言葉の森新聞2017年6月1週号 通算第1469号
文責 中根克明(森川林)

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■■【重要】6月1週は次学期の進度の参考にする試験(再掲)
 6.1週は、これまでの2ヶ月間の勉強の実力を見て、次の学期からの進度の参考にする実力試験として行います。
 ただし、今学期から受講を開始された方は、実力試験の結果にかかわらず原則として自動進級します。
【課題】 課題はその週の作文又は感想文の課題です。
【評価】 課題フォルダの構成・題材・表現・主題の★印と字数が全部できていることが評価の基準になります。(表現の項目などで二つ以上の項目が指定されている場合は、どちらかができていればその項目は◎です)
 キーワードと字数が採点の基準ですので、指定された字数以上で必要な項目が全部入る作文を書いてください。項目を入れたところには、項目マークを必ず書いておいてください。
【時間】 時間制限はありませんが、参考のためにかかった時間を作文用紙に記録しておいてください。時間は、課題を見てから書き終えるまでの時間です。作文検定試験では、時間制限も条件になります。
【締切】 作文実力試験の提出締切は、6月8日ポスト投函までです。


■■入賞する楽しさよりも、表現する楽しさを
 本日は、午後1時半より、インターネット上でプレゼン作文発表会を行います。
 この発表会は、全員に豪華な参加賞が出ます。
 この日は、学校の運動会と重なってしまった人が多かったため、動画だけの発表の人もかなりいましたが、その人たちにももちろん参加賞が出ます。
 発表会というと、優秀作品を選び表彰するようなことがよく行われていますが、言葉の森の発表会は特にそういうことはせず、全員が同じ参加賞で、それぞれの発表そのものを楽しむ会にしたいと思っています。
 言葉の森を長年やっていた生徒に共通するのが、書くことに抵抗がなくなったということと、書くことが好きになったということです。
 最初は苦手だった子も、長年やっていると、表記のミスなども自然になくなり、自分の書いたものをみんなの前で発表することが抵抗なくできるようになるのです。
 これをもし、間違いを早く直そうとしたり、上手な子を表彰したり、その上手な作文をみんなに見せてほかの作文と比較したり、ということをすれば、確かに一部の子は短期間で上達します。
 しかし、大部分の子は作文が苦手になり、書くことに抵抗感を持つようになってしまいます。
 作文指導に熱心な先生に教わるほど、そのクラスで作文が苦手な子が増えるというのは、こういう事情があるからです。
 だから、私は、作文発表会を、たとえはちょっと変かもしれませんが、盆踊りのようなものと考えています。

 盆踊りでは、踊りに慣れている人も、慣れていない人も、それぞれ自分なりに楽しく音楽に合わせて踊ります。
 誰がうまいとか、誰が下手だとかいう比較をしたり評価をしたりする人はいません。
 それよりも、自分なりに表現すること自体が楽しいのです。
 このプレゼン作文発表会は、今度の読書作文キャンプでも行います。
 発表は初めてという人も多いと思いますが、すぐにみんなの雰囲気に慣れると思います。
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勝つための習い事から、楽しむための習い事へ――スポーツも、作文も
https://www.mori7.com/index.php?e=2788
 小学生の習い事に関する調査(2016年11月VSN)によると、子供に習わせたい習い事の1位はスポーツ系、2位は英会話、3位は音楽系という結果が出ています。
 親の動機は、スポーツや英語や音楽のプロになることではないと思います。その分野が、苦手にならないように、そしてできれば楽しめるように、ということでさせているのです。
 しかし、教える側は、それだけでは物足りないと思うのか、「勝つ」という方向で目標を立てがちです。
 そして、実際に習い事の成果を発表する場は、試合や、検定試験や、コンクールなどですから、そこでどうしても優劣がつきます。
 特にスポーツの場合は、負けたチームはかなり屈辱感を味わいます。逆に言えば、勝ったチームは大きな優越感にひたります。だから、親も子供もどうしても、勝つためのスポーツという方向に進んでしまうのです。
 本当は、子供時代は、いろいろな運動を楽しむべきなのに、サッカーならサッカー、野球なら野球といったように、最初に参加した特定のスポーツに特化するような取り組み方になってしまいうのです。
 しかし、多くの人がそういう今のスポーツのあり方のおかしさに気づきはじめていると思います。
 作文の勉強も似ています。
 言葉の森の生徒は、よく新聞に入選したり、コンクールに入選したりしています。
 しかし、教室としてそういう入選の目標に取り組んでいるわけではありません。家庭で自由に取り組んでもらうという立場です。
 入選は、子供にとって大きな自信になります。そして、小学生なら誰でも年に何回かは素晴らしい作文を書くことがあります。
 しかし、教室として、子供たちの作文を入選させるために手直しするようなことはしません。先生が手を加えて上手な作文にしても、子供にとっては喜びにならないからです。
 そのかわり、言葉の森では、生徒それぞれが作文を発表するプレゼン作文発表会のような企画を充実させたいと思っています。
 賞や級を全く出さないわけではありませんが、それらはあくまでもきっかけ作りで、それらの賞や級を目標にして競わせるようなことはしません。
 そうして、ひとりも苦手な子がなく、多くの子が作文が得意になるような教室を目指しています。
 ただし、進歩のあとがわかることは必要ですから、森リン点の集計や作文検定の実施などには取り組んでいます。
 しかし、これも競争を煽らない形で進めています。
 それでも、小学生新聞の入選者数などは、たぶん毎年全国1位になっているのだと思います。


