言葉の森新聞2019年2月3週号 通算第1551号
文責 中根克明(森川林)

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■■「小学生のための読解・作文力がしっかり身につく本」が届きました
 2月5日に注文していた著書が、2月6日に届きました。

 この本の内容について、これまでに書いたことをまとめて詳しく説明したページを作っています。
 https://www.mori7.com/zu201902.php

 改めてこの本を読んでみると、読解の章は密度が濃いので、途中で眠くなると思います(笑)。
 もう少しダジャレなどを入れて面白く書きたいと思ったのですが、そういう時間的余裕がありませんでした。
 いつか、そういう面白い読解の解説を書きたいと思います。

 読解の章だけで、25題あります。
 眠くなったら、途中で付箋などを貼っておいて、先に進んでください。

 記述の章は、10題です。
 対比させて書くという書き方は、これまでそういう説明をしている人は誰もいなかったと思うので、言葉の森のオリジナルな書き方です。

 この対比という形で考えると、自分が書くことの輪郭がはっきりしてきます。
 そのはっきりした輪郭の上に、文中のキーワードを載せていくという感じで書いていくのです。

 いちばん面白く読めるのは、やはり作文の章です。
 作文の章は、全部で12題です。
 解説を読み物のように読むだけでも、書き方がよくわかると思います。

 ここに載せた模範解答は、生徒がたまたま書いた上手な作文というようなものではなく、プロの講師が構成を生かして書いた文章です。
 と言っても、昔の大学入試の小論文の模範解答のように、与えられた文章を要約するような感じで抽象的に書いたものではありません。

 昔の大学入試の場合は、そういう書き方でも結構通用したのです。
 しかし、今の中学入試の作文は、もっと具体的なことが要求されます。
「あなたの具体的な体験を入れながら書きなさい」というような課題がほとんどです。
 だから、模範解答も具体的な実例をもとにして、全体の構成がわかるような書き方をしています。

 この解説と模範解答を読むと、作文の書き方がよくわかると思いますが、「わかる」と「書ける」はまた少し違います。
 書けるようになるためには、やはり書き慣れることが必要です。
 ところが、作文の勉強は、高学年になるほど、ひとりでは勉強しにくくなります。

 作文の字数でも、小学生のうちでいちばん長く楽に書けるのが小学4年生で、小5、小6になると、次第に字数は減ってきます。

 それは、考えて書くようになるからです。
 だから、ほかの勉強は自学自習でもできるし、その方が能率がよいことが多いのですが、作文だけは自学自習はまずできません。
 ある程度の勉強の枠組みがないと、作文の勉強は続けられないのです。

 小学校低中学年では、まだこういう難しい考え方は必要ありませんが、受験が近づくと、ほとんどの子が(国語の得意だった子も含めて)、「成績がなかなか上がらない」という悩みに直面します。
 それは、国語の問題の作り方が受験用になったからで、そのときにこの本の解説が生きてきます。
 ですから、低学年の子をお持ちのお母さんも、この本をあらかじめ買っておかれるとよいと思います。

 本書を読まれた方は、ぜひ感想をレビューに書いてくださるようお願いいたします。

 なお、発売後、本書はamazonの売れ筋ランキングの「教育・学参・受験 > 小学教科書・参考書 > 国語」で2位になりました。(その後も順位は変動していますが)
 ご購入いただいたみなさんのおかげです。
 ありがとうございました。

 この本が売れると、これから日本の作文教育のレベルが上がると思います。
 更にがんばっていきたいと思います。


■■「楽しい、わかりやすい、ほめて伸ばす」のフレーズだけではなく、中身が大事
 小学生新聞に、ほかの作文通信教育の広告が載っていました。
 そこに書いてあるキャッチフレーズが、「楽しく学べる」「わかりやすいテキスト」「ほめて伸ばす添削指導」などでした。
 言葉の森が普段言っているのと同じようなことですが(笑)。

