言葉の森新聞2012年2月3週号 通算第1212号
文責 中根克明(森川林)
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■■【重要】3月1週は進級テスト。早めの提出を
3月1週は進級テストです。1週に用事のある人は、早めに説明を聞いて書いてください。
■■森リンの点数11月分12月分正しく表示し直し
毎月第4週に表示している森リンの点数が、11月にサーバーの文字コードを変えたことに伴い文字化けしていました。<(_ _)>
11月は「????」などで文字化け、12月は空欄になっているものが多かったと思います。
現在はいずれも正しく表示されています。確認される場合は、「山のたより」のページで、( http://www.mori7.com/oka/iyama.php )
「2011年12月分の入選清書を」「表示する」にチェックを入れて送信すると、「山のたより」に、これまでの自分の作文の森リン点の推移が表示されます。
■■問題集読書はあまり古くないもので
保護者の方から問題集読書について質問がありました。
問題集読書とは、受験用の問題集の問題文だけを読書がわりに読む勉強法です。実力のある子には、結構面白い勉強になります。この問題集読書をしてから国語の成績が上がったという生徒がかなりいます。
その問題集読書で、「上の子が使った古い問題集があるが、それでもいいか」という質問でした。1、2年前のものならいいのですが、4年も5年も前のものだと、内容が現代の話からだいぶずれてきます。
国語の問題は、特に大学入試レベルでは、その1年の最も大きな話題を中心に問題文が選ばれます。物語文はあまり変化はありませんが、論説文はその時代の状況を反映して選択されます。だから、どんなにいい参考書や問題集であっても、その発行年度が古ければ、現代のテーマとは合わない話が多くなってしまいます。
だから、古いものでいいのですが、1、2年前のもので用意しておくといいと思います。
■■恐れの勉強から喜びの勉強へ
勉強しないといいところに行けないから勉強するのではなく、勉強すると楽しいことが増えるから勉強するようになりましょう。
子供たちの勉強のエネルギーを恐怖心で煽っていては、今の大人の社会と同じものしかできません。勉強するとこんなに楽しいから勉強しようと子供たちが思うぐらい、大人が生活の中に勉強を生かしていくことです。
例えば、いつも取り上げる親子の対話。
子供がちょっと難しい長文を読んで、お父さんやお母さんに説明したときに、「あ、そうそう。それはねえ」と、お父さんやお母さんが喜んで話を始めて止まらなくなるような(笑)そういう家族の対話ができたら、どんなに面白いでしょう。
間違っても、「そんな余計なこと考えないで、テストに出ることだけやりなさい」なんて言ってはだめです。
勉強は楽しいということを、まず大人が日々の生活の中で自然に実行していることが大切なのです。
■■頭をよくする作文の勉強
頭のよさは、使える言葉の多さに比例します。ただ読めるだけの言葉ではなく、手足のように自由に使える言葉が、考える力のもとになっています。
子供たちの作文を見ていると、どの子も、毎年少しずつ語彙の種類が増えています。しかし、その進歩の度合いは、かなりなだらかです。
見た目を上手に書くテクニックのようなものはありますが、いちばん大事なのは、自由に使える語彙を増やしていくことです。語彙を増やすためには、語彙だけを単独に増やそうとするのではなく、ある文脈の中でその語彙を読んだり書いたりしていく必要があります。
作文力のもとになるのが読む力だというのは、そういう意味です。
読む力をつけるためには、ちょっと難しい言葉の入っている文章を何度も繰り返し読んで自分のものにすることです。言葉の森で、暗唱や音読や読書の自習をすすめているのはこのためです。
作文の勉強というと、作文そのものを直すようなことを考えがちですが、それはむしろ勉強の枝葉の部分です。そして、読む力を伸ばす勉強をしていると、作文力がつくだけでなく、考える力がつき、どの教科の勉強もできるようになってくるのです。
だから、作文というのは、下手に勉強すると、これほどつまらないものはありませんが、上手に勉強すると、頭もよくなるし、親子の対話も増えるし、子供時代の記念にもなるし、これほど楽しい勉強はありません。
これから、そういう楽しい勉強をもっと広げていきたいと思っています。
頭をよくすることと、成績をよくすることは、関係はありますが、実はちょっと違うものです。 それは、実力をつけることと、勝負に勝つこととが、関係はあるがちょっと違うものであることと同じです。
受験で作文がある子については、今ある実力でいかに上手な作文を書くかということが勉強の中心になりますが、まだ受験まで間がある子については、実力をつけることが勉強の中心になります。そして、作文の実力をつけるのは、読む力をつけ、考える力をつけることなのです。
