言葉の森新聞2014年12月3週号 通算第1350号
文責 中根克明(森川林)
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■■新学期の教材を発送します
新学期の教材を12月16日(火)~19日(金)に発送する予定です。
国内の生徒で25日になっても届かない場合はご連絡ください。
住所シールも同封します。
■■12月23日(火)と1月1日(木)2日(金)3日(土)は休み宿題
12月23日(火)と1月1日(木)2日(金)3日(土)は、休み宿題です。先生からの電話はありませんが、その週の課題を自宅で書いて提出してください。先生からの説明を聞いてから書きたいという場合は、別の日に教室までお電話をして説明をお聞きください。(平日午前9時-午後7時50分。電話0120-22-3987)
電話の説明を聞かずに自分で作文を書く人は、ホームページの「授業の渚」か課題フォルダの「解説集」を参考にしてください。
課題の説明の動画「授業の渚」 http://www.mori7.com/nagisa/
オープン教育の掲示板「森の予習室」に学年別の予習のヒントが載っています。
■■切手や宛名シールの貼り忘れがないようにお願いします
作文の郵送の際、切手や宛名シールが貼られていないケースがときどきあります。
ポストへの投函の前に、保護者の方がご確認くださるようお願いいたします。
なお、先生からの作文返却の際に、切手が貼られていなかったというケースもごくたまにですが、あると思います。その場合は、事務局までご連絡ください。お詫びの粗品をお送りいたします。
■■【重要】受験コースの作文、最終チェック
受験コースで作文の勉強に取り組んでいる生徒のみなさんの作文を、言葉の森事務局で最終チェックをします。
1人につき、これまでの作品を2編まで、ファクスでお送りください。今後生かす点、直す点などをアドバイスします。
ファクス受付期間は、12月28日まで。(FAX 0120-72-3887 番号を間違えないようにお願いします。)
アドバイスは、次のように行います。
送っていただいたファクスの作文に赤ペンを入れ、その赤ペンの解説をyoutubeの限定ページにアップロードします。
その限定ページのURLをその生徒にメールでご連絡します。(その限定ページは後日削除します)
ファクスの作品には、受け取り可能なメールアドレスも併記しておいてください。
※本当は電話でアドバイスをしたいところですが、今回は受験コースの生徒が多く時間的に無理があるため、動画のアップロードで対応させていただきますのでご了承ください。
■■寺子屋オンエアの体験学習生徒を募集中
寺子屋オンエアは、自宅での家庭学習をgoogleハングアウトオンエアとskype(スカイプ)でチェックする仕組みです。
対象は小1~中3。時間は1時間程度ですが、自分で参加時間を決められるので、早く終了することもできます。時間帯は、月~金の16:00~20:00の間で、週に何回でも参加できます。
ウェブ会議のような形で行うため、参加するにはかなり敷居が高い感じがすると思いますが、慣れるまでわかりやすく説明しますのでどなたでもできるようになります。
必要な環境は、ネットにつなげるパソコンだけです。
教材(国語)、ウェブカメラ、ヘッドセットなどの備品は、言葉の森から無償で貸与します。
現在、のべ80人の人が体験学習を行っていますが、まだ多少席に空きがあります。
詳細を希望される方は、ご連絡ください。詳しい案内をお送りします。
http://www.mori7.com/teraon/
ただし、空席はもうあまりありませんので、ご希望の時間帯の体験学習をするには、しばらくお待ちいただくようになるかもしれません。(将来はもっと参加できる時間帯を増やす予定です。)
http://www.mori7.com/teraon/aki.php
■■寺子屋オンエアのよいところ
自宅で自分で計画を立てて勉強するのが、最も能率のよい勉強法ですが、ひとりで又は親子だけで勉強していると、集中して勉強を続けるのが難しくなってくることがあります。
寺子屋オンエアで勉強をすると、先生とのやりとりがあり、ほかの生徒の勉強している様子も見られるので、自然に意欲的に勉強するようになります。
寺子屋オンエアでは、国語の問題集読書、算数数学の問題集、英語の問題集、読書、入試問題集読書などに取り組んでいます。
■■作文検定の今後はウェブを利用する形で
これまで作文検定試験というものを、通学教室で実施してきました。
しかし、通信の生徒はなかなか教室まで来て参加することができないので、作文検定模試という形で行っていました。
通信では、なぜ正式の作文検定試験ができないかというと、時間制限をすることができないからです。
そこで、今回は、試験的に、グーグルハングアウトを使った作文検定試験をウェブで実施することにしました。
グーグルハングアウトを利用している人は、今はまだほとんどいませんから、実際に参加できる人もほとんどいないと思います。
