言葉の森新聞2023年5月3週号 通算第1755号
文責 中根克明(森川林)
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■■4月の森リン大賞
4月の森リン大賞です。
4週の清書の作品のうち、森リン点が上位のものの中から、学年別に1作品を選んでいます。
感想文課題を清書する人は、要約の部分をカットして、自分なりの状況実例や説明に書き換えて送ってください。
要約が入っていると、森リン点が高くなる傾向があるからです。
実例を複数書く場合、それぞれの実例の字数は大体同じぐらいになるように調整してください。
その方がバランスのよい文章になります。
中1の「信頼確認」という作品は、とてもいい内容でしたが、自分の名前などの固有名詞が入っているので、今回は掲載を見送ることにしました。
読み応えのある文章でした。
中2の「自分だけの物語」は、難しい言葉を自分なりによく消化して書いていました。
考える力のあることが感じられる文章です。
▼これまでの森リン大賞は、こちらのページで見られます。
https://www.mori7.com/oka/moririn_seisyo.php
■■創造発表クラスの体験学習募集――大学推薦入試にも対応できる探究型学習
■AI時代に必要になる学力は、意欲と個性に基づいた探究型学習
AI技術の進展により、時間をかけて知識を詰め込み、それを学力として評価する時代は終わりました。
学校では、まだ旧来の知識詰め込み型の勉強が中心ですが、社会では、知識よりも意欲と個性を重視する方向に変わっています。
探究型学習は、意欲、個性、思考力、創造性を育てる、これから必要になる新しい学習です。
■大学入試は、従来の一般入試から、総合選抜型のAO入試が主流になる
全国の大学入試では、すでに推薦型の入試が50%以上になっています。国公立大学に限っても、20%が推薦入試で合否を決めています。
東大の推薦入試や京大の特色入試に見られるように、この傾向は今後加速していきます。海外では、更にAO型の入試が進んでいます。
従来の受験勉強とは違った対策が、今後は必要になってくるのです。
■集団一斉指導型の探究学習ではなく、少人数クラスで個性を生かす学習
日本でも、学校で探究型学習に取り組むところが増えています。また、学習塾でも、探究学習に取り組むところが現れています。しかし、20人以上の大人数で行う探究型学習では、一人ひとりの発表の時間はほとんど取れません。
これから必要になるのは、集団一斉指導型の探究学習ではなく、少人数クラスで行う、参加者全員の発表と対話を生かした探究学習です。
■毎週全員が発表する授業で、プレゼンテーション力と面接力がつく
教科の勉強は、家庭での自学自習が中心です。授業の役割は、家庭での学習状況のチェックです。答えのある勉強は、ひとりで取り組んだ方が能率がよくなります。
しかし、これからは、みんなの前で発表する力や質問する力が重要になります。少人数クラスの発表と対話で、プレゼンテーション力とコミュニケーション力が育つと、そのまま大学入試の面接にも対応できます。
■みんなと同じ分野で1点差を競う生き方よりも、個性で勝つ生き方を
高度経済成長時代には、多くの人の目指す方向が一致していたので、狭い分野で1点差を競うような生き方が主流でした。今でも、その生き方は幅広く残っています。
しかし、これからは、競争で勝つ時代ではなく、個性で勝つ時代になります。みんなと同じところよりも、みんなと違うところが持ち味になる時代になっているのです。
■■中学生で忙しくなった人、塾で忙しくなった人へ
新しい学年になったり、新しいことを始めたりすると、最初のうちはかなり忙しく感じるものです。「とてもやりきれない」という感じがすることもあります。
しかし、それは一時的なものです。
忙しい中、何とかやりくりをしていると、次第に自分のペースでいろいろなことが両立できるようになります。
だから、後ろ向きに考えないことです。
難しい状態に直面したときに、後退することを考えると、その発想の仕方が自分の生き方になってしまいます。
難しいときは、まず挑戦することです。
これからの長い人生で、難しい問題は次々と出てきます。
そのすべての問題に、自分の生き方が関わってきます。
どんなときでも逃げずに挑戦するという生き方をすれば、そこから道は開けてきます。
■■コンクールに入選する作文と、その後の対策――中高生になったときに必要になる思考力を育てる読書を
ある作文コンクールに入選した子5人のうち、4人が言葉の森の生徒だったことがありました。
ちなみに、先生は、その作文に何の手も加えていません。
