言葉の森新聞2015年9月1週号 通算第1384号
文責 中根克明(森川林)
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■■【重要】9月1週は次学期の進度の参考にする実力試験
9.1週は、7月からの勉強の実力を見て、10月からの進度の参考にする実力試験として行います。
ただし、7月以降に受講を開始された方は、9.1週の試験の結果にかかわらず原則として自動進級します。
【課題】 課題は9.1週の作文又は感想文の課題です。
【評価】 課題フォルダの構成・題材・表現・主題の★印と字数が全部できていることが評価の基準になります。(表現の項目などで二つ以上の項目が指定されている場合はどちらかができていればその項目は◎です)。キーワードと字数が採点の基準ですので、指定された字数以上で必要な項目が全部入る作文を書いてください。項目を入れたところには、項目マークを必ず書いておいてください。【時間】 時間制限はありませんが、参考のためにかかった時間を作文用紙に記録しておいてください。時間は、課題を見てから書き終えるまでの時間です。作文検定試験(後述)では、時間制限も条件になります。
【締切】 作文実力試験の提出締切は、9月8日ポスト投函までです。
■■【重要】9.1週の作文はファクスでも受付
9.1週に限り、ファクスによる提出も受け付けます。ファクスでの提出期限も9月8日です。ただし、ファクスで提出をする人は、事前にメールアドレスを登録しておいてください。
1、ファクスが正常に送信できているかどうかは、24時間以内にメールと検索の坂で連絡をします。正しく送信できたかどうかを必ずご確認ください。
2、連絡用のメールアドレスは、検索の坂の「ペンネーム 変更」というところで登録できます。既にメールアドレスが入っている場合は、そのアドレスが登録されています。
3、ファクスで送られた作文は、作文の丘にJPGでアップロードされます。作文の返却はありませんが、添削された作文は山のたよりに表示されます。
■■上田渉さんの「勉強革命」読んで――物語文と説明文の読解(つづき)
論説文の解き方については、上田さんは、フレームワークにあてはめて読むということを述べています。そこで述べられているフレームワークは、帰納法、演繹法、弁証法です。
実は、言葉の森の作文の勉強がこのフレームワークです。
例えば、帰納法は、複数の実例から一般化した主題でまとめるという小6相当の課題です。学年こそ小6相当となっていますが、この構成は、大学入試でも、社会に出てからも充分に使える枠組みです。
演繹法は、ある意見からその理由を複数挙げ、その理由の裏付けとなる実例を書くという中1相当の意見文の書き方です。この演繹法は、取り上げる意見の方向性によって、展開の部分が変化します。中1相当は複数の理由ですが、中3と高1は方法、高2は原因、高3は対策となります。
この、理由、方法、原因、対策という構成の仕方を身に付ければ、どのようなテーマの小論文も、理路整然と書くことができます。言葉の森の受験作文小論文のページには、現在2000件以上の解説が載っていますが、このほとんどがすべて小6から高3までに習う構成の仕方で書かれています。
しかし、もちろんフレームワークだけがあっても、上手な小論文が書けるわけではありません。大事なのは、フレームワークに入れる中身で、その中身は問題集読書のような難読を続けることで身につきます。
さて、帰納法、演繹法に続く第三のフレームワークは弁証法です。
言葉の森の作文では、これは中2の構成の仕方で、複数の意見から総合化した意見を生み出すという書き方です。
大事なポイントは、単なる折衷案の意見にならないようにすることですが、これがかなり難しいのです。うまく決まれば素晴らしい作文が仕上がりますが、うまく決まらずに折衷案でまとめてしまうと、竜頭蛇尾の印象になってしまいます。難しいだけに、考えがいのある書き方です。
作文の書き方で構成を意識していると、文章を読み取ったり、複雑なテーマをまとめたりするときも、構成的に考えるようになります。
だから、言葉の森で勉強をしていると、読解力、作文力だけでなく、会議の司会などする力もついてくるのです。
■■言葉の森の先生の話のあとはよく書けるのに、学校ではうまく書けないというケース
先日、中学1年生の生徒のお母さんから相談がありました。
「言葉の森の勉強では、よく書けるのに、この前、学校の宿題の感想文を自分で書いたというのを見たら、とてもひどい出来で驚いた」と言うのです。
こういうことは、小学生の場合は、もっと頻繁にあります。
言葉の森で先生が書き方を説明したあとに書く場合は、構成や表現を意識して書くので上手に書けます。しかし、そういう目当てがないところで、自由に作文を書くとなると、言葉の森で勉強したことがまだ一般化された形で自分の中に蓄積されているわけではないので、昔ながらの書き方に戻ってしまうのです。