■■成績を上げることより実力を上げることを考える
 思考発表クラブでは、毎週15分程度の保護者懇談会を行っています。
 そこで、子供たちの近況報告と質問や感想などを話してもらっています。
 毎週の話なので、お母さんと先生とのやりとりよりも、お母さんどうしの話の中で参考になることも多いようです。
 質問の中でよく聞くのが、やはり勉強面の悩みです。
 それらの悩み事で共通していると私が思うのが、「○○が苦手だがどうしたらよいか」というものです。
 勉強で苦手なことというのは、やっていないから苦手になっているだけです。
 それを短期間で何とかしようと思うと無理が出てきます。
 取り組むことを決めて、毎日短時間勉強する仕組みを作ればほとんどの苦手は克服できます。
 この短時間の毎日という仕組みを作らずに、すぐにどうにかしようとするから難しいと思うだけです。
 しかし、ここで考えなければならないのは、苦手と思われている勉強の中には、やらなくてもよいものもあるということです。
 例えば、通信教育の教材などで勉強していると、小学校低学年のうちから、理科や社会の問題集もついてきます。
 また、おまけでいろいろ特別な勉強などもできるようになっています。
 そういう勉強はそれなりにしっかり作られているので、ついやらなければいけない気になってしまいますが、小学生のうちは、国語を得意にして、算数が普通にできるようにして、読書にたっぷり力を入れていけばそれで十分です。
 それ以外の勉強をする時間があったら、もっと読書や子供の自由時間や多様な体験を充実させた方がいいのです。
 それでもし、そういうおまけの教科が苦手になったとしても、それは本人がやるようになればすぐできるものですから心配は要りません。
 本人がやる気になったときにすぐできるためには、その土台になる実力をつけておくことが大事です。
 その土台の実力を育てるのが、読書や対話や経験なのです。
 これは、受験勉強でも同じです。
 小学校の低中学年のうちから、あるいは小学生のうちから受験に向けた勉強をしていつも時間に追われているような生活をしていると、肝心の実力が育ちません。
 大事なのは、今の成績を上げることではなく、将来役立つ実力を育てることだという意識を持って子供の勉強を見ていく必要があると思います。
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学力テスト(模試)の点数が低くても気にしない
https://www.mori7.com/index.php?e=2199
 言葉の森で年に数回行っている全国学力テスト(模試)は、平均点が60点前後になるように作られています。これは、模試という性格上、受験の合否を測定するために、点数の差がつくように作られているからです。
 学校などで行われるテストは、到達度を見るためのテストなので、百点を取るのが普通です。学校でのテストだけしか受けていなかった子が、模試を受けてその点数の低さに驚くことはよくあります。
 しかし、模試で見る受験用の学力は、受験期に本気になって取り組めばすぐに成績の上がるものです。そのテスト用の勉強をすれば誰でもすぐにできるようになりますが、そのテスト用の勉強をしていなければ、どんなに実力があってもできないことが多いのです。
 模試のテストの正確は、クイズやパズルに似ています。初めて見るクイズをすぐに解ける人はまずいません。そういうものでは、クイズにならないからです。ところが、いったんその答えを教えてもらうと、次回からはすぐに解けます。答え方がわかれば何ということもない問題でも、最初は解けないのが普通なのです。
 全国学力テストの成績が悪くてがっかりしている子がいたら、お父さん、お母さんの方でそういう事情を教えてあげるようにしてください。


コメントより

◆表はウェブでごらんください。
https://www.mori7.com/mori/mori_web.php?ki=20170601#26046

■■創造的な遊び、創造的な勉強
 読書作文キャンプの申込みフォームができました。
https://www.mori7.com/stg/#form
 今年の夏キャンプは、那須高原で、読書と作文と山や川での遊びを中心に行います。
 遊びについても、できるだけ創造的な遊びをしたいと思っています。
 今の子供たちは、結構パターン化した遊び方や時間の過ごし方をしているように思います。
 勉強でも、スポーツでも、遊びでも、大人が企画した枠の中で遊んでいることが多いのです。
 夏のキャンプなどでも、大人はつい、スイカ割りをしたり、花火をしたり、キャンプファイヤーをしたり、みんなで川に飛び込んだりするような、いかにも夏の遊びらしいことを考えがちです。
 それはそれでもちろんいいのですが、本来子供というものは、自然の中で自由にさせておけば、いろいろな遊びを自分たちで考え出すものです。
 自分の子供時代を考えても、休みの日などは文字どおり朝から晩まで、友達と山に行ったり海に行ったりして熱中して遊んでいました。
 ただし、今の子供たちは、突然自由に遊べと言われても戸惑うと思うので、いろいろな遊び方を紹介して、あとは自分たちで工夫して遊べるようにしたいと思っています。
 そして、夕方のプレゼン作文発表会で、自分が工夫した遊びを紹介すれば、互いにその工夫を共有できます。
 勉強でも遊びでも、これからはできるだけ自分の個性と創造性を生かしたものにしていく必要があります。
 インフレの時代には、メジャーなものが潰しの効くものでした。
 しかし、デフレの時代には、メジャーなものほど過当競争に直面します。
 そして、更に、人工知能の発達によって、これまで高い参入障壁に囲まれた聖域と思われていた分野が突然誰にでも開かれた分野になるという事態が生まれています。
 こういう社会に行きていくためには、あらかじめ予約できる安全な道というものはないと考えることが必要です。
 自分の個性を生かして物事に取り組み、社会の変化には自分の創造力を発揮して対応していくしかありません。
 正しい答えを早く見つける能力ではなく、自分だけの答えを作り出していく能力が必要になってくるのです。
 だから、今年の夏キャンプも、勉強だけでなく、遊びについても、できるだけ創造性を生かすような自由な遊びを工夫できるようにしていきたいと思っています。


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