言葉の森新聞2013年2月4週号 臨時号 通算第1263号
文責 中根克明(森川林)
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■■勉強は、発想を変えれば楽しくできる
家庭での学習を続けていると、なかなか思ったように勉強が進まない、と困る場面が出てきます。そういうときの対処法をご紹介します。
なお、勉強を進めていくうえで、疑問に思うことが出てきましたら、言葉の森事務局までお電話でご相談ください。(電話0120-22-3987平日9:00-20:00)
■■親の負担が大きいので大変という場合
問題を解くような形の勉強であれば、子供がある程度自主的に進めていけます。しかし、作文の場合は、そういう問題−解答形式の勉強ではありません。毎日、読書や暗唱などの読む自習を行い、毎週、自分で考えて作文を書くということで力がついていきます。(ほかの作文教室の中には、問題−解答形式で作文の勉強を指導しているところがありますが、そういう形では国語力、作文力はつきません)
一般に行われている従来の勉強は、知識や解き方を学ぶという勉強です。そういう勉強は、勉強の仕方を塾に任せ、子供が与えられた課題をやっていれば力がつきます。国語と作文は、そういう形の勉強ではありません。
国語は、毎日読む学習を続けることで、作文は、自分で考えて書くことで力がつきます。そのために、次のように勉強に対する発想を変えて取り組むことが必要です。
■「対話をする勉強」と発想を変える
作文は、親子の対話を楽しむ形で進めていく勉強です。これは、小学生には特に重要です。小学校1、2年生は自由な題名ですから、毎週授業の始まる前に、「今週はどんなこと書くの」と子供に聞き、親が子供と作文に書く内容について話をします。また、書いた作文が返却されたときも、その作文の内容について家族で対話をします。この際、決して欠点を指摘して直すようなことはしないでください。欠点は、読む力がつく中でほとんど自然に直ります。欠点を指摘すると、作文を書くことが億劫になります。対話は、いつも楽しい雰囲気で行ってください。この対話のときに大事なことは、お父さんやお母さんの子供時代の似た話などをたくさんしてあげることです。そのときに、子供には、少し難しい言葉で、少し長い文で、少し難しい内容の話をするようにします。この対話によって親子のコミュニケーションが豊かになるとともに、子供の頭がよくなります。
小学校3、4年生の場合は課題が決まっているので、親子の対話は更にしやすくなります。次の週の課題を見て、お父さんやお母さんが似た話を子供に聞かせてあげてください。場合によっては、田舎のおじいちゃんやおばあちゃんに取材してもよいでしょう。また、作文が返却されたときも、親子でその作文を話題にして話をするようにしましょう。この場合、やはり大事なことは、欠点を指摘して直すようなことはしないということです。作文はできるだけよいところを見て励ますようにしてください。
こういう形で小学校中学年までに親子の対話の習慣を作っておくと、その親子の関係はあとまで続きますし、その対話によって子供の頭がよくなります。理解力や思考力は、問題を解くような形の勉強では身につきません。対話と読書によって最も確実に身につくのです。ですから、対話のときは、楽しい雰囲気で、少し難しい言葉で、少し長い文で、少し難しい内容の話をするように心がけてください。
対話の参考になる掲示板
「授業と予習の掲示板」
http://www.mori7.com/okajg/
小学校高学年や中学生になると、子供が自分の作文を親に読まれるのを嫌がる面が出てきます。その場合は、作文ではなく、課題の長文をもとにして対話をしていきましょう。課題の長文は、ホームページでも読むことができますから、事前にお父さんやお母さんもその長文に目を通しておくとよいでしょう。
「課題の岩」
http://www.mori7.com/mine/iwa.php
課題の長文をもとにした対話は、次のような形で進めることができます。まず、子供に、次の週の課題がどういう内容か説明させます。そのためには、子供が事前に長文を読んでおかなければなりません。題名だけの課題の場合は、子供がどんなことを書くつもりか考えておかなければなりません。この子供に内容を説明させるということが、子供の思考力と表現力を育てる勉強になります。子供に説明させたあと、親がその課題についての関連する話をしてあげます。親の話を聞くと、子供が自分の経験を通して考えただけの作文よりも話題が広がり、感想も深まります。
