言葉の森新聞2012年9月1週号 通算第1238号
文責 中根克明(森川林)

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■■【重要】9.1週作文進級テスト(再掲)
 9.1週に、作文進級テストを行います。
 提出が遅れた場合は進級できません。(9月8日ポスト投函まで)
 課題フォルダの字数・構成・題材・表現・主題の●印が全部できていることが合格の条件になります。(表現の項目などで「たとえ」と「ダジャレ」など二つ以上の項目が指定されている場合はどちらかができていればその項目は◎です)。キーワードと字数が採点の基準ですので、指定された字数以上で必要な項目が全部入る作文を書いていってください。中学生以上の時間制限については、今回は採点の基準にしませんが、できるだけ時間内に書き上げる力をつけていきましょう。
 手書きで作文を書く人は、項目ができたところにシールをはっておいてください。
 パソコンで作文を書く人は、キーワードを入れておいてください。
 小学生の場合は、提出する前に、おうちの方が字数と項目シールをチェックしてあげてくださるとよいと思います。
 小学2年生までの生徒は、試験は行いますが、全員進級扱いで先の級に進みます。7月以降に受講を開始した生徒も、試験は行いますが、全員進級扱いで先の級に進みます。ただし、いずれの場合も、賞状は出ますので、できるだけ字数と項目ができるように書いていってください。9月8日ポスト投函が締め切りですので、9月1週に作文が書けない人は、8月中に9.1週の作文試験を先取りして行ってください。
 なお、進級テストは、7月と8月のいずれの月も最低1回は作文を出していることが条件になります。7月又は8月の作文で、どちらかの月で1回も書いていない場合は、9月8日までの間に作文を提出してください。


■■【重要】9.1週の作文はファクスでも受付
 9.1週に限り、ファクスによる提出も受け付けます。ファクスでの提出期限も9月8日です。ただし、ファクスで提出をする人は、事前にメールアドレスを登録しておいてください。
1、ファクスが正常に送信できているかどうかは、24時間以内にメールと検索の坂で連絡をします。正しく送信できたかどうかを必ずご確認ください。
2、連絡用のメールアドレスは、検索の坂の「ペンネーム 変更」というところで登録できます。既にメールアドレスが入っている場合は、そのアドレスが登録されています。
3、ファクスで送られた作文は、作文の丘にJPGでアップロードされます。作文の返却はありませんが、添削された作文は山のたよりに表示されます。


■■勉強の基本は、家庭で行う自学自習
 個人的な話になりますが、うちの子二人は、小中高と12年間、塾にも予備校にも行かず、勉強は基本的に学校だけで済ませました。(ただし、言葉の森だけはやらせました(笑)。そうでないと文章を書く機会がないので)
 だから、子供たちは好きなことを自由にでき、夜は家族で過ごす時間がたっぷりありました。
 勉強は、いい教材といい方法さえわかっていれば、他人に教わるよりも独学でやった方がずっと能率がいいのです。
 ところが、今の社会は、カラフルな教材と、さまざまな情報に取り囲まれて、子供も親も忙しく勉強をしているように見えながら、その実、あまり多くのことは身についていないように思えます。
 勉強に追われるいちばんの問題は、勉強に飽きてしまうことです。

 逆に、子供時代、勉強漬けにならずたっぷり遊んだ子は、いつになっても向上心を持ち続けます。

 保護者の方と話していて、最近よく感じるのは、だれもが内心そのようなことを思っているらしいということです。
 ところが、実際には、家庭で独学できるようないい教材といい方法がわからないので、親もそれほど時間がとれないから、結局、塾や予備校に任せてしまうということになっているのです。
 塾や予備校は、模擬試験で自分の位置を知るために利用するだけで十分です。

 勉強の基本は、家庭で行う自学自習です。
 親が先生代わりになって教えるのではなく、教材と方法だけ決めて、あとは子供の自主性に任せてときどきチェックをするぐらいがいちばんいいのです。
 そういう形で勉強の基本さえできていれば、あとは受験前に本人が猛烈に勉強をして急速に力をつけるようになります。
 何も普段からテストや競争で煽らなくても、やるときが来ればだれでも必ずやるのです。

 家庭で自学自習形式で行う勉強の中で、いちばん難しいのはやはり作文だと思います。
 ほかの教科は、模範解答があるので、それに合わせて勉強すればいいのですが、作文は模範解答がないので、勉強の仕方がわからないからです。
 そこで、言葉の森では、この7月から作文講師資格講座を開き、家庭で子供たちに作文を教える方法を広めることにしました。
 9月30日(日)は大阪で、10月21日(日)は神戸で開催予定です。朝9時30分から夕方4時30分までの長時間の講習ですが、興味のある方はぜひご参加ください。

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 講習に参加されない方でも、お近くの方はぜひお立ち寄りください。言葉の森特製のプレゼントを用意しています。


