言葉の森新聞2013年5月3週号 通算第1273号
文責 中根克明(森川林)

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■■新中学1年生の5月の受講料の金額について

 4月から受講料の自動振替日が毎月5日になったことに伴い、新中学1年生の受講料が小学生の料金のままになっておりました。 そのため、新中学1年生のみ、5月の受講料で差額500円を追加させていただきました。ご連絡が遅れてしまい誠に申し訳ありませんがよろしくお願い申し上げます。


■■5.3週(5月15日~21日)の間に
学力テストをお送りします(申込みのあった人のみ)

 6月の学力テストをお申込みの方には、5月15日から21日までの間に学力テスト問題をお送りします。学力テストを申し込まれたかどうかは、「山のたより」の上部を見ればわかるようになっています。↓
「◆学力テスト6月分申込み済み(20130410)。今後の日程は、問題配布5.3週/答案締切6/1消印有効/結果返却7.1週」
 このような1行があれば、申し込まれたことになります。(「20130410」などの申込み日は人によって異なります)
 問題が到着しましたら、ご家庭でテストの時間を設定し、5月末までにテストを行い、6月1日消印有効で言葉の森まで答案をお送りください。(担当の先生ではなく言葉の森事務局宛です)
 低中学年の場合、こういうテストをするのは初めてということもあると思います。テストで評価するという姿勢ではなく、テストによって得意なところ苦手なところを把握し、今後の勉強の参考にするという気持ちで取り組むようにしてください。
 いろいろなケースが考えられますが、基本方針は明るく楽しくということでお願いします。
○子供が、「この問題できない」「わからない」と言った場合→「できなかったら飛ばしていいよ。そのできないことがわかることが大事なんだからそれでいいんだよ」と言ってあげてください。
○時間切れになって、後半の問題ができない場合→そのまま提出するのが基本ですが、あとで残りの問題もやっておき、答えが返却されたときの参考にするといいと思います。また、初めてテストを受ける子の場合は時間配分ができないのが普通ですから、お母さんやお父さんが、大体の時間配分の目安を教えてあげ、途中で時間の経過をときどき伝えてあげるといいと思います。
○教科数が多くて負担がある場合→小4のB以上は教科数が4教科又は5教科になっています。大事なのは、国語、算数数学、英語(中学生以上)ですから、それ以外の理科、社会は負担が大きい場合は取り組むことができなくてもかまいません。
○親が見て、うっかりミスや小さな間違いに気づいた場合→当然できているはずのところができなかった場合でも、そこでこまごまと注意を始めずに、今後の勉強の課題とするということに留めておいてください。作文の場合も同じですが、注意は事後にするものではなく、次の機会の事前にするようにしてください。
 学力テストの今後の日程は下記のページをごらんください。いずれの日程も、参加は自由です。
http://www.mori7.com/gakute/


■■言葉の森のホームページをスマートフォン対応に。
しかし将来のモニター画面はグーグルグラスに

 この連休明けに、言葉の森のホームページをスマートフォン対応にしました。
 パソコンの画面で見ると、横幅が900ピクセルぐらいになっているだけで変化はあまりありませんが、スマートフォンで見ると横幅が半分ぐらいのサイズになり、文字も少し大きくなります。また、縦に3列の画面が1列だけになるので、そのままずっと下まで見ていけば全部の画面が見られるようになります。スマートフォンよりも少し画面が大きいタブレット端末の場合は、スマートフォンよりももう少し幅が広くなります。
 これからのインターネット利用は、パソコンよりもタブレットやスマートフォンが主流になると思います。
 今後、ほかのページもスマートフォン対応で見やすいものにしていく予定です。
 しかし、スマートフォン対応の先にあるものは、グーグルグラスのようなウェアラブルコンピュータになると思います。
 目の前に広がる景色のような感じのモニター画面になるので、マウスやキーボードなども変わります。たぶん手袋をつけて、バーチャルな画面を手で操作するような形になるのでしょう。
 画面のサイズは、理論的には360度ですから、インターネットの世界はますますバーチャルリアリティの世界になっていきます。
 こういう世界で大事なことは、知識やお金や物や消費ではなく、自分の手で何かを作り出すことになります。
 世の中は、大きく変わるように見えますが、実は科学技術の進歩のあとに、だんだんと人間本来の姿に戻っていっているのだと思います。


