言葉の森新聞2019年4月4週号 通算第1560号
文責 中根克明(森川林)

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■■【再掲】4月末~5月1週までの連休について
 4月の第5週目、4月29日(月)、30日(火)はお休みです。

 また、5月第1週の6日(月)までは、すべてお休み宿題となります。(祝日ではない5月1日(水)、2日(木)もお休みとなります。)
 先生からの電話はありませんが、その週の課題を自宅で書いて提出してください。先生からの説明を聞いてから書きたいという場合は、別の日に教室までお電話をして説明をお聞きください。(平日午前9時-午後7時50分。電話0120-22-3987)

 電話の説明を聞かずに自分で作文を書く人は、ホームページの「授業の渚」か課題フォルダの「解説集」を参考にしてください。
 課題の説明の動画「授業の渚」 http://www.mori7.com/nagisa/
 オープン教育の掲示板「森の予習室」に学年別の予習のヒントが載っています。

 上記のスケジュールは、新学期課題フォルダのカレンダー(1ページ目、課題集「〇〇の山」の下部)にも記載されています。


■■第4週は清書。幼稚園生は作文
 幼稚園年中と年長の生徒は、第4週も普通の作文を書く練習です。自由な題名で作文を書いてください。
 小学1年生以上の生徒は、清書を行います。
 清書をしたあと、時間に余裕のある場合は読解問題をしてください。


清書の意義と方法
 清書とは、これまでに書いた作文の中で内容がよかったものを書き直すことです。
 内容がよいとは、個性、感動、共感などがあるということです。

 書き直すときは、次の点に留意してください。
(1)漢字で書けるところは漢字で書く。
(2)たとえや自作名言を工夫できるところがあれば工夫する。
(3)似た話や続きの話を書くことによって字数を増やす。
(4)作文用紙の空いているところに絵などをかいてもよい。


清書の投稿
 清書した作文は、小学生新聞や一般紙などに投稿してみましょう。

 手書きの清書の原本を、新聞社に投稿したり、コンクールに応募したりする場合は、清書のコピーの方を先生に送ってください。
 新聞社に投稿する際は、作文用紙の欄外又は別紙に次の事項を記載してください。
(1)本名とふりがな(2)学年(3)自宅の住所(4)自宅の電話番号(5)学校名とふりがな(6)学校所在地(町村名までで可)など。

 投稿する際は、ペンネームを本名に訂正しておいてください。作文の中に友達の名前が固有名詞で入っている場合は、イニシアルなどに直しておいてください。投稿する作文の内容は、保護者がチェックしてあげてください。
 同じものを複数の新聞社やコンクールに送らないようにしてください。これは二重投稿といって、もし両方に掲載されてしまった場合、掲載先に迷惑をかけることになります。


小学生新聞の投稿先
■104-8433東京都中央区築地3-5-4 朝日小学生新聞「ぼくとわたしの作品」係
■100-8051(住所はいりません 毎日小学生新聞「さくひん」係(600字以内)
※清書した作文を投稿しない場合でも、額などに入れて家の中に飾っておきましょう。


■■4週目の読解問題(小1以上)
 小1以上の生徒には、課題フォルダに、4週目の長文をもとにした読解問題を2問載せています。
 時間のある人は取り組んでください。
 言葉の森ホームページの「読解マラソン」のページには、全8問の問題とそれに対応した長文がありますが、課題フォルダには問題数をしぼり、問7と問8の2問だけ掲載しています。
 これは、この2問をじっくり解いて満点にすることが目標だからです。

 問1~6も含めた全問を解きたい方は、読解マラソンの「問題のページ」で他の長文と問題をごらんください。
 ただしその場合も、当てずっぽうで解くのではなく、必ず全問正解になることを目標に解くようにしてください。
http://www.mori7.com/marason/ki.php


■■小学生の作文力
 小学生の作文は、学年ごとに重点が異なります。
 学年による違いを理解しないまま作文を教えると、上達しないばかりか、作文を書くことが苦手になることがあります。