ただし、説明が上手でないときにも注意はせずに、気長に見守ってあげてください。
このように、作文の勉強は、そのほかの勉強とは違い、対話を楽しむ勉強だと発想を変えて取り組んでいってください。小学校高学年になると、普通の家庭ではどこでも親子の対話は少なくなります。特に、お父さんは子供との日常的な接点があまりないので、対話をするとしても勉強や成績のことばかりになりがちで、ますます対話が難しくなります。ところが、作文の勉強を通して話をすることによって、親子が毎週知的な対話を楽しむ習慣ができるのです。
作文は親の負担が大きくて大変だと考えるのではなく、親子の対話を楽しむ機会になるのだと考えて取り組んでいってください。
■「自立する勉強」と発想を変える
国語力は、国語の問題集をいくら解いても身につきません。問題を解いたあと、先生の説明を聞いても、その説明を理解する力は、本人のもともと持っている国語力までです。
では、国語力はどのようにしてつくかというと、それは塾や学校の国語の勉強の中ではなく、日本語の豊かな家庭生活の中でつくのです。これが、国語の勉強が他の勉強と違うところです。国語力は、いろいろな教科の学力の中のひとつの学力なのではなく、あらゆる勉強のもとになっている理解力、思考力のことなのです。
国語の得意な子は、国語の問題集をしっかりやってきた子ではありません。家庭生活の中で、読書と対話の時間を多く取ってきた子です。だから、国語の勉強は、毎日の家庭での自習としてやっていくという方法がいちばんよいのです。
そこで、言葉の森では、毎日の自習として、音読、暗唱、読書、問題集読書などをするようにすすめています。
しかし、この自習というのが子供にとっては飽きるものなのです。問題を解くような形の勉強であれば、新しいプリントをやって、それまでのプリントのやったあとが残りますから、一見やりがいがあるように見えます。しかし、国語はそのようなプリントを解くような形の勉強では身につきません。国語力は、特別の教材がなくても毎日同じようにやれる自習を続けることによってつきます。
言葉の森の自習の内容を、わかりやすく暗唱と読書に絞って説明します。
まず、自習に対する発想を変えていく必要があります。問題のプリントをやるような自習であれば、ノルマを決めておけば子供はある程度自動的に勉強をするようになります。しかし、暗唱や読書はそうではありません。暗唱や読書は形に残らない勉強ですから、最初の時期は親がそのつど「やりなさい」と言わなければできません。また、形に残らない勉強なので、子供はすぐに飽きてきます。そのために、暗唱などわずか10分でできることを続けられなくなる子が多いのです。
しかし、小学校低中学年のうちに、この形に残らない勉強を続けるという習慣を育てていくと、それは、将来の勉強に最も必要な自立した持続力を育てることになります。
子供の本当の学力は、中学生後半から高校生になり自覚して勉強するようになってから急速に向上します。自覚して勉強を始めると、それまでの親から言われてしぶしぶやってきた勉強の数年間分を数ヶ月で取り戻すようになります。
しかし、この中学生後半からの自覚した勉強であっても、本人の意欲はあるのに勉強が空回りしてしまうということがよく出てきます。それは、決心を持続する習慣が育っていないからです。例えば、英語の教科書を暗唱するとよいらしいという勉強法を聞いて早速始めたとします。ところが、ほとんどの子は数日で飽きてしまうのです。これでは、意欲はあっても実力は伸びません。
そのときに、小学校低中学年のうちに毎日同じことを同じようにするという勉強習慣をつけていた子は、一度決心したことを成果が出るまで長期間続けていくことができるのです。中学生後半から高校生のときに、自立しした勉強ができるようになっている子は、いったん目標が決まると自分のペースでどんどん実力をつけていきます。一方、自立した勉強の習慣のない子は、高校生になってもあいかわらず塾や予備校で先生から強制される場がないと勉強をすることができません。高校生以上になると、勉強は個人個人の個性の差が大きくなります。志望校の問題の傾向も違うし、生徒本人の得手不得手も違ってくるからです。そのときに、自分のペースで勉強できる子と、他人に強制される場がないと勉強できない子とでは、学習の能率に大きな差が出てきます。高校生になってから学力が伸びる子と伸びない子の差はここにあるのです。
