言葉の森新聞2023年8月3週号 通算第1767号
文責 中根克明(森川林)

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■■9月1日から言葉の森が移転します
 言葉の森は9月1日から移転します。

 8月29日(火)より移転作業に入ります。
 8月29日から31日までの3日間は5週目で事務局は休みとなり、電話に出られませんのでよろしくお願いいたします。

▽新住所・電話番号

〒233-0015 横浜市港南区日限山4-4-9
TEL 045-353-9061 FAX 045-353-9063


■■【再掲】【重要】作文講座の受講料値上げと自習室活用のお知らせ(2023年9月より)
 作文クラスと作文個別の受講料は、これまで月額8,800円で運営しておりましたが、この9月から月額9,900円に値上げさせていただきます。

 インフレが進む中、誠に申し訳ありませんが、今後の指導の充実のため、よろしくご了解くださるよう申し上げます。

 現在、作文クラスは、授業中に作文を書き始めるので、未提出になることはほとんどありません。
 しかし、作文個別の生徒の中には、先生の電話指導のあと、作文の勉強を後回しにしてしまう生徒もいます。

 そこで、今後、作文を書き終えないうちは、できるだけ自習室のZoom会場に参加して、その日の作文を書き終えるまでは自習室で勉強をしていただくということにしたいと思います。

 自習室は、午前8時から午後8時まで先生がおりますが、先生がいなくなる午後8時以降も、そこで勉強を続けることはできます。

 また、作文の目標字数も、学年の200倍以上を基準とし、小6以上はコンスタントに1200字以上書ける実力をつけていきたいと思います。

 作文は、これからの勉強の中で最も重要ですので、すべての生徒が作文力を向上させられるようにしていきたいと思います。


 なお、受験作文コースの料金も、9月から、小中高生ともに、現行の受講料+3.300円から、受講料+4,400円に値上げさせていただきます。
 受講料の値上げが重なって申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。


■■8月より読解検定の開始時間が変わります
 8月より、読解検定の時間が変わります。
 毎月第4週目の土日の17時から17時45分までになります。
(これまでより1時間早くなります。)


■■読書は感受性と思考力を育てる
 読書には、大きく分けて、物語文の読書と説明文(意見文も含む)の読書があります。

 物語文の読書のひとつの役割は、感受性を育てることです。
 本を読んで感動するとか、本に夢中になるとかいうときの読書が、感受性を育てる読書です。

 本の内容に感動するためには、ある程度の長さの本であることが必要です。

 子供たちの読書記録を見て少し気になるのは、最近、短い文章を集めた本が多いことです。
 「5分後に意外な結末」とか、「10分で読める名作 ○年生」のような本です。
 もちろん、こういう本も読んでいいのです。
 しかし、読書好きな子は、こういう本を物足りなく感じるはずです。

 今の社会風潮で、手軽にあらすじがわかるようなものが求められているので、こういう本が出てくるのだと思います。

 子供に薦める物語文の本は、じっくり読めるものにする必要があります。


 低学年の生徒が読む本には、絵本と字の多い本があります。
 本を読んで感動するという点では、絵の多い本も字の多い本も同じです。

 しかし、絵本では、読む力は育ちません。
 読む力が育たないと、本を読む楽しさがわかりません。
 絵本ばかり読んでいると、絵本の次に続く字の多い本が出てきません。

 親の読み聞かせも含めて、低学年のうちから、字の多い本の面白さがわかるようにする必要があります。

 字の多い本で、低中学年の子に薦めたいのは、「かいけつゾロリ」のような、面白いがそれなりに文章がしっかりしている本です。
 こういう本で字の多い本の面白さに目覚めたあとに、本格的な物語文の本に進んでいくといいのです。

 講談社の青い鳥文庫は、漢字にすべてふりがなが振ってあります。
 低学年の子でも、ふりがながあれば読み進められます。

 ただし、本選びは、内容的に面白いものであることが必要なので、親が中身に必ず目を通しておくことが大切です。
 有名な本だから読ませるというのは、あまりよくありません。

 本の中には、子供が成長してから読んだほうがいいものもあります。
 それを、有名だからという理由で低中学年のうちに読ませると、その本の本当の価値がわからないまま、読み終えたということになります。
 こういうことを理解するためには、親自身が本好きであることが必要です。

 小学生の間は、絵の多い本よりも字の多い本、短い文章が集まった本よりも長いひとつづきの本ということを基準に本選びをしていくといいと思います。


 小学校高学年や中学生以上の生徒の読書については、物語文よりも説明文の本ということが基準になります。

 問題集読書で、子供に問題集の問題文を音読させてみると、ほとんどの生徒が、一つの文章で1か所か2か所読み間違いがあります。
 なぜ読み間違いがあるかというと、そういう語彙にそれまで接したことがなかったからです。

 1か所も読み違いなく問題集の問題文を音読できる生徒は、それだけで国語の力があることがわかります。
 そういう生徒は、読解問題の解き方のコツを理解するだけで、すぐに国語の成績が上がります。
 読み違いのある生徒は、解き方のコツを理解しても、少し難しい文章になると読み取れなくなります。