◆表はウェブでごらんください。
https://www.mori7.com/mori/mori_web.php?ki=20130503#19190

■■公立中高一貫校受験の作文は言葉の森で その1

 最近、小学5、6年生から、言葉の森受講の問合せが多くなっています。公立中高一貫校で作文試験があるためだと思います。
 大手の学習塾や通信講座でも、最近作文指導に取り組むようになっていますが、それらの指導の多くは、言葉の森が昔からホームページに掲載している指導法を真似たようなものです。
 これは、国語の読解の勉強法も同じで、学習塾や通信講座でやっている、要約の仕方、読解問題の解き方、記述問題の書き方などは、言葉の森が昔からホームページに掲載しているようなものです。
 しかし、それはそれでいいのです。言葉の森は、できるだけ多くの人が利用できるように、オリジナルに作成した教材の多くをオープンにしているからです。
 ところで、教材というハードな部分は誰でも真似ができますが、実際の指導というソフトな部分では、伝えにくいノウハウがあります。
 特に、作文の勉強は、他の教科の勉強と違い、「書き方がわからない」「なかなか書き出せない」「途中でどう書いていいかわからなくなった」「時間がかって終わらない」「一応書けているが物足りない気がする」「書き方を注意したら書かなくなった」など、勉強の中身ではなく勉強の周辺で解決しにくい微妙な問題が次々と出てきます。
 そのときに役立つのが電話指導です。また、言葉の森では、担当の先生からの電話だけでなく、事務局でも随時電話相談を受け付けています。
 事務局に相談するのは、お母さんが、どう対処していいかわからなくなってということが多いのですが、そういう難問のほとんどは、簡単なアドバイスで解決してしまうことが多いのです。
 本当は簡単に解決できることを時間をかけてこじらせて、親子でくたびれているケースが意外と多いのです。
 そこで、4月から、体験学習中の生徒の保護者と、入会したばかりの生徒の保護者に、事務局から、授業のあとの電話のフォローを入れることにしました。その電話フォローで改めてわかったことは、どの家庭も作文の勉強のさせ方で、共通して勘違いしたやり方をしてしまうことが多いということです。
 どんなことがあるかというと、まず、子供の書いた作文のおかしいところを、すぐに注意したり直したりしてしまうことです。
 直して上手になるぐらいなら、誰でも簡単に作文指導ができ、日本中の子供たちはみんな作文が得意になっているはずです。ところがその反対に、作文指導に熱心な先生が教えるほど、作文の苦手な子が増えてしまうのです。
 直せば上手になるというのは、作文の勉強の勘違いのいちばん大きいものだと思います。(つづく)


■■作文も、日記も、小論文も同じ

 5月10日のfacebook記事に、次のようなことを書きました。「作文も、日記も、小論文も同じです」。
 このことについての説明です。
 以前、中学生でよく書けている生徒が、初めて行った塾で作文を書き、その塾の先生から、「これでは、小論文ではなく作文だ」と言われてショックを受けたという話を聞きました。
 こういうことを言う先生がときどきいるのです。
 言っていることは、大体推測できます。つまり、実例が豊富に書かれているので、「実例中心の文章=作文」と見なされてしまったのです。
 では、その塾の先生の言っている小論文とは何かというと、「説明と意見中心に書かれている文章=小論文」ということなのです。
 文章には、構成と題材と表現と主題があります。そのほかに、正しい表記の仕方というのもありますが、これは誰でも同じようにできるようになるので、個性の違いは、構成、題材、表現、主題の違いとして表れます。
 人に見せる文章で、ひとまとまりの構成があって、自分らしい題材(実例)が使われていて、表現の工夫があり、ひとつの主題でまとめてあれば、それがいい文章です。そこに、作文、日記、小論文の区別などする必要はありません。
 日記であっても、その日の出来事を時間どおりに書くという構成があり、その中に自分らしい事実が書かれていて、気持ちよく読めるような表現が工夫されており、その日に感じたことをわかりやすく伝えたいという主題があれば、それはいい文章なのです。「これじゃあ、日記でしょ」「はい、そうです」。それでいいのです。
 文章力を育てていれば、作文でも、日記でも、小論文でも同じように上手に書けます。
 大事なのは、文章を書くことを通して、構成、題材、表現、主題を深め広げる力をつけることです。
 子供が一生懸命書いていれば、それをたくさん褒めて、その文章力を伸ばしていくことが大事なのです。
「5月10日のfacebook記事より」
http://www.facebook.com/kotobanomori
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 人間には、もっといろいろなことを学んで成長したいという気持ちがあります。
 植物に水をやるように、その気持ちを育てていけばいいのです。
 そのためには、その子のやっていることを認めて褒めてあげることです。
 今、地表に出ている葉や花がどうであろうと、根をしっかり張ってさえいれば、やがて時期が来て大きく成長しはじめるのです。
 作文の勉強を見ていると、そういうことをよく思います。
 子供がお母さんに作文を見せたとき、
「わあ、よく書けたね。すごいね。ここがいいね」
などと、手ばなしで喜んであげれば、子供は親に毎回作文を見せるようになります。
 そして、どんどん上手になっていきます。
 褒めるだけでは物足りなかったら、親の似た話を楽しくしてあげればいいのです。
「お母さんも、小学校のとき似た話があったよ。それはね……」
という感じです。
 ところが、こういう接し方とは反対に、こんなふうに言ってしまうお母さんやお父さんも多いのです。
「書けた? 見せてごらん。うーん、まあいいんだけど……」
 このあと、
「この字が違っている」「ひらがなが多い」「字がきたない」「この文がおかしい」「つながりが変」
などと、次々とアドバイスをしてしまうのです。
 塾の先生も同じです。
 子供が作文を見せたとき、
「これじゃあ、作文じゃなくて日記でしょ」とか、「これは、作文であって小論文ではないよ」とか、意味不明のことを言ってアドバイスする先生が結構多いのです。
 作文も、日記も、小論文も同じです(笑)。
 人間は引っ張られて成長するのではなく、毎日の水やりによって自然に成長していくのです。