しかし、将来のことを考えると、このウェブを利用した勉強というものが、もっと身近になってくるだろうと思います。
アメリカのMOOCでは、既に、ウェブで正式の評価認定をする仕組みが作られています。こうなると、かなり近い将来(だと私は思いますが)、入試による定員制というものはなくなっていきます。
今、受験勉強が重箱をの隅をつつくような本筋からはずれたパズル的なものになり、受験用の訓練をしないと合格できないようになっているのは、限られた定員の枠に多くの受験生が殺到するためです。
ちょうど、中国のかつての科挙の試験のように、当初は意義ある受験勉強であったものが、時代が下るにつれてかえって本当の能力のある人をはじきだすような試験になったのと同じことが今起こりつつあるのです。
しかし、今後、ウェブでの授業、ウェブでの評価というものが容易にできるようになれば、定員制というものは自然になくなります。しかも、入学試験のような短時間の評価がなくなるかわりに、実際の勉強の過程でその人の能力の評価が行われるので、評価自体はもっと実態に合ったものになっていきます。
言葉の森でも、これから、もっとウェブを利用しやすい形にして、勉強できる環境を整えていきたいと思っています。
■■自習検定を更に本格的に
言葉の森では、子供たちの家庭での自学自習の助けになるように、手に入りやすい市販の教材を利用した自習検定試験を進めています。
また、この自習検定とは別に、寺子屋オンエアという形で、子供たちの家庭での勉強をモニターできる仕組みを作っています。
勉強力をつけるするコツは、同じ教材を同じように繰り返して毎日勉強することです。ところが、この「同じこと」を「毎日」というのが、なかなか実行できません。
多くの人は、いろいろな教材に次々に取り組み、曜日によって習い事が違うので勉強の中身もそのつど異なるような勉強をしがちです。そのため、時間がかかるわりに実力がつかない勉強スタイルの子供たちが増えています。
豊かな社会では、「物」から「事」に重点が移っていきます。勉強に関しても、物としての教材は、もう既に優れたものがふんだんにあります。しかし、それからの教材を使って、どう勉強するかという勉強の仕方、つまり「事」がまだ不十分なまま勉強している子が多いのです。
自習検定というものは、一種の「物」です。毎月定期的に試験があるといっても、その試験に取り組むための家庭学習をどう続けるかという「事」が対応していなければ、試験という「物」は活用できません。
しかし、現在、寺子屋オンエアという形で、勉強の仕方である「事」を教える仕組みができるようになりました。
今後は、毎日の家庭学習の仕方を教えるとともに、自習検定という形で家庭学習の目標を作るというシステムができるでしょう。
言葉の森で、作文力、国語力をつけるとともに、全教科の学力もつけられるという勉強の仕方を提案していきたいと思っています。
■■受験直前でも国語の成績は上げられる
もう12月ですから、受験生は最後の追い込みの時期に入っていると思います。
受験前は、親も子も神経過敏になりますから、特に親の態度が重要です。真剣な中にも穏やかな態度で、子供に安心感を持たせるように接してあげてください。
この時期はいろいろと焦ることも多いはずですが、原則として新しいことはやりません。これまでの勉強を信じ、これまでにやってきたことを繰り返すことが勉強の中心になります。
ただし、国語の読解力については、消去法という選択の仕方を実際にやってみると、すぐに成績が上がるというケースが毎年よくあります。
つまり、そういう勉強の仕方を頭ではわかっていたかもしれませんが、実際にやったことがない人が多いのです。
言葉の森のこれまでの記事で、国語の勉強法とその消去法についてまとめて載せたものがありますので、再掲します。参考にしてください。
もとの記事は、国語の勉強法(その1)、(その2)、(その3)となっていますが、実践に役立つように、「その3」の方を先に掲載します。
国語の選択肢の問題を解くときに大事なことは、勘や感覚で解くのではなく、すべて理詰めで解くことです。この理詰めの解き方は、英語の選択肢の問題でも全く同様です。
しかし、国語の問題の中には、親がある程度考えても理詰めで説明できない問題があります。そういう問題は、できなくても合否に影響しないと考えておけばいいのです。
■国語の勉強法(その3)
それでは、実際の国語の問題を見てみましょう。
2004年のセンター試験国語1の評論文の最初の問題です。
--略--
学問とは人が何かについて問い、(他の人から学ぶことを含みつつ)答えを得ようとする活動である。その答えは当然ながら当の何かについての知識の資格で求められ、知識からは、問うた人、それから答えるために考えたり観察したり実験をしてみたりした人の活動は消えさせられている。或る事柄についての知識とは、その事柄の在るがまま、すなわち人がそれを知ろうと知るまいと無関係にそれ自身として在るがままの発見の内容であり、従って、知識をもたらした人は、それを発見した、知ったという関わりの後では、知られた事柄だけを自分とは独立のものとして残して知識の中身からは消え去る、こういう建前がある。そうして、様々な学問の対象とは、それについて知識の獲得が目指される相手であり、知ろうとする人の向こう側に位置する何かである。ところが(A)哲学では事情が違う。