小学校低中学年の毎日の自習は、単にその勉強をするためだけの自習ではありません。毎日同じことを同じように続けるという自立心をつけるための自習です。だれでも、最初のうちは、親に言われなければ、毎日の暗唱や読書はできません。また、数日、風邪で休んだり、旅行に出かけたりすれば、それまで毎日続けてきた自習の習慣もすぐに消えて、また親から言われなければやらない状態に戻ってしまいます。しかし、そこで親がまた飽きずに自習をさせるということを繰り返します。このようにして、何度も親から言われて続ける期間が長くなればなるほど、子供の心の中に持続する勉強の力がついてくるのです。
小学校低学年のうちに、毎日の暗唱を1年間続けた子であれば、高校生になったときに、自分が決心した勉強を1年間続けることができます。逆に、小学校低学年のうちに、毎日の自習に飽きて、プリントをこなすような勉強に戻ってしまった子は、高校生になっても、自分が決心した勉強を続けられずに塾や予備校に頼るようになります。
夏休みは、集中して勉強に取り組むのに最もよい時期ですが、ほとんどの高校生が自分で勉強できずに、塾や予備校の夏期講習に通います。それは、自立して勉強を続ける習慣がついていない子がほとんどだからです。しかし、ごく少数ですが、塾や予備校に頼らずに自分で勉強していける子がいます。こういう子が、高校3年生のわずか1年間で飛躍的に伸び、その後大学生になっても、社会人になっても自分で実力を向上させていける子なのです。
毎日の自習で親が言わないとやれないということをマイナスに考えるのではなく、親が言わないとやれないような単調な勉強(といっても、暗唱はわずか10分、読書も短ければわずか10分ですから、やろうと思えばすぐにできます)を続けることが、子供の自立心を育てることになるのだとプラスに考えて取り組んでいってください。
自立心は、国語のプリントを解くような形では育ちません。プリントのように他人から与えられたノルマがないとできないということになってしまうからです。暗唱や読書は、1枚の長文、1冊の本があれば、いつでもどこでもできます。しかも、いくら毎日やっても形に残らない勉強なので、プリントのようにやった結果が目に見えるという満足感がありません。こういう勉強を続けることが、子供たちの自立心を育てることになります。
■単調なことを続けるのが大事
昭和初期までの子供たちは、家で農作業を手伝ったり、家事を手伝ったりして成長しました。これらは、目に見えるノルマも報酬もない単調な仕事です。朝起きたら、当然のように、まきを割ったり、水を汲んだり、玄関を掃除したりしてから学校に行ったのです。こういう毎日の単調な仕事を続けていくことで、成人になってからも自立して持続するという根性が身についていきました。
しかし、今の時代に、このように毎日同じような家事手伝いを子供にさせることができるでしょうか。家事が合理化された現代では、子供に手伝いをさせるという必然性がありません。昔は、子供が手伝わなければやっていけないほど家事が多忙だったのです。今は、洗濯機も掃除機も冷蔵庫もあるので、子供が何かを手伝わなければ家庭生活が円滑に運営できないような状態はありません。
今の子供たちが、ひ弱なのは、このように毎日何かを続けるという習慣が家庭になくなったからです。毎日の暗唱や読書の自習は、この根性を育てるための機会だと考えて取り組んでいくことです。毎日の自習をするということであれば、子供も納得できる合理的な根拠があります。気分が乗らないときも、遊びたいことがあるときも、何しろ毎日自習を続けるということは守らせることができます。少なくとも、毎日玄関の掃除をするというようなことよりもずっと守らせやすいはずです。
そして、このように毎日しなければならないことがあると、子供の生活全体がめりはりのあるものになります。日曜日などは、大人でも朝起きてから特にすることもなくぼんやり過ごしてしまうことがあります。ところが、子供の場合、朝ご飯の前に暗唱ということを決めておけば、その暗唱をしたあとにすぐきちんとした生活を送る姿勢ができます。しかし、ここで大事なのは、自習ができたら褒美をあげるというようなやり方にはしないということです。自習がちゃんとできたら褒美をもらえるということになると、子供の自立心は育ちません。褒美があってもなくても、決めたことを黙々とやるということが自立心です。