■■文系の感想文、理系の感想文
 「鶴の恩返し」という民話があります。言葉の森の「作文、読書感想文のテクニック」の中には、この話をもとにした感想文の書き方を説明した例が載っています。
 この例を見て、「『鶴の恩返し』をこんなふうに読むなんて……」と思った人もいると思います。
 読書の経験は感動の経験ですから、自分の感動と違う読み方を見れば、違和感を感じるのは当然です。

 物事のとらえ方は人によって様々に異なりますが、大きく分けて理系的な物の見方と、文系的な物の見方があると思います。
 言葉の森の作文指導の骨格は、かなり理系的なものです。工学的と言ってもいいかもしれません。
 まず大きな枠組みを作り、その中に何を盛り込んでいくかを考えます。このような書き方の利点は、誰でもある水準までは必ず書けるようになるということです。苦手な子でも、苦手なりに形のある文章を書くことができます。得意な子は、その形の中に、自分らしい表現や題材や主題を入れるように工夫することができます。

 一方、文系的な書き方は、感動を出発点としています。感動をひとつの核として、そこから少しずつ芽が出て葉を広げてゆくような書き方が文系的な書き方です。
 そういう書き方でいい文章を書く子はたくさんいると思います。しかし、この書き方では、書き出せない子供たちもまたたくさんいるのです。
 国語の苦手な子のひとつの原因は、先生の感動についていけないということがあります。国語の授業中、「自分はそんなふうに思わないのになあ」と思いながら先生の話を聞いている子もいるのです。
 だから、逆に、先生の感動を自分の感動と一致したものとして感じる子は、その先生によって国語が得意になります。しかし、それは先生と生徒の出会いであって、国語の勉強というものではありません。

 言葉の森の出発点は、「作文」のように曖昧でとらえにくく、客観的な評価がしにくく、指導に名人芸が必要であると思われていた勉強に、論理の枠組みを与えることにありました。
 そして、その方法は一定の成果をおさめ、独自の作文の指導の仕方として定着してきました。

 だから、これからは、言葉の森の指導に、文系的な要素も取り入れていきたいと思っています。しかし、それは、出発点を文系にすることではありません。出発点は、理系の合理的な説明の方が子供たちにより早く理解できるからです。
 文系の要素は、出発点ではなく到着点で生かしていく予定です。そのひとつが、例えば発表会です。作文の発表を通して、その子がその作文の中で、何のどこに感動したかということが伝わります。その感動が、ほかの人の感動を呼び、その感動が動機となって作文の書き方が進化していくのです。

 理系の書き方の利点を生かしながら、その書き方が枠組みの指導だけで終わらないような文系的な中身のある発表会を企画していきたいと思っています。


■■頭の悪くなる勉強の仕方、頭のよくなる本の読み方 2
 前回の記事から( http://www.mori7.com/index.php?e=1589 )だいぶ間が空いてしまいましたが、今回は、「頭のよくなる本の読み方」です。

 読書の基本は、自分の好きな本を読むことです。その理由は、読書がはかどるからです。自分の興味のままに読んでいけば、自然に自分の成長につれて読書も成長していきます。

 逆に、その子にとっては難しい本を他人からすすめられて読まされた場合、読書がはかどるということはまずありません。苦い薬でも飲むように毎日嫌々読んでいれば、読書が進まないので、結局読む力がつきません。

 しかし、好きな本を読んでいれば自然に読書も成長するというのは、実は、昔の話です。昔は、読書の対象となる本自体が少なく、また、読書以外のテレビやゲームや漫画もほとんどなかったので、好きな本を読むことが自然により高度な読書に結びついていました。

 しかし、今は、例えば漫画に熱中したら、一生漫画を読み続けていられるほど漫画の種類は豊富です。それは、テレビでもゲームでも同じです。低レベルの娯楽が、きりがないほど豊富になってきたのです。これでは、難しい文章を読む機会はなかなか作れません。

 そこで役に立つのが付箋読書です。読書は、その子の好きな本と、親から見てためになる本とを組み合わせて、複数の本を並行して読んでいくようにするといいのです。人間の頭は、同時並行的なものも頭の中で区分けしておけるほど柔軟性に富んでいます。好きな本を少し読んだら、次は難しい本。難しい本をきりのいいところまで読んだら、次は別の本。その本をまた、きりのいいところまで読んだら、次はまた別の本。このように、難しい本と読みやすい本を組み合わせながら付箋読書をしていくのです。

 では、そういう難しい本はどこで見つけるのでしょうか。そのヒントになるのが入試問題です。

 中学入試に出る国語の問題は、「こういう方向で物事を理解したり考えたりする子を採用したい」という方向性のある文章と考えることができます。だから、そういう入試問題の出典になっているような本が、小学校5、6年生が読むのにふさわしい難しい本の例と考えることができます。

