言葉の森新聞2013年4月1週号 通算第1267号
文責 中根克明(森川林)

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■■4月1日(月)から新学期
 4月1日から新学期が始まります。教材の説明は、課題フォルダの表紙の裏側に書いてあります。
 また、勉強の仕方の説明は、「学習の手引」に載っています。
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■■4月からの新学期の教材の発送(再掲)
 4月からの新学期の教材を3月19日から発送しています。
 変更点は、課題フォルダと読解マラソン集と暗唱長文集を3冊の別冊にしたことです。これは、毎週必ず行う勉強を課題フォルダだけにまとめ、読解マラソン集や暗唱長文集は、余裕のあるときに行う任意の勉強として区別できるようにしたためです。したがって、読解マラソン集、暗唱長文集は、「オプション教材」としてあります。
 今後、このオプション教材の種類を増やしていきたいと思います。
 しかし、勉強の中心は課題フォルダですから、課題フォルダの中に入っているものだけは必ずマスターするようにしてください。



■■1月~3月の賞状を同封
 3月1週の進級試験で、字数が規定以上、構成・題材・表現・主題の4項目のうち3項目が◎で1項目が○以上、の人には認定証を同封しています。字数賞・作文賞・皆勤賞は、金賞10クラウン、銀賞5クラウン、銅賞1クラウン、賞外0クラウンです。認定証は10クラウンです。
 金賞は点数の上位10%、銀賞は10~20%、銅賞は20~80%。それ以外は賞外です。
 それぞれの賞で点数がなかった人や、3月1週に在籍していなかった人には、賞状は入っていません。
 なお、3ヶ月の学期の途中から入会された方は、日数の関係で賞状の点数が低くなっております。次の学期からは、正しく表示されるようになりますのでご了承ください。


■■国語力をつける根本的な勉強法 4
「漢字のイメージ化を抽象的な漢字にまで広げること」

 漢字は個々に覚えるのではなく、他の漢字や言葉とのつながりにおいて覚えたときに、生きて使える漢字になります。ある文章を暗唱するとき、人間はその文章の言葉をイメージ化することによって記憶します。つまり、暗唱は言葉に対応しています。これに対して、ある文章を理解するとき、人間はその文章の意味をイメージ化することによって理解します。つまり、理解は意味に対応しているのです。
 文章を理解するためには、その内容つまり意味がわかればいいので、内容を運ぶ手段となる言葉そのもののイメージを定着させる必要はありません。言葉は、文章の意味を理解するために使われたつど忘れられいくような使われ方をします。

 暗唱はそうではありません。百字の文章を暗唱することと、百字の文章を理解することとの間には、言葉の処理の仕方で大きな違いがあります。暗唱の場合は、言葉そのもののイメージ化が必要になります。これが、言葉の教育の重要な方法になるのです。

 音読や暗唱の素材というと、江戸時代の寺子屋教育での素読の連想から、論語や漢詩や枕草子や平家物語を考える人が多いと思います。しかし、なぜ暗唱の教育を現代に復活させるかというと、それは現代の文章を読む力をつけるためです。現代の文章のほとんどは、戦後の歴史の中で、常用漢字約二千字の範囲で表される文章になっています。言葉の教育ということで考えると、論語や枕草子には、現代の社会での重要な用語である「経済」「電気」「国際」「量子」などは出てきません。古典の暗唱は、文化としての暗唱であって教育としての暗唱にはならないのです。

 では、現代の教育としての暗唱の素材にはどういうものが必要なのでしょうか。それは、まず常用漢字が網羅されているものでなければなりません。次に、その常用漢字の集合が意味を持つつながりで並べられているものでなければなりません。そして第三に、暗唱をするからには語呂のいいものでなければなりません。そのようにして開発したものが、言葉の森の漢字集です。これまでの漢字学習の教材には、これらの三つの条件がそろっているものはありませんでした。

 言葉の森の漢字集は、教育漢字については学年別配当の順序で作られています。それは学校教育の中で活用できるようにするためです。だから、漢字集は漢字の書き取りの練習としても使えます。しかし本来の目的は、その学年で習う漢字を、生きたイメージを持って読めるようにするためのものです。