 また、そのときはよいように見えても、あとになるとそのよいことがかえってマイナスになることもあります。
 例えば、小学3、4年生でよい書き方だと言われていたものが、小学5、6年生の受験作文ではかえってよくない書き方になることもあるのです。
 作文を教える先生や親は、その学年による違いを理解して指導することが大切です。

■小学1、2年生は、暗唱と親子の対話のある作文で、その後の学力のもとになる日本語力を育てる
 小学校低学年の時期は、上手な作文を書かせるのではなく、親子の対話を楽しみながら文章を書くことを自然な習慣にする時期です。
 そのことによって、その後の学力の最も重要な土台になる日本語力を育てるのです。

 小学1、2年生に上手な作文を書かせるようとすると、大人の考えた表現を教えることが多くなります。
 子供は、そのときは素直に従いますが、達成感がないので本当の自信はつきません。
 また、学年が上がると、そういう外からの押しつけにかえって反発するようになります。
 低学年のころは表記ミスが多いのが普通ですが、正しい表記に直すことを重点にすると、書いた作文を直すことが勉強の中心になってしまいます。

 作文は楽しく勉強することが大事ですから、この時期は、よい文章を読ませることと、書いた作文のいいところをいつも褒めるようにしていくことが大切です。

■小学3、4年生は、作文検定で定期的に自分の作文力を把握し、目標を持って作文を書く

 小学校中学年の時期は、表現の工夫をしながら書くことによって作文力を上達させる時期です。
 自分の経験したことをただそのとおりに書くだけでなく、書く前の準備として、似た例を探したり表現の工夫を考えたりすることが大切です。

 特に、小学3年生からは、感想文を書く力もある程度ついてくるので、文章を読み取って内容を理解し、そこから自分の似た例や感想を書く方法を身につけていく必要があります。

 一方、感想文でない事実中心の作文の場合は、小学3、4年生が最も作文力が伸びる時期にあたります。
 表現の項目などで、作文を書く目標をはっきりさせて書くことで力がついていきます。

■小学5、6年生は、受験作文に対応した作文力に切り換え、読解検定で国語力を伸ばす
 小学5、6年生の時期は、受験を視野に入れた作文を書く時期で、出来事を中心とした文章から主題を中心にした文章に切り替える時期です。
 そのためには、抽象的な語彙を使う力をつけることが大切で、国語力、読解力を伸ばしながら作文力も伸ばしていく必要があります。

 国語力、読解力を伸ばす方法は、説明や意見の書かれている難しい文章を読み取る練習をすることに尽きます。
 そういう文章を読み、自分なりに短い感想を書くことによって、説明文、意見文を書く語彙力がついてきます。
 また、題材中心に書いていた作文を、主題中心に切り替えるためには、構成を意識して書くことが大切です。
 この構成を意識して書く練習が、その後の中学生、高校生の作文の書き方にもつながっていきます。

 小学生の作文力の発達について、ここに書いたほど(簡潔ですが)系統的に書かれたものはないと思います。
 作文教育を専門にしている人でも、自分の教えているある狭い範囲の学年や、狭い範囲のレベルの生徒(もともと得意、あるいはすごく苦手な子ばかり)を対象にした指導しかしていないということがあるからです。

■暗唱検定、読解検定、作文検定を活用し、長期的な見通しを持って日本語力を育てる
 学年による発達段階の違いを理解して作文を教えてくれる先生が身近にいない場合は、どうしたらいいでしょうか。
 言葉の森では、そのような人のために、小学1年生から高校3年生まで定期的に受けることのできる読解検定、作文検定を公開しています。
 読解検定、作文検定を定期的に受けることによって、自分の読解力、作文力を把握しながら正しい方向で勉強を進めていくことができます。

 また、暗唱検定は、幼児から社会人まで随時受けることができます。
 暗唱検定のもとになる暗唱文集は、ウェブから自由にプリントアウトできます。
 暗唱検定は、一つの級を合格するために約3か月かかりますから、長期間の家庭学習をひとりでは続けにくいという人は、毎週の暗唱を発表をする場としてオンラインの発表学習クラスを利用することができます。

