言葉の森新聞2019年5月2週号 通算第1562号
文責 中根克明(森川林)
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■■言葉の森が始める対話型の全教科学習
この春から本格的に開始したオンラインの作文クラスと発表学習クラスが軌道に乗ってきました。
そこで、この6月からは、同じオンライン方式の全教科学習クラスを開始する予定です。
現在行っている自主学習コースは、個別指導の形態の学習ですが、これを全員対話型の少人数クラスとして運営していく予定です。
全教科の学習を進めますから、言葉の森は学習塾と似てきますが、既存の学習塾と違うのは次の3点です。
第一は、自主学習という形で勉強を進めることです。
これまでの塾で行われている学習の多くは、先生が教える形です。
すると、ある生徒にとっては既にわかっていることを教えられる一方、よくわからない生徒にも同じペースでしか教えてもらえないという状態が生まれます。
わかる子にとっては無駄があり、わからない子にとっては不十分な授業になることが多いのです。
そして、教わったことの理解を定着させるために、一般に大量の宿題が出されます。
この宿題も、既にできている生徒にも同じ宿題が出される一方、できない生徒にも同じ宿題しか出されません。
その結果、学習に無駄が生まれ、時間がかかるわりに力がつくのが遅れるという状態になるのです。
自主学習では、解説の詳しい参考書や問題集をもとに、自分ができないところを中心に勉強を進めます。
学習を定着させるのは、大量の宿題ではなく、同じ教材を繰り返し学習することです。
学力をつける最も効率のよい方法が、この同じ教材を繰り返し学習することで、それは自主学習によって初めて可能になるのです。
第二の違いは、生徒どうしが創造的なコミュニケーションをとる形で学習を進めることです。
塾で教わる勉強は、答えのある勉強です。
先生が答えを知っていて、生徒が答えを知らないという知識の差があるから、授業が成り立ちます。
すると、生徒の立場は、いかに早く正しく先生が求めている答えを見つけるかという競争の中に置かれるようになります。
この競争の中でのコミュニケーションにも、もちろん楽しい面がありますが、それは受け身の楽しさです。
創造的なコミュニケーションとは、生徒が自分で問題を作り発表するような中で生まれる生徒どうしのコミュニケーションです。
演習の時間も確保しながら、この創造的なコミュニケーションを生かすことによって、生徒の間に人間的なつながりが生まれます。
この人間的なつながりが、学習の意欲に結びついていくのです。
こういう創造的なコミュニケーションという形の学習ができるのは、全員が対話できる規模の少人数でクラス編成を行っているからです。
第三の違いは、家庭との連携が深くなることです。
学習塾では、生徒が塾に通うという形ですから、講師と保護者との間の対話は、別に設定しなければできません。
自主学習クラスは、生徒が家庭からオンラインで参加するので、そのオンラインのつながりを生かして、そのままいつでも講師と保護者の間で話ができます。
小中学生のころは、生徒自身の自覚がまだないことが多いので、教える講師だけでなく保護者が子供の勉強状態を確認できる立場にいることが必要です。
講師と保護者の連携で大事なことは、短い時間であってもよいので、頻度を高くすることです。
自主学習クラスは、この講師と保護者の連携が極めて容易にできるようになるのです。
以上のように、自主学習クラスは、(1)自主的な学習で実力をつけ、(2)創造的なコミュニケーションで意欲を高め、(3)家庭との連携でのそれぞれの生徒に合った学習方針を決める、ということができます。
受講料は、週1回45分間で月額3,240円です。
自主学習ですから、45分を超えていつまでもZoomの会場で勉強を続けることができます。
中学生の場合は、定期テストの前は長時間勉強するようになるので、その場合は、2時間でも3時間でもいくらでも時間を延長できます。
もちろん延長の費用はかかりません。
自主学習クラスは、週1回に限らず、勉強の習慣をつけるために週4回でも5回でも参加することができます。
勉強は、自宅でひとりで始めるのは難しいときがありますが、自主学習クラスに参加するというきっかけがあると、自然に始められるようになります。
自主学習クラスに参加するには、言葉の森の作文を受講していることが前提となります。
作文クラスで、これからの時代に必要な作文力、思考力、読解力をつけ、自主学習クラスで全教科の学力をつけるという組み合わせです。
また、学力に余裕のある人は、この二つのクラスに加えて、発表学習クラスで、個性と創造性のある学習を進め、東大推薦入試型の学力をつけていくとよいのです。(それは必ずしも東大推薦入試を目標とするということではありませんが)。
最も能率のよい勉強法は独学です。
自分がよくわかっているところは飛ばして、自分がよくわかっていないところを繰り返し学習できるからです。
短期間で急速に成績を上げた人は、みんな例外なく、この独学の方法で勉強をしています。
しかし、独学には不安もあります。
自分のやっているやり方がいいのかどうか、結果が出るまでわからないからです。
また、独学は勉強を開始するきっかけをつかみにくいという難点があります。
これをカバーするのが自主学習クラスでの勉強なのです。
言葉の森は、今後、作文教室という枠組みから脱して学校となります。
いわば、言葉の森学校です。
しかし、従来のような、先生が生徒に教えるだけの学校ではありません。
生徒の自主学習を進め、創造的な学力を育て、家庭と連携する新しい学校です。
これからは、もう詰め込みで成績を上げるような時代ではなくなるからです。
■■夏休み読書作文勉強キャンプ――朝夕は勉強、昼は自然の中で友達と遊び