ただし、子供の努力を認めることは大事ですから、親がときどき、「よくがんばっているね」「本をよく読んでいるね」「今日もちゃんとできてえらいね」などと言ってあげることです。このときに、父母で協力して、子供の努力を認めるということが必要です。一方の親が子供の努力を認めているのに、他方の親が子供の努力に関心がないとなると、勉強は続けにくくなります。また、一方の親が努力を認めているのに、他方の親が子供の欠点を指摘してばかりいると、やはり子供は勉強しにくくなります。子供をよりよく成長させるということは、どの親にとっても共通の目標になるはずですから、勉強のさせ方で多少の不一致点があったとしても、「いったん決めたことは続けさせる。そのためには、できていたら褒める、できていなければ叱るということを気長に続ける」ということだけは一致させておきましょう。
国語の力は、この暗唱や読書や対話のように、日本語を豊かに吸収する生活がなければ決して身につきません。国語力をつけながら、自立心も併せて育てる学習として、親の働きかけが必要な自習をむしろ肯定的にとらえて毎日の勉強に取り組んでいってください。
■自習の記録の付け方
毎日の自習を、市販の10mm方眼罫ノートを使って楽しくできるように、自習の記録の仕方を説明しているページです。
「自ら進んで行う学習、「自習表」の書き方」
http://www.mori7.com/as/1733.html
■タイマーを使った作文と自習
作文を書くのに時間のかかる子がいます。電話のあとその日のうちに終わらず、翌日まで持ち越してしまう子もいるようです。1週間かけて書く子もいるようです。よいものを仕上げたい気持ちもわかりますが、その日のうちに仕上げることを原則としていく方が、勉強を無理なく続けられます。時間のかかる子は、自分なりに納得したものを書きたいという気持ちが強いので、いい作文を書く子が多いのですが、それでも、長すぎるのはやはり問題です。
そこで、タイマーを使って作文を書く方法を紹介します。タイマーを使うことによって時間内に仕上げるという意識が出てきますす。タイマーの時間は、生徒本人が自分で決めますが、ほとんどの生徒は、自分ができそうなぎりぎり+アルファぐらいの時間を設定します。人間には、もともとそういう目的意識的な行動を好む性質があります。
タイマー作文のよい点は、早く書くことに対する自覚ができることです。また、将来、作文の試験があるときなど、自分がどれくらいのスピードで書けるかがわかっていると時間配分ができるようになります。特に、なかなか書けずに残り時間が不足しそうなとき、「でも、私は、最高のスピードで書けばあと○分で○字までは書けるはずなんだ」と思えると、気持ちが安定します。
しかし、タイマーも使い方によってはマイナスの面が出てくることがあります。その一つは、本人が時間設定をするのではなく他人が設定してしまうことです。これでは、外からの強制になってしまうので、早く仕上げることに対する自覚がかえってなくなってしまいます。勉強は、本人任せだと時間がかかって能率の悪いことも多いので、つい外から枠を決めたくなりますが、長い目で見ると自分の意思で行動させた方が遠回りのように見えても、確実に本人の成長につながるのです。
作文をタイマーで書くことに慣れた子は、ほかの勉強に対しても、仕事に対しても、生活全体が時間を自覚したものになります。
入試の作文試験では、字数と時間の制限がかなり厳しくなっています。
中には、30分で800字の作文を書くというようなところもあります。
この場合の時間設定の目安は、
構成メモ(5分)
第1段落(5分)
第2段落(5分)
第3段落(5分)
第4段落(10分)
=========
合計 30分で800字
という感じになります。しかし、これは、かなりスピードのある書き方です。
1200字の作文を60分で仕上げる場合は、
構成メモ(10分)
第1段落(10分)
第2段落(10分)
第3段落(10分)
第4段落(20分)
=========
合計 60分
というような時間配分です。
おすすめのタイマーとしては、リズムタイマーコンビ8RTA01RH08、8RTA01RH03などがあります。
■毎日の自習が負担という場合
自習を無理に続けて負担になり、作文の勉強自体が続けにくくなってはかえってマイナスです。無理して自習をすることよりも、作文の勉強だけは長く続けるというように考え方の重点を変えていくことが大事です。自習が負担になった場合は、できることだけに絞って勉強を続けていってください。
また、毎日の自習は、子供が飽きてしまい親が毎日言わなければできないことが多くなりますが、この毎日同じことを続けるという習慣が子供の自立心を育てることにつながると肯定的に考えていきましょう。
■■最低限やることは、毎週作文を書くだけでもよい
最低限やっていくことは、毎週作文を書いていくことです。これだけでも書く力はついていきます。