 ここに書いたような重点、原則をしっかり理解すれば、自宅で親が作文を教えることもじゅうぶん可能です。
 より詳しく習得したいという場合には、森林プロジェクトの資格講座を受けるのもよいと思います。


■■小学6年生で、国語はよくできるのに、作文がものたりないという場合の対処の仕方
 国語の成績はいいのに、作文がなぜかものたりない、これでは、受験の作文に対応できないのではないか……と思われているお母さんは多いと思います。
 これは、実はきわめてよくあることです。
 国語の成績がよいのは、読む力があるからです。

 本などもよく読んでいるので、読むための語彙はしっかり身につけているのです。

 しかし、読むための語彙と書くための語彙は違います。
 難しい文章はそれなりに読めても、自分がそのような難しい文章を書けるかというと、そういうことはありません。

 書く力の土台は読む力ですから、読む力をつけていれば自然に書く力はついてきます。
 しかし、それはすぐにつくわけではありません。
 自然につくのを待っていては、小6の受験には間に合わないという子の方がずっと多いのです。
 これは、能力の問題ではなく、精神年齢の発達の問題なので、受験に間に合わせるためには工夫が必要です。
 受験作文にも対応できる書く力をつけるための方法は、四つあります。

 第一は、問題集読書です。
 入試問題の問題文を読書がわりに読み、そこに書かれている語彙や表現に慣れておくことです。

 第二は、長文の音読です。
 言葉の森の課題フォルダの長文は説明文が中心です。
 受験作文で要求される文章も説明文、意見文です。
 小学生は、それまで事実文中心の文章を読み、事実文中心の作文を書いていたことが多いので、説明文、意見文のための語彙にはなじみがありません。
 それを、音読の繰り返しによって、自分でも使えるようにしていくのです。

 第三は、作文の準備のときに、子供がお母さんに似た話を取材することがあったら、似た話という題材部分の話とともに、その作文の感想となる主題部分の話もしてあげるのです。

 子供は特に、主題の部分で使う語彙をあまり持っていません。
 だから、小学校低学年は、「とてもたのしかったです」「まったやってみたいです」「こんどはがんばりたいです」などの、どこでも使えるような語彙で結びをまとめてしまうことが多いのです。
 高学年の場合は、一般化の主題という大きい感想になりますが、それも、「人源にとってとても大切だということがわかった」などという、やはりどこでも通用するような結びにしてしまうことが多いのです。

 子供は、まだ難しい感想を書く力はありませんが、読む力はあります。
 だから、お母さんが言った感想の部分の言葉は十分に理解できます。
 それを参考にして書くことによって、次第に自分の主題部分の語彙力を身につけていくのです。

 第四は、寺オン作文クラスで、ほかの小学6年生の作文の準備を聞くことです。
 ほかの人が準備してきた似た例や感想を聞くと、そのときの発想が自分の今後の勉強の参考になります。
 そして、自分も同じようによりよい作文を書く準備をしようという気持ちになるのです。

 私は昔、自分が小学6年生のころに書いた作文を読みましたが、すごく幼稚なことを書いていました。(笑)
 それなりに自分で考えている片鱗はあるのですが、語彙が伴っていないのです。
 これは、今の小学6年生の子供たちも、ほぼ同じだと思います。

 だから、自分の感想がものたりないことはわかっていて、できればもっと格好いいことを書きたいと思って、お母さんに相談するのです。「この作文の感想、どう書いたらいいかなあ」と。
 そのときに、お母さんは、「そんなの、自分で考えなさい」と言うのではなく、「こういうことも書けるし、こういうことも書けるし」といくつかの案を示してあげるといいのです。
 すると、子供は、その中で自分にいちばんしっくり来るものを採用して、自分の感想を書きます。

 すると、それがその子の語彙力になっていくのです。
 課題に合わせて背伸びをして書くことで、次第にその背伸びが実力になっていくのです。


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