・4月29~30日
ゴールデンウィークの那須家族キャンプは、予想以上の大渋滞でした。
合宿所近くのお店も、朝7:20ごろから大混雑。レストランには20人ぐらい、パン屋さんには40人ぐらい並んでいました。
言葉の森の合宿所は、そこから徒歩5分ほどのところなので、混雑には影響しませんでしたが、それでも温泉に行く予定などがいろいろずれこみ、初日は、読書作文と言っても、読書中心に終わりました。
30日の保護者懇親会で、お母さん方から、暗唱の仕方や、作文の動機づけなどの質問があったので、1日は一転、朝から、暗唱と作文と読書の予定となりました。
今年は、読書、作文だけでなく、国語、算数などの自主学習の勉強法を指導することにしたので、じっくり勉強する度合いが強くなります。
しかし、子供たちは、同年齢の子が一緒だと、そういう勉強自体も楽しくできるようです。
・5月1日
1日は、朝から好天で、青空が出ていました。
午前中は、暗唱と作文と読書をして、それからみんなで車で出かけました。
11時半ごろ、近くの河原でバーベキューをしました。
広い河原は、泳げるわけではありませんが、浅瀬では水に入って遊べます。
何よりも、川の流れを見ながら食事をするのが、癒やされる感じでした。大きな岩がごろごろしていて、岩伝いに遊べます。
お父さんたちが、バーベキューを作ってくれる中、シラサギが、ときどき飛んでいました。川の魚がいるので、いい餌場なのだと思います。また、キジも鳴いていました。令和元年に、日本の国鳥です。
小川の流れのあるところで一休み。 大きい川も、浅瀬のところがあります。 近くでマスを釣っている人がいました。この釣った魚はまた逃してあげるそうです。
・5月2日
昨夜も子供たちは合宿所の中で遅くまで遊んでいたようで、なかなか起きて来ませんでした。
昨日は、暗唱の2日分をまとめてやったので、みんな大変そうでしたから、今日は1日分のみ。
1日はずっと快晴で、河原で遊んだあと、合宿所に帰るころから急に雨が降り出しました。
雨は一晩中降っていたようですが、2日の朝は快晴。うまくできています。
作文を書いたあと、昨日見つけた草原に出発。
その草原は、思ったとおり気持ちのいいところで、人はほかにはほとんど誰もいませんでした。
広い草原で、近くに小川があり、生き物がたくさんいそうでしたが、まだ季節が早いせいか、つかまえたのはアマガエル1匹だけ。夏には、もっといろいろな生き物がいると思います。
少し歩くと大きい川の河原もあり、そこで、魚のつかみどりができそうな場所がありました。
そこで、たっぷり食べたり遊んだりしたあと、今日帰る人は解散。
1日か2日の間の触れ合いでも、みんな昔から仲のいい友達のようになっていました。
・5月3日
3日は、朝の暗唱、作文、読書のあと、昼からは草原でバーベキュー。
網を持っていきましたが、まだ5月なので、やはりあまり生き物はいませんでした。
広い河原で水切りをしている子もいました。
晴れの日が続いていますが、気候は涼しいので、自然の中での遊びには最適の季節です。
夏にはザリガニのつかみ取りなどができそうです。
バーベキューをする際には、合理的にガスコンロを持っていくのがいいと思いました。
炭だと、後片づけに手間がかかるし、環境にも配慮しなければならないからです。
大人がそういうところに手間をかけなくても、子供たちは、自然と友達の中で楽しく遊んでいます。
読書と、作文と、勉強と、自然と、友達と、自由というのが夏キャンプのテーマになりそうです。
・5月4日
4日は、朝方の暗唱と作文のあと、川遊びに出かけました。
那珂川の下流ですが、水はきれいです。
浅瀬のところが多いので、子供たちでも安心して遊べます。
子供専用のマス釣りもできるようでした。
水に入ってみましたが、5月では水はまだ冷たいので、泳ぐわけにはいきません。
しかし、夏には、ここで水に入って遊ぶことができると思います。
なお、那須の温泉(ゆぜん)神社は、「平家物語」の那須与一の話に出てくるところです。
言葉の森の暗唱検定の4の2級の一部に載っています。
今年の夏休みの那須キャンプは、午前中の暗唱の勉強の中に、平家物語の那須与一約300字分を入れようかと思っています(ただし自由参加)。
この部分は、文章のリズムがいいのはもちろんですが、何よりも内容に感動があります。
その暗唱のあと、温泉(ゆぜん)神社に行くと、何か感じるものがあると思います。
・総括と夏のキャンプに向けて
以上、ゴールデンウィークの那須家族キャンプは、大人子供含めてのべ87名の参加で無事終了しました。
参加された方、お手伝いくださった方、カバーしてくださった方、ありがとうございました。
ゴールデンウィークのキャンプは初めての企画でしたが、夏のキャンプの予行演習のような意味もありました。
一応大きな流れのとおりに進んでいるので、これからは定番企画にできると思います。
今回の6日間のキャンプの経験から、夏休みの読書作文勉強キャンプの詳細も一部調整することにしました。
勉強の時間は、当初予定していたよりも長くし、午前中勉強、午後外出、夕方勉強+自由というような形にしていきたいと思います。
今回、参加してくださったご家族は、全員マイカーによる参加でした。
合宿所の周辺は、那須の観光地の中心部なので、遊ぶところがたくさんあります。ご家族のレジャーと組み合わせて、午前中の勉強と夜の宿泊のみ参加するというような形態も考えられると思います。
また、ひとりでは那須塩原駅まで来られない子も多いので、オプション引率による参加なども組み合わせていく予定です。
それに伴い、集合と解散の時間も、当初よりも早めにします。(詳細は追ってお知らせします。)
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