■■実力をつけるための勉強と合格するための勉強の違い
実力をつけるための勉強と合格するための勉強は少し違います。
実力をつけるための勉強は、基礎となる教材を反復して100%自分のものにすることです。受験に勝つための勉強は、志望校の過去問を研究してその志望校に合格するための勉強をすることです。
これを逆にしている人がよくいます。
低学年のうちから、テストでいい成績を取るために勉強させてしまうというのはそうです。低学年のころから他人と比較して勝ち負けを競う勉強をしていると、勉強は苦しいものだという気持ちができてしまいます。
一方、受験生のなのに、志望校の過去問を受験する直前に腕試しのつもりでやる人がいます。過去問は、受験する1年前に研究して、受験勉強は過去問対策としてやっていくものです。(だから、いま高2の人は、この3月から過去問に取り組んでみることです)
なぜ、そういことを教えてくれる人がいないかというと、あまり早めに過去問対策をされても、教える側が困るからです。
低学年にも、受験生にも共通していることは、他人のペースではなく自分のペースで勉強していくことです。
■■家庭で子供に勉強を教えるとき、大事な4つのコツ
【1】最初は子供もやる気があります。しかし、そこでやらせすぎずに、必ず八分目で止めておくことです。
【2】注意する、直す、教えるという姿勢があると、どうしても叱ることが多くなります。いつも笑顔で見守るだけにしましょう。
【3】親の都合で休まないこと、休んだらほかの日に埋め合わせをしないこと。毎週決まった日の決まった時間に続けましょう。
【4】毎日の勉強には、毎日の声かけが必要です。そして、音読や暗唱がどんなに下手でもいつも明るく褒めてあげましょう。
▼その1、勉強は八分目で止めること
子供は新しいことが好きです。初めての勉強では、普段とは違う熱心さで取り組みます。しかし、そこで、親がそのままやらせてしまうと、最初の勉強で飽きてしまい、そのあとの勉強の意欲が低下します。これは、勉強でも、遊びでも同じです。「もうちょっとやりたいなあ」というところで止めておくのが親の役割です。
また、親は、子供が最初に無理してがんばったところまでを当然できるものと思い込み、次の勉強でもそこまでやることを要求しがちです。すると、子供は、がんばると損だということを学習してしまうので、かえって手を抜いて勉強するようになります。最初からどこまでやるかという基準を決めておき、そこまでできたら褒めるというようにしましょう。
▼その2、注意しない、直さない、教え込まない
子供のやることは欠点だらけです。字を間違えたり、読み方が下手だったり、教えたことがなかなかできなかったりします。教えたことが何度言ってもできないとき、親はついもっと熱心に教えようとします。しかし、なかなかできないのは、教え方のせいではありません。子供の努力不足でもありません。ただ子供にまだ受け入れるだけの準備がないだけなのです。
欠点を直していると、子供はだんだん勉強が嫌いになり、親は熱心にやればやるほど叱る回数が多くなってきます。その結果、子供も親もくたびれてしまい、かえって勉強が続かなくなってしまうのです。だから、どんなに欠点があっても、いつもにこやかに、いいところだけ褒めて励ましていくことです。そして、褒める一方で、気長に毎日の音読、暗唱、対話、読書の自習を続けていくことです。勉強は、教え込まずに気長にやっていくことが大切です。
▼その3、親の都合で休まずに、決めたルールを守る
親子だと、ついなれあいが出てきます。自分の子供を教えるときでも、他人の子供を教えるようなつもりで、いつも決まった曜日の決まった時間に始めるというルールを守りましょう。そのためには、勉強の習慣が定着するまで、アラームなどをセットしておき、うっかり忘れのないようにすることです。
どうしても親の都合の悪い日は、きちんと理由を説明して子供を納得させたうえで休むようにしましょう。その場合でも、休んだ分をほかの日に埋め合わせることはやめましょう。一度でもそういうことをすると、いつでもそういうことをしたくなります。決めたことは必ず守るという親の姿勢を見て、子供も正しい生活習慣を形成していくのです。
▼その4、毎日飽きずに声かけ、毎日飽きずに褒める
子供は、一度決めたことを自動的にずっと続ける機械のようなものではありません。毎日の自習は、親が毎日声をかけるから毎日できるようになるのです。声をかけない日が何日か続けば、すぐに習慣は途絶えてしまいます。毎日の自習を習慣にするためには、朝ご飯の前や夕ご飯の前など、確実にできる時間を確保しておくことです。「いつかやっておきなさい」という言い方はいちばんダメです。また、親自身、自分の声かけが習慣になるまでは、アラームをセットしておくなどの工夫をすることです。