しかし、実力というのは、目標が与えられたときにその目標が達成できるということですから、これで充分実力がついています。言葉の森で勉強したことが自分なりの書き方として定着し、必要に応じて書けるようになるのは、勉強の自覚ができる中学3年生ごろからです。
中学1年生のころは、まだ意識的に書くということができないのです。
昔、真面目に言われたとおりにしっかり書ける小6の生徒がいました。その生徒が、修学旅行の作文を学校で書いたというので見せてもらうと、中心を絞って書くどころか、「朝起きてから夜寝るまで」の感じで、あったことをそのままずらずらと書いているだけでした。構成の意識も、表現の工夫もありません。言葉の森で勉強している成果としては、何しろ長く早く書けたということぐらいだったのです。書く前の事前のアドバイスが10分もあれば、もっといい作文を書ける子なのですが、事前指導がないと、昔に戻って書いてしまうのだということがよくわかりました。
また、東大の理学部と早稲田の政経学部に進んだ2人の生徒ですが、2人も小学校低学年から言葉の森で勉強をしていました。その子たちの中学1年生のころに書いている作文は、ごく平凡なものでした。構成も表現項目も意識して書いているので、一応はしっかり書けています。しかし、切れ味のよさがないのです。
ところが、そういう曖昧なことで評価しては、ただ自信をなくすだけです。だから、構成と項目と字数ができていることを毎回褒めていました。
作文の勉強は週1回ですから、毎回、難しい長文を読みます。欠席もほとんどなく、毎週長文を読んで書いているうちに、高校生ぐらいになると、「これはうまい」というような作文がだんだんと書けるようになったのです。
作文の勉強は、気の長い勉強です。数学や英語の勉強であれば、短期間の集中学習で成績を急上昇させるということはあり得ます。だから、受験前の夏休みは、この急上昇の機会なのです。
国語の読解力についても、比較的短期間で成績を急上昇させることはできます。しかし、難しい文章を読み取る力と、上手な作文を書く力は、かなり長い時間をかけて成長するものです。だから、作文の勉強をしている間は、書かれたものはいつでもよいところを見て褒めてあげ、その一方で読書と長文音読を気長に続けていく必要があるのです。
この気の長い勉強に我慢できず、子供の作文の欠点をすぐに直そうとすると、作文の勉強は続かなくなります。
学校で書いた作文がうまく書けていようがいまいが、そういうことには気をとらわれず、言葉の森で毎週書いている作文の字数と項目ができているかどうかだけをしっかり見て、毎日の音読と、そしてできればその音読をもとにした親子の対話に力を入れていくといいのです。
■■勉強の王道は、家庭学習の自学自習
言葉の森は、教育を通して日本の社会をよくしていきたいと考えています。だから、子供たちの勉強についても、正攻法で実力をつけることが中心です。
特殊な裏技で、その生徒だけ、そのテストの成績だけをよくするというようなことはあまり考えていません。もちろん、受験のときにはそういうテクニック的なことも話すことがありますが。
ときどき、保護者の方から、「宿題の感想文を見てください」などという依頼がありますが、見ると言っても誤字を直す程度の見方です。普段の勉強で感想文を書くための実力をつけることが第一であって、目の前の宿題に間に合わせるようなことは、本来必要のないことだからです。
さて、本当の実力をつけるための最もよい方法が家庭学習です。1冊の問題集なり参考書なりを、家庭で毎日同じように勉強し、その1冊を何度も繰り返して完璧に自分のものにするというのが勉強の王道です。
算数数学の場合は、学年が上がると、問題集の解法を見ただけではわからない場合があるので、そのときだけ質問できる人(先生でも親でも)がいればいいのです。
ところが、現在は多くの子供たちが、この王道からはずれた勉強の仕方をしています。その第一は、いろいろな教材をとっかえひっかえ勉強することです。
先日、「こんなハズじゃなかった、中学受験」という本を読みました。その本によると、塾で配られたテキストが、1年間とちょっとで、2リットルのペットボトルが6本入る箱で10箱になっていたそうです。
この塾は、中学受験で有名な塾ですが、ここに通う子どもたちは、こんな能率の悪い、ある意味で最悪のやり方にもかかわらず合格する力があったということです。テキストがもっと少なく、同じテキストを繰り返す形の勉強であったら、もっと楽に力がついていたはずです。
王道から外れた第二の勉強の仕方は、先生に教えてもらうという受け身の勉強になっていることです。
