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言葉の森新聞2005年7月3週号 通算第895号 枝 0 / 節 1 / ID 印刷設定:左余白12 右余白8 上下余白8
  ■1.夏休み中の授業について
  ■2.宿題の読書感想文の書き方
   ●1.1.いまの感想文指導には無理がある
   ●2.2.子供まかせでは書けない
   ●3.3.じょうずな感想文を書くコツはあるが
   ●4.4.書き方の手順「まず本選び」
   ●5.5.書き方の手順「次に字数配分」
   ●6.6.書き方の手順「1日目の400字」
   ●7.7.書き方の手順「2日目の400字」
   ●8.8.書き方の手順「3日目の400字」
   ●9.9.書き方の手順「4日目の清書」
   ●10.10.書き方の手順「できたらほめる」
   ●11.11.教室では宿題の感想文の個別指導はしませんのでご了承ください。
   ●12.ネット添削のページ
  ■3.青虫君と過ごした日々(けいこ/なら先生)
  ■4.再現できる現実は存在しない(しまりす/きらら先生)
 
言葉の森新聞 2005年7月3週号 通算第895号
文責 中根克明(森川林)

枝 1 / 節 2 / ID
1.夏休み中の授業について 枝 4 / 節 3 / ID 8049
 夏休み中の授業についてのご連絡です。

 言葉の森の7−9月の予定は、課題フォルダの中の予定表に書いてあります。

 夏休みは帰省したり塾の夏期講習に行ったりするために、通常の時間に授業を受けられない場合も多いと思います。その場合は次のようにしてください。

(1)通常の電話指導を受けられない分を、他の曜日や時間に振り替えて受講できます。平日午前9時〜午後8時、土曜午前9時〜正午の間に、直接教室にお電話ください。希望の週の課題の説明をします。事前の予約などは必要ありません。授業の振替は、7〜9月の間いつでもできます。電話0120−22−3987(045−830−1177)

(2)山のたよりの送付先や電話の宛先を、自宅以外にすることができます。帰省先や滞在先などで授業を受けることを希望される場合はご連絡ください。ただし曜日や時間を変更する場合は、先生から生徒にはお電話しませんので、生徒から直接教室にお電話をして説明を聞くようにしてください。

(3)8月のみ休会されるという場合でも受講料の返金はしませんので、できるだけほかの曜日や時間に振り替えて授業を受けてくださるようお願いします。ただし、(A)海外にホームステイで出かける場合、(B)病気治療のため入院する場合など、電話連絡のとれない状況での1ヶ月以上の休会は受講料の返金をしますのでご相談ください。