 しかし、それを見てふと思いました。
「楽しく学べる」「わかりやすいテキスト」「ほめて伸ばす指導」という言葉には何も問題はありません。
 しかし、大事なのはその中身です。

●「楽しく学べる」
 本来楽しくないものを楽しく学べるようにする仕組みを考えると、マンガを使ったり、プレゼントを用意したり、ゲームをしたりという方向になりがちです。
 そうではなく、大事なのは、作文を書くこと自体を楽しくすることです。

 その楽しさは、親子の交流、先生との交流、友達どうしの交流の中にあります。
 本来、何かを創造し、それをみんなに見てもらうというのは楽しいはずです。
 その創造の過程で、親子の協力があれば、その楽しさはもっと広がります。
 そういう仕組みを作るのが、言葉の森の寺子屋オンラインの少人数クラスの作文です。

●「わかりやすいテキスト」
 わかりやすいテキストということも、それ自体には何も問題はありません。
 しかし、わかりやすいところまでしか教えていないからわかりやすいとしたら、その勉強に先はありません。
 大事なことは、わかりにくいところまで教える道筋があることです。

 小学3、4年生までの勉強は、作文に限らず、誰が教えても楽しくわかりやすく教えられます。
 それは、勉強の中身自体がわかりやすいからです。
 しかし、小学5年生以降の考える作文になると、テキストだけでわかりやすく教えるのはほぼ不可能です。

 考える作文の力をつけるためには、毎日の自習、親の協力、先生の励まし、友達からの刺激など、いろいろな要素が必要になります。
 人間どうしの触れ合いがあって初めて、少しずつ考える力がついていくのです。

●「ほめて伸ばす指導」
 ほめられれば子供は喜びます。
 ほめることは、誰にとっても最初は励みになります。

 しかし、大事なことは何をほめるかということです。
 どんなことを書いてもほめられるとなれば、子供はだんだん緊張感を失います。
 ほめる前に、何をどう書いたらいいのかという指導があって、初めてほめることが生きてきます。

 ところで、何をどう書いたらいいかという指導には、何段階も微妙な差があります。
 会話を入れて書くということひとつにしても、ただ会話を入れるだけでなく、人柄のわかる会話を入れるとか、動作や表情を思い出して会話を入れるとか、さらに上のレベルの指導があります。
 そして、高学年になると、今度は、会話を入れないで書くという指導に変わっていきます。

 その指導を、ほめるだけで進めていくのはかなり困難です。
 大人数のクラスで、数人の子だけがほめられるのでは、褒められない子は次第にやる気をなくします。
 また、1対1の個別指導で、これまでと違う上の段階を教えるには、ほめるよりも直すとか注意するとかいう面が出てきます。

 しかし、寺子屋オンラインの少人数クラスの場合は、みんなの作文のそれぞれのいいところを褒めることが、周りで聞いている子たちの勉強になります。
 少人数のクラスで、全員がほめられるからこそ、ほかの人のほめられたところが参考になるのです。

 作文は、勉強の中で最も苦しい勉強です。
 だから、感想文の宿題などがいつまでも後回しになる子が多いのです。
 しかし同時に、苦しいけれど楽しいという気持ちで書ける子もいます。
 何もないところに、自分の力ですべてを創造していくのですから、うまく書けたときは楽しくて仕方ないのです。
 そういう楽しく書く力を、みんなにつけていきたいと思います。

「楽しい」とか「わかりやすい」とか「ほめる」とか、もうひとつ「考える力」とか、魅力的なキャッチフレーズは色々とありますが、大事なのは、言葉ではなくその中身にいかに近づくかということなのです。


■■読解力をつける作文・感想文の勉強
 読解力がつく作文・感想文というのは、ただ作文を書くから読解力がつくのではありません。
 自分なりに長文を読み、自分なりに考えて、自分なりの力で作文を書くから読解力がつくのです。