 漢字集は、小学校低中学年のころは、まだそれほど重要ではありません。使われている漢字が日常的に使われている語彙と同じ水準なので、わざわざ暗唱してイメージ化するほどのものでないものが多いからです。
 しかし、学年が上がるにつれて漢字集の暗唱による漢字のイメージ化が重要になってきます。
 例えば、小学6年生の漢字集にある「朗報 貴族 神聖 奮起」などの語彙は、子供が、たとえその漢字の読み方と書き方を知識として習っていたとしても、日常的な会話や読書の中で頻繁に出てくる言葉ではありません。だから、こういう言葉が出てくるような文章を読むと、子供は、その文章を難しいと感じるのです。
 そして、難しい文章を読むよりも、自分のよくなじんでいる言葉で書かれている易しい文章の方が、読書の楽しみという中身に没頭できるので、現代の豊かな読書環境の中ではかえって、易しい本の読書から、難しい本の読書へ移行することができなくなるのです。(つづく)


「国語力をつける根本的な勉強法」の1~8はホームページで
http://www.mori7.com/as/1769.html 国語力をつける根本的な勉強法 1
http://www.mori7.com/as/1770.html 〃 2「文章理解の前提としての漢字の読み取り」
http://www.mori7.com/as/1771.html 〃 3「知識としての漢字から生きたイメージ…」
http://www.mori7.com/as/1772.html 〃 4「漢字のイメージ化を抽象的な漢字に……」
http://www.mori7.com/as/1773.html 〃 5「難読力の土台としての、漢字集の暗唱」
http://www.mori7.com/as/1774.html 〃 6「漢字集の暗唱の方法」
http://www.mori7.com/as/1775.html 〃 7「問題集読書の方法」
http://www.mori7.com/as/1777.html 〃 8「対話によって読解力、表現力を育てる」


■■対話を生かした、幼児と低学年の作文学習(つづき)

構成図を書く具体的な手順
 子供が作文をなかなか書き出せないときは、親が構成図を書いてあげます。
 構成図とは、作文用紙の裏など白紙の部分を使って、作文に書くことを短文で散らし書き風に書いていくことです。
 幼児や低学年で、まだ作文の書き方がわからないときは、構成図ではなく、直接作文用紙に作文を書いてあげてもかまいません。
 親が気軽に書いている姿を何度か見せていると、子供は自分で構成図を書くか、直接作文を書くかするようになります。
 大事なことは、子供に無理に書かせようとするのではなく、親が楽しく書く姿を見せてあげることです。
母「じゃあ、お母さんと一緒に作文を書こう。えーと、何を書くんだっけ」
子「○○のこと」
母「それでは、最初にその話を絵をかいてみてね」
 小学校2、3年生では、作文を書く前に、そのときの様子を絵でかくという項目があります。
 絵は、ほとんどの子がかけますから、親は近くで見ていなくてもかまいません。
子「絵がかけた」
母「へえ、これは何なの」
子「これはぼくが……してるの」
母「じゃあ、こっちは」
子「これはね……」
 しばらく絵を見て話したあと、作文を書きます。絵に説明を書き加えてもかまいません。
 絵には色も塗ることができますが、絵をかくのにあまり時間がかかる場合は、色は作文のあとに塗るようにします。
 絵が苦手な子の場合は、絵を省略してもかまいません。
 小学校3年生以上は、特に絵はかかず、すぐに作文の構成図を書いてかまいません。
母「どんなことがあったのかな」
子「えーと、ひる休みに友だちとおにごっこをしたの」
母「ふーん、だれとしたの」
子「けんちゃんと、たけこちゃんと、あきおくんと」
母「あきおくんが来るの、めずらしいね」
 このように、子供と話をしながら作文に書く材料を集めます。
 少し話をしたら、すぐに構成図を書いていきます。
母「それでは、一緒に話をしながら書いていこうね」
子「うん、いいよ」
母「えーと、まず、『ぼくは、きょう、中休みにおにごっこをしました。』と」
子「ひる休みだよ」
母「あ、そうか。『中休みではなく、ひる休みでした。』と」
子「うん」
 構成図は、間違えたことを書いてしまっても、消しゴムなどは使わずに、続けて書いていく方が勢いがつきます。
母「それから、『いっしょにあそんだ子は、けんちゃん、たけちゃん、あきおくんです。』と」
子「あ、みよこちゃんもいたんだった」
母「『それから、みよこちゃんもいました。』と。『ぼくは、みよこちゃんが大すきです。』と」
子「えー、ちがうよ」
母「まあ、いいじゃない」
 構成図は、のびのびと書くことが大事ですから、少し脱線したことを書いてもかまいません。
 1枚の用紙が大体埋まるぐらいまで構成図を書きます。
 子供から話を引き出そうとすると、なかなか進まないことがありますから、親が想像したことを書いていってもかまいません。
母「『その日は、とてもいい天気でした。』」
子「うーん、くもっていたかなあ」
母「じゃあ、『くもっていました。』と。そして、『空には、ヒバリがとんでいました。』」
子「そんなのとんでないよ」
母「『地面からモグラも出てきました。』」
子「ハハハ」
母「『そんなことはありませんでした。』と」
 構成図は明るく早いテンポで書いていき、作文が気軽に書けるものだという感じを伝えるようにします。