■毎日の読書10ページ以上ができればなおよい
毎週の作文のほかに、更に読書を毎日10ページ以上読むというところまではほとんどの人ができると思います。この作文と読書を勉強の基本としていきましょう。
■暗唱は、やる時間を決めて
小学校1、2年生までは、暗唱は苦もなくできます。できない場合は、暗唱の自習をする時間が決まっていないためでしょう。朝起きてから、朝ごはんを食べるまでの間を暗唱の時間などと決めて取り組んでいきましょう。また、低学年で読むことにまだ慣れていないために時間がかかるという場合は、先生に相談して、時間を10分ぐらいに制限してできるところまでやるという形で進めていきましょう。例えば、毎週300字のペースでやるのではなく、毎週100字のペースでやっていくというようなやり方です。
■毎日できなければやらないと決める
小学校中高学年になると、次第に暗唱の自習がしにくくなります。これは、習い事の時間などが増えるために、毎日の暗唱の時間を確保できなくなるからです。暗唱は毎日やるのが原則です。毎日やる時間を工夫するか、逆に毎日やれない場合は、やらなくてよいと決めてしまいましょう。そのかわり読書だけは毎日続けるというようにします。
■中高生の暗唱は、一度でも900字の暗唱ができればよいとする
中高生になると、暗唱の自習はますますしにくくなります。しかし、暗唱用紙を使った方法で毎日10分やれば900字の暗唱が楽にできるということがわかると、将来いろいろなところで役に立ちます。中高生で暗唱の時間がとれないという人は、最低一度だけでよいので、900字の全文を暗唱するというところまで達成しておくとよいでしょう。
■兄弟によって自習の内容を分ける
小学校低学年の弟妹と、小学校中高学年の兄姉がいる場合、兄姉が暗唱ができないことにひきずられて、下の弟妹まで暗唱をしなくなってしまうことがあります。小学校低学年は、暗唱の自習が無理なくできる学年ですから、弟と妹は暗唱の自習をするが、兄と姉は暗唱のかわりに別の自習をすると分けていきましょう。これなら、低学年の弟妹も納得して暗唱の自習を続けることができます。
■最低限毎日読書10ページ以上
毎日読書10ページというのは最低限の量です。読書量には個人差があり、本をよく読む子は1週間に2冊ぐらいのペースで読んでいます。本は、10ページ読んで面白くなると、そのまま続けて読みたくなります。だから、勉強の最初や途中に読書の時間を設けるのではなく、読書のあと自由に過ごせる時間帯に読書時間をとり、10ページ読んで面白ければそのまま読み続けられるという状態を作っておきましょう。
■読書は図書館を利用して
読書は、その日に読み終えたところに付箋をつけておくと、自分が読んだあとの付箋が階段状に残り、本をたたんだあとも読んだ結果がわかるので達成感があります。また、読み終えたところに付箋をつけておくと、数冊の本を並行して読んでいくことができます。なかなかはかどらない本があるときでも、はかどらない本とはかどる本を組み合わせて読めるので全体の読書量が増えます。
どういう本を読んだらよいかという相談をよく受けますが、読書は手当たり次第に読んでいくものです。よい本を選ぼうとするよりも、まず毎日読む時間を確保するということを考えておきましょう。小学校低中学年までの日本の読書環境は充実しています。書店に置いてある本がよい本だと考えてかまいません。本の奥付を見て、古くから発行されている本であればそのまま良書だと考えてもよいでしょう。ただし、書店にはよく売れる物語文の本が多く、あまり売れない説明文の本は置いてありません。説明文の図書は、図書館の子供向けのノンフィクションのコーナーで選ぶようにしましょう。図書館で読んで気に入ったものがあれば、インターネットの書店で中古のものを手に入れて家にも置いておくようにするとよいでしょう。
■短期間で国語力をつけたいときは問題集読書の量を増やす
小学校高学年、中学生、高校生で、もっと勉強の時間を増やしてもいいから、短期間で国語の力をつけたいという場合は、問題集読書のページ数を増やしていきましょう。しかし、この場合も、線を引きながら読むということと、同じ文章を繰り返し4回以上は読むようにするということが大事です。
問題集読書の仕方はこのページに書いてあります。
「問題集読書と四行詩の手引」
http://www.mori7.com/mori/mori/mdds.html
■■作文を書くのに時間がかかるという場合