何かについて問い、答えを得ようとする活動である点で、それは諸学問に通ずる。けれども、哲学では、問う人、答えを得る人が消去されることは決してない。なぜなら、哲学のイトナみにおいて人は必ずや己との関わりにおいて何かを問うからである。そして、それゆえにまた、哲学では、己とはその何かとだけでなく諸々の一切のものと関わって生きている存在である限りで、何かを中心に問いつつ一切を問題にするよう誘われる。対象が限定されないのである。
--略--
問2、傍線部(A)「哲学では事情が違う」とあるが、どのように違っているのか。その説明として最も適当なものを、次の1~5のうちから一つ選べ。
1、一般に学問では対象についての知識を得ることが重要であるが、哲学の場合は、それだけでなく対象へのアプローチの仕方をも人々に説得できることが重要である。
2、一般に学問では知る側の活動を消去して対象についての知識を得ようとするが、哲学の場合は、自分とのかかわりにおいて問いを立てつつ、一切の対象を問題にする。
3、一般に学問では対象と自分とのかかわり方をより望ましい方向へ持っていくために知識が求められるが、哲学の場合は、自分とは独立したあるがままの知識が求められる。
4、一般に学問では特定の対象と自分とのかかわりを知るために考えたり観察したりするが、哲学の場合は、対象を限定せず自分とかかわる一切のものを知るために考えたり観察したりする。
5、一般に学問では知ろうとする人の向こう側に知られるべきものがあると考えるが、哲学の場合は、知ろうとする人が自分自身を知ることを目的として問いを立てる。
問題文自体が悪文です。もっと易しく分かりやすく書ける内容を、このように分かりにくい言い回しで書いているので、国語の問題として取り上げられたということです。
このような文章を問題として出さないと点数の差がつけられないというところに、現在の国語試験の末期的症状があります。
さて、傍線(A)の「哲学では事情が違う」の内容は、このすぐあとの段落に書かれています。
五つの選択肢のうち、どれを取っても、それ自体の内容としては間違っているとはっきり言えるものはありません。すべて、問題文との関連で正しいかどうかが決まるということです。
実際の問題文は、ここに載せた文章の6、7倍あります。普通の高校生でこういう文章を読むと、大体最後の方には意識が朦朧(もうろう)としてきます。設問を見て、問題文を読み直す気力が失せた状態で選択問題を解くので、合っていそうなものに○をつけてしまうのです。
設問を一つずつ見ていきましょう。
1は、「哲学の場合、対象へのアプローチの仕方を説得できることが重要」などとどこにも書いていないので×です。
2は、特に間違っているところはないので保留です。
3は、「学問は自分とのかかわり方をより望ましい方向へ持っていくために知識を得る」などとどこにも書いていないので×です。むしろ、その反対のことが書かれています。
4は、「学問は、自分とのかわわりを知るために考える」などとどこにも書いていないので×です。これも、その反対のことが書かれています。
5は、「哲学は、自分自身を知ることを目的として問いを立てる」などとどこにも書いていないので×です。これは、この設問自体について言えば、合っているとも合っていないとも言えませんが、問題文との関連で当てはまらないということです。
したがって、正解は、特に間違ったことを言っていない2ということになります。
国語の選択問題はすべてこのような発想で解いていきます。ですから、難しいことは何もありません。ただし、大量の文章をこのように読みこなしていくためには、まず問題文自体をすらすらと読める力が必要です。そのためにも、問題文を繰り返し読む勉強法が有効なのです。
■国語の勉強法(その1)
「国語の力をつけるためにはどうすればいいのですか」という質問をよく受けます。
私は、これまでずっと、そういうことは国語の専門の塾で対応しているのだと思っていました。しかし、いろいろな人の話を聞くと、国語専門の学習塾というのはほとんどないようです。
また、これは、学習塾関係者の話ですが、英語や数学は成績を上げることができるが、国語は成績を上げることができない。せいぜい漢字の力をつけるぐらいだが、塾という看板の手前、国語も一応教えることにしているということでした。
国語の力をつけることは、実は難しくありません。しかし、学習塾などで授業として行うような形の勉強には向いていません。国語は主として家庭学習の中で力をつけていくものです。言葉の森でも、国語の勉強を直接教えるわけではありません。しかし、勉強の方向は自習という形でアドバイスをしています。このアドバイスを実行した子は確実に力がついてきます。
(つづく)
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