 なお、8月11日(木)より8月17日(水)までは、振替などの電話の受付もお休みとなりますのでご了承ください。
枝 6 / 節 4 / ID 8050
作者コード:
2.宿題の読書感想文の書き方 枝 4 / 節 5 / ID 8051
1.1.いまの感想文指導には無理がある 枝 5 / 節 6 / ID 8052
 感想文が楽に書けるようになるのは、年齢的には小学5年生からです。小学1〜4年生は、全体の構成を考えて書くという能力がまだ育っていませんから、大人が全体の方向づけをしなければ自分で本の流れに合わせて感想文の流れを考えていくという書き方はできません。
 また、小学1〜4年生の場合、似た話がうまく見つかる場合と見つからない場合とでは、作品の出来に大きな差が出てきます。大人(親や先生)が近くにいて、「この次はこんなことを書いたらいいよ」とときどきアドバイスをしてあげなければまとまった作品を書くことはできません。
 なぜ学校のふだんの授業で感想文を指導せずに、夏休みの宿題というかたちで感想文を書かせるかというと、感想文は(特に低中学年の場合は)、一人ひとり別のアドバイスをしなければならないからで、30人から40人を相手にした一斉指導ではそういうアドバイスはできないからです。
枝 6 / 節 7 / ID 8053
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2.2.子供まかせでは書けない 枝 5 / 節 8 / ID 8054
 「なんでもいいから自分で好きな本を選んで、自分で好きなように書いてごらん」ということでは、感想文は書けません。小学生の場合は、大人がなんのアドバイスもせずに感想文を書かせるぐらいなら、感想文を書くことそのものをしない方がいいのです。単に字数を埋めるだけの感想文は、何の勉強にもなりません。 枝 6 / 節 9 / ID 8055
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3.3.じょうずな感想文を書くコツはあるが 枝 5 / 節 10 / ID 8056
 書くからには、じょうずな感想文を書いて、コンクールなどに入選したいとはだれもが思うことです。作品の出来具合の半分は、似た話などの題材の部分に支えられています。また、もう半分は、感想の部分の一般化の深まりに支えられています。ですから、感動のある似た話が連想できるような本を選び、感想の部分で大人の人が一般化の手助けをしてあげれば、じょうずな感想文が書けます。
 しかし、こういうかたちで親や先生がアドバイスをすることは、子供にとってはあまりうれしいことではありません。また、親や先生に支えられてじょうずな作文を書いても、教育的な意義はありません。ですから、感想文の目標はじょうずな作品を書くことにではなく、ひとまとまりの本を読み、ひとまとまりの文章を書く練習をするということに置くべきです。
枝 6 / 節 11 / ID 8057
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4.4.書き方の手順「まず本選び」 枝 5 / 節 12 / ID 8058
 まず本選びですが、子供が「この本、おもしろいから書きたい」と言うような本が必ずしも書きやすい本であるとは限りません。子供が自分なりに似た話を見つけることができたり、想像をふくらませたりできるような本が書きやすい本です。この本選びは、大人がアドバイスをした方がいいようです。少なくとも、子供には「似た話や想像した話が書けるような本が、感想文の本としては書きやすいよ」と言ってあげるといいと思います。
 書きたいテーマが決まっているときは、インターネットの書店を利用して関連する図書を数冊用意すると話題が広がって書きやすくなります。
枝 6 / 節 13 / ID 8059
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5.5.書き方の手順「次に字数配分」 枝 5 / 節 14 / ID 8060
 感想文の宿題は、原稿用紙3枚程度(400字詰めで1200字)の分量で指定されることが多いようです。これだけの分量を1日で書くというのは大変です。無理のない字数配分は、1日1枚(400字)です。感想文の宿題をするために、4日間の予定を立てて、1日目に400字以上、2日目も400字以上、3日目も400字以上と書いていって、4日目に全体を通して要らないところを削り、清書するという予定を立てれば無理なく書くことができます。 枝 6 / 節 15 / ID 8061
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6.6.書き方の手順「1日目の400字」 枝 5 / 節 16 / ID 8062
 本のはじめの方から一ヶ所、似た話や想像した話の書けそうな場所を選び、そこを引用し、自分の似た話を書き、最後に「たぶん」「きっと」「もしかしたら」などという言葉を利用しながら、自分の感想を書きます。
 本の引用(1)→似た話(1)(もし…だったらと想像してもよい)(たとえも入れる)→感想(1)(たぶん、きっと、もしかしたらなどと考えてみる)
枝 6 / 節 17 / ID 8063
作者コード:
7.7.書き方の手順「2日目の400字」 枝 5 / 節 18 / ID 8064
 2日目も同じです。本の中ほどから一ヶ所、似た話の書けそうな場所を選び、そこを引用し、似た話を書き、感想を書いていきます。
 本の引用(2)→似た話(2)→感想(2)
枝 6 / 節 19 / ID 8065
作者コード:
8.8.書き方の手順「3日目の400字」 枝 5 / 節 20 / ID 8066
 3日目も同じように、本の終わりのほうから一ヶ所選んで書いていきますが、最後の感想のところがちょっと違います。1日目、2日目は、引用した小さな箇所の感想でしたが、3日目は本全体についての感想を書いていきます。
 小学5・6年生の生徒の場合、この感想は、「○○は(人間にとって)……である」というような一般化した大きな感想を書いてまとめます。この感想の部分は、お母さんやお父さんと話し合いをして、子供自身の考えを深めていくといいと思います。そして、「私はこれから」などという言葉を使い、この本から得たことを自分のこれからの生き方にどうつなげていくかを考えてまとめます。中学生の場合は、結びの5行に「光る表現」を入れていくとよいでしょう。
 本の引用(3)→似た話(3)→大きな感想(○○は人間にとって……。私はこれから)
枝 6 / 節 21 / ID 8067
作者コード:
9.9.書き方の手順「4日目の清書」 枝 5 / 節 22 / ID 8068
 4日目は清書です。お母さんやお父さんが全体を通して読んであげると、要らないところが見つかると思います(書いた人自身には、要らない部分というものはなかなかわかりません。これは大人でも同じです)。この要らない部分を削ります。次に、書き出しの部分に本の引用として情景描写の部分を入れられれば、書き出しの工夫ができます。これは無理のない範囲でやっていくといいでしょう。 枝 6 / 節 23 / ID 8069
作者コード:
10.10.書き方の手順「できたらほめる」 枝 5 / 節 24 / ID 8070
 書いている途中でも、書き終えたあとでも、親や先生が「これは、おもしろいね」「それは、いいね」と、子供の書いた内容のいいところやおもしろいところをどんどん認めてあげることが大切です。多少おかしいところや変なところがあっても、子供が書いた内容をできるだけ尊重してあげてください。これと反対に「これは、こうした方がいいんじゃない?」「そこは、ちょっとおかしいんじゃない?」などという否定的なアドバイスをすると、勉強でいちばん大事な子供の意欲をそぐことになります。大事なことは、いい作品を仕上げることではなく、手順にそってできるだけ自力で書く力をつけることです。 枝 6 / 節 25 / ID 8071
作者コード:
11.11.教室では宿題の感想文の個別指導はしませんのでご了承ください。 枝 5 / 節 26 / ID 8072
 感想文の指導には、生徒ひとりずつ異なるアドバイスが要求されます。更に作品として完成させるためには、書いている途中にも頻繁にアドバイスをする必要が出てきます。このような対応は、普段の勉強の中ではできませんので、夏休みの宿題のための感想文指導は、教室では行ないません。
 宿題として感想文を提出しなければならないという事情のある方は、教室で練習した長文の感想文で似た話のよく書けたものをベースにして、ご家庭で書き直していかれるといいと思います。
枝 6 / 節 27 / ID 8073
作者コード:
12.ネット添削のページ 枝 5 / 節 28 / ID 8131
 近年、読書感想文や志望理由書などの添削の依頼が増えてきましたので、日作のホームページでネット添削のページ(有料)を開設しました。
http://www.mori7.info/kojinn/tennsaku.php
 ただし、こういう添削を利用するよりも、ご両親が見てあげるのがいちばんいいと思います。
枝 6 / 節 29 / ID 8132
作者コード:
 