教える形の勉強だと、先生はできるだけ面白おかしく、中身のある話をわかりやすく教えてくれます。そういう授業を受けると、確かに得をしたような気がします。しかし、その面白い授業の中には、自分が勉強する必要のない無駄な部分がかなりあるのです。ある意味で、その無駄の部分が面白さの中身なのです。
ひとりで勉強していれば、必要なことだけを身につけられます。人に教えてもらうと、必要のないことまで聞いていなければなりません。だから、教わる勉強は、時間のかかる無駄の多い勉強なのです。
さて、多すぎる教材、教えすぎる先生という環境から離れて、ひとりで自分のペースで勉強できる子というのは、実はあまりいません。いるとすれば、それば親の教育方針がはっきりしている子か、本人が高校生になって自分で自覚的に勉強するようになった子かのどちらかです。
いずれにしても、家庭で、自学自習を中心にして勉強できる子は少数派なのです。
しかし、この少数派は、多数派の子供たちに比べて多くの面で有利です。第一は、もちろん実力がつくということです。第二は、勉強の時間が短時間で済むので読書や趣味の時間もたっぷりとれるということです。そして、第三は、自分で工夫して勉強した子は、最初こそ試行錯誤の遠回りもありますが、やがて自分の勉強法を確立すると、同じやり方で、大学に入ってからも、社会に出てからも、自分のペースで勉強を続けていけるようになるということです。
■■インターネットを家庭学習のインフラに
社会全体で考えると、日本の子供たちはきわめて無駄の多い勉強をしています。そして、そういう無駄が多いから、勉強しない子は全くしなくなってしまい、勉強する子は勉強以外の人間力や文化力を育てることができなくなっているのです。
戯画的に言えば、勉強という餌を、埋まるほど大量に与えられたブロイラーの中で、最初から諦めて餌を食べないニワトリがいる一方、餌だけを食べ続けて胃袋だけが大きくなったニワトリが生まれているという状態です。
こういう日本の教育の現状を変える道は、よい先生とかよい教材などではなく、よい家庭学習をすることなのです。
これまでは、この家庭学習は、親に任されていました。親と言っても、誰でも人生の中で親になるのは初めてなので、最初から家庭学習を上手に進められる人などいません。
子供が小学校低学年のころは、教える内容もすっかりわかるので、家庭学習で充分にできますが、子供のが学年が上がり、小4や小5になると、親も不安になってきます。そこで、塾に任せる形になってしまうことが多いのです。
また、今は、いろいろな教材が発達しているので、子供が小学校低学年のうちから、通信教材をそのままやらせてしまう人もいます。
通信教材をそのまま勉強するというのは、多くの場合、塾に通うことと同じで、次々と新しいテキストをこなしていくことにしかなりません。
勉強は、同じものを繰り返すことによって定着するのですが、通信教材で同じものを繰り返すという仕組みを作るのはかなり難しいのです。(「でき太くんの算数クラブ」は、この繰り返すという仕組みを作っている数少ない通信教育だと思います。)
ところが、この家庭学習の切り札となるものがありました。それがインターネットです。
昔、岸本裕史さん(「見える学力、見えない学力」の著者)が行っていた家庭塾は、近所の子どもたちが、持ち回りで誰かの家庭に集まり、その家庭のお母さんかお父さんのもとで勉強するというやり方でした。
勉強は、誰かに特別に教わらなくても、このような自学自習で充分にできるようになります。
しかし、今は近所の子供たちが集まろうにも集まれる子供たちがまずいません。ほとんどの子が塾で勉強するスタイルになっているので、家庭で勉強するということが主流にならないのです。
話は変わりますが、増田悦佐(えつすけ)さんは、「高度成長は世界都市東京から」の中で、人口密度の高さが、さまざまな新しいサービスを可能にすると述べています。
確かに、昔、作文教室などというサービスは、首都圏でしか成立しませんでした。昔は、言葉の森の生徒も、ほとんどが東京、神奈川、大阪などに限られ、東北地方や九州地方にはほとんど生徒がいないという時期があったのです。今でも、例えば占い業などという仕事が成立するのは、人口密度の高い都会だけです。人口密度の高さがなければ、新しい面白いサービスは生まれないのです。
ところが、では最も人口密度の高い場所はどこかと言ったら、それは現実の世界では東京などになるでしょう。しかし、インターネットの世界では、人気のあるサイトが、人口密度の高い場所になるのです。
家庭塾という古くて新しいサービスも、現実の地域ではまだ成立しにくいかもしれませんが、インターネットの世界では賛同する人が大勢います。
そこで、言葉の森が開発したのが、寺子屋オンエアというシステムです。これは、子供たちの毎日の家庭での自学自習を、インターネットでバックアップ(支援)する仕組みです。
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