構成図を書いたあと
 構成図を1枚埋めるのにかかる時間は、10分から15分ぐらいです。慣れれば早くなりますから、最初は時間がかかってもかまいません。
 しかし、あまり長く時間がかかった場合は、その後の作文は書かずに、構成図を書いただけで作文の勉強をおしまいにしてもかまいません。
 構成図を書いたあと、作文を書く時間があるときは、次のようにします。
母「じゃあ、この構成図を見て、作文を書いてごらん」
子「うん。ここに書いてないことも書いていいの」
母「もちろんいいよ。自分で自由に書いてね」
 幼児や小学校低学年で、まだ作文の書き方がわからないときは、親が作文用紙に代わりに書いてあげます。
 そして、その作文を子供に読んでもらうか、親が読んで聞かせてあげます。
 子供が、自分でも続きを書きたいと言えば、自由に書かせてあげます。
 これが幼児や低学年の作文の勉強になります。
 小学校低中学年で、自分で作文が書ける場合は、構成図をもとにして書いていきます。
 その際、構成図に書いてあることをそのまま書いただけの作文になってもかまいません。
 模倣を繰り返しているうちに、必ず自分なりの文章を書くようになるからです。
 そして、子供が作文を書いたあとは、必ずいいところを見て褒めてあげます。
子「書けた」
母「わあ、すごい。コピーして、おばあちゃんにも送ろうか」
子「やったあ。でも、おばあちゃん、読めるかなあ」
母「きっと楽しみにしているよ」


■■絵がかければ言葉の森の作文が始められる(つづき)

なぜお話し書きが大事なのでしょうか
 小1、小2のころの学校の作文指導は、書き方の間違い直しが中心です。
 例えば、「ぼくわ」ではなく「ぼくは」と書く、文の終わりに「。」をつける、会話はカギカッコで書く、など、大人から見ればあたりまえのことのように見えますが、子供の世界では初めて知ることなのです。
 子供が普段楽しくお喋りをしているときの言葉は、「ぼくわ おとおさんに はやくいこおって いったんだよ」と、子供の耳には聞こえています。「、」や「。」やカギカッコは、耳には聞こえないのです。
 学校での初めての作文で、自分の知っている言葉のとおりに楽しく書くと、そこにたくさん×がつけられ、そこから作文嫌いになってしまう子が多いのです。
 しかも、大人にとってはそんな簡単なことと思うようなことが、子供にとってはそうではありません。「ぼくわ」を「ぼくは」と直すまでに何度も注意され、何週間もかかる子が多いのです。会話のカギカッコなどは、何度注意されても直らず1年間かかる子もいます。
 しかし、それは、注意されたから正しく書けるようになったのではありません。本を読む量が増えてくるにつれて、自然に書き方のルールになじんで、それで正しく書けるようになったのです。
 学校の初めの楽しいはずの作文の勉強を注意ばかりで始めないためには、最初から正しく書けるようにしておけばいいのです。


本の好きな子の共通点は、親も本が好き。だから、作文が好きになるには

 読書好きな子は、親も読書が好きだという調査結果があります。
 お父さんやお母さんが楽しく本を読む姿を見ていると、子供も自然に本を読むのが好きになるのです。
 だから、子供が作文を好きになるには、親が楽しそうに文章を書く姿が見られるようにするといいのです。


親子の対話で楽しく作文

 担当の先生から、毎週決まった時間に電話があります。(ご希望の時間を決めていただくことができます。)
 都合により電話を受けられないときは、その分をほかの日にふりかえることもできます。
 毎週の電話の内容は、こんな感じです。
「今日の作文は、そのときの会話を思い出して、『まるで……のよう』という言葉を使いながら、100字を目標に書いてください。」
 その電話の説明を聞いてから、お母さんが子供と楽しくお喋りをします。
 お母さんと話をしながら、いつの間にか作文を書く力がついているのです。


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