいます。
 しかし、大人にとって必要なものと、成長期の子供にとって必要なものは、おのずから異なります。大人にとって大事なのは、結果であり勝敗です。子供にとって大事なことは、結果ではなく過程であり、勝敗ではなく向上や成長なのです。
 そのことが最も特徴的に表れるのが遊びです。
 子供たちは、大人から見れば意味のないものによく熱中します。例えば、電車の名前を覚える、酒瓶のふたを集める、秘密基地を作る、などです。大人の能率から考えれば、電車の名前を覚えるよりも県庁所在地でも覚えていた方が役に立つと言いたいところです。ところが、大事なのは結果ではありません。
 一見無駄に見えることに熱中しているときに、子供は、集中力や持続力や自主性や思考力を育てているのです。言わば、将来大きな木になるために、地中に深く根を張っている最中なのです。
 無駄を排して見た目の結果を重視するのは、子供のエネルギーを、根を張ることよりも花を咲かせることに向けてしまうことにつながります。
 不思議なことに、社会に出てから活躍している人の多くは、子供のころ、朝から晩まで熱中して遊んだという経験を持っています。決して、子供のころからこつこつと倦(う)まず弛(たゆ)まず同じペースで努力して大人になったというのではありません。
 しかし、現代は、子供が熱中して遊びに没頭できる機会が少ないのも事実です。子供が地域で遊べるような環境を作ることも、これからの教育の重要な役割になってくると思います。
 親が心がける第一のことは、まず小学校低中学年のころに勉強をさせすぎないということです。勉強は必要ですが、学年が上がるにつれて徐々に増やしていくものです。そのうちに、中3や高3の受験期になれば、子供は親が止めても朝から晩まで勉強するようになります。そういう時期になるまでは、ほどほどにやっておくぐらいがいいのです。
 第二は、親はいつも、子供が楽しく笑顔でいられるように心がけることです。真面目な親ほど、小言を言ったり叱ったり注意したりすることによって子供が成長するように考えがちですが、子供は楽しく笑っているときにいちばんよく成長します。
 以上、3回にわたって書いてきたことを一言でまとめると、子供の教育にとって大事なことは、大人の生活とは違ってある種の強制と無駄であり、その具体的な形が読書と遊びということになります。更に、その読書と遊びを補強するものが、親の笑顔に支えられた明るい家庭生活なのです。


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