枝 61 / 節 30 / ID 8080
3.青虫君と過ごした日々(けいこ/なら先生) 枝 4 / 節 31 / ID 8074
 みなさんは、虫は得意ですか? 私は残念ながらかなり苦手な方です。特に、ガやちょうが苦手です。せみやカブトムシなどの成虫も苦手なのですから、幼虫類は論外です。しかし、私が担当している子の中には、虫の研究で賞をもらった子が何人かいますし、虫のことを作文に書いてくれる子もたくさんいます。
 その中の一人、現在5年生のMちゃんは、虫が平気で、虫を採りに行ったり育てたりしたという話もたくさんしてくれます。低学年のときは、「虫作文」をよく書いてくれました。虫が苦手な私が作文を読んでいて、ゾワッとしたくらいですから、作文としてはよく書けていたと記憶しています。正直なところ、虫が苦手な私は、電話で話をしていても「ふんふん、そうなのかぁ。」とただただ感心したり、作文を読んでいても調べないとわからないこともあったりするくらいです。

 さて、昨年末、私は小さな一才柚子(いっさいゆず)の木を買いました。あるとき水をかけていると……小さな小さなつぶが! もしや……ちがうといいな……その心配は大当たりでした。つぶは鳥のフンのような小さな幼虫になり、それはいつのまにか青虫君になっていたのです。いやなことを思い出しました。数年前Mちゃんの影響を受けておそるおそる育てていた幼虫は、ある日、立派な「ガ」になったのでした。ガーン!
 しかし、調べてみると今回はどうやらアゲハの幼虫にまちがいなさそうです。大きらいな「ガ」を育ててしまったショックから立ち直るためにも、幼虫君の観察と世話を続けました。その話をMちゃんにしたところ、Mちゃんのお母さんが、Mちゃんが作ったアゲハの観察記録を送ってくれました。デジカメ写真に、観察文がそえてあります。大きさを測ったり色や動きをたとえで説明したりと、なかなかくわしい図鑑です。ところどころには、かわいいイラストまで書いてあります。(Mちゃんと虫が会話をしていたりする。)それを見ていると、何だかあんなにきらいだった虫が、ちょっぴりかわいく見えてきました。そう思うと、ひまを見つけては青虫君をチェックしにいきます。どんどん大きくなり、葉っぱを食べ尽くし、いよいよさなぎになりました。