普段の勉強の中で、自然に上手な作文を書くようになっているのです。
ところで、作文が超苦手という子もいます。
作文というものは、表面に出た結果であって、その根には、読書不足と対話不足があります。
しかし、こういう子供たちでも、気長に作文の勉強を続けていると、本も読むようになり、親とも話をするようになり、やがて見違えるような作文を書くようになるのです。
しかし、それは、かなり時間がかかります。
算数数学や英語は、本気で1ヶ月勉強すれば、すぐに成績が上がります。
しかし、作文と国語読解は、一生懸命勉強を続けて、忘れたころに成果が出てきます。
その期間は、大体半年です。
更に、上達が明らかにわかるようになるには、1年かかります。
それを待てない保護者も多いのです。
さて、小学生で作文コンクールに入選するような子には、次の目標があります。
それは、中学生や高校生になってから、つまり、大人になってからも立派な文章を書けるようになることです。
小学生の作文の評価のほとんどは、題材と表現です。
面白いことが上手に書いてあれば、それがいい作文の条件になります。
小学生の作文で必要になるのは、お母さんの役割です。
ひとつは、いい題材を見つけることに協力してあげることです。
もうひとつは、お母さんやお父さんの似た話をしてあげて、子供の題材の幅を広げ、語彙を増やすことです。
しかし、中高生の作文の評価は、題材と表現の評価のほかに、構成と主題が加わります。
(構成、題材、表現、主題というのは、言葉の森の独自の用語です。)
作文を書くのが得意だと思っている中高生の多くが、小学生レベルの作文の評価を考えています。
ここで、質的な転換が必要になります。
そのための方法は、難読です。
小学生で楽しく物語文の本を読んでいた子も、もっと難しい説明文や意見文の本を並行して読むようになる必要があります。
中高生の読書のわかりやすい基準は、ちくまプリマー新書のように、中高生向けに編集された本のリストです。
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中高生向けの本には、岩波ジュニア新書もあります。
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子供の成長のために、本代は最優先のコストです。
たまに、本をあまり読まなくてもいい大学に入ったと言う人もいますが、そういう人は、社会人になってからの進歩がありません。
今の子供たちは、受験勉強中心の生活をしているために、読書から遠ざかっている人がかなりいます。
読むとしても、物語文の本が中心です。
もっとしっかりした説明文、意見文の本を読む必要があります。
これから必要になるのは、知識ではなく思考力と創造力と共感力です。
ただし、小学校低中学年のうちは、楽しい物語文で読書の時間を増やすことが優先です。
だから、「かいけつゾロリ」のような面白い本がいいのです。
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小学校低中学年でも読める説明文の本には、「理科好きな子に育つ ふしぎのお話365」があります。
https://www.amazon.co.jp/dp/B08BCB3K69/
大事なのは、面白いことです。
つまらない説明文を薬を飲むように読むのでは、読書力はつきません。
しかし、子供に読書力がついてくると、難しい本も面白いと思えるようになるのです。
■■昔テレビ、そのあとゲーム、今はスマホ
昔、テレビで一億総白痴化と言われたことがあります。
そのあとは、ゲームです。
そして、今は、スマホです。
どうしたらいいかというと、だらだらと「見る」生活をするのではなく、自分から「作る」生活をすることです。
作ることが楽しくなったら、いつまでも暇そうに、他人のしたことを見ていられません。
作る生活がないから、つい見てしまうのです。
見るだけだったら、誰でもできます。
どんなにいいものであっても、それを見る人がどんなに増えても、それだけでは世の中は変わりません。
少しでも作る人がいたから、世の中はよくなってきたのです。
研究者が思わずゾッとした「子どものスマホ使用時間と偏差値の関係」小中学生7万人調査でわかった衝撃の事実
https://president.jp/articles/-/69373
「スマホ子育て」は今すぐやめるべき…脳科学者が「スマホにはあきらかな毒性がある」と警告する理由
https://president.jp/articles/-/69038
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