 同様に、中学生であれば高校入試問題、高校生であれば大学入試問題です。ただし、大学入試の場合、一部の私立大学の問題の中には、受験生の国語の点数に差をつけることを目的にした、無意味に難解な悪文もあります。だから、高校生の場合は、入試問題集とともに、中公新書、新潮選書、岩波新書なども読んでいくといいと思います。

 大学生の読書の基本は古典です。古典と言っても、日本の古文のことではなく、古今東西の名著として知られている本のことです。そういう古典は、今すぐの話には間に合いません。テスト対策のようなものだけなら、現代の教科書的な本の方が役に立ちます。しかし、古典は、教科書的な本と違って、あとで自分の生きた思考の土台となってきます。

 ところで、小中学生の問題集読書については、一つの大きな問題があります。それは、例えば、中学入試の問題集には、小6までに習った漢字がルビなしで載っていることです。人間は、読めない文字が書かれていると、急速に理解に困難さを感じるようになります。だから、問題集読書は、学年が上がらないと続けるのが難しいのです。

 そこで、言葉の森の考えた方法は、小6までの漢字の読み書きを小学生の早い段階で済ませておくというやり方です。同様に、中学生で習う漢字は、できるだけ小学生の段階で読めるようにしておきます。

 漢字の書き取りは読みの力があれば、比較的楽に身につけることができます。読む力をつけることを優先させて、学年相応よりも難しい漢字を読めるようにしておけば、長文の音読につれて、読解力も表現力も向上してきます。


■■通学教室で家庭学習チェック開始 1

 去る8月28日、港南台教室で家庭学習チェックのモニター説明会を行いました。その前にも23日に、無料子育て講座で英数国の学習の理論的な説明をしていたので、28日の説明会は、英数国の学習の具体的な方法ということでお話ししました。
 この家庭学習チェックを始めた理由は、教室に通っている子供たちが、真面目に勉強しているのに意外と勉強の仕方を知らないということに気がついたからです。これまでは、そういう子たちに、ときどき勉強の仕方を説明していましたが、どの子も話を聞くだけで満足して終わることが多かったので、こちらで枠組みを決めて行うことにしたのです。

 私はもともと、英数国などの教科の勉強は答えがわかっているのですから、自分のペースでやるのが最も能率がいいと思っていました。だから、言葉の森は、教科の勉強を教えるようなことはせず、作文の勉強だけをやってきたのです。
 ところが、今の子供たちは、ほとんど何らかの形で学習塾に頼る形の勉強をしています。塾にはもちろんいい面もありますが、その弊害のようなものもまたあります。ひとつは、塾に行くと子供たちが教えられる形の勉強に慣れてしまうことです。勉強は自分で工夫してやってこそ効果が上がりますが、塾で先生に教わる形の勉強をしていると、言われたことを言われたとおりにやるという考えない勉強法に慣れてしまうのです。
 もうひとつは、勉強の目的が点数を上げることになってしまうことです。勉強の本当の目的は実力をつけることで、その実力をつけた結果として点数が上がればいいのですが、塾で勉強をしていると、点数を上げることだけが勉強の目的のようになりやすいのです。
 そして、三つめは、塾に通うことによって家庭での時間の余裕がなくなることです。小中学生の時期にいちばん必要なのは、本を読むこと、何かに熱中すること、家族で団欒することなどですが、塾に通って帰宅が遅くなると、それらの時間がほとんどなくなってしまうのです。

 勉強には、実力をつける勉強と、勝負に勝つ勉強の二つの面があります。勝負に勝つための勉強は、受験前の一時期(半年又は1年間)集中して取り組むことが大事ですが、普段から受験向けの勉強をしても実力はかえってつきません。
 サッカーやバスケットボールなどのスポーツでは、正確なパス、ランニングなどの実力をつける練習があります。その一方、パス力、シュート力、走力など個人の得手不得手に合わせてポジションを決め作戦を立てるという勝負に勝つ練習もあります。
 実力をつけるだけでは勝負には勝てません。しかし、勝負に勝つ練習だけしていては実力はつきません。この関係が勉強にもあてはまるのです。
 家庭学習は、実力をつけるための勉強です。それは、塾ではむしろできない分野です。例えば、読む力をつけるためには読書や音読が必要ですが、塾で一斉に1時間読書の時間を設けるなどという授業はできません。また、音読の練習は、一斉指導でも個別指導でもまずできません。だから、実力をつけるための勉強は、家庭学習が基本になるのです。


 ただし、家庭学習を、塾や学校のように親が先生がわりになって教え込む勉強にすると長続きしません。子供が自学自習で行う勉強を基本にして、親はそれをにこやかに見守りときどきチェックして褒めてあげるというスタイルが大事です。
 しかし、親子だけでは、この毎日の自習チェックはうやむやになることもあります。そこで、家庭に任せる学習でもなく、塾に任せる学習でもなく、子供が自学自習で行う勉強を、保護者と言葉の森が連携して支えるという形の勉強を始めることにしたのです。(つづく)


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