電話のあとすぐに勉強を始めるのがコツです。時間がたってから始めると、かえって書けなくなります。電話のあとすぐに書けない事情がある場合は、その日は欠席とするというようにしていきましょう。つまり、やるかやらないかをそのつどはっきりさせて取り組むということです。
勉強は、忙しいからあとでやるという形にしないのが原則ですが、どうしてもあとでやる形にしたい場合は、その「あとで」がいつの何時ごろかということも決めて取り組みましょう。また、このようにしてもできなかった場合、それ以上の延長はしないことです。
作文の未提出分がいくつかあるという場合、未提出のものはもう出さなくてよいと親が決めてあげてください。作文の勉強はほかの勉強と違い負担が大きいので、1日に2つ以上書くということはまずできません。毎回その週の分だけを出すという形にしてください。
課題が難しいために子供さんが10分ほど悩んで書き出せない場合は、事務局に電話をして追加の説明を聞いてください。いったん悩んで書き出せなくなると、時間がたてばたつほど書けなくなります。子供は、書けないから電話で聞くということをなかなか自分で判断できません。子供の様子を見て、親が判断して対処してください。
作文を書くのにかける時間は1時間半までとしておきましょう(長くても2時間までです)。1時間半で書きあがらない場合は、書けたところまでで終わりにし、残りは「つづく」としてそのまま提出してください。(つづきを後日書く必要はありません)
小学校低中学年で楽しみながら長く書いているという場合は、家庭生活に支障のないかぎり、無理に途中で打ち切る必要はありません。
また、作文の時間がかかる子の中に、作文が早く終わったらその分ほかの勉強をさせられるという事情のある場合があります。
作文は負担の大きい勉強なので、自然にそういう気持ちになりがちです。作文の勉強のあとは、あらかじめ予定を決めて、読書のような楽な勉強を入れていくようにしてください。
■パソコンを使った作文と森リンの点数
作文の勉強は、小学校5年生ごろから中学2年生にかけての時期に、なかなか書けなくなるという状態が生まれてきます。中でも、中学生は一生の中でいちばん作文が苦手になる時期です。また、中学校で作文の勉強がないので、言葉の森で作文の勉強を続ける意義がわかりにくくなる時期です。
将来の高校入試や大学入試、更には就職試験でも、会社に入ってからでも文章力は最も必要な学力になると話してください。
そして、作文はパソコンで書き、毎回の自動採点ソフト森リンの点数が80点台後半になることを目標に勉強していってください。作文の得意な生徒は、ベスト10を目指してがんばり、作文の苦手な生徒は、自分の点数を毎月少しずつ上げることを目標にしていきましょう。
パソコン入力は、小学校5年生ぐらいから行っても無理はありません。パソコンで打つときは、ローマ字入力でタッチタイピング(ブラインドタッチ)にすることを最初のうちに徹底させてください。入試で手書きの作文試験がある場合は、試験の3ヶ月ぐらい前から手書きに戻しておきましょう。
森リンの点数は、次のようなやり方で表示できます。パソコンで書いて送信したあとの画面で、しばらく待っていると、「(^o^)/森リン採点」という顔のマークが出てきます。ここをクリックすると、今度は「(^o^)/森リン採点」というボタンが出てきます。このボタンを押すと、自動採点ソフトが計算を行い、その作文の点数を表示します。
■読解問題の生かし方
読解問題は、採点結果がすぐに出ると張り合いが出ます。読解マラソンのページに番号を入れて「確認」「決定」ボタンを押すと、その場で採点結果が表示されます。
「読解マラソンの問題のページ」
http://www.mori7.com/marason/ki.php
読解問題は、清書の時間に個人差があるため、清書に時間がかかる人はやらなくてもかまいません。この読解問題の目的は、小学校高学年以上で、難しい選択式の問題を解くコツを学ぶためのものです。小学校低中学年では、問題を解くような勉強はまだそれほど意味がないので、無理をして時間をかけてまでやる必要はありません。ただし、低中学年のうちから、第四週は清書と読解問題というやり方に慣れておけば、高学年になったときにもスムーズに取り組めます。
読解問題は、100点を取ることが目標です。
適当に答えを書いて全部やっても何も身につきません。時間がないときは、1番と2番だけをじっくり解き、答えが間違っていたらその理由を納得できるまで考えるようにしてください。
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