 この差は、説明文の読書をしているかどうか、又は、問題集読書を毎日しっかりしているかどうかの差です。


 説明文を読む力は、国語の力にとどまりません。
 日本語の説明や意見という抽象的な語彙を読み取る力は、実は思考力なのです。

 川島隆太さんの記事が参考になります。

▽「読書をする子は楽々と平均点を超える」
https://magazine.chichi.co.jp/articles/5698366208/

 勉強は、成績を上げますが、頭をよくするわけではありません。
 読書は、成績を上げませんが、頭をよくします。

 だから、小学生時代に本をよく読んでいる人は、中学生、高校生になるにつれて、国語だけでなく全教科の成績がよくなります。
 反対に、小学生時代に本をあまり読まずに勉強ばかりしている人は、しばらくは成績がいいとしても、中学生、高校生になるにつれて、成績が低迷していきます。


 現在、オンラインクラスでも行っている読書紹介は、子供たちの読書量を増やす上で大きく役立っています。
 友達の読んでいる本を見て、読書の質を高める面もあります。

 しかし、本の内容が、まだ不充分だと感じることはよくあります。

 そこで、今後、読書紹介としてみんなに紹介するような本は、小学生の場合は、字の多い本、中学生の場合は、説明文の本ということを基準にしたいと思います。

 もちろん、読書は、いろいろな本を並行して読むものですから、絵本を読んだり、短い話の集まった本を読んだり、面白い物語を読んだりすることは、いいことです。
 しかし、それと並行して、娯楽の読書だけでなく、学問の読書をしていくということを意識していくことが大事なのです。


■■「読書ゼロ冊」の予備軍にならないために(過去の記事の再掲)

 小学生の子は、誰でも普通に本を読みます。
 それは小学生の間は、学校が読書に力を入れているからです。
 しかし中には、「読書は学校でやっているから家では読まなくてもいい」と言う子がいるのです。
 こういう子は、中学・高校生での読書ゼロ冊の予備軍になります。

 読書は人に言われて一応読むというのでは不十分です。
 読書が大好きで、本がなければ夜も日も明けないぐらいになっておく必要があるのです。
 
 そういう読書大好きの子を育てる最初の一歩が、毎日10ページの読書です。
 読書が苦手な子は、最初はぎりぎり10ページ読み終えて、「ああ、やれやれ」という読み方でもいいのです。
 本には、読み手を引き付ける力があります。
 いつかおもしろい本に巡り会い、1日で思わず1冊読み終えてしまったという日が来るのです。

 大事なことは、子供に対する「読書10ページ」の目標を、親の目標にしないことです。
 親の目標は、読書大好きの子供を育てることです。
 小学校時代の学力とは、算数の計算力でも国語の漢字力でももちろん英語力でもなく、読書力に尽きるからです。

 子供の今の成績を見てわかるのは、勉強しているかどうかだけです。
 その子がどう伸びるかは、今の成績ではわかりません。
 子供の将来の伸びがわかるのは、どういう読書をしているかによってです。
 しかし、この読書の差は、目につく機会はほとんどありません。
 だから、子育ての基本は、気長に読書好きの子を育てることに尽きると言ってもいいのです。

 昔の子供は、よく本屋さんで立ち読みをしました。
 それで、はたきで追い払われたり(笑)。
 しかし、今はそういう身近な本屋さんがあまりありません。
 だから、アマゾンなどで試し読みできるようにしておくといいのです。
 1ヶ月いくらまでは本を買ってよいというようにしておけば、子供はだんだん本を選ぶことが上手になります。
 しかも、kindleは6台の端末で共有できるので、同じ本を、兄弟も、両親も、田舎の祖父母も読むことができます。
 読書を中心とした生活は、やり方によっては、昔よりもずっと容易になっているのです。


■■言葉の森が提案した読書感想文の書き方

 言葉の森が読書感想文の指導を始めるまで、読書感想文のわかりやすい書き方というものはありませんでした。

 それまでは、感想文というと、感想を書くものだと思う人が多く、同じようなことを何度も書くような書き方になりがちでした。感想や意見というものは、本質的にはシンプルなものなので、それを長く引き伸ばして書くことはできないのです。

 また、感想を書くかわりに、あらすじを長々と書くような子もよくいました。小学生の勉強としては、感想文を書くよりも、このようにあらすじを書く方がずっと勉強にはなるのです。しかし、あらすじを長く書くだけでは、書く方も、読む方も、面白くありません。

 言葉の森が提案した感想文の書き方は、似た例を通して題材をふくらませ、そのふくらんだ題材から感想を書くという書き方です。しかも、これを抽象的な理屈として説明するのではなく、「第一段落には何を書いて、第二段落には何を書いて」と、子供たちに誤解の余地のないように説明したので、誰でも簡単に感想文が書けるようになったのです。

 感想文の書き方の具体例は、言葉の森のホームページの右上にある「ホームページの全記事」のフォームで検索できます。ここに、「読書感想文」という文字を入れて検索すると、書き方の例が多数出てきます。

読書感想文の書き方―小学校低中学年
http://www.mori7.com/as/537.html
読書感想文の書き方―小学校高学年
http://www.mori7.com/as/538.html
読書感想文の書き方―中学生
http://www.mori7.com/as/539.html
「桃太郎」を例にした感想文の書き方
http://www.mori7.com/as/1314.html



















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