 図鑑を参考にしつつ、動かないさなぎを観察しながら数日がすぎました。あるとき、さなぎの色が明らかに前日とはちがっていることに気づきました。いよいよ羽化します。残念ながら、羽化の瞬間は見逃してしまったのですが、数十分後、特設ボックスの中には一つの傷もない美しい羽を広げたアゲハがいました。やっと伸びた羽をゆっくりゆっくりと動かして、自分の体の変化を確かめているかのようです。私は何十年かぶりに、アゲハを自分の指にとめて、そっとベランダから空にとばしました。アゲハは何だかなごりおしそうな様子で、なかなか離れていきません。こわいのかな。それとも、お礼を言ってくれているのかな。そのうちに、すっと羽を動かして遠くへ飛んでいきました。おかしなもので、年季の入った「虫ぎらい」だったはずなのに、この数週間つきあっただけで、胸がキュンとなるような別れのさびしさを感じました。

 人と関わると、「自分はこうだ」と知らず知らず決め付けていたことが、実はそうではないかも、と気づかせてくれるきっかけが生まれるのだな、そう思いました。私は、作文の先生としてみなさんと関わっていますが、分野によっては、みなさんの方が詳しいこともたくさんあります。関わりの中で、新しい自分や忘れていた自分を発見できること、それがとてもおもしろいと思っています。みなさんにも、そういう発見をたくさんしてほしいのです。この発見は、読書によっても生まれることがあるでしょう。そして、そのまま作文の材料になりそうです。……勘のいい人はもう気づいたかもしれませんね。これは小学生高学年で取り組む「わかったこと」につながるのです。さあ、初めてのことに挑戦し、いろいろな人と話し、たくさんの本を読みましょう。何に気づき、何を発見し、何がわかりましたか? 
 
枝 6 / 節 32 / ID 8075
作者コード:nara
 
枝 61 / 節 33 / ID 8081
4.再現できる現実は存在しない(しまりす/きらら先生) 枝 4 / 節 34 / ID 8076
 とうとう梅雨に入りましたね。私が雨をきらっていることは、去年の今頃も書いたような気がしますが、我が家の娘も「雨ぎらい」になってしまったようです。先日、「北海道には梅雨がないのよ。」と話すと、目をまるくして「え〜! ほんと? 北海道に住みたいなあ。」と言っていました。

 先日、日経新聞の「春秋」(朝日新聞の「天声人語」と同じようなものです)に、こんなことが書いてありました。
「ピストルの音で大人たちが一斉に腕を空に突き上げる。握るビデオカメラの群れが右へ左へと揺れる。……子供の徒競走がよく見えない。五月に運動会を開く学校が増えたが、いまひとつ白熱しないのは不安定な天候のせいだけではあるまい。」
 娘が通う小学校でも、五月に運動会がありました。たしかに、どの競技中も上に書いたのと同じ光景があちこちで見られます。それは毎年のことで、私もすっかり見慣れてしまっていました。けれど、「いまひとつ白熱しない」というところを読んで、そうそう、そうなのよと思ったのです。

 我が家は、あまりビデオやカメラの撮影をしません。特に深い考えがあるわけでもなく、どこに行ってもカメラに気がまわらないのです。いつも、出かけた後に「あ〜、カメラ持ってくればよかったね〜」と言っているような気がします。たとえ持っていっても、撮るのを忘れてしまったり……。八歳と四歳の子どもたちのアルバムが、二人合わせて四冊半しかないと言うと、たいていの人はびっくりします。
 こんな我が家ですから、運動会といってもそんなに必死に撮影することはありません。もちろん、主人が少しは撮りますが。私は、ぎゃーぎゃーと大きな声を出して応援するだけです。そんな時に、いつも感じていたことがありました。(なんか、私すごく目立っているかしら……。)まわりを見回すと、大声を出しているような人はあまりいないのです。「春秋」には、こう書いてあります。
「親は撮影に忙しく応援どころではない。子供も写る自分の姿を意識している。……親子とも心を占めるのは『勝負の記録』ではなく『映像の記録』だ。叱咤激励の大声は響かず、歯を食いしばる必死の形相も見えず、上品な戦いが粛々と進む。」
だから、大声を出している私は目立っていたのか、謎が解けたような感じがしました。 
 便利で性能のよいカメラがたくさん出ている中で、記録をとらないのももったいないような気もします。けれど、みんなが一度カメラをおいて、親や観客まで赤と白に分かれるような応援をしたら、映像には残らなくても後々まで思い出に残る運動会になるのではないかなあと思いました。

 「春秋」では、続けてこう書いています。
「人の肉体と心は『早送り』も『巻き戻し』もない真剣勝負でこそ躍動する。今という時空に生きるのは一度限り。再現できる現実など本当は存在しない。」








枝 6 / 節 35 / ID 8077
作者コード:kirara
枝 9 / 節 36 / ID 8077
 
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