■■作文採点ソフト「森リン」の思考語彙の点数を上げるには

 小学校6年生の子生徒のお母さんから、森リンの点数についての質問がありました。表現語彙はとても高いが、思考語彙が少ないために点数がなかなか上がらないということです。
 これは小中学生であれば、多くの人が感じていることだと思います。森リンは大学入試の小論文の評価に合うように作られているので、作文に書くテーマ自体が難しいものであることを前提にしています。すると自然に、作文の中に、実例だけでなく、その実例の裏付けになる説明や考えを書くようになってきます。
 ですから、今、小中学生で思考語彙の点数が低い人でも、課題がこれからだんだん難しくなり、その難しさに合わせた文章書いてると自然に思考語彙の点数が上がってきます。
 言葉の森の「森リンの丘」というサイトに、小学校1年生から高校3年生・社会人までの代表作品が学年別に載っています。(ただし、小学校4年生までの作品は、上手な作品を掲載すると、そのことによるマイナスの方が大きいため今は載せていません。お母さんやお父さんが、子供に、「こういうふうに書いてみなさい」と言うことが多く、ほとんどの子供がそれによって劣等感を持ってしまうからです。)
 ここで、高学年や中学生、高校生の作文を見ると、森リンの点数がどういうふうに上がっているかが分かると思います。
 思考語彙の点数を上げるコツは、実例だけでなく説明や意見を書くことです。ですから、接続語や助動詞の使い方が大事になってきます。
 接続語いうのは、「例えば」「しかし」「だから「すなわち」「したがって」「言い換えれば」「つまり」「わかりやすく言えば」など、自分の書いた文章を、別の言葉で言い換えるような内容を書いていくことです。
 助動詞というのは、「だろう」「に違いない」「かもしれない」「のはずだ」などの言葉です。思考語彙というと、「思う」とか「思った」という言葉を考えがちですが、森リンの点数は、同じ語彙は1種類として数えるので、「思う」がたくさん使われていても思考語彙が増えたことにはなりません。いろいろな言い方で自分のい考えた内容を表していくのが大事です。
 ところで、森リンの点数を上げる上でいちばん大事なことは、やはり難しい文章を読むことで、自然に難しい語彙を使えるようになることです。
 個々の作品んついては、点数が高かったり低かったりしますが、年間を通してみると、真面目に勉強している生徒は、必ず右肩上がりに点数が上がっていきます。
 以前、ひとりずつの生徒に、その棒グラフをフラッシュで表示していたのですが、フラッシュの使用をやめたので、いまはその棒グラフが表示されていません。今後、html5のグラフ機能で、各人の作文の進歩が一目でわかるようにしていきたいと思っています。


■■タブレットパソコンと手書き入力の利用の意義

 タブレットPCを使った作文教育の利点について考えてみました。
 第一は、図や絵を同時にかけるということです。文章を書く前に、自分がやこれから書こうと思うことを図示できるように考えておくことが大切です。簡単なメモのようなものであっても、事前に全体の構成を考えて書き出すのと、何も考えずに書き出すのでは文章のまとまりに大きな違いが出てくるからです。そのときに、手書きが役に立ちます。
 第二に、手書き入力をして、その手書きの文字を文字認識する形で書いていくと、自然に読みやすく丁寧な字を描くようになります。字の丁寧さは、人間が「丁寧に書きなさい」と何度も言ってもなかなか直らないのが普通です。しかし、機械が丁寧に書かれた文字しか正しく認識しないということになれば、子供は自然に丁寧に書くようになります。
 第三に、漢字を覚えるようになることです。手書きで書いた文字を変換すると、漢字の候補が出てきます。これまでは書けない漢字があると、人に聞くか辞書で調べるかしかありませんでした。手書き入力した文字を変換するのであれば、手間をかけずに自分の書こうとする漢字を調べることができます。(つづく)


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