言葉の森新聞2011年12月1週号 通算第1202号
文責 中根克明(森川林)

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■■【重要】12.1週作文進級テスト(再掲)
 12.1週に、作文進級テストを行います。
 提出が遅れた場合は進級できません。(12月8日ポスト投函まで)
 課題フォルダの字数・構成・題材・表現・主題の●印が全部できていることが合格の条件になります。(表現の項目などで「たとえ」と「いろいろな言った」など二つ以上の項目が指定されている場合はどちらかができていればその項目は◎です)。キーワードと字数が採点の基準ですので、指定された字数以上で必要な項目が全部入る作文を書いていってください。中学生以上の時間制限については、今回は採点の基準にしませんが、できるだけ時間内に書き上げる力をつけていきましょう。
 手書きで作文を書く人は、項目ができたところにシールをはっておいてください。
 パソコンで作文を書く人は、キーワードを入れておいてください。
 小学生の場合は、提出する前に、おうちの方が字数と項目シールをチェックしてあげてくださるとよいと思います。
 小学2年生までの生徒は、試験は行いますが、全員進級扱いで先の級に進みます。10月以降に受講を開始した生徒も、試験は行いますが、全員進級扱いで先の級に進みます。ただし、いずれの場合も、賞状は出ますので、できるだけ字数と項目ができるように書いていってください。
 なお、進級テストは、10月と11月のいずれの月も最低1回は作文を出していることが条件になります。10月又は11月の作文で、どちらかの月で1回も書いていない場合は、12月8日までの間に作文を提出してください。


■■【重要】12.1週の作文はファクスでも受付
 12.1週に限り、ファクスによる提出も受け付けます。ファクスでの提出期限も12月8日です。ただし、ファクスで提出をする人は、事前にメールアドレスを登録しておいてください。
1、ファクスが正常に送信できているかどうかは、24時間以内にメールと検索の坂で連絡をします。正しく送信できたかどうかを必ずご確認ください。
2、連絡用のメールアドレスは、検索の坂の「ペンネーム 変更」というところで登録できます。既にメールアドレスが入っている場合は、そのアドレスが登録されています。
3、ファクスで送られた作文は、作文の丘にJPGでアップロードされます。作文の返却はありませんが、添削された作文は山のたよりに表示されます。


■■豊かな日本を作るために―日本を再び教育立国に(3)

 (創造的な文化産業が、これまでの工業に劣らない価値を持つという話の続きです。) 
 また第二に、人間の創造性が生み出すものは、工業製品に劣らない価格を持つことができるからです。例えば、パソコンが20万円で、自動車が200万円で、ピカソの絵が1億円、というような価格が可能です。
 人間の創造性が生み出すものは、今の資本主義的な価格の世界でも十分に工業製品の富に匹敵する力を持っているのです。
 農業は、いくらがんばっても、ダイコン1本が1万円というわけにはいきません。しかし、それは農業の生み出す価値が低いということではなく、農業が人間の生存という根本の価値に結びついているからです。

 そして、第三に、これが最も重要なことですが、教育によって人間の持つ創造性を開発するという産業は、需要者が同時に供給者になるということです。
 高いお金を払ってあるノウハウを身につけた人が、今度はそこに自分のノウハウを創造的に組み合わせて、より高く売る側に立つことができます。
 そのサイクルを社会全体で実現しているのが創造社会の姿です。
 需要と供給が分離されていずに、役割としていつでも交代できるから、工業時代にあったような過剰生産恐慌は、もう起こりません。また、過剰生産を緩和するために恒常的に行われていた有効需要政策ももはや不要になります。
 無理な生産も無理な販売もなくなり、穏やかにしかし永続的に進歩する社会が未来の産業によって作られるのです。
 今、全国各地で、農業を中心にした地域自給経済圏を作る動きが広がっています。これを農業という価値創造だけでなく、人間の教育という新しい価値創造に結びつけて取り組んでいくことが、日本の未来の社会を作る雛型になっていくと思います。


■■受験コースの作文でスピードアップを図るには(続き)

 普段の練習は、実戦のための予行演習ではなく、材料作る準備のための練習と考えておいてください。普段の作文の練習でよい材料とよい表現を蓄積しておくと、それを試験で生かすことができます。試験で速く書くためには、普段の作品で時間を速くするよりも、充実した内容を書くことに力を入れておくことです。
 試験前の1ー2ヶ月間で速く書く練習をするときのコツは次のようになります。まず第1は、問題を読んだあと、作文用紙の余白に3、4ヶ所の箇条書きでメモをしておくということです。第2は、作文を書いている間は、消しゴムで消さない、書いたところを読み返さない、書くことを考えない、という三つのことをできるだけ守ることです。第3に、書くことをあれこれ考えずに書くためには、作文を書いていて書くことに詰まったときに、最初のメモを見ます。メモを見てすぐに書き続けるというやり方をしていけば、途中で考える時間を減らすことができます。第4に、作文の4分の3ぐらいまでの長さはほぼノンストップで書いていきます。途中で話が多少脱線したりずれたりしていても構いません。最後の4分のがまとまっていれば、全体がまとまってくるからです。第5に、作文の結びの4分の1ぐらいに来たときに、初めて全体を読み返してまとめる体制に入ります。まとめる場面では、書き出しの意見とできるだけ対応するように考えていきます。
 このような形で、ノンストップで速く書く練習は、1、2ヶ月でできます。毎週1回作文を書いている人は、同じテーマで同じ内容の文章を書く練習をする形で、毎日作文を書いていきます。1ヶ月毎日30分で800字を書く練習をしていると、速く書く感覚がつかめると思います。


■■競争による意欲、交流による意欲

 昨年、小学生対象の全国模試で、「さあ、競争だ!」というキャッチフレーズを打ち出しているところがありました。
 競争という環境は、確かに人間の意欲を引き出します。しかし、その意欲には、二つの異なる面があります。
 ひとつは、競争によって仲間との交流を深めたいいう意味での意欲です。親しい友達と同じ目標を目指しているとき、人間は連帯感を持ちます。その連帯感が意欲の源泉になります。
 PISAの試験で毎回世界のトップを占めているフィンランドの教育は、大学入試まで競争というものがありません。みんなが同じように勉強し、高校を卒業する時点で、高校卒業にふさわしい学力が身についているかどうかの試験をするだけです。
 このような中で、子供たちが何を意欲の源泉として勉強しているのでしょうか。それは、友達と協力し、助け合い、最後の試験まで皆で一緒にがんばろうという連帯感のようなものです。
 このフィンランドの教育と対極にあるのが韓国の教育です。韓国では、小、中、高、大と何度も激しい受験競争があり、その競争で負けると社会に出ても上に上がれない仕組みになっています。社会全体が激しい競争の環境にあるので、勝てば恵まれた生活が、負ければ悲惨な生活が待っているのです。
 その韓国も、フィンランドと同じように、PISAでは毎回最上位のグループに入っています。この場合も、競争が子供たちの意欲を引き出していますが、その意欲は、負けることに対する恐怖から来る意欲です。
 ひるがえって、日本における身近な教育を見てみると、競争が活気をもたらす面は確かにあります。しかし、その競争がもたらす意欲を、大人が、仲間との交流から来る意欲と考えているか、負けることに対する恐怖から来る意欲と考えているかによって、競争の性質は子供たちの人間形成に大きな影響を与えます。
 そして、これからの社会に求められるのは、競争を単なる勝ち負けとして考える人間ではなく、競争を仲間との交流として考える人間です。
 競争と似ているものに、賞罰があります。これも、コミュニケーションの手段としての賞罰と、コントロールの手段としての賞罰があります。
 「これができたら、ご褒美だ」とか、「これができなかったら、罰金だ」というとき、大人がどういう意識を持って子供に接しているかが大事なのです。
 これからの世の中は、多くの人の人間性が向上していきます。そういう中で、恐怖や強制はますます意欲のもとにはならなくなり、仲間との交流の喜びが意欲の中心になっていきます。
 競争自体がよいか悪いかというのではなく、その競争にどういう意識で取り組むかということが大事になってくるのです。


■■音読で国語力がつく

 言葉の森が音読という学習方法を提案してから、言葉の森のホームページを見たり、音読を取り上げた本を読んだりして、さまざまなところが国語の勉強に音読を取り入れるようになってきました。
 しかし、なぜ音読するのか、音読でどういう効果があるのかなどということがよくわからないまま、ただ声を出して読めばいいと考えている人も多いようです。
 なぜ音読をするのかというと、いちばん大事なのは、音読だから繰り返し読むことができるということです。重要なのは、同じ文章を何度も繰り返し読むことであって、その手段として音読があるのです。
 だから、黙読であっても、同じ文章を繰り返し読むことができればそれでもいいのです。しかし、大人でもそうですが、子供は特に、同じものを繰り返し読むことに飽きるものです。内容がわかっているものは、あらためて文字を追って読むことができないのです。たとえ読むとしても、斜め読みになってしまうので、それでは繰り返し読むことになりません。
 ところが、音読であれば、同じ文章であっても繰り返し読むことができます。もちろん、同じことを繰り返すというのは飽きることですから、子供は慣れてくるとふざけて読んだり早口で読んだりします。しかし、それでいいのです。何回も何回も繰り返し読んでいるうちに、その文章の一部は暗唱できるぐらいにまでなります。そこから読解力がついてくるのです。
 なぜ繰り返し読むだけで読解力がつくかというと、それは、人間にはもともと読解力があり、それが同じ文章を繰り返し読むことによって成長していくからです。
 読解力をつける勉強というと、文章の内容をこと細かに説明してもらうようなことを考える人が多いと思いますが、そうではありません。そういう知識で理解する勉強に入る前に、読解力の土台をつくる必要があります。その土台を作る力が、音読を繰り返すことなのです。
 貝原益軒のすすめる勉強法は、百字の文章を百回ずつ音読することでした。しかし、現代っ子には、さすがにここまではできません。
 そこで、言葉の森が考えた音読は、100字の文章の暗唱です。毎日10分の勉強で1ヶ月で約1000字の文章を暗唱しますが、その回数が全部でちょうど100回ぐらいになります。そして、その文章がすっかり暗唱できるようになると、それが子供たちの読解力の土台になっていくのです。


■■森林プロジェクトの漫画イメージ

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