 作文の勉強をしている人は、作文を書くことが目的のように思っていますが、作文を書くというのは結果です。
 目的は、書く前に、書くことを決めてくることであり、感想文の場合は事前に長文を読んでくることであり、お父さんやお母さんに取材したり自分でデータを調べたりしてくることであるのです。

 小学校高学年や中学生になると、要領のいい子は、長文をあまり読まずに、ヒントを参考にしてそれなりにまとまった作文・感想文を書いてしまうことがあります。
 完成した作文だけを見ると、作文の勉強をしたように見えますが、それでは本当の力はつきません。

 一方、事前に長文を読み、自分なりに考えたことを一生懸命に書く子もいます。
 そういう子は必ず実力がついてきます。

 書かれた作文という結果だけ見ると、違いはあまりないように見えても、その前の書く過程によって、将来の実力の伸びは大きく変わってくるのです。

 ところで、通信教育の弱点は、作文を書く前の過程があまり見えないところにあります。
 これが、寺子屋オンラインという少人数クラスだと、事前の準備がよくわかります。
 それは、みんなの前で、自分の書くことを発表する機会があるからです。

 作文を書くというのは、小学校高学年以上の生徒にとっては、かなり精神的負担の大きい勉強です。
 以前、教室に通っていた大学入試を目指す一浪の生徒が、教室で作文の練習をしたあとに言っていました。
「作文を書いたあとは、もうほかの勉強する気がしなくなっちゃうんですよね」
 これが、ほかの勉強だったら、「数学の勉強が終わったから気分転換に英語の勉強でもやろう」となるのですが、作文の場合はそうではありません。
 それぐらい、作文を書くというのは、高学年以上の生徒にとって精神的エネルギーを使う勉強なのです。
 それをよく知らないお母さんは、「休んだ分も入れて、今日は三つ書いちゃいなさい」などと気楽に言うことがあるのです(笑)。

 だから、小学校低中学年のころまでは、自分ひとりで作文の勉強ができたとしても、高学年からはある程度の枠組みがないと勉強ができません。
 その枠組みのひとつとして有効なのが、オンラインの少人数のクラスです。

 とくに高学年以上で、自宅ではなかなか作文が書けないという人は、寺子屋オンラインの作文クラスの体験をしてみるといいと思います。


■■2月より、日曜のオンラインクラス開始――最初は小1の親子作文クラスを中心に
 2月3日から、日曜の9:00と10:00に、寺子屋オンラインの作文クラスが始まりました。
 当初は、新小学1年生、新小学2年生の親子作文の授業を中心に行います。

 日曜の朝を設定したのは、保護者の方が参加しやすいようにするためです。
 しかし、日曜日は、家族で朝早くから出かけることもあると思います。
 そのような場合でも、オンラインクラスですから、授業の様子を録画してあとで見ることができます。
 また、個別電話指導のふりかえは、いつでもできるようになっています。

 一方、日曜日をコンスタントに担当できる先生は少ないと思いますので、講師は一つのクラスに二人の先生が担当するようにしました。
 これで、講師の急な休講などにも対応できるようになります。

 休んだ場合の寺子屋オンラインクラスの間の振り替え出席はまだ難しいのですが、今後クラス数が増えれば、自由にできるようになります。
 振り替えで別の日に授業を受けると、新しい友だちや先生との出会いなどもあるので、できるだけ早く取り組みたいと思っています。

 親子作文クラスのよい点は、作文を書く前の準備の段階で親子の対話と交流があることです。
 小学生は、ドリルを解くような勉強をするよりも、この親子の対話と交流で最も学力を伸ばすからです。
 また、参加する子供どうしの間で、自然な発表や交流があるのもこのクラスの面白い点です。
 勉強らしくない楽しい勉強というのが、寺子屋オンラインの親子作文の特徴になると思います。

 体験学習を申し込まれる方は、下記のページからどうぞ。
https://www.mori7.com/ftaikenn.php


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