毎日の声かけと同じように大事なことが、毎日褒めることです。子供が音読や暗唱をしたら、その読み方がどんなに下手であっても、必ず、「よく読めたね」「だんだん上手になってきたね」と褒めてあげましょう。不思議なことに、注意しても直らないことが、褒め続けるだけで直っていくのです。
八分目、直さない、決める、褒める、この4つですべてがうまく行く
八分目でとどめる、注意したり直したりしない、決めたことをまず親自身が守る、いつも明るく褒める。この4つの姿勢が身につけば、ほかの勉強も生活習慣もすべてがうまくできるようになります。そして、いつもにこやかに親子で対話を楽しむような生活ができるようになります。親は楽しくのんびり褒めるだけ、子供は素直でいい子で何でも熱心に取り組む、そういう理想の親子関係ができるのです。
この土台ができるのは、子供が小学校低学年のうちです。低学年のころは、親の都合で何でも進めることができます。子供は、親に言われたことなら何でもします。そういう時期にこそ、親は自分を自制して、将来理想の親子関係ができるように、子供の接し方に工夫をしていく必要があるのです。
■■直線の教育から輪の教育へ
千賀一生さんの「ガイアの法則」という本に、「輪の教育」という言葉が出てきました。ちょうど、言葉の森が考えている対話の教育と目指すところが似ています。
点数という基準を物指のようにあてて、その直線定規を少しでも前に進ませるような教育は、過去の人間不在の教育です。
これからの教育は、自ら学ぶことが喜びとなるような教育でなければなりません。その要は、点数による競争ではなく、対話による交流で意欲が意欲の源泉となるような仕組みです。
しかし、対話が成り立つためには、双方が豊かなものを持っていることが必要です。その豊かなものを育てるものが、毎日の読書や暗唱と新しい体験です。
そのような輪の教育が家庭の中で生まれれば、それはやがて家庭の枠を超えて、地域の社会の中にも広がっていくでしょう。子供と家庭と地域の教育が、未来の教育の姿です。
しかし、これは、まだ実現するまでに時間がかかります。今の社会では、まだ子供たちは、勉強とは人からさせられるもので、人に教えてもらうものだと思っているからです。
それは、また大人の意識の反映でもあって、今の社会ではまだ多くの大人は、勉強とは、させられるもの、教わるもので、勝ち負けのあるものと思っているからです。だから、逆に、大学に合格して勝ち負けが一段落すると、もう勉強しなくてもいいと思ってしまう子も多いのです。
大人も子供も、日々向上して新しいものを創造する、これが未来の理想の社会の姿だと思います。
今の社会は、まだイス取りゲームのような社会ですが、未来の社会は、各人が自分らしいイスを作る社会です。みんなでイスを作り合い与え合う社会をこれから作っていきましょう。
■■駆け凧と心意気の勉強
凧を手っ取り早く揚げようと思って走って揚げると確かに揚がりますが、その凧は駆け凧になって、もう弱い風では揚がらなくなります。
ということを、子供のときに、みんなで凧揚げをしながら経験しました。
だから、小さい子が面倒臭がって走って凧を揚げようとすると、
「こうちゃん、それじゃ駆け凧になっちゃうよ」
などと言ったものです。子供は、遊びの中で結構いろいろなことを学んでいます。
褒美をあげてさせたことは、褒美がなくなると、かえって意欲をなくすという心理学の実験があります。長続きする勉強のできる子に育てようと思ったら、勉強と褒美をなるべく結びつけない方がいいのです。
しかし、全く褒美なしでも動かないので、そこは工夫のしどころです。
弱い風でも静かに揚がる凧にすれば、凧はある高さからは、自分の力でどんどん揚がっていきます。
褒美ばかりで育った子は、大人になっても、褒美で人を動かそうとするでしょう。しかし、人は多くの場合、心意気で動くものです。明治維新を担った若者たちも、褒美で勉強をしたのではなく心意気で勉強をしたのだと思います。 そして、これからの人間の動機の多くの部分は、心意気になるような気がします。
■■言葉の森のホームページを交流と情報交換の場に
インターネットは、今、検索や情報収集として利用するよりも、交流の場として利用している人の方が多くなっています。
言葉の森のホームページも、今後、父母や生徒のみなさんが、ちょっとしたことを質問したり、日常的に交流したり、作品を発表したりできる場にしていきたいと思います。
交流ページは、facebookで一足先にスタートしましたが、日本のfacebook人口はまだ少ないので、言葉の森がfacebook上で提供している情報が有効に活用されているとは言えません。
そこで、facebook以外の一般のホームページでも、情報の交換ができるようにしていく予定です。
■facebookの予習室から
facebook上に学年別の保護者の予習室があります。このページも、今後ホームページ上でも同時に掲載していく予定です。
◆表